昭和の風林史(昭和五八年二月二五日掲載分)

2019年03月08日

小豆触れなば落ちん風情

日柄食い過ぎた小豆相場は売りに行くと?まるが触れなば落ちんという風情だった。

小豆相場は農協集荷の管理相場だから、下がるはずがないのに値段が消えるところが、やはり相場は相場である。

産地の現物事情に精通している人達は、二万九千五百円から三万円相場は絶対と信じている。

しかし、相場はくたびれた感じだ。これは節足新値25手。引け足新値8手、日足九段上げという定期相場の日柄食いが、薄商いの相場の上に出ているからだ。

理屈や材料がそうあっても、大衆筋が白らけて無関心では人気にならん。

玄人筋が皆強気で、上に行かんならん相場でも腹一杯買っては、回転が止まり?まった玉が泣きだす。

実需がそっぽを向いている時に、値段を吊っても、それはホクレンや農協の思い上がりで、実需筋は買わない権利を行使する。

マバラ大衆二枚三枚、二枚三枚の売り集団も煎れない権利を持っている。

『16日のあの高値の日足線は、放れ星、捨て子ですね』とご婦人の投機家から電話があって、ほほう、相当のプロだなと感心した。

要するに薄商いを鳥なき里のコウモリみたいに、A店で買い煽りB店で売り抜けて小さな小さな煎れを取ろうとするスキャルパーの手の内をセリを聞いている人は皆知っていて、知らぬは先生ばかりだから困る。

小豆には近寄るなと書いたら東穀協会事務局の町田さん『それはないでしょう』と。確かに、それはないのです。大穀協会乙部さんが小豆市場振興の切り餅入りトモエのぜんざい2分でOKを三袋くれた。

セールス二千人五コの計算一万コ百万円を配給して、小豆市場の振興にかける心意気を感じ、小豆の記事も精を出さねばならない。

さりとてこの小豆を買えとはいえない。どちらかと申せば、触れなば落ちんが如き風情。

●編集部註
 この当時の相場とそれを巡る攻防戦を、活字プロレスならぬ〝活字取引〟で風林火山がせっかく熱く語ってくれているのに、「切り餅入りトモエのぜんざい2分でOK」の方が物凄く気になるのは、これを書いているのがお昼直前であるという事と、筆者自身の食い意地が張っているためである。
 恐らく江戸の昔からある〝懐中汁粉〟の類であろう。これは熱湯を注ぎ汁粉にする最中のようなもので、老舗和菓子屋では今も定番商品である。
 しかし、ネットで色々調べても、ぜんざいの作り方や甘味処が羅列されるばかり―。もう、会社自体がないのだろう。

昭和の風林史(昭和五八年二月二四日掲載分)

2019年03月07日

輸大自己玉売り過ぎ怖い

一万六千枚の自己玉売りが薄氷踏む思いで、これが踏んでくる材料が出れば狂乱だ。

小豆は全般安納会。輸入大豆は、どれほど安いかと思わせて、なんのことない強いじゃないか―と。

大阪脇田は四百円で受ける態勢だったが、その値にとどかん。

東京は金屋の玉が投げて山種から和光の受け。名古屋もモノが一番多いといわれながら強い納会。

これはなにかあるねと・・・。なにかあるとすれば中国だ。ニチメンが富士川の水鳥の羽音にあわてた平家の公達(きんだち)の如く大量売り玉手仕舞ったのも、その“行間”を読まなければならない。

中豆成約20万㌧、20万㌧と騒ぐけれど入船分は八万五千㌧ぐらいで、しかも入船が遅れ気味。

交易会であとの成約ができるとしてもあの国は、いつなにが発生しても不思議でないから怖い。

シカゴ期近が急落して腹をくくっていた強気筋だったが円安ときて帳消し。

ある取引員社長がいっていた。『自己玉東西の売り買い差し引き一万六千六百枚売りは、まさに薄氷踏む思い。この輸大、下に千円下げることはないが、上に千円上げる可能性がないとはいえん。怖いですよ。だから、下げたところは自己玉の売りをはずすから、強力な抵抗ができている』。

流れさえ変われば、売り屋は買い方の強力な味方になる。踏んで踏んで、また踏んでと、部厚いこの取り組みが恐ろしい。

予備校行って、やり直しと諦めていたところへ、スベリ止めがパスした通知がきたみたいな、実力があればこそという格好。

これで戻りをまた売ってきても、三市場四千円を買い切ると、上げピッチに加速度がつくが、喜びもはしゃぎ過ぎは禁物だ。

小豆はくたびれてきた。八千円割ると、ナダレである。この一カ月の買い方努力相場の裏目が出よう。

●編集部註
 「団塊の世代」「巨人・大鵬・卵焼き」といった造語を生み出した作家、堺屋太一が先日亡くなった。享年83歳であった。
 まさかこんなに少子化が進み、予備校も斜陽産業になるとは誰が想像していただろう。
 少なくとも、二人知っている。一人は堺屋太一。彼が2002年に上梓した小説『平成三十年』で少子化問題が登場する。
 もう一人は田中康夫。
 1980年に発表した小説『なんとなくクリスタル』は芥川賞候補になったが、当時物語のラストに付記されていた出生率データが意図する高齢化とその未来を指摘する者は誰もいなかったという。

昭和の風林史(昭和五八年二月二三日掲載分)

2019年03月06日

だいたい諦めの心境なり

輸大の強気側は、だいたいあきらめたが、投げずに、横になった格好で辛抱している。

泣く子も黙るサヤすべり。

輸大期近限月のサヤすべりを見ていると、強気側は気もそぞろ。二、三、四月限の高値因果玉(T社分を含めて)が整理されるまで、あすに望みがないという空気。

中国大豆の消費は進んでいるのだが、成約量が多い。入荷は遅れ気味だが、遅れても入ってくるから需給に逼迫感がない。

それと、取引員自己玉売りが、ともかく東西二万三千枚と急増した。(買い玉六千枚強)。

大衆買い方は中豆の難関とヘッジャーの圧力と取引員自己玉売りとの戦いの上、為替変動とシカゴ相場にさらされ追証の矢が飛んでくる。それに耐えるのが相場する者の宿命である。

前門の狼、後門の虎、まさしく窮地にある。

では投げるかといえば、なかなかどうして。

この相場、四月下旬か五月上旬まで忍の一字で辛抱してみよう。今年は大相場ありと読んだ上での投機だ。

一説にはロンドン、シンガポール、東京のゴム市場で活躍中の巨大投機集団が、ゴムを仕上げたら、次の狙いはシカゴ大豆に挑戦する可能性がある―との事。『いや、それは大豆買い方の願望ではないですか?、そうあってほしいという』。一方、ソ連に世界一安い日本の穀取大豆を買わせてみようという動きがあるともいうが、十万㌧や二十万㌧の量では少なすぎるだろう。せいぜい北朝鮮向けであろう。

まあこのように、市場には夢がなければ人気は盛り上がらない。

小豆相場にしても、いまは大衆に夢が持てないから寄りつかない。

ホクレンや農協の出荷調整や役所の外貨操作に対して、投機家はロマンが持てない。市場は常に自由に開放されなければ機能のメカニックは殺されてしまう。

●編集部註
 生産者は高く売りたい。卸問屋は安く買いたい。品質の高い商品は高く売れ、低い商品は安く売れる。その品質を見極めるのが目利きの存在であり、現物食品市場はその機能が充実していた。これに投機家による先物市場が加わり、かくして価格の平準化が機能する。
 大正期の米騒動を教訓としてこのような制度が整備されたといわれる。食料は品質が整い、安定供給され、リスクをとった投機家は褒められこそすれ貶されはしなかった。やっかみはあったかもしれないが、最大多数の最大幸福という観点からは理に適っている。
 現在こうしたシステムが崩れている。モラルも崩れている。その萌芽がこの頃から見え始めた。 
 バブル景気はまだ先だ。

昭和の風林史(昭和五八年二月二二日掲載分)

2019年03月05日

輸大の下値に抵抗力あり

輸大は、もう一回やり直しの予備校入り。小豆は超薄商い相場は下げたがっている。

輸大とは売るものなりと覚えたり。

売り玉は回転が利く。戻ったところを売りさえすれば夜が明けたら安い。

強気している側は悲鳴をあげている。

前に回ってのサヤすべり。どこかで期近から歯止めをかけないと、来月もこの繰り返しになる。

強烈なインパクト(衝撃)で流れを変えなければズルズルと今の基調が来月も続くだろう。

高値掴みの買い玉から順番に追証のフダが貼られて投げていく。

追証入れるは苦労でないが、先の見通し立たぬが不安。そのような場面。

シカゴ期近は作付け計画意向の予想以上の減少を好感して買われたが、これが穀取に反応せん。

東京期近の安値は三千三百二十円。T社玉が受けに出れば納会暴騰目に見えているが、T社にテクニック(戦略)なしと軽視されている。

大阪当限安値は三千四百円。渡し玉三百枚前後なら受けてよし。

受けざれば、またまた三月限が売り屋の鳥なき里の蝙蝠(こうもり)だ。

チャートは上昇トレンドを踏みはずした。

もう一回安値から出直しの予備校入りか。東京五百円上げの半値押し七百六十円。大阪七百七十円。急所の半値抵抗ライン死守できざれば三分の二押しまで攻められる。

では大取り組みが減るかといえば、減らない。次から次と人海戦術で安いほど食いついてくる。

相場格言=勝者は必らず血まみれに戦った時の泥によごれたワッペンを持っている(シカゴ)。

小豆は東穀二節45枚という商い高。

いつ棒下げしてもよいダンゴになった。八千円を割る時は一瞬だろう。S安もある下げになる。

●編集部註
 この時期、前年の為替急変で未曽有の円高/ドル安で国内消費地相場にはひずみが生じている。
 小学館の「戦後史年表」をひも解くと、この年の春、NHKのニュースが初めて為替と株の動きを定期的に伝えるようになったとある。東京証券取引所で場立ちが手振りをする様子が、上田ハーローの円卓に座り、数本の電話を抱えたディーラ ー達がメモを飛ばし合う光景がテレビに流れた。
 知ったら仕舞いとは良く言ったもので、こういう情報が世に知られるようになると相場はおとなしくなる。ドル/円はナイアガラフォールズから保合いになっている。
 シカゴ大豆の週足を見ると、82年10月が実質上の大底であった。春まで上昇し、初夏に向けて修正安の後、夏から秋に向けて吹き上がった。

昭和の風林史(昭和五八年二月二一日掲載分)

2019年03月04日

辛抱する木に花が咲く?

小豆の実際はウツロな相場である。実と見せて虚だ。輸大は半値押し結構のところ。

引き継ぎ線で五百円を上げた輸大(東京)先限だから半値二百五十円押し三千七百六十円があっても辛抱しようという買い方。長期戦でいくしかないあきらめの心境。

そうだよなあ、二月限、三月限の高値買い玉が日柄(納会)で整理されるまで待つところか―。

見渡せば強気はオール水つかり。そして弱い材料ばかり聞かれる。

相場地合いが、ゆるんでしまったから、それも仕方がない。需給失調、中国小豆の成約必至。輸入商社のヘッジ活発。円高基調―と明けても暮れてもワンパターンで、実際相場は売っていたほうが楽な各節だけに強気は自信を失うのも当然。

しかし、アメリカ大豆の作付け減少予測やブラジルの洪水、その他の気象異変など、買い玉維持できさえすれば先に行っての希望がないわけでない。

シカゴ基金も五㌦90~六㌦の値固めは終ったと思える。また円相場にしても戻り一杯の様子も見える。

東穀十万枚の取り組みは、いささか買い過ぎたといえるし、はしゃぎ過ぎだと言えば言えるが、問題点の一は自己玉が東西合計二万九百枚売りの七千七百枚買いに見られる如く、取引員ポジションが上げては困る。下げてほしい―。

だから大衆は、輸入商社を敵にし取引員を向こうにまわしての戦いになる格好。

これに対して天が味方するかしないかである。

小豆は二月天井づくりと見る。ある程度煎れも出た。それと地場巧者筋のテクニカルが政策にマッチしているわけだが、今月に入っての上げ幅は、たいしたことがない。山は越したと判断する。

●編集部註
 商社VS大衆の構図を我々は1990年代後半の東京金市場で目の当たりにしている。取引参加者の「手口」が毎日公開されていた時代の話だ。
 自己玉、委託玉は言うに及ばず、有力な取引参加者のポジションをノートやエクセルに記録して細かく解析する人間がどの商品取引員にもいた。 当時、取引参加者の中には大手商社とその傘下の取引員がいた。
 一般投資家は金買いで入る。営業も買いで勧める。しかし大手商社は売りに売りまくる。199 6年に1300~140 0円していた相場は19 99年に入ると1000円を割り込む。900円を割り込んだ時、発作的にその商社の本社ビルを焼き討ちしたい衝動にかられる程追い込まれた。
 こらえてよかった。後々振り返ると、そこが大底であった。

昭和の風林史(昭和五八年二月十八日掲載分)

2019年03月01日

閑散に売りなしというが

豆腐が一、〇〇〇円になる日(実業之日本・九八〇円)という本は参考になる。

高いと買いたい、安いと売りたい、動かねば判らない。これが相場である。これでは儲からないが、これでないと取れない相場もある。その区別が難かしい。

絶対の絶―と。たとえばセールスマンが言ってくる。あるいは相場巧者の事情通が教えてくれる。

たいがい、相場はそうならず逆になるものだ。

早耳の早倒れ。あるいは相場は人気の裏を行くから困ったものだ。

人気の裏を行くと思ってそちらのほうを押さえたら、人気通りまともに行ったり。

輸入大豆相場は大底が入っていると思う。

しかし弱気している人は思わない。

これは、随分あとからになってみないと判らない。

中国大豆の圧迫。これにおびえている。売り方は中豆が命綱である。

世の中、あてごとと越中褌は前からはずれる。

叩き材料の中豆のあてがはずれた時が怖い。

ある読者、えらい元気がない。『おとうちゃんは、調子のよい時は、毎晩お酒ばっかり飲んできて、利食いしたお金は、ちっとも持って帰らず、玉ばかりふやして。それで曲がったら借金走りまわり、今度はやけ酒ばかりで』家内にきつう説教されたんですと。

気にしない気にしない、よくある事です。

いままでは、そうも思わなかったのですが、やはり年ですかな―と。

相場全般、なんとなく不透明になって儲けにくい空模様のようだ。

春の海ひねもすのたりのたりかなで気長にいきましょうというしかない。

乾繭はあの高いところ掴んじゃった。砂糖は回転してたが、これも?まった。小豆は売り上がって、きついところ。輸大は水風呂からあがれない―。だからそんな渋い顔ですか。

●編集部註
 こおいう世界に長年いると、冒頭の文章の逆で高いと売りたい、安いと買いたい、となる。
 では、実際に儲かっているのかというとそんなに儲かっていない。参入タイミングが遅すぎたり早すぎたり、損切りが早かったりするのだ。
 所詮、この世は住みにくいし、相場は難しい。
 豆腐一丁1000円は大外れである。平成も終わろうとしている現在、ちゃんと作ると2万円だ。
 国産でちゃんと作って、しかもスーパーや百貨店で流通している高級品だと400~500円。逆に大手スーパーの特売品は50円くらい。食べ比べると判る。50円の方は白色無味の柔らかい塊だ。その柔塊豆腐コスプレさえ最近値上がりしており、今がスタグフレーションである事を実感する。

昭和の風林史(昭和五八年二月十七日掲載分)

2019年02月28日

我れ出でて利あらずの時

輸大も小豆も方針としては、なにも変わっていない。相場は待つという時もある。

閑な時は朝から、なんとなく判るし、相場が激しい時も場が立つ前から予感するものである。

閑な時は、ゴムも砂糖も輸大も、その他の商品なにに限らず閑になるのが近年の商品業界の特徴みたいである。

限られた投機家、限られた投機資金が売買手数料で削られながら商品市場という器(うつわ)の中で行ったり来たりしているからであろう。

閑な時は電話もピタリと止まる。

この電話というもの、一人一人誰にも相談するわけでないのだが、多い時は実に多い。かからぬ時は空気が止まったように静か。

夜遅く、あるいは早朝家のほうにかかるのも、似たようなものだ。バイオリズムであろうか。

迷う時は皆が迷うのである。地獄の底からダイヤルまわしたかと思う声の読者が、別人のように心の弾みをかくしきれずという電話もあって、相場の喜怒哀楽は、糾(あざな)える縄の如し。

友人の相場師の奥さんが言っていた。夜遅く主人が玄関あける音の仕方で打たれていた相場が、きょう好転したかその瞬間判りますと。

感が冴えている時は鳴る電話のベルで誰からのものか判るし、原稿書いていながら、“あ今電話してくるな”と思う瞬間ベルが鳴ったり、テレパシーというのだろう。

テレパシーの敵は深酒、寝不足である。

昔の人は大きな相場を張っている時は女色盤上慰み事を禁じたり、お茶を絶ったり、身を謹しんだとか。

相場は喜ぶなという。続けて、悲観するな。怒るな―という。読者を見ていても、相場師を見ていても、確かにその意味が判る。

さて相場のほうは、どうなんだろう。

●編集部註
 マメ屋殺すに刃物はいらぬ、客のヤリカイなけりゃいい―。と昔の人が言っていた、かどうかはわからない。発作的に作ったものとしては上出来か。
 先日、古参も古参、ベトナム戦争の終盤あたりから現在まで、南米、中東、東欧、アフリカの戦線を渡り歩いて生き残ったグルカ兵のような御仁から電話があった。在籍するセクションが別会社に移るのだとか。しかし、その移った先もまた別会社に移管されるという。
 その御仁も、ここでいう〝テレパシー〟の人である。と書くと怒られるだろう。始発で出勤してデータを入力。その後はお客様からの電話が来るまで頭がぼやけぬよう数独をして過ごし、定時で帰るルーチンの人なのだ。その人は言う、日常化出来れば相場には勝てると。

昭和の風林史(昭和五八年二月十四日掲載分)

2019年02月27日

堂々の陣を撃つなかれ?

百も承知の中豆弱気論は脱糞した便をこねまわし、なにを食った糞かの解説者だ。

シカゴは五㌦86の下限抵抗トレンドで止まるやV反発した。今回の18㌣押しで六㌦20㌣まで買う力をつけたと見る。

穀取輸大は買い方利食い先行。押したらまた買うための利食いである。

売り屋も様子を見て前みたいに売ってこない。

期近限月からサヤを詰めてくるのが無気味だ。

取り組みの厚さと、大衆の奥底知れぬパワーが怖い。それと、シカゴの様子が違っている事。

こうなると中国大豆ばかり見て材料こねまわすがための弱気悲観論者は、相場が判らなくなる。

弱気即ち理論家イコールファンダメンタリストかもしれないが、大局の流れ、相場のリズム、大衆の心、商取業界に流れ込んでいる資金の性格。それらを理解せずして理論家もあったものではない。

中豆に関する材料は確かに言われる通りかもしれないが、相場次元でいえば、先刻織り込み済みだ。

理屈はそうであっても、相場はそうはならない。

相場している人は理屈を聞きたいためではなく、銭を儲けるためにきているのだ。そこのところが判らず、中豆の弱材料をいつまでも鬼の首取ったみたいに、ふりまわしているのは、肝心要の相場とはなんであるかを知らないからだろう。

目先押すもよし、押さずもよし。四千円台の踊り場づくりだ。

このようにしていて抜けば玉散るストップ高が今週あたりくるような気配。

道は六百八十里。先限四千六百円。そのあたりまず考えておけばよい。

小豆は相手にするな、ほっておけ。売り玉踏まず、煎れず、暫く放置。

●編集部註
 実際に接した人であればご理解いただけるが、風林火山こと鏑木繁は、本来理性と知性の豊かな読書人かつ教養人である。
 そおいう人が悪口雑言モードに入ると鬼神と化し言葉はカミソリとなる。激怒した商品会社から不買運動を起こされても平気の平左であったという。
 評伝や関係者の証言を総合すると星新一や斎藤茂吉、森鴎外等がこの手の御仁であった。知のヒクソン・グレイシー達だ。
 ところで、40代以上の読者なら今回の記事を読んである小説を思い浮かべるのではないだろうか。
 筒井康隆が1966年に発表した『最高級有機肥料』という、饒舌にして美食家気質の宇宙人達との交流を描いた作品だ。
 この頃の尖った作品を知る身としては、和服に身を包み、老文豪然としている今の姿は、世を忍ぶ仮の姿にしか見えない。

昭和の風林史(昭和五八年二月十二日掲載分)

2019年02月26日

勝者は勝ちやすきに勝つ

大衆パワーは勝ち味をおぼえ行くところ敵なし出遅れ輸大を買う。この熱気凄い。

大衆の熱気というべきかムードで買う。

円が高い→よろしい大豆は押すだろう→押しを買おう。思ったほど下げない。

しからば少し買ってみよう→相場は高い→買い玉は回転。また押しを待つ。

大豆だけ見ている大豆商売専科は、判らないと首をかしげる。

砂糖にしても砂糖のみ見ている砂糖専科は、相場が判らない。ゴムまた然り。

輸大は、シカゴ大豆期近が、言っていた五㌦86の抵抗トレンドにきた。

ここで止まるはずだが行き過ぎて五㌦82は、向こうの投機筋も買う半値押し。

コーンが高いからシカゴのムードも上げ潮である。

輸大の当限ピン受け作戦は大きな反響を受けた。叩き屋ヘッジャーに、そうそうやられてたまるかいという反発心がある。よろしい、仲間達で三枚ずつ受けよう―という声もあった。

これが人海戦術で全国的な波になれば四、五百枚の玉は消えてしまう。

大衆筋はゴム、精・粗糖、輸大で勝ち味をおぼえた。このムードが怖い。

孫子兵法でいう『勝者は勝ちやすきに勝つ』だ。それ即ち勢いなり。

売り屋は唖然とする大衆パワーの源泉が判っていないからだ。お金があり余って行き場を求めている。

そして“我れにセントへれんちゃんあり”。エルにょろにょろもある。

四千円抜けから四千五百円に進むトレンドだ。

定期は場勘戦争だから、現物ヘッジの輸入商社だってS高連発がくればオーバーヘッジ分は火だるまで踏み上げてくる。

どうも、そのような相場になりそうだ。

小豆は大衆見向きもしない。それでよいのだ。小さな小さな盆ゴザである。

しかもホクレンなどのいんちきサイコロ見破っているから近寄らない。

●編集部註
 二日続けて〝小さな盆ゴザ〟のお話である。今と違って、この頃は時代劇がテレビでも映画でも当たり前のように流れていたから、読む側も理解しやすかったろう。
 理解は出来たが行動出来なかっただけだ。いや、自分が昔の時代劇で進藤英太郎が演じているような悪い貸元だと気づいていなかったのだろう。
 長いものに巻かれず、忖度もせず、ビジョンを持ち素人さんを大事に育てていれば、賭場はラスベガス並みになり、取引所はシカゴ並みになり、「オーシャンズ11」や「大逆転」のような映画の1本や2本、日本を舞台に作られていた事だろう。

昭和の風林史(昭和五八年二月九日掲載分)

2019年02月22日

輸大の押し目はバネの役

輸大は押し目の入るところ。再び買い場待ちでよい。小豆は八千円割れから急。

えてして相場はこんなものである。これでシカゴが高く、円が安ければ輸入大豆はS高もあろうかと強気は期待したが、シカゴ安・円高で押した。

押したけれど先限陽線四本を立てたこの相場は、前途雄大と見てよい。

出来高が三市場四万二百六十枚。三市場取り組み十八万枚の厚味で、その二割二分の玉が動いた。

まさに鳴動である。

東京先限引き継ぎは、安値からきっちり五百円高。

一段上げ節足四手上げ二百六十円高。

五手押し百八十円下げは綺麗に三分の二押し。

そして七手上げ四百二十円高。この三分の一押しなら三千八百七十円。半値押しても八百円。

基調は大底(Wボトム)確認→二段上げ→押し目→三段上げに向かう。

このようにして序盤が終わり来月あたりから中盤戦に入るだろう。

安値叩きのオーバー・ヘッジが掴まっている。

これが踏み上げるまではエネルギーが蓄積されていて、基調は崩れない。

シカゴは五㌦86を割ると下限トレンドの抵抗にぶつかる。年初来三段上げだけに半値押し五㌦82があってもおかしくない。

四囲環境は、国内の中豆圧迫は聞き飽いた。中豆圧迫があったからこそ三俵一万円相場(期近)が出現したのである。

手ぐすね引いていた商社筋が高値を盛んにヘッジしているが取り組みの厚味が吸収するだろう。

小豆のリズムが変化した。さすが玄人ばかりの小豆だから、七日の引け味が嫌だな、息切れだな―と見た瞬間、次の日、下放れ。

先三本八千円割れから、下げに弾みがつく。

努力して積み上げただけで、もういいだろうというわけだ。小豆は真空斬りがあるから売りが楽だ。

●編集部註
 相場は人間が介在する以上、お決まりの動きにはならない。まさかそれはないだろうという動きが起こったりする。
 実際の相場はどうなのかは別として、得てして2月9日付近は何かとお騒がせな事象が多く起こるような気がする。
 82年はホテルニュージ ャパンの火災と日航機墜落事故が起こった。01年にはえひめ丸の海難事故が。手塚治虫が亡くなったのもこの日である。 
 83年2月9日は田中角栄元首相がロッキード裁判で懲役を求刑され、全野党一致で議員辞職勧告が提出された日でもある。