昭和の風林史(昭和五七年八月十四日掲載分)

2018年09月06日

小豆村の夏祭は終わった

他人様が頼りの強気が多過ぎる。これを売りたい強気という。ワッとくればすかさず売られよう。

八月の月例経済報告によると、輸出の低下、住宅建設の不振に加えて、これまで景気を支えてきた個人消費も天候不順が禍いして景気回復の足取りは一段と鈍っている―と。

世の中は不景気である。世界中が〝デフレ病〟に侵されつつある。

為替の円安メリットの話も聞かれない。困った、困ったで済むうちはよいが、そのうち大変だ、大変だということになるだろう。

「余りものに値なし」で悲惨な崩れの大豆。あまりの安さに涙も出尽して痴呆状態に陥っている砂糖メーカー。凋落の金―。

〝小豆村の夏祭〟も今年は何となく活気に乏しい。「オホーツク海高気圧」の登場で賑わいかけたも束の間だ。笛、太鼓が途切れると、まるで通夜か葬式の儀式…。

物が売れてこそ盛り上がる。三万円が安いか高いかはお天気次第とは申せ、買う気にだけはなれない。

「恨み節」が終わったら、皆が皆、上げ賛成、これですんなり上がれば、往復ノコギリで、こんな結構な話もあるまい。

農家喜び、高値で繋げる、ヘッジャーほくほく、安値で手当ての荷手持ち筋も笑いが止まらない。増産を奨励したお役所も胸をなで下す。

さて、さて、どうだろうか。十人が十人、高値で売りたい強気ではバランスが取れそうにない。

初押し買うべしで、戻す場面もあろう。ところが口で強気を唱えても自分は買わない。他人様が買ってくれるのを待っている。

この相場の行き先は大体決まったようだ。あとは日柄調整、ワッときたところを売ってみたい。

●編集部註
 最近平成元年と平成30年の時の世界のトップ企業上位30社を比較がネットで話題になっている。
 視点を変えると、不景気の時は次の好景気を支える技術や製品が生まれる事が多い。平成元年と平成30年の企業比較は、それを如実に表している。 1982年の8月もその後の社会を大きく変えた商品が世に出た。
コンパクトディスク、所謂CDがそれである。
 CDは日本のソニーとオランダのフィリップスによって共同開発されたが、8月にフィリップスから世界初のCDソフトが登場し、10月にソニーから世界初のCDプレーヤーが発売された。
当時の販売価格は16万8000円。大卒で銀行に就職したサラリーマンがもらえる初任給が11万6000円、週刊誌が200円した時代である。

昭和の風林史(昭和五七年八月十三日掲載分)

2018年09月05日

八月天井くれぐれ御用心

八月天井用心すべし。高値、高値あれば売るべし。人気強けりゃ相場は下がる。

小豆先限千七百四十円(大阪)は六月3日の頭に対して三分の二戻し地点。節足新値六段上げでもある。

気の利いた人は買い玉利食いで、盆休みに入った。

地獄の釜の蓋もあくのに、それ買え、やれ買え、安もんセールスマンだけが盆というのにいきっていた。

漁師は漁を休んで殺生をしない。供養である。

むやみやたらと客に損ばかりさせたセールスは、供養の気持があってもよい。

北海道は気温が下がっている。作況のほうはとりどりばらばら。良いわけではない。だから買った。

しかしここから新規買って先限三万三千円など無理な話だ。

取り組みにエネルギーがない。需給に逼迫感がない。

東西取り組みが、これ以上大きくならないということは、限られた投機資金による奪い合いだから、相場は燃えない。

昨年も、一昨年も、その前の年も八月天井。

ここは嬶(かかあ)質入れて買わんかい‼と買ったところが皆天井。

納会がないから俵読みや入船状況、現物の流れなどから目がそれている。

庭の空いていた末端は、仕手崩れのあと一巡安い現物を手当てしたが、それが売れたわけでない。なにせ不順な天気の不況下で、消費は伸びない。

輸入商社は上げ賛成だが、適当に高ければ商売にかかる。また、外貨枠も残っていることだ。

この先、産地の天気が悪くても、それで相場が高いなら、高いところ、高いところを売っていくのが判りやすいと思う。

52年仕手崩れ相場は八月1日~八月23日まで四千五百五十円戻し。日曜入れて22日間の戻しのあと倍返しの大崩れ。今回七月19日~八月11日が23日上げで日柄面でほぼ一杯だ。

●編集部註
 夏は冷奴、冬は湯豆腐。国内の大豆の需要はあるので買いである―。客先でそう粘って注文を取ってきた猛者がいる、という伝説を聞いた事がある。 

風林火山に言わせれば、これは差し詰め〝安もんセールスマン〟なのであろうか。そうであれば、小豆は無敵だ。春はぼたもち、夏は宇治金時、秋はおはぎ、冬は汁粉やぜんざいで年中小豆の需要があるので買いだろう。
 
〝イキる〟という言葉はヤンキー漫画でよく出て来るので「いきがる」のら略語かと思っていたが、関西方言の模様。「粋る」「意気る」と書き、調子に乗る、という意味らしい。

昭和の風林史(昭和五七年八月十二日掲載分)

2018年09月04日

はいそれまでと梯子とり

人気を強くさせておいて、はいそれまでと梯子をはずされる相場になるだろう。

小豆は戻り新値に一発高。待ってましたと買い玉利食いかと思ったら、そうじゃなく高いと買いたいで高値を買っていた。産地の天候が崩れる。ホクレンが買うという材料のようだが、むしろ絶好の売り場づくりでなかろうか。

強気がふえるということは、盆から先の反落相場の要因をつくるわけで、農水省発表の作付け面積はなんとなく増加しているふうである。

作柄のほうは九分作、百万俵前後の予想。

まだまだこれからの天候如何で減収にも増収にもなるだけに、なんともいえないが、先限三万三千円目標などという声に煽られて飛びつけば八月天井摑みということになろう。

相場の呼吸からいうと12日、13日は、もし高ければ売るところとみる。

この相場は仮りに静岡筋が買おうとも、引き継ぎ線で三千丁戻しは、精一杯と思う。

現物が逼迫するわけでない。

むしろ不景気による売れ行き不振のほうのウエイトが大きい。

V字型で反発しておいてダンゴをつくり、そのカタマリを上抜いて二段上げ。これで人気を強くして買い付かせれば、はいそれまで。ご苦労さんでした。

いまの小豆は玄人中の玄人ばかりの相場で、それも小豆専科のプロ中のプロであるから、利食い足も速い。

また、相場をそんなに大きくみているわけでもない。自由化問題もあるし、安徽小豆圧迫も実需不振の足を引っ張る。

そのようなことを色々考えてくると、11・12限の千三百円~五百円。1限の二千円台乗せあれば、売っていきたい。

おどま盆ぎり盆ぎり盆から先は安いぞ―という考えは少しも変わらない。

●編集部註
 既に後の相場展開を知っている人間としては、例えるなら一気呵成に攻め込む武田騎馬隊に対して、織田鉄砲隊が一斉射撃で殲滅を仕掛けるほんの数秒前の状態によく似ている気がする。実際に目にした事はないのだが。
 1982年8月12日、東京小豆先限日足のローソク足は、前々日のギャップアップと比べると20円見劣りするものの、それでもマドはマド。プロ中のプロ、それも売り方のプロはこの足に所謂〝星〟を見出したのではないか。
 プロがプロたる所以は、読んだら動く事。ダメなら撤退するだけという腹積もりがある。
 アマがアマたる所以は、読んでも慄いて動かない、いや動けない事。いろいろと理屈をつけて動けぬうちに好機が去って行く。

昭和の風林史(昭和五七年八月十一日掲載分)

2018年09月03日

戻り新値抜けから売り場

売りたい強気で待ちの姿勢。戻り新値でワッとくれば売りたい。盆から先は安い。

妙な相場つきになったものだ。

上に行くなら行ったほうが判りやすくなる。

下げるなら下げたで、また判りやすくなる小豆だった。

商いは隣りの輸大がよく出来て、小豆は気がない。前場二節東穀小豆出来高三限月で22枚である。

閑散病という病気が出ている。これ即ち解け合い疲れである。

日足線の陽線連続を見ていると、上げたがっている姿だ。

11、12限の(大阪)八百円買い!!とくれば商いも弾むだろうが、その時は逃げたい買い玉も多いし、新規売るなら、戻り新値抜いてからと、待機組も多い。

戻り新値抜けからトントン、トーンと打ち上げていく勢いは今の小豆にはない。

これは人気が醒めているからだ。

取引員自己玉は大阪買い長。手数料抜け幅が楽な業者玉は利食いが速い。

日中教科書問題が、〝長崎国旗事件〟のようなことにならないか?

今の中国と、あの当時の中国と政治、外交の姿勢も変化しているし、鈴木内閣も妥協の外交姿勢だけに、途中のアヤは大騒ぎするけれど、それ以上に発展することはなかろう。

では産地の天候は? これとて今の段階は良くもないし、悪くもないような作柄を、一方に片寄らせる様子がない。

まずまず九分作というあたりで、ここは通り過ぎていきそう。

さすれば、今のような相場はお盆が終わるまで続いたあと、それから下げに入るだろうと思う。

●編集部註
 文中で登場する〝長崎国旗事件〟とはどんな事件であったか。
 1958年、長崎のデパートで行われた日中友好協会主催の展覧会の会場に掲げてあった中国国旗を、右翼団体に所属する人物が引きずり降ろして毀損した事件である。
 この時期、日本政府が承認している〝中国〟は中華民国(台湾)であって、1949年に建国された中華人民共和国ではなかった。これが問題を複雑化させる。右翼の男が毀損した国旗は中華人民共和国の国旗であった。
 日本の刑法には「外国国章損壊罪」があるが、未承認国の国旗にこの罪は適用されない。その結果、男には軽犯罪法が適用されたのだが、この処分に対して今度は中華人民共和国側が噛み付いた。
 日本政府に抗議し、当時の貿易関係を停止する。この状態は、実に約2年半も続いたという。
 日本政府が日中共同声明を発表し、中華民国ではなく中華人民共和国を〝中国〟として承認したのは、田中角栄が首相であった頃の1972年である。

昭和の風林史(昭和五七年八月十日掲載分)

2018年08月31日

買ってとれない相場に

いまの相場は解け合い疲れというものがでているみたいだ。高値は買い玉利食いを。

小豆相場を強気する人はあくまでも迷いがない。

しかし、信ずる者は強しというけれども、よほど作柄に異変がない限り先限の三万二千円あたりまでしか強気でも考えていないようだ。

弱気の方も、いますぐ崩れてゆくとは思っていない。

下げるための要因をつくっている段階とみている。

商いは手口をみても細々たるもので力が入らないのがわかる。

よく産地農家の手取りを基準にして、逆算した相場値段を強弱の柱にしたり、種にする見方をふり回す人もいる。

これなどナンセンスだと思う。

相場がコスト採算でわかるのなら苦労せん。

相場は人気であり、日柄である。

その上に理外の理という摩訶不思議がかぶさる。

いまの小豆の人気はご覧の通り限られた人による小すくいで、強気にも、弱気にも決め手になるものがない。

日柄は七月19日安値から反発してまだ浅いといえば浅い。

しかし、だから上にゆけるとはいえない。

若くして一生を終わるという相場だってある。

下げるのはお盆が過ぎてからになるだろう。

目先買われたところは買玉を逃げておいた方がよいと思う。

去年も、一昨年も、その前も八月天井だった。

要するに解け合い疲れというものがでている。

●編集部註
 筆致は、もうパーティー終わったみんな帰ろう、と言わんばかりである。
 パラジウムの時もそうであった。異常な相場が終わったあと、その反動ともいえるちょっとした狂騒があり、その後は静かになる。後夜祭の終わった夕方の校庭のように。
 こちらは、既にその後の相場が、ここでの警告通りの展開になるのは知っているのだが、当時の風林火山は、この時の戦場の〝におい〟から何となく察したのではないかと思っている。
 相場自体はリアリズムな世界だが、そのリアルを生き抜く上で、センチメンタリズムは一つのヒントになるのではないか。
 戦場の〝におい〟については、文禄・慶長の役、関ヶ原で奮戦すした武将、島津義弘を主人公にした池宮彰一郎の長編時代小説「島津奔る」に詳しい。
 この作品、後に盗作騒動が持ち上がり絶版・回収となったが、問題の箇所を除いても、大河ドラマの原作になってもおかしくない傑作であった。

昭和の風林史(昭和五七年八月九日掲載分)

2018年08月30日

おどま盆から先は安いぞ

強気すると苦労を買うことになる。盆が済むまでは今のような相場展開であろうが。

小豆は在庫減も響かない。

それは相場の感受性が鈍っているからで、なぜ感受性が鈍ったかというと、新しい血が入らないからだ。

取り組みは東西合計、あの安値当時から一万枚ほどふえている。

しかしこれは新しい血ではなく、七月下げ相場で勝利の後、休んでいた資金が戻ってきただけだ。

要するに仕手崩れ相場で勝ち残った人たちだけの戦いに過ぎない。

そのように考えてくると大きな相場に発展しない。これが先に行って早霜被害などの天災に打たれれば、また話は別だが、今の時点で高ければ絶好の売り場になる。

では安いか?といえば、まだ当分は下値に抵抗がある。

秋の需要期控えということ。作柄が流動的なこと。高値取り組みでないこと。在庫が減りつつあることなどから、産地天候が崩れてくれば、反撃に転ずる。

この場合、11・12限の大阪なら六百円台、27・29・3日の高値は、飛び付き買いの玉があって、この玉が手数料抜けて利が乗るようなら千円近くまで蔓を伸ばすだろう。

だが、そのあたりは売り急所になろう。

52年の八月相場を研究してみるのがよい。あの時も静岡筋が強気になったが、無残に斬られている。

今の相場は、おどま盆ぎり盆ぎり盆から先ゃおらんど。盆が終わると判りやすい下げ波動に乗る。

あとは裏山、蝉ばかりの相場。だから買い玉ある人は盆までの勝負と決めてかかることである。

決して間違っても強気になるまいぞ。

●編集部註
 〝強気になるまいぞ〟と言っている側から相場が吹き上がる。売り方に動揺が走る。やはり買いなのでは、堪え切れずに買い玉を入れる。そこがすっ天井で崩落。我慢に我慢を重ねて追証で対処、あるいは両建て延命し、挙句の果てに全落ち―。
 古今東西、銘柄を問わず、よくある負けパターンの典型である。
 大概、ピタリ予想は実勢相場とズレる。「もう少し我慢しておけば…」と悔やんだ数は計り知れず。こおした傷を無数に受けて人は学んでいくのだと思う。死にさえしなければ、どこかで勝てる。死なず、深手を負わない負け方の研究こそが肝要だ。
 ビートたけしの言葉を思い出す。皆99%努力すれば天才になれると勘違いしている。如何に努力しても1%の才能がなければ天才にはなれない。我々が出来るのはせいぜい努力くらいしかないから、努力くらいはしなければどうしようもない―。

昭和の風林史(昭和五七年八月六日掲載分)

2018年08月29日

一発高は売り場になろう

きょうあたり一発高いかもしれない。高値は利食い専心。飛び付き買い苦労のもと。

二連休を控えて小豆は、きょうあたり買いたくなる強さを見せるかもしれない波動であるが、飛び付き買いは感心せん。

作柄のほうは北見が悪い。二・五俵精一杯という見方。帯広は二・八俵~二・九俵だろう―と。

全道バラつきがひどくて平均すれば二・六俵あたりでないかとみていた。

強気は1月限に渡す品物がないというし、ここにきて12月限本命説もある。

すなわち12月には渡すべき中国小豆は姿を消す―と。

ひょっとしたら、ひょっとだと高値を考えている人は、やはり八月中・下旬の天候崩れの可能性に賭けるわけだ。

取り組みは東西合計二万三千枚まで減ったあと三万三千枚と、およそ一万枚増加している。

人気面は安いと売りたい、高いと買いたい。これは仕方がない。

ところでこの相場どのようにとらえたらよいか。

もちろん天候=作柄=人気次第だが、筆者は強気になれない。

今月の13・14日頃までは気を持たす動きだろうが、そのあとが悪いはずだ。

53年の本忠崩れの相場は二月3日天井したあと高値保合。六月崩れで八月1日底。V字反騰四千五百丁。その相場が八月3日戻り天井して九千丁下げた。

あんなふうな格好になるのではないかと思ったりする。だとすれば八月戻り天井で買うだけ買わしたあと下げ場面。

ただし、今のところは危険な細い道である。天候一発の急変なきにしもあらずだから決めつけられん。

従って高ければ(1)利食い専念。(2)天候崩れによる噴き上げは好売り場と考える。(3)人気雷同の飛び付き買い厳禁。
このように思う。どちらかというと筆者は、もう強気ではない。

●編集部註
 沖で風を読み、潮の満ち引きを眺め、そろそろ漁に出ようかと、やおら起き上がり船に向かう老練な漁師の言葉のようだ。
 相場の世界には、彼岸天井、彼岸底―という言葉があるのだが、不思議な事にお盆天井、お盆底という言葉はない。アノマリーとしては弱いのだろう。ただ、8月の中旬頃は何かと節目をつけやすい印象があるのだが…。
 話は変わるが、この時期西と東と何かがくっきりと分れる印象を覚える。 
西では8月6日や9日に祈りを捧げる人が、東では8月15日に祈りを捧げる人が多い。SNSの隆盛で、当節その傾向が更に高まった気がする。

昭和の風林史(昭和五七年八月五日掲載分)

2018年08月28日

相場が様子を見ています

上げ賛成人気だから腹五分あたりで先まわりの売りが出る。当面下も深くない。

小豆相場は気分の割りに伸びないが、上もそうなら下も気分の割りに深くない。

安い節に商いが比較的できる(手口が大きくなる)ところを売っても駄目だ。

逆に反発して強く見える節で手口が比較的大きくなったところ、例えば多分明日(6日)あたりを買ったりすると、あと嫌な思いをする。

これは、相場が産地の天候の推移と、人の気持(人気)の流れ、そして現物手持ち筋の思惑をナーバスに思惑しているからで、人間様が相場を思惑しているように見えて実は、相場様が人間の気持の手応えをはかっている。

確かにこれからの産地天候次第で先限の三万二千円があるかもしれないし、11・12限の千二百円なしとしない怖さはあるが、左程天気が悪くなければ、月の中頃あたりから平年作~九分作相場の上に、ファンダメンタルズ(需給要因)がのしかかる。

その頃までに芯の確りした強力な買い方が出現すればよいが、静岡筋あたりは、どうも小豆の水が性に相わないようで、あの手が買うと、なんだか嫌だ。

11・12限が27、28、29、3日と頭が揃って罫線が格好良くないのが気になってしょうがない。

あそこで上昇エネルギーが燃焼しては、この相場たいしたことはない。

行くなら押しを入れてすぐ七月12日の線に食い込まなければ、リズムが狂う。

相場はテンポであり、リズムでもある。

要するに現物手持ち筋が、売りたい強気であるから売りたい水準の腹八分と言いたいが、腹半分あたりで先回りの売りが出る。

この事は、もし、ヘッジできる値にとどけば、相場は、もっと上があると思わねばならん。その辺のことを考えれば判る。

●編集部註
 確かにこの相場、もう少し上がある。しかし、そこから買い方は修羅の道に進む事になる。
 わかっちゃいるけど、やめられない―という言葉は植木等主演の映画に端を発した言葉だが、硬軟を問わず、日本人、特に日本の組織論に通底する病巣かも知れない。
 1967年8月に「日本のいちばん長い日」という映画が公開された。これはわかっちゃいるけどやめられない状況を巡るドタバタ劇である。これがヒットして以降、この時期に戦争ものが公開される慣習が続いていた。 この年の8月は、東映が「大日本帝国」という上映時間3時間の大作を公開していた。

昭和の風林史(昭和五七年八月四日掲載分)

2018年08月27日

むしろ高値は利食い専念

カンカンの強気で高場を?むと苦労するだろう。人が思うほど値は伸びないとみる。

一日現在十勝地区小豆生育は並み~やや良。上川地区南部でやや不良三日遅れ、北部不良四日遅れ。

ホクレンが強い。帯広筋も積極買いだった。

玄人という玄人は皆強い。一月限に一体何を渡せるのだ?という考え。

玄人筋や現物筋を強気にさせる根拠は揃っている。それはそれでよいと思う。しかし理論と相場はまた違うものである。

一般投機家と玄人会員や業者筋の違いは手数料の抜け幅の差である。

今の小豆は玄人中の玄人ばかりのゲームであるから、手数料の抜け幅によるハンディは大きい。

もう一ツ考えておきたいのは〝新しい血〟が入らない。小豆市場の今の投機資金は同じ質のものばかりである。

という事はゼロサムゲームで売買毎に手数料分だけが減少する。

新しい資金が流入しない限り、取り組みは、ある限度までふくらむと、もう大きくならない。

目下市場では〝金屋〟の売り玉が狙われている格好だが、この筋は解け合いで利益を得たし、安値を叩いたが、上のほうの玉も多いから、まず平均三百円ぐらいの引かされかたで高値待ち、売り場待ちのようだ。簡単に踏みは取れん。

このようにみてくると、誰も彼もが安心買いしたあたりは気一杯で、11、12限の千円乗せは、利食いこそすれ飛びつき買いは感心できない。

目下のところ弱材料がない。

あるとすれば弱材料のないことが弱材料である。

●編集部註
 炭鉱のカナリア的な文章である。実際の炭鉱のカナリアは危機直前に炭鉱夫の前で亡くなって危険を知らせてくれるが、これが文章になるとそうもいかない。
 ましてや、過去に逆方向の相場展開を主張し続けた挙句、担当紙面をお詫びの言葉以外真っ白にして新聞を発行した人物の警句である。更にこういった警句が現実のものになるのは実際よりも少しズレ込む傾向がある。「またぁ、風林火山がなんか言ってらぁ」程度に読者が受け止めていたきらいは充分にある。
 幽霊と相場はさみしいところに出る―。
 多数派が冷笑気味にこのカナリヤ文を受け止めれば受け止める程、予測は現実のものになり、耳目を集めれば集めるる程、非現実になるのは皮肉としか言いようがない。

昭和の風林史(昭和五七年八月三日掲載分)

2018年08月24日

サヤ買い切れば伸びない

全般に強人気だが強気の中にも売りたい強気がまぎれ込んでいる。逆張りだろう。

今の小豆相場は、買いたい弱気と、売りたい強気にわかれる。

買いたい弱気とは三万円割れの11・12限はあってほしい。しかしその値段は買ってみたい。

売りたい強気は、1限の千五百円前後があってほしいが、あれば売りたい。

総体に市場人気は強気支持である。

しかし、相場の体質は逆張り型に入った。

二万九千八百円の三万八百円という千円幅の圏内で様子を見るところ。

現物筋は当然のことながら上げ賛成である。

繋いでいたものは、解け合いで値ザヤをもらったが、手持ち現物は九月の声を聞くまで売れない。

従って、11、12限の高いところ(三万一千円あたりから)は売りヘッジをかけたい。

しかしそれも産地の作柄次第で考えは変化する。

だから、ここ一週間、十日ほどは、片寄った一本道の相場はないように思う。

となると、閑散痛という病気がでてくる。

相場の一ツの方法に、逆ザヤならあくまでも買っていくが、順ザヤは、徹底して売っていく方法がある。

これだと、今の小豆の先限は売り対象になるわけだ。

さて、気一杯先限がサヤを買ったあとで、市場人気が一段と強くなるようなら要警戒である。

11、12限が足軽くついていくならよいが、27日、29日の頭を抜いたあたりで鈍ければ、これが高値?み玉になりかねん。

現物当業者筋が手揃いで上げ賛成ということは、上がったところを売りたいという魂胆なのだから、手放しで強気するわけにいかないと思う。

●編集部註
 幽霊と相場はさみしいところに出る―。
 上げ賛成は判るが、この時の小豆市場は一敗地に塗れた売り方の玄人筋の恩讐が充満している。本文中の〝徹底して売っていく方法が〟という部分にその片鱗が伺えるのは筆者だけであろうか。
 ヤレヤレの売りという存在も見逃せない。
 東京市場の日足を見ると、3万1000~20 00円の値位置は、7月頭に乾坤一擲で買い勝負をかけて、図らずも地獄八景亡者戯に巻き込まれし人々の玉がある部分と重なる。
 相場参加者の全員が欲望者ではない。それに7月中盤からの反騰でまだ押しらしい押しも出現していない。とりあえず、この場から退散して一旦場の様子を見ようと考えるのは孫氏の兵法だ。