昭和の風林史(昭和五七年六月二十七日掲載分)

2018年06月08日

異常市場にようやく騒然

穀取にはルールがないのか。買い占めを黙認するのか―と異常市場にようやく騒然。

小豆当限納会の値段のほうは、まずまずだったが、大量渡し物を受け切った資金力は、たいしたものだ。

この受けた現物に金利と倉敷の時計が動きだす。目にみえないこれが大きい。

樽の酒は、上から汲んで飲むぶんは、盗み酒でも怖くないという。それは減りかたが目にみえるからだ。ところが樽の底から一滴一滴漏れるのは怖い。誰も気のつかないうちにカラになってしまうからだ。

(1)逆ザヤで(2)大量受けした買い占めは今後の市場管理の課題になろう。

買い方は名義も証拠金納入も実に細心の気くばりで合法化されているそうだ。

だったら取引所は、なにもできないのか?と声が高まるが、それと相場の強弱を結びつけるのはポジション・トークで説得力がない。

売り屋だって種々さまざまなデマ情報を流して叩きよる―と買い屋も立腹していた。ここは強弱関係ない公正な立場から市場のあるべき姿を判断しなければならない。

それはそれとして相場そのものは、中段のモミが中段の底にならず、底抜けの様相を濃くしている。

要するに流れに逆らっている買い方で、資力があればあるほど損が大きくなる。

輸入枠の拡大という時代に向かうことは一種の価格革命である。この場合、二万円台の小豆時代到来の価格革命といえよう。

他の雑豆の凋落の中にあって小豆のみ野中の一本杉であるはずがない。

供給潤沢のものを買い占めて勝算のありようがない。ただ、ゆきがかり上退くに退けんという窮地に追い詰められ必死にあがいているのが今の買い屋だ。

さて歴然たる買い占め(実需受け三市場で微々)に穀取代行が融資するのは問題だという声もある。ようやく騒然としてきた。

●編集部註
 古今東西、世に〝フェイクニュース〟の種は尽きまじ、と言ったところであろうか。
 世界史に残っているものであればエムス電報事件というのがある。相場であれば、その前にナポレオン戦争でのロスチャイルドの所業もそうだ。
 〝嘘も百回言えば本当になる〟と言ったのは誰であったか。誤魔化し、はぐらかし、その場を乗り切ってしまえばこっちのものといった風潮が、歴史の所々で出て来る。最初はそれでいいかも知れないが、大概、ボロが出ると瓦解が待っている。
 この時の小豆相場も瓦解が間近に迫っている。

昭和の風林史(昭和五七年六月二十六日掲載分)

2018年06月07日

おみやげつきのS安とは

売り屋は煎れない。買うだけ買ったあとは買い屋が自滅する。売り屋は待つだけ。

小豆は買い方が買わないと緩む。傾斜地のレールの上に重い荷を乗せたトロッコがあって、強気が懸命に押している。

52年相場で敗北した本田忠氏が、当時『とにかく五枚でも十枚でも買わないと気の持てない毎節で、三時の大引けが済むとガタガタと力が抜ける毎日だった』と、買い大手苦戦中の心境を洩らした。

買っていないと気が持てない。判るような気がする。戦時中、艦載機の機銃掃射に、憲兵がピストルを抜いて撃ちだしたのを見て、弾がとどかないのに―と思った。弾がとどく、とどかんではなく、気がそうさせたのである。

先週の〝大暴落線〟週間棒の支配下に今の相場は置かれている。

二月8日―13日、六千円を抜いて10日天井した時の大暴落週間棒が12週間支配して四千八百丁を下げた。

先週付けた暴落線も、五千丁下げの威力がある。

買い方は天候に賭けるしかないが、時間が持つだろうか。納会受けて、六月限を煽っても今の売り方は煎れてこない。

人気は冷ややかである。強引買いしている時は敢えて逆らわない。しかし二枚三枚、二枚三枚のピラニアはどこまでも食いついてくる。これが怖い。

お金においといなかろうと、市場管理の面で問題が出てくる。いつの場合でも仕手戦は、このルール強化で行き詰まりがくる。

相場は相場に聞け。流れを上向きにしようと買い方大変な努力中だが、不思議にこの相場〝ぬるい〟そして〝おもい〟。中段もみ下放れの前ぶれか。

●編集部註
 眼前の上げトレンドに対する〝唯ぼんやりとした不安〟とでも形容出来ようか。当時の事は知る由もないが、行間からは腕力相場の匂いを感じる。 無理のある相場は、必ずどこかで反動が来る。だが、何処でその反動が来るかが判らない。よって不安はぼんやりとしたものにならざるを得ない。様子を見て、いざとなれば機敏に動くしかない。
 以上で相場に関する解説が終わってしまった。この頃の世相はどうか。
 この時期はカンヌ映画祭である。先日、是枝裕和監督が日本の作品として21年ぶりにパルムドールを受賞したが、21年前に受賞した作品を監督した今村昌平は、1983年に『楢山節考』でも同じ賞を受賞している。
 82年のパルムドールは米国映画が受賞したが、この時監督賞を受賞したヴェルナー・ヘルツォークの『フィツカラルド』という作品が面白い。
 題名を画像検索してみるとよい。如何に破天荒な作品か理解出来よう。

昭和の風林史(昭和五七年六月二十五日掲載分)

2018年06月06日

買い方守勢で無駄な抵抗

買うほどに下げがきつくなる。中段での抵抗は日柄で底抜けになる。怖くない戻りだ。

小豆相場は大きなトレンドが中段の揉みになって、これが下に抜けきると三万円大台なんか問題にならず、大台割ってから三千丁という波動に乗ってしまう。

しかし三万一千円を死守すれば去年の10月、11月安値に対しての両足つきで青田底型になる。

しかし、いずれにしても今年の場合、作柄が順調に進めば、大勢的流れとしては下げトレンドだ。

目には目を、歯には歯を―でS安にはS高で応戦したが、買い方は買い玉がふえるばかりだ。資金においといないとは申せこれはまるで隅田川を逆のぼっていく鯨である。

鯉ならば鯉の滝登りといって、滝を登れば竜になる。

市場規模というものから判断しても、これだけ肥大した買い玉は、余程の天運が味方しなければ逃げられん。まして業界総資本の利益に反する勝ち逃げなどは、ありようがない。

われわれは物量を誇ったアメリカがベトナムから敗走した現実を見てきている。今の小豆の買い方には作戦がない。ひたすら買うだけでは勝てない。

もう一ツは、相場にはツキというものが大切である。去年は、ことごとく買い方にツキがまわった。

今年は、そのツキがもう切れたように思う。従って自重すべきだ。3の力が10になるのと、10の力が3になるのと違いは大きい。

また、攻めと守りの違いが出ている。買い方は守勢の域を出ない。守りは攻めの三倍の兵力を必要とする。

S安をS高で斬り返したからよいというものでない。納会受けて悪し。受けずんば更に悪し。要するに進退きわまっているのだ。

買い方は勝つことよりも生き残ることを考えるべきだと思う。強弱自由だが相場は死に体である。

●編集部註
 〝勝つことよりも生き残ることを考えるべき〟とはけだし名言である。「死ぬ事と見つけたり」と格好をつけても一文の得にもならぬ。
 相場とは全く関係ないが「生きてるうちが花なのよ死んだらそれまでよ党宣言」というタイトルの映画を思い出した。60年代に松竹大船撮影所で活躍した森崎東という人が監督した、1985年のATG映画である。
 軽妙な喜劇を撮る職人肌の監督さんだが、取り上げるテーマが原発や痴呆など非常に重い。

昭和の風林史(昭和五七年六月二十四日掲載分)

2018年06月05日

〝死に体〟になってしまった

買い屋が買って手応えがないことは死に体になってしまったことを物語るのである。

お月さんは23日が闇である。22日の日経紙トップに来年四月から実施する70品目関税引き下げ〔開放策第二弾〕は、小豆買い陣営に落ちた不吉な雷であった。

20日・木曜から手亡が崩れていた。相場は知っていたのである。

小豆のS安で週間棒は話にならない悪さだ。

買い方にツキがなくなった事を感じる。

このような時は、材料面や仕手動向を一切見ざる聞かざるで、線一本、お線香から立ちのぼる煙を見ているようなつもりがよい。

納会受ける、受けには関係なくなった。受けて相場が生き返るものでない。

建玉制限の問題が出てくる。

仕手崩れか?と言う。それは判らんが前兆であることは確かだ。なにごとにも前ぶれというものがある。

五月は四日新甫だった。荒れるにしても荒れようが違う。五月六日の安値(大阪三万一千円)以下があるか?と言う。

あれば三万円大台割れに直撃する。

52年本忠相場は二月節分天井。六月底抜け万円崩し。

今年は二月10日天井。五月後半底抜け。万円崩しに移れば二万六千円なしとせず。だが、産地のお天気=作柄は、まだ海のものとも山のものとも判らないだけに、買い方、気やすめのとまり木はある。

行きだしたら三万一千円割れから下が大きくなる。それが怖い。買い屋に見合う巨大な売り屋がいない不幸かもしれない。

もう少し時間を食ってからくると思ったが、待てしばしの間(ま)がもたないほど相場は熟していた。

東西取り組み合計七万枚の一割五分減になるまで流れに加速度がつくと見るのが定石だろう。その時の値段は判らない。げに相場の怖さよ。

●編集部註
 この時点で、日足はまだ高値、安値共に切り上がりの線形を見せている。
 しかし、この時点において「なんかこの相場おかしいぞ」と感じるのは相場師の嗅覚であろう。
 相場は意地悪なものでストップ安から一転急騰する。しかしこれで買い方が安堵したのもつかの間、弱保合から奈落の底へと崩落する。そのあたりをどう描写するかを前もって知っておくと、今後の相場を生き抜く上で、何らかのヒントになるかも知れない。
 銘柄は変われど、あれた相場の中での人間模様は何かと勉強になる。

昭和の風林史(昭和五七年月二十一日掲載分)

2018年06月04日

上値残すが売り場所狙い

強気のようで強気でない。弱気のようで弱気でない。上値残すがしんどくなった。

小豆の上値は、まだあるはずだがしんどい。三千三百円は半値回復。三千八百円で五分の三。六割地点である。

もうひと鞭いれて四千円といきたいところだが、今やると馬が潰れる。

三千円台の庭の中で陣幕張って休養したいが、これとてタイムリミットがある。

相場は、やみくもに買えばよいというものでないから、そこのところが難かしい。

大阪の自己玉は買い急増した。あまりよいお手々でない。東京は売り多いまま。

ここは、強気のようで強気でない。弱気のようで弱気でない。そういった表情しかとる道はない。

少し遠い先の事を考えると、増反→順気→豊作予想。買い方現物抱かされる。買い玉ふえざるを得ん。

とどのつまり日柄を食って、ぶっ倒れる。

それはもっと先の事。

来月新ポに新穀11限を幾らのサヤに買いきるか。

三万五千円とか六千円の11限なら売り有利になろう。

今は、相場が若いという買い方にとっては、なによりの強味がある。

それと安値を売り込んだ玉を掴まえている。

踏むか踏まぬか、踏まぬか踏むか―請求書を突き出すところが三万四千二百円地点。

この時、踏まない人は、あくまで踏まない事である。

さすれば買い屋が日柄で自滅するときがくる。

買い屋はどうしたらよいのか。今年の天気が悪いと願うしかないが、相場記者のカンでいえば本年豊作型とみる。

三万五千円だ七千円だという相場ではない。四千円台御の字ならば、利乗り玉ほどほど利食い。飛びつき買い厳禁。あとは寝て待て売り場出現。相場潰すに現物いらぬ。日柄食わせば自然死ぬ。

●編集部註
 長い目で見ると、この年の5月の上げは大きな下げトレンドの中にパッと咲いた仇花であった。
 切り上がりの相場基調は、6月の高値から一転して弱保合いに変化する。それに気づくか否か。
 小豆相場とは関係ないが、同じ頃のシカゴ大豆相場も、大きな下げトレンドの中にパッと咲いた、買いの仇花であった。
 1980年10月高値を天井とする大きな下げ相場は、1982年10月に大団円を迎える。
 この2年での下落率は何と47・57%。ただその間、何週間かの反騰場面はある。この時のシカゴ大豆は、反騰で「もう」底であろうという夢を買い方が見た時期と重なる。「まだ」であったと気付く頃に、底がやって来る皮肉。

昭和の風林史(昭和五七年五月二十日掲載分)

2018年06月01日

ここからは買い屋の器量

ここまでは判る。問題はこれからの買い屋に哲学があるか?だ。野武士戦法通用せず。

ここまでは下げの反動を活用して一気の棒立ち、失地回復、勢いだったが、三千円台は少し道が険しくなる。

テクニカル要素よりもファンダメンタルズ面のウエイトが、水準が高くなるほど比重を占めだす。

約15万俵の小豆が今月入荷する。判っていても重圧に違いない。

作付け面積は30%ほど増反になりそう。お天気のほうは大変よろしい。

こうなると人気要素は青田ほめに傾斜する。

買い方は、この山道を重い荷を背負って登るわけだ。

納会は受ける。現物を抱く事は、負(ふ)の要因である。受けなくて黒板の上で片づけるのが孫子兵法でいう百戦危うからず―上兵は城を攻めずであるが、やむを得ない。

取り組みは急増したが18日急減した。この日の出来高東西一万四千六百枚は、出来たほうで、煎れました。利食いしましたである。ただ、相場は若いということと底が入っている。

だから大下げはないだろう。さりとて気持ちよくトントンと上にも行きにくい。人気がどちらに傾くか。買うための刺激材料が今のところ見当たらない。

だから買い屋の力仕事になる。来る日、来る日、苦力の努力である。

場は閑になるかもしれない。売るのは怖いし、買うのも、しんどい。

芯のある売り屋は多分煎れない。それは哲学があるからだ。まさしく赤壁之戦(十八史略)である。

首の皮一枚を残して買い屋は自陣に逃げ込んだが買い屋の馬は走り過ぎて汗みづくの疲労。もうあと一里、四千円圏に、気はあせれど兵は進まず。

この時、大挙して売り屋千騎出ずれば激闘火を見るよりも明らか。

買い屋に天運ありや。

●編集部註
 今回の風林火山の文章は「活字小豆相場」になっている。単なる値動きが、買い方と売り方による攻防戦と化し、三国志に準え、さながら軍記物の講談のようになっている。それは、井上義啓が創り上げた「活字プロレス」の世界に匹敵する。両方とも大阪発の新聞であったという点が興味深い。
 この頃、アルゼンチンと英国が3月から本当に戦争をしていた。小豆相場とは縁もゆかりもないはずなのに、戦局の節目と相場の動きがリンクしているのが面白い。
 当初、英国がやられていた。5月から反撃に転じ、6月に英国の勝利で終わる。小豆相場も5月から反転上昇に転じるも、上げトレンドは6月に終わり、崩落の道に向かう。

昭和の風林史(昭和五七年五月十九日掲載分)

2018年05月31日

暫く三千円台の庭の中で

三千円台になれてくると、やはり大底が入っているのだな―と世間様が判ってくる。

相場というものは強弱論につくのではなく勢いにつくものである。

材料は、どの程度、相場が言わせているか斟酌(しんしゃく)して考えなければならない。

買い方は三千円台、まず自分のうちの庭の中。

安値を叩いた売り玉をつかまえて逃がさぬようにすればよい。真綿で首を絞めていく。餌(えさ)も水も不用である。パラパラと煎れてくる。

買い屋は四千円だ、五千円だと、いま騒いではよくない。三千円と四千円のあいだで居場所になれてもらう。本来10日の頭から14日までの下げは五百円か七百円でよかったのである。

だからあれは叩き過ぎ。急反騰したのは、時間を取り戻すためだった。

従って三千五、七百円あたりは、予定のスケジュールに過ぎない。

これからは作付け動向と天候に関心が集まる。

値の居所にもよるが作付け増反は強材料。というのも外貨枠が絞られるし、自由化が遠のき、北海小豆主導型相場の回復が成る。

安値を叩いた売り屋にすれば、なんとも腹立たしいことだろうが、天候相場を控えている時に、あそこ(千五百円以下)を売るのが間違い。

三万円割れなどという相場は平年作以上が判ってから先のことで、相場が老境に入っていなければ、ありようはずがない。

五月6日青田底。五月14日駄目底確認Wボトム。

若い相場だし取り組み増大傾向。あとは二百円、三百円の押しを拾うだけ。

線という線みな買い線だからあわてることはない。

●編集部註
 すべてのジャンルはマニアが潰す―。
 実際、商品相場はこの典型例であったと筆者は考える。
 ただ、この世界は初心者だけで成り立つ世界ではない。本来は、マニアも初心者もどちらも楽しめるようでないといけないのかも知れない。
 今から10年くらい前ののパチンコ業界やネット取引が出始めた頃の証券業界、エンターテイメント業界なら、宝塚歌劇などがその好例なのではないかと筆者は考える。
 難しいのは、世代交代の中で初心者が成長してマニアになり、次の世代を駆逐してしまう現象が生じるという点。このジレンマに陥っているのが今のパチンコ業界のような気がする。先般、TVでパチンコの番組を見たが、設定がどう、確率変動がこうと、テクニカルな話ばかりでさっぱり分からず、少し前、注文方法がヨコ文字ばかりで分からなかった当業界の事を思い出してしまった。

昭和の風林史(昭和五七年五月十八日掲載分)

2018年05月30日

相場が勝手に走るのよ

相場が勝手に走りだす。上昇トレンドに乗っているからだ。叩いた分の倍返しへ。

週明けの小豆は買い方もびっくりする騰勢でS高という速い失地回復だった。

陰線三本の叩き込み。これを14日下から掬いあげて週明け夜放れ高してS高は、要するに叩き過ぎの反動。

おまけにWボトムの二点底。売り屋は全部?まって初夏の悪夢だった。

取り組みは安値時(4日)東西合計六万二百枚が六万九千枚にふえている。

これは三月中旬四千五百円当時に見せたボリュームである。

去年もそうだった。下げは短期間。すぐに切れ味のよい上げを展開した。それは上昇トレンドに乗っているからだ。

まして二点底して若い相場だけに叩いた幅の倍返し。四千二百円あたりまでは自律反騰である。

売り方のトークは(1)当限大量買いはもってのほかである。(2)逆ザヤけしからん。(3)六本木の大量買いは建玉違反でないか。(4)これは買い占め、買い煽りだ。

 ―取引所や役所は黙っているのかと、かなり熱い。

確かに強引すぎた。買い方にも反省すべき余地十分だ。しかし、三晶の売りだって、ヘッジなら高いところで静かにやればよい。

あの売りようはヘッジャーではなく相場崩しの叩き屋のやり方だという。

買い方も必死、売り方も必死。相場は勘定と感情の戦いだからエスカレートすれば熱くなる。

買い方は役所や取引所の心証を悪くしては不利だから、自粛すべきだろう。

目には目を、歯には歯をでは市場が破壊される。

そんなに強引にやらなくとも相場は若いし、自律反騰の力もつき、あとは売り屋の踏み上げで高くなるしかないのだから、三千円台の庭の中で少し時間を稼いで世間が相場についてこれるようにしないと、大成することはできない。

●編集部註
 すべてのジャンルはマニアが潰す―。実業家、木谷高明の名言である。
 証券マンであった彼は、退社してベンチャー企業を立ち上げ、今も全国展開しているアニメ、コミック、ゲーム販売店の「ゲーマーズ」を開店させる。その後カードゲームを手掛ける「ブシロード」を設立。同社は後に新日本プロレスのオーナー企業となる。件の明言はこの時生まれる。
 新参者や初心者をその道のマニアが駆逐し、排他的な世界になるケースはどのジャンルにもある。商品先物業界はその典型例であったと言える。
 木谷は当時の若手エースたちと二人三脚で新規ファン開拓に粉骨砕身し、見事業績を回復させる。

昭和の風林史(昭和五七年五月十七日掲載分)

2018年05月28日

Wボトム叩けば狂騰絶対

この小豆は買い屋の勝ちである。青田底を叩けば相場狂騰は自然の成り行きである。

小豆の取り組みは、ぐんぐんふえる。

弱気は弱気。強気は強気。大きな勝負になった。

弱気はT社敗退の連想で六本木崩せ?の総攻撃。二万八千円から二万五千円が目標らしいが、六本木は崩れない。これは絶対と言ってよい。

市場では三晶の怪という。IQホルダーとしての売りではなく、委託玉は受けない建前でも、なにかそこにあるようだ―と噂されていた。相場を叩き崩さんがための戦術なら、見事に成功した。

買い方は納会を受けるし、来月も受ける。売り方としてはタイムリミットを考えて、今のうちに決着をつけたい。

この相場は(1)売り玉の利食いだけでS高する。(2)安値売り込み玉が三千円以上の相場に弾ける。(3)買い方はじっとしておるだけで毎日場勘が入ってくる。

線は綺麗な二点底。すなわちWボトムだ。

日柄は下げ期間を十分過ぎるほど食い込んでいるから回復しだすと、ピッチが速くならざるを得ん。凄い勢いで上伸する。

見ていると生糸絡みである。静岡筋も安値を売ったようだ。大きな戦争。熱い戦争。売り方のトークはそのうち静かになろう。

四月10日の高値は瞬間買い切ってしまうトレンドができてしまった。凄いよ、この反撃は。売り屋は将棋でいえば指し過ぎ。自分の力で自分が負ける。

勝負ごとはえてしてそういう事がある。ひょいと流れが変わると、この相場だって沸騰また狂騰。
なにしろ青田底を叩くのだから売り過ぎもあったものでない。渦中にいるとそれが判らない。

千円、千五百円幅が宙に浮いている感じ。

去年の秋底の時もそうだったが今のは青田底。今週は買い屋の勝ちである。

●編集部註
 しっかり〝今週は〟と書いているところが注目ポイント。売り方、買い方、双方とも一回の勝負に弾薬を使い過ぎている。
 大相場はつまらないくらいがちょうどいい。相場が頻繁に大きく動く時は、得てして短命に終わる事が多い。
 池波正太郎の「鬼平犯科帳」の言葉でいうと、この時の市中は急ぎ働きが横行していたと言える。
 いま思えば、池波正太郎の作品ほど長期間にわたってTV時代劇になっている物はないと考えるのは筆者だけだろうか。
 今の人は、鬼平役を中村吉右衛門と思う人が多い。しかしこの役、70年代は彼の父親である中村白鸚が演じていた。丹波哲郎がやっていた時も。
 80年代は萬屋錦之介が演じていた。この頃第3シリーズが始まっている。

昭和の風林史(昭和五七年五月十三日掲載分)

2018年05月24日

すべて順調予定のコース

日足二段上げに向かう。押すべきところで押す相場は冷静な証拠。売り屋は熱くなる。

小豆は買い方の、はしゃぎ過ぎに水をかけた格好。相場の敵は、むやみに喜ぶな―。

急上昇幅の五分の一。四分の三。三分の一。二分の一という押して止まる節々がある。基調出直りとみる以上、(1)安くても商いの薄い節であれば心配せんでよい。(2)押してきて売り屋のトークが熱くなるようだと必らず急反発がくる。(3)トレンド調整で今後も上伸しすぎると押し目を入れて時間待ちをする。(4)中国小豆商談に関する材料は相場とまた別の話。材料と相場は別。

この材料と相場は別というのは相場の居所や熟年か老境か、それとも青雲の志を抱く若い相場かで受け取りようが違ってくる。

今は出直り途上。若い。(底が入っている)。

それらは取り組みの内部的変化(出来高の状況)と日柄の移り。そして人気と相場水準等により底入れと確信し、その後のケイ線により出直りと判断した。

だから予定のコースで駒が勇みすぎれば、そんなにいそがずとも―と手綱を緩めることになる。

今回の押しで三千円のハードル越えは楽になった。線では押した幅の倍返しが初心者コーナー。

人気の弱いが、なによりの宝。売りたい人、売った人、それぞれ皆、踏み上げ少尉候補生というわけ。

ともあれ五百円押しで日足二段上げに向かう。そして三千五、七百円あたりで少し早いが弁当にするかとなろう。日足三段上げは日のまだ明るいうちに四千円の峠を越えての旅である。

本当にこの相場を甘く見ていると肝を冷やすだろう。レールに耳を当てれば遠くからくる貨物列車の音が聞こえよう。

●編集部註
 ここから数週間の相場の動きを先に書いておくと、3~4営業日ごとにおおよそ1000円規模の上下変動が数回繰り返される。
 一般投資家は、このような上下変動に頗る弱い。日に日に脱落者が出る。事実、4月末を頂点に、1日の出来高はジリジリと減ってくる。
 この手の相場では、プロアマを問わず胆力と資金力のある者が勝利するケースが少なくない。出来高の減少とは裏腹に、総取組高は4月末の3万1000枚レベルから5月末には4万100 0枚レベルへと1カ月強で3割増える。これは、テクニカル的に内部要因の弱気ダイバージェンスと呼べる現象である。
 実際、この相場は6月頭からしばらく保合い、そこから急落する。