昭和の風林史(昭和五四年十二月三日掲載分)

2017年12月07日

期待感が高まる 大底入れた証拠だ

商取業界は、なんとはなしに一九八〇年に夢が膨んでいる。これは業界に大底が入った証拠だ。

「炭売に日のくれかかる師走かな 蕪村」

とうとう十二月が来たという、あとのない緊張感を感じさせるものである。

なにがどうだから―と年の越せなかった事はない。

要するに一年の、けじめがつけられるか、どうかだけで、これは長い人生のうちには、どうにもならない年末もあれば、大過なく越せる時もある。

いい正月を迎えられるか、悪い正月になるかは、人によって様々で、健康の事や家族の事。お金の事。商売人は取引先の事。事業経営者は会社の事。若い人は恋人の事。旅行の事など限りがない。

われわれ相場社会では、この一年、よかったか、悪かったか。とりもなおさず儲かったか、損したか。

『あかなんだなあ、今年は』と言える人は上の部である。

『いやもう、ひでえ年だった』―というあたりが平均的でなかろうか。

業界人は、今年は悪かっても来たるべき新年に期待する。相場に未来性はあっても過去はない―という割り切り方が出来るし、人生観も案外さっぱりしている。

ところが、そういう考え方とはまた別に、商取業界は一九八〇年に大きな期待を持ち、夢がふくらんでいるふうに見受けられる。

来年は、大不況がくるかもしれないという経済の見通しもある。

商取業界の人は、大不況結構という自信がある。

大不況で相場下落なら、売りの年じゃないか。

不況期は、投機熱が高まる。『よっしゃ、不況を食う男でいけ!』―となる。

商取業界は、この10年間、いいところなしで来ている。その意味では、不況に強い業界だ。

その業界も大底が入ったように思う。

商取マンは、泣くだけ泣いた。愚痴もこぼした。不平も言った。そして、なにかを悟った。泣いていたとて、誰も助けてくれない。

がんじがらめの規制は、自分達の手ではずすしかない。ようやくにして腹が据ったのである。天は自から助くる者を助く。

だから、業界人の意気込みが違ってきた。

取引員の許可更新という素地がそこにあると思う。不幸にして一線を去った社長もいる。しかし、『去る社長、残る社長も去る社長』である。油断したり、失敗したら、それは仕方がない。年内一カ月、とにかく前進である。

●編集部註
 確かにあの時一九八〇年に夢が膨んでいた。

 一九八〇年一月一日になった直後、全ての民放TVでギンギラギンに着飾った沢田研二が大きく開いたパラシュートを背負ってTOKIOを歌いだした事を思い出す。

昭和の風林史(昭和五四年十一月三十日掲載分)

2017年12月06日

頭では判っても 肌にピンとこんの

若い人は輸大相場に難なくとけ込んでいるが、小豆の黄金時代に育った人は、ぎこちないのだ。

「煮ゆるとき蕪汁とぞ匂ひけり 虚子」

小豆相場と輸入大豆相場の違いについて「輸大は判ったようで判らんが、小豆は判らんようで判る」―と言えば、その通りなんですと言う。

これは、小豆相場の黄金時代に育った人なら理解出来ると思う。

輸大は小豆の六倍―と観念的には知っているが、輸大百円幅の動きが、それほど直線的に動いた―という感じにならない。

ところが、小豆の三百円幅の動きに対しては、スカッとしたものを感じる。

動きに対する斬れ味というのか。利幅の満足度にしても引かされての呻吟度にしても、輸大と小豆とでは感じかたが違う。

それは、相場に対しても言える。四節立会と六節立会の違い。これが、なにか間合いが取りにくい。

セリを聞いていて、小豆なら、その玉が、どのような性格の玉か、例えば店のおやっさんの玉、地方の客あるいはホクレン系統、いやマバラ大衆―と、だいたい判る。

輸大になると、隔靴掻痒(かっかそうよう)である。

更に言えばシカゴがどうだ、フレートがこうの、為替がどうだ―とくる。

小豆相場20年、25年のキャリアにとっては、英語は大の苦手である。

キャリオーバーだとか、イールドとか、日本語で言え―と言いたくなった人は随分いると思う。

名古屋の大石商事の大石吉六翁は、『知らんもんに手を出さん』で、輸大なんか、見むきもせんそうだ。

しかし、こと営業となったらそうはいかん。輸大は穀取市場の花形である。

まして小豆は塩垂れてしまって〝荒城の月〟だ。

その点、昔日の小豆の、よき時代(筆者に言わせれば、ロマン多き相場時代)を知らない若い人は、難なく輸大を消化している。やはり若い人には勝てん。

堂島育ち(明治生れ)の方は、知らんもんには手を出さん―でいけるが、阿波座育ちとか、蠣殻町育ちはそうもいかん。

『フレートてなんや』小さな声で聞いて、なんや運賃ちゅことかいな。
土台、なん十億ブッシェルという単位、それにブッシェルならブッシェルでいけばよいのにトンで数えて俵に換算して、ウスダー(東北弁の嘘だ―)USDAと言いよる。

これからは輸大相場の時代だと言うから、その気になってはいるが、なんとなくちぐはぐな人がおる。

●編集部註
 この年の10月、松竹が松本清張の「砂の器」を映画化。大ヒットする。

 劇中、東北弁が重要なキーワードになるのだが、この記事の「ウスダー」は恐らくこの作品が元になっている。それを知らぬとピンと来ないだろう。

昭和の風林史(昭和五四年十一月二八日掲載分)

2017年12月05日

精糖とゴム売り 輸大と小豆を買う

12月相場は輸大も買い小豆も買うが、ゴムと砂糖は売る―という方針、考え方でよいと思う。

「暁の雲いくながれ鶴の空 青蕪」

精糖納会は予想通り暴落した。海外も安い。ただ円が二百五十円台に売られているが、輸入商品下落の歯止めになっている格好だ。

精糖はI商社の買い思惑が裏目に出た。国内実勢を無視して、外糖高を理想買いした反動である。

相場としては、10月中の棒立ち。そして11月新ポの天井打ち。その後の実勢遊離。ジリ貧。上げ幅に対する三分の一下げという先限引き継ぎ線である。

この事は、外糖高と円安に支援されていた精糖だが、実勢にそぐわない事。買い仕手I商社は、いささか強引で無理をした。大衆は高値を買い付いた。上昇日柄を食い過ぎている。線型が非常に重くなっている―。従って、先限引き継ぎで半値押しの二百九円(大阪)は、ジリ貧で12月中に付けるだろう。

これに似た動きがゴム相場である。

ゴム相場も、下げに対しての抵抗を見せているが、円安、オペック原油値上げ等も、いまや相場に織り込まれ、商社筋の産地手当、定期市場売りヘッジの行動が活発である。

取組内部要因も、大衆筋は当初買い→利食い→売り慕い→踏み上げという起伏にとんだ流れであったが、やはりこの段階にくると、商社の売リヘッジ増大が、この相場の上値限界を見せているようだ。

ゴムは、すでに先行商品としての上昇サイクルの終末に来ていると思う。

ところで輸入大豆はどうなのか。

穀物は、遅行商品である。その中でも反応がまったくなかったのが小豆であり、やや反応しているのが大豆である。
先行商品の最たるものは、金、銀、銅であった。そしてゴム、羊毛、砂糖と続いて、金銀銅は頭打ち。ゴムも砂糖も遅れて頭を打った流れである。

先行商品や、そのあとを追う商品が上昇期にあるあいだ、穀物は逆に下降していた。

そして先行商品と、そのあとを追う商品が反落に転ずるや穀物(大豆)が上昇期に入った。その限りでは小豆も11月底である。

輸入大豆は、師走相場の花形になるであろう。国内需給見通しから言っても、このあたりで納まる値段ではない。小豆も、商いが薄いから投機家の食指は動かぬが、11月20日の安値で底が入ったと思う。輸大も買い小豆も買う。

●編集部註
 確かに、大豆相場は師走相場の花形となった。

 ただし、相場には買い方もいれば売り方もいる。

 ここから2カ月、この相場は両陣営に平等に花道を作ってくれた。

昭和の風林史(昭和五四年十一月二七日掲載分)

2017年12月04日

商取界大底打ち 新年大出直り上昇

一年をふり返るには少し早いが、この一年で商取業界は10年来の大底を打ったと思う。

「さいかちの実はそのままの落葉かな 芭蕉」

暖かい11月が続いている。

今週末が、もう12月の1日だ。大納会までスケジュールがびっしりというのに、寒くないのは有り難い。

一年をふり返るのはまだ早いが、ともかく石油と為替の年だった。

そして来年も、同じようなパターンだろう。

国内の先物市場は、国際商品が海外相場に連動して、沈滞だったゴム取引所、砂糖取引所が、蘇えったのはなによりだ。

また、小豆、手亡の不振を輸入大豆市場がカバーして穀取の財務面は比較的安定していた。

上場商品流通の構造的な面で繊維取引所は、市場機能の発揮度が低く、特に大阪化繊取引所と大阪三品取引所は財務面で耐乏を強いられ、生糸取引所も、ものを考えさせられる〝痩せたソクラテス〟の一年だった。

業界上部団体の全商連、全協連は、キャパシティ一杯の稼動を続けたが、評価されることはなかった。
幸いにして(不幸にも)補償金協会は、機能を発動した。商取業界の信用保持に、いささかの貢献を見た。

両主務当局は、取引員の許可更新に忙殺された一年であるが、着実に業績をあげ、遅待なく目的を遂行した。

今年も、幾つかの取引員会社名が消えた。真に寂しい事であるが仕方のない事であった。
このように、この一年をふり返ると、わが商取業界も、変化の仕方が、見る目で見れば、あまりにも激しいものであった。

そして、だいたい、大底が入った。この大底というのは、昭和44年からの10年間、わが業界はジリ貧とドカ貧の下り坂一方という見方が出来る。そのグラフが、大底を打った。

取引員会社の社員がブラック・ゴールドに流れた現象も、視点を変えて見れば、経営者に、将来のビジョンと雇用問題を真剣に考えさせた。

この一年で、商取業界は、どのような事柄に対しても対応性のある事を、自から認識した。これは、大きな力になるし、なによりの収穫である。

一九八〇年は、大阪に三ツの取引所の集合立会場が実現する。将来の取引所統合合併への手がかりだ。また合板取引所が開所するだろう。為替と石油が不安定な限り、先物市場は、機能を高めざるを得ない。

●編集部註
 太った豚より痩せたソクラテスになれ―。19 64年の東大の卒業式で東大総長が言った言葉とされる。しかしこれには3つの間違いがある、と2015年の東大教養学部の卒業式で引用された。これは平成の名文である。

昭和の風林史(昭和五四年十一月二六日掲載分)

2017年12月01日

師走相場の花形 輸入大豆は大相場

輸入大豆相場は大相場型になった。師走相場の花形になるだろう。小豆もようやく底が入った。

「晴天にただよふ蔓の枯れにけり たかし」

輸入大豆相場が新値に買われて、あなどり難い勢いになった。

中国大豆成約のショック安が、(1)買い玉のふるい落し、(2)売り込みの誘い、(3)申し分ない押し目構成となったわけである。

輸大に対する大衆人気は、売っておけばよいという先入観と値頃感で、輸大市場の環境が、大きく変化しているにもかかわらず、どうしても売られる。

それだけに、この相場は、予想外に上値が大きいと見なければならない。

まず第一に、輸入商社筋の態度が、国内定期市場を、買いヘッジの場としている情況の変化である。これは経済原則による当然の市場利用である。

次に、先行きの需給予測と国内流通事情が、今の価格水準を妥当としない環境に変化している。投機家は、この事に留意しなければならない。

更に、市場内部要因が、東京市場の自社玉が、余りにも売り過ぎという事だ。

自社玉、必らずしも利益になるとば限らず、時と場合によっては取引員会社の財務内容を極端に悪化させ、命取りになる。

(昨今の先物市場は、上場商品によって規模も構造も変革し、投機筋もマンモス化し、専門知識と情報を有するため、取引員会社が昔の感覚で、自社玉ポジションに立てば、逆に取引員の懐を狙った玉が入り込んでくる。香港市場あたりでは、懐が深い―と狙われたブローカーが、随分この手で食われた)。

いわば、〝道場破り〟の玉である。この事は、市場が未成熟期から、成熟期に入る段階で表面化する。

市場が整備されてくると自社玉、ダミー会社玉等は、必らずしも取引員会社経営の安全弁とならない。

従って自社玉問題は、市場が機能するに従い、自然に解決するものである。

それはさておき、輸大先限週間棒が、この相場の先行きを暗示している。それは、末恐ろしい大相場であるという事だ。東京、名古屋五千八百円→六千円。

情勢如何によっては、あり得る水準だ。輸大をなめてはいけない―という事。

小豆相場も、底が入った感じがする。人気は弱いが、相場は十一月20日底だと見る。ただ、今の小豆市場は当業者の支配力が強過ぎるから大衆人気は集まらない。出来高、取組みの大きい輸大市場の蔭にかくれても仕方がない。

●編集部註
 この日、東京大豆は出来高9401枚。取組高5万9316枚。現在の取組高は6~7000枚。

 どうしてこうなった。

昭和の風林史(昭和五四年十一月二四日掲載分)

2017年11月30日

売り過ぎる輸大 だけに相場は上か

輸大は大衆が売り過ぎるから下がるまい。年末に向け、輸大強気のロマンに賭けてみたい。

「鍋焼の屋台に細き煙出し ひさし」

乾繭市場の納会が前橋前日比五百四十六円高。豊橋二百五十七円高。

乾繭の倍率は三百倍だから、小豆相場でいうと四千丁以上を納会一本で吹き上げた事になる。

これが、もし小豆の市場だったら、お役所は、黙っていないかもしれない。

乾繭の場合、どういう事になるのか知らないが、行政当局の出方を、さまざまな思いで見守るところ。

相揚の事だから仕方がないじゃないか―という事なら、それはそれでよい。むしろそのほうが、自然な姿である。いや、乾繭はよいが小豆は、あかん―というのだったら、これは行政に一貫性がない。

輸入大豆相場は、大衆が売ってくるという。

上げ相場を取って、ドテン売りになった。

これは、相場でいう『利食い余し』である。買っていた玉を利食い売りして更に売るから利食い余し。

これは、いけない事だと言う。利食いしたあとは、休む。それが相場の作法だが、抜く手も見せずドテン売りは、結果がよくないとされている。

輸大は、売りぐせがついてしまったから、売っておけば、なんとかなるという考えが判らぬでもないが、大衆が、あまりにも売り過ぎるようだと、内部要因面から突き上げを食う。

強気は、東京、名古屋五千八百円から六千円があるだろうという見方。

東京自社玉は、いまもって圧倒的な売り。大阪自社玉買いに比べて、取引員のポジションに違いがあり過ぎる。

需給予測、商社動向、シカゴ相場、為替とフレートあるいは中東情勢等を考えれば、きわめて不確実性ファクターが多過ぎる。

従って、東京圧倒的な自社玉売りが、キリキリ舞いで宙にふっ飛ぶ可能性なしとしない。

東京六千円―という強気の見方も、あながち、はったりとも思えない要素が、多分にあるから、戻り売りでよいという考えを改めなければならない。

小豆相場は、六月、九月、十一月、この三ツの安値が底値圏である事は判る。九月底、十一月底は過去にもあった。

おしむらくは、人気が遠のいている。出来高は昔日の比ではない。下値を固める段階だ。値のほうは、とどいている感じで、ここからの弱気は、あこぎだ。しかし年末にかけては輸大強気のロマンが御正解か。

●編集部註
 その昔、糸が日本経済の屋台骨を支えていた。

 現在「かんけん」と打ち込んで変換キーを押すと漢検と官憲が出て来る。

 乾繭、は出てこない。

昭和の風林史(昭和五四年十一月二二日掲載分)

2017年11月29日

お国は六韜三略(りくとうさんりゃく) 売らんけれど売る

いつも相場は人気の裏側にある。輸大が戻せば大阪先限五千百円、二百円と売れば判りやすい。

「風に聞けいづれか先にちる木の葉 漱石」

輸大定期市場は中国にふりまわされている。中国人の商売は、日本人に理解出来ないものがある。

目の前にあっても、涼しい顔で、ないと言う。値段の交渉は、硯一ツにしても三日も四日もかかって値切れば、駄目だ駄目だの値段でも、しまいに古き友人ということになる。

数年前、日本の小豆定期市場は、中国小豆を売るとか、売らんとかで、随分ふりまわされた。

商売が上手というのか、狡猾というのか、中国人との商売や駈け引きは、腹を立てたほうが負けである。

日本の財界は、中国との経済協力という事で日本から38億ドルものプラント輸出契約を結んだが、これはリスクが大きすぎる。

中国の政治情勢は、いつどう転ぶか判ったものでない。松下さんあたり、リスクについては計算しているだろうが、あまり深入りすると、結果はペロリとだまされたという事になるかもしれない。

まあ、松下さんなら、バンダル・シャープールの石油コンビナート投資で行き詰り、日本政府の援助をあおぐ結果になったような、われわれ国民の負担によってカントリーリスクをカバーせずとも、自分でやった事は自分で片をつけようが、なんとなく、松下さんは中国で失敗するように思えてならない。後世、『あれだけの成功者が、晩年の政経塾と中国とは失敗だったね』とならなければよいが。

輸大市場は、かなり強気になったところで冷やされた。中国は年内売ってこないという予測のもとの需給観である。

しかし値が高くなれば売るのが商売である。

ましてお国は、六韜三略お手のもの。

高値で玉をひろげた投機家は、ぶった斬られた。

自社玉大量売り店は、首の皮一枚を残して―ということになる。

さて、この輸大相場どうなる。

客が総売りなら再び上だ。上に行って客が踏めば、それで終る。相場なんて、所詮人気の裏である。

客が売りたいか、買いたいかは、客に聞かずとも自分に聞けばよい。今、自分は売りたいのか、買いたいのか。相場はその反対側にある。

今回もそうだったが、輸大は五千百円、二百円、三百円(大阪)と先限の五干円台を待っていて、人気が熟したところを中国流に売るのが一番判りやすい。

●編集部註
 ここで登場する〝松下さん〟は、恐らく松下幸之助の事だろう。

 彼はこの時期訪中し、現在同国では「最初に井戸を掘った男」と称えられている。

昭和の風林史(昭和五四年十一月二十日掲載分)

2017年11月28日

遅行商品輸大が 一巡煎れ出し尽す

師走の勝負手は輸大先の百円幅売り上がり。天井した精糖とゴムの先売りでなかろうか。

「しぐるるや牡蠣割辻も灯りぬ 貞」

小豆先二本が三千円を割った。期近限月の夜が明けたら安い底抜け相場に、どうしてもなびく。

日足(日柄)19本をかけた(3月限)三千百円と三千八百円でのボックス型保合を下放れてしまうと、買い方勢力は、心理的にも打撃が大きい。あと、下の値段は先限二万二干円である。

それは本年六月27日に付けた安値である。

ホクレンが、どのあたりで定期オペレーションの第一ラウンドを終えるか(売り玉の買い戻し)。

それにしても期近限月の下げ幅四千丁は、十月4日を頭にしてのものだけに、人の気の付かぬところに大相場があった。

目下のところ輸入大豆市場が活気を呈しているから、実勢が悪い小豆なら思い切ってこの際、悪目を出しておくほうがよい―という見方も出来る。

悪材料すべて織り込み、下げるだけ下げて、更に行き過ぎるぐらい下げれば、相場は、むしろ灰汁抜けして、すっきりと自律反騰にむすびつくだろう。

先行商品・ゴム相場が非常に不安定になっている。51年の大相場の時は月捧新値8本で天井した。

今月で、月棒新埴8本だ。今月の月棒が陰線引けすると大暴落線になる。

日足線で、もう一度三百二十三、四あたり以上に買われる事が、ないとはいえないが、あれば(売り)勝負をかけるところだ。手応えのあるクリスマス・ボーナスになろう。

精糖相場も、きわめて不安定である。(大阪先限)二百十三円→二百九円の下値を、この相場は取りにいこうとしている。

新値足(日足)で25本。実数53本で天井したあと、高なぐれで熟すのを待つ姿。海外も、買い疲れ現象を濃くしている。

国際商品の中で、最も遅行している大豆が、シカゴ底入れ感と国内の商社強気で、玉が回転した。

中国大豆が入荷するものと思って売られていた市場が、カードが狂って、踏み上げている。

東京自社玉は七千四百売りの三千七百買い。これは食われている。玉を巻いた、巻いたで、ひろげるしか手がないだろう。

大阪自社玉は、関西の営業システムが関東と違うから、早くから買いになっている。

窓を明けて飛んでいるだけに、下げにまわるとS安崩しだ。先限百円幅での売りが師走の勝負手。

●編集部註
 古来より山師、成金と蔑まれる彼らも、楽して儲けているわけではない。相場読むより日柄読めだ。

昭和の風林史(昭和五四年十一月十九日掲載分)

2017年11月27日

この小豆駄目だ 輸大先売りが勝負

小豆の先は二千二百円を取りに行く。為替が怖くて相場が張れるか―精粗糖暴落。輸大先売れ。

「荒海や北窓ふさぐ軒つづき 和香子」

小豆相場の前二本は、夜が明けたらチンタラ、チンタラ値を下げる。

現物は新と古品で五千円もサヤ開きした。

ホクレンは、およそ30万俵ほどの新穀を定期にヘッジしているのではないかと言われる。

30万俵のヘッジはしたが農家は安い値で仕切ってこない。これを仕切るために古品小豆で相場を叩き、一石二鳥を狙う。

新穀を安い値段で農家から買い取る狙いと、定期のヘッジ玉を安値で利食いする。

だから、力のある投機筋が、ホクレンのカラ売り玉の場勘を狙って逆手を取れば、ひとたまりもないだろう―と言われるが、目下のところそのような物好きもいない。

いうなら古品を道具にしたホクレンの定期オペレーションに、市場は冬の夜のように沈黙している。

それというのも、品物の売れ行きが悪い。実勢悪である。そこへ、余り物に根なしと来ている。

更に悪い事は、国際商品に人気が奪われ、小豆市場に大衆の投機資金が流入しない。

各穀取にしても、輸入大豆の商いが盛況を続けているから敢えて小豆市場の閑散に深刻さがない。

こうなると、小豆市場は、いよいよ鳥なき里の蝙蝠で、売り方の思うままである。自社玉も、市場環境に呼応する如く圧倒的な売りである。

古品現物一万八千円で売れない環境なら、まして買い方不在の定期相場の先二本など、先行き輸入小豆の圧迫もあれば、二万三千円割れの値頃買いは、一考を要する。時と場合で新穀定期の二万二千円。本年六月27日に付けた安値を取りにいく事になる。

相場の悪さをためていた精糖相場が、素直な動きになりそうだ。砂糖の実勢は、デパートの北海道物産展でグラニュー糖一㌔百六十五円で売っている。スーパーの目玉も百六十円で買えるとか。メーカーの建値引き上げ二百四円では、売れ行きを一層悪くする。

定期は外糖と為替とフレートに支援されているとはいえ、いつまでも噴水の上のピンポンの球は踊っておれまい。

輸入大豆は先限五千五十円、百円、百五十円と売り上がるのが、リスクを負った投機家の勝負どころである。為替が怖くて相場が張れるか―のところ。

●編集部註
 駄目だと言い切られると、このコメントを待ってましたとばかりに相場が反発しだす皮肉かな。
 ここでリスクを取った勝者を称える世の中なら、今の日本はもっと風通しが良かったろう。

昭和の風林史(昭和五四年十一月十六日掲載分)

2017年11月24日

輸大の攻防激し 食うか食われるか

余り物に値なしという言葉は、今の小豆の期近限月を言うためにあるみたいだ。輸大先噴値売り。

「大霜の朝日の野道みな濡れぬ 秋桜子」

ゴム相場は為替に連動しているだけに商品市場の輸入商品の指標的な存在である。そのゴム相場が売り玉の煎れに次ぐ煎れでようやく煎れ終った格好である。

一応13日の三百二十七円10銭(神戸先限)が〝寄天〟(寄り付き天井)になっている。しかし、大相場の天井は、一本値でなく幾つかの山をつくる。

まして米国とイランの問題やまだ激動期にある為替の推移、そして、暴騰を続けるフレートなどの関連で下げ幅を大きく切り返すエネルギーは相場が持っている。一応天井はしたが、情勢で二番天井、三番天井を取りにいくものと見て、安場を売るのはリスクが大きいだろう。

相場は、売り込むと下げるものでも抵抗が出来る。

精糖相場は、海外高についていけない。

二百二十円までは煎れと新規買いと、海外高等で来たが、国内実勢が伴なわない。また、二十円どころは相当な買いつきがある。いわゆる回転してきた玉が高値で、思い切り玉をひろげた。

先月受けた仕手筋(商社)も、実勢がそっぽをむいているため難渋しているみたいだ。品物がないわけでない。まして売れ行きは非常に悪い。

海外がゆるみ、円安が止まれば国内は取組悪でS安ものだろう。線型は、頭が重くてしようがない。

輸大期近限月は戻り新値を買った。商社筋の売り玉はずしに大衆の売り玉が踏まされている。

大阪自社玉は買いが売りを千枚も上回っている。

東京自社玉は売りが買いを三千枚上回っている。

大衆の買い―といっても筋ものだが―を特定の店が自社玉売りで攻防熾烈。食うか食われるか。

期近のつなぎ売りをはずしている商社は、その分を先にヘッジしなおす。

フレートに火がついているだけに、商社としても手当てを躊躇する。まして為替がらみだから、国内定期をフルに活用するしかない。期近三本は手のほどこしようがないが先限はあと百円、百五十円の上値は要警戒である。

それにしても小豆は塩たれてしまって、斯近限月がチンタラ、チンタラ値が消える。

余り物に値なし―というのは、この事を言う。東西小豆自社玉比率を見れば、まだまだ悪さを引きずるだろう。

●編集部註
1979年のイラン革命は各方面を刺激した。

この革命でイランはシーア派が実権を握った。

スンニ派の国々は革命後のイランを脅威に感じる。スンニ派の国イラクと戦争が起こるのは翌年だ。

この年の11月には、イスラム過激派がサウジアラビアにある聖地メッカの礼拝堂を選挙するという時間が起こっている。