昭和の風林史(昭和五九年三月九日掲載分)

2020年04月03日

銀の急落は買い場つくる

銀の反落は新規買いでも難平買いでも絶好のチャンスになりそうだ。投げる要なし。

東京銀は上場後15円40銭幅を上げて、急反落した。

上げ幅の三分の一押し地点が76円80銭。これで止まらず半値を押して74円20銭あたり、きつかったが、上場した時の値段を基準に計算を取ることは意味がない。

一ツの目安になる金銀比較(銀1に対して金が何倍か)は金銀各六月限比較で39倍~40倍である。

為替相場にゆれ動く国際商品の中で銀は国内鉱産出が年間二八一㌧(82年)、スクラップ一一四㌧(同)と、この年の輸入量五〇〇㌧に比較して結構自給率が大きく、ゴムのように輸入依存度の高い商品と違い、為替変動から受けるショック度は軽減される。

あとは香港相場との絡みやNYコメックスの動きに連動するが、東京市場のボリウムが厚味を増せば、ある程度、東京市場の特性が発揮されよう。

『お客さんは(銀相場が下がっても)投げない』という。限月は長いし証拠金をたっぷり準備し、安値の急所、急所で難平買いすればよい―という考えである。

銀には古品も新も、品質低下も心配ないし、現物受けても倉敷料の負担もないから、(1)インフレムード、(2)金利商品から貴金属への投機資金移動。(3)チャートから見たコメックス長期限月の15㌦目標など、銀に取り組む投機家の層は厚くなるばかりである。

要するに証拠金さえ弾(たま)切れにならないよう、長い長い物指しでポートフォリオに組み入れて投機をも楽しむ姿勢が、これからの新しい投機家像になるだろう。

輸入大豆のほうは東穀の米国産大豆市場の絡みで、投機判断が難かしくなった。商社筋はシカゴのポジションと為替とフレートの組み合せで市場を利用するが投機家は翻弄される。

●編集部註
 買いの難平素寒貧―と昔の人はいう。
 大衆と同じことをしていたら、いずれ破れる―とこれも古参の相場師が遺した言葉である。
 種玉を持っているのならともかく、仮に証拠金をたっぷりと準備したとしても、大なり小なりトレンドが間違っていたら、大なり小なり追証請求が来る。ここで大尽ぶって余裕をかますと、たちまちやられるのが相場―と、自身の経験則から思う。
 相場巧者はダメと思ったら逃げ足が早い。損切り上手は相場上手である。
 ましてや、商品先物は限月制が基本。投機と投資の違いを把握出来てない人は、本来商品先物をやるべきではない。そのあたりをちゃんとお客様にご認識して戴く努力を怠った事が、現在の日本の商品先物取引を衰退させた一因と言えよう。

昭和の風林史(昭和五九年三月八日掲載分)

2020年04月02日

投機家は“難解”に挑戦する

難解と変動の激しさの扉をあける鍵さえ握ればそのむこう側に巨大利益が待っている。

ドル安に歯止めがかからぬ以上、銀も輸入大豆もゴム、粗糖の海外関連銘柄は円高分だけ値を下げる。

為替相場は、それら個々の商品価格の土台になるものだけに、為替予測と個々銘柄のファンダメンタルとを組み合わせて予想しなければならず、相場の複雑性を増幅させ、円は二一〇円→二〇〇円に向かうという一般予想からいえば個々の商品の下値を考えておかねばならない。

相場社会で昔からいわれている『放れたほうにつけ』、あるいは『相場は勢い(流れ)につけ』の真理からいえば、今の円高は新しい相場であり、しかも新値抜け(58年1月11日高値二二七・20)を、あっさり買い切った以上は、押し目(円安)を入れても、円の強い基調は続くとみなければならない。

円のその前の高値は56年12月1日二一三・90だった。そこから週間足48本の下げ(六四・60)で57年10月29日を大安値に週足10本で五一円30幅を反騰。

以来60週を、ほぼ横に這うボックス圏の推移だった。

この間、商品相場は為替に関しては、泰平の時代でもあった。

それにしても数ヵ月前からドル暴落説が囁かれ、NY株式の値崩れの中にあって金鉱株がチューリッヒの銀行筋に買われ、ゴールド現物の上昇以前に金鉱株が先見性を発揮し、シカゴ・コモディティ(商品)も“帰ってきた投機資金”が貴金属、コーン、大豆に姿を見せるようになった。

しかし日本のほうはようやく新規投機資金が雪解け(厳寒でセールス活動も鈍っていた)と共に流入しようとしていた出鼻を為替で叩かれ、春なお遠しという場面である。

『さて』と誰もが言う。『難解な場面だ』と。しかしこの難解が解けさえすれば大儲けがある。

●編集部註
 令和に生きる我々は、1985~1987年にかけてプラザ合意に伴う大円高時代がやって来る事を知っている。ただ、マーケットに生きる人間、とりわけ先物市場に生きる人間は、より早く考えてより早く動く癖がついている。映画「マネーショート」の原作「世紀の空売り」の主要人物たちもその人種である。
 ただ、動くのも早い分、最初は負けに負け続ける。映画の中盤シーンではクリスチャン・ベール演じる主人公が米国金融市場崩落を見込んだ売り玉を仕込み続け、膨らむ含み損に金主からも総攻撃を受け、 四面楚歌の中、自宅の防音室で咆哮する。
 所謂〝ガラ〟は突然やって来る。当時のドル指数の動きを見ないまでも、我々はつい最近その〝ガラ〟を体感している。

昭和の風林史(昭和五九年三月七日掲載分)

2020年04月01日

泣く子と為替には勝てん

相場の土台をゆさぶる相場の為替が少し落ちつくまで関連銘柄は様子を見る場面。

泣く子と為替には勝てない。

金・銀、ゴム、粗糖、大豆等は円高分を下げた。

為替相場について新聞、雑誌、テレビは、今後の影響力と円の高値予想を報道している。

総じて“新しい動きの相場につけ”という基調で一㌦二二〇円→二〇〇円という見方である。

昨年一年間の円相場変動幅は20円圏内であった。これは米国金利の変動幅が一・九%という小幅であったため。

その前の年の57年の円の変動幅は60円圏内であったこの年の米国金利(ユーロ3ヵ月)変動幅は七・七%と大きい。

米国金利が大きく変動すれば為替も比例して大きく動くのである。

アメリカの投機市場はNY株価の反落という変兆を見てとって貴金属市場に資金が移動し、ドル安→インフレという図式から商品(コモディティ)に人気が流れだした。

シカゴ大豆も、その一環でV型の大底脱出を見せている。

ドル安は、その分だけヨーロッパ筋の買い入れコストが下がる。

シカゴにとってはドル安は大豆の好材料になる。

しかし日本でもそうだが、輸入国にとって買い入れ値段が下がった分だけ、相場も下がる。

強気する投機家にとってシカゴ相場が高いのに、円高分だけ穀取相場が安いという難かしい局面に立たされるわけだ。

東穀の米国大豆別建市場は、初もの食いで飛びつき買いした人は商社ヘッジと為替で斬られた。東穀の輸入大豆市場はジンクスとしても市場開設当初に大艱難(かんなん)が襲う。

これ即ち艱難汝を玉にすである。

為替関連銘柄は突風おさまるまで様子眺めか。

●編集部註
 ある意味、今回の記述は生産地相場ではなく、消費地相場を手掛ける側の悲哀といっても過言ではないだろう。なにせ、これまで日本の商品先物は生産地相場を中心に戦いが繰り広げられていたからだ。消費地相場では、変動要因に為替動向が一つ頭に乗るのだ。しかもこの当時の為替である。
 先月中旬から先週上旬にかけ、約11円ドル/円相場が変動しただけで、悲鳴を上げる市場参加者は少なくなかった。
 彼らが80年代の為替相場に触れていたら、恐らく何人か心臓が止まるのではないか。1980年から1982年までの間、相場は50円強動いていた。1983~4年はその半分の25円程度の変動で抑えられていたが、198 5~1987年まではプラザ合意に伴う大円高時代がやって来る。ただその分、この頃エゲツない程儲けた人もいただろう。逆もまた真なりだが…。

昭和の風林史(昭和五九年三月六日掲載分)

2020年03月31日

なにに焦点を絞るべきか

なにに焦点を絞るべきか。お客のセールスも狙いがつけにくい段階。つい様子を見る。

投機家も取引員営業第一線も焦点定まらず、とまどっている。次々打ち出される新種取り引き(貴金属市場)や東穀の中国産、米国産別々の市場とセット売買方式など。

専売公社が横文字の新しいタバコを次々発売しているが、喫煙者の数は今みたいに禁煙運動が盛んでない時でもふえず、人それぞれ嗜好があって、はじめ物珍しさで買ってはみるが、新しいタバコ必らずしも売り上げが伸びない。

そこへ外圧で外国のタバコも店頭に並べられ、タバコ屋のおばさんは売り場面積の問題もあり混乱する。

ゴムの九限月の立ち会いは長びくし、中豆、米豆の立ち会いも長びき市場係は疲労する。セールスも相場の焦点を絞りかね、当然お客さんに目移りして、つい迷ってしまう。

いまは、そのような段階で、いずれ北海道小豆も限月延長となれば、電話料金の嵩む割りに経営効率がいま一ツとなりそう。

こうなると取引所の格差、取引員の格差の上に中央とローカルの格差がかぶさってくる。

世の中、ますます厳しくなって、投機家にしてもセールスにしてもよほど勉強し、自分というものを持っていないとついていけなくなる。

社会構造が複雑化し、情報伝達がスピード化し、物の流れが変化する以上、先物市場の構造も当然革命されなければならない。

その意味では、時代に遅れていた商取業界が音を立てて変化しだしたことはご同慶である。

ただ、それに見合うだけの投機資金を呼び込める段階までに時間を要するし、新種取引を理解する顧客を開拓できるセールスの教育に時間がかかる。

取引員経営者にとっても採算性最優先だから、新時代に馴れるまで大変だ。

●編集部註
 専売公社とはまた、懐かしい響きである。
 タバコと塩は、その昔お上の専売制であった。調べると、明治三十七年に起こった日露戦争の戦費を調達するために民間事業を買い上げたという。
 町のタバコ屋さんもまた戦争と関係がある。第二次大戦後、全国の戦争未亡人や、身寄りをなくした年配者の生活を救済するべく、国は優先的に小売り免許を許可。故に、今回の文章のように「タバコ屋」と「おばさん」はセットで語られる。
 これと同じような業種が町の駄菓子屋や広島市内のお好み焼き屋さんである。どちらもその昔は大概おばさんが店を切り盛りしていた。関東では、駄菓子屋の中にもんじゃ焼き用の鉄板があったそうだ。同じような店を、広島でも見た事がある。

昭和の風林史(昭和五九年三月五日掲載分)

2020年03月30日

春の突風の如き為替変動

ドルは下がらないという政府筋の見通しの裏をかいた。相場の難かしさきわまれり。

雛節句の三日は円相場急伸の突風に見舞われ、ゴム、粗糖が売られた。

長らくボックス圏の円相場久しぶりの変動だ。

欧州通貨が売られ過ぎたあと底入れ感→反発。円の割安感。見直し買い。

ゆれ動くドル相場は貴金属市場に兆候が早くから出ていた。

米国高金利―ドル高基調から、再び通貨変動のシーズンに入るのだろうか。

東京金は為替(円高)分を売られたが、あと小反発。シルバーは円高に響かず逆に買われた。

中東情勢の混昏→原油高傾向→債務国に対するカントリー・リスク→通貨不安→インフレ再燃の心配→金利商品から貴金属へ→世界の天候不順→コモディティへの資金移動という図式が展開されるかどうか。

さて東京シルバーは立ち会い回数の増加で売買回転が速くなりだした。

相場水準の上昇に伴う取り組みの増大は前途に大相場を暗示するものである。

輸入大豆はシカゴの素晴しい底値脱出を横目で眺め円高分を売られた。

シカゴは、どこでもう一度押し目を入れるか。

シカゴにとって欧州通貨に対するドル安は、ヨーロッパの購買力を高めるから大豆の好材料である。

シカゴ罫線は暮の戻り頭からの下げに対して半値以上の戻しかただ。

線の勢いから見ると七㌦80あたりから、少しきつい押し目を入れそうだ。

乾繭は前乾先限五百円をタッチして押し目を入れている。なかなか一本調子の波動に乗らない。伸びると見せて押し、押すかと見せて反発。思春期の少女の如くナーバスな相場展開で神経が疲れる。

●編集部註
 ここで採り上げられている〝中東情勢の混沌〟は、恐らくイラン・イラク戦争の事を指している。
 世界史上でこの戦争は1980年9月に始まり、1988年8月に終わった事になっている。この年はちょうど戦争の真ん中あたり、歴史年表を開くと82年にシリア占領下のレバノンにイスラエル軍が侵攻したり、同じ年には英国がフォークランド紛争を起こしていたり、翌年になると米国がグレナダに侵攻したり、もう一つの大国ソ連も79年末のアフガン侵攻が泥沼化。米国がベトナム戦争で味わった苦難の道を歩むなど世界各地で紛争が勃発。そんな中、イラン・イラク戦争自体は沈静化に向かうかに見えた。事実、この年の2月に米国は撤退を開始している。
 しかし、3月になるとイラク側が戦闘で毒ガスなどの化学兵器を使用した事が国連の調査で発覚。これを機に再度戦争が激化。両国間の都市がミサイルで攻撃されている。

昭和の風林史(昭和五九年三月三日掲載分)

2020年03月27日

業界の急速な変革と相場

商取業界の流れが変化するとともに相場の流れも徐々に今までとは違ったものになる。

数多くの取引所に加入している取引員の市場関係者は、商いのあまりできない今でも立ち会いが連続し、重複し、疲労とストレスが心配される。

東穀のIOM別建市場、ゴムの九月限、そして金、銀、プラチナの立ち会い。

店側としても人員配置を考慮しなければならない段階である。

上場商品がふえることはよいのだが、受け入れる側のキャパシティに限度があるから、自然効率のよくないものや人気のない商品は手抜き現象になる。

しかも新しい投機家が市場や限月の増加に伴いふえるのであれば、これに越した事はないが、東京粗糖から銀市場に証拠金が移動したごとく、数はふえたが小さいパイは、やはり小さいパイのままだったという事になれば、取引員の経費負担のみが肩に食い込む。

考えてみれば待望久しき新規上場商品(貴金属)であり、また制度の手直し(限月延長や別建市場)であるが、新しい投機層を拡大するという努力のほうが疎(おろそか)になっているのではなかろうか。

各市場の取り組みや出来高などを、もうすこし見ていかなければ、まだ結論を出すのは早いが、キャパシティの限界(現在の投機人口や取引員の経営効率)が、いずれ表面化するかもしれないと思う。

一方、投機する側にしてみれば、魚のいない場所に糸を垂れる人はいない。『お金儲けは、お金の集まっているところにあり』で値動きが大きい、証拠金効率がよい、商いがよくできている、市場管理が適切、市場に信頼性がある―など、投機対象とタイミングを選択する自由がある。

今の商品業界は大きな曲がり角にきているだけに業界の流れというものを確り掌握してその上で相場を考えなければならない。

●編集部註
 人生然り、作戦然り何度か立ち止まって考え、方針を転換するポイントはあるもの。しかし、それは後々になって明らかになる。後悔、先に立たず。その失敗を教訓にその後の人々は生きていくしかない。
 つい歴史にたらればは禁物だが、「あの時動いていれば」という夢想は、小説等でよく使われる手法であり、それを読む人が多い事からわかるように、大なり小なり人間は何らかに後悔している。
 今回の文章の後半で出現する条件をクリアしている銘柄は、今の国内商品先物市場でどれだけ存在しているのだろうか。主務省の違いやイメージ等、運営側にも言い分はきっとあるだろうが、体たらくを招いた、というそしりは免れないだろう。

昭和の風林史(昭和五九年三月二日掲載分)

2020年03月26日

輸大底値大脱走のマーチ

時に前乾当限五千円なきにしも非ず。輸入大豆は底値圏大脱走のマーチ。銀好買い場。

六取引所六節の小豆と、二取引所四節の乾繭と取り組み出来高を比較すれば、取り組みで(28日)八千九十枚乾繭が多いし、出来高(29日)で三千二百枚これも乾繭が多い。

穀取には輸入大豆というドル箱があるから小豆が不人気でも深刻さはない。

しかし、かつて黄金時代を謳歌した小豆のおもかげは、もうないのである。

それは二取引所ゴムの取り組みにも一万四千余枚の差をつけられ、東京粗糖一市場との差においては三万枚もの開きがある。

山高きが故に尊からず、取り組み多いばかりが能でないかもしれないが、市場の盛衰、商品の潮流を歴然と見る思いがする。

注目の東穀・米国産大豆市場はシカゴ高の反映と御祝儀気分もあって、いい値段に寄りついた。

東穀では、大豆両市場(米国産、中国産)の商いが長い時間になった場合、物理的に小豆を前場二節、後場二節にせざるを得ないだろう―と考えている。

それは淋しい話であるが淋しいと思う気持ちが、すでに老化した考えかもしれない。時代の流れは速い。

さてシカゴ大豆は底値から大脱走のマーチである。押さば買い場と見たが20㌣と押さず、はね返した。

九㌦→八㌦→七㌦と大台三ツ割った下げ相場のトレンドが上向きに転じ、明らかに相場が変わったことを示していた。

乾繭は玄人ほど売りたくなる。まして生糸相場を眺めていては、とても買えたものでなかろう。しかし逆ザヤ相場売るべからずだ。政策を小馬鹿にする風潮がゆきわたっているが、相場の勢い・流れ、そして罫線を見ていたら、これは黙ってついていくものが勝つだろう。

前乾先限四千八百円、時に当限五千円という場面なきにしもあらずと思った。

●編集部註
 生糸、乾繭、粗糖?。結局、全てゾンビ化して消えていった。昭和も遠くなりにけり。
 1984年3月は帝銀事件や下山事件、三億円事件などに並ぶ、戦後犯罪史上最も不可解な事件が発生する。
 3月18日、当時の江崎グリコの社長が誘拐され、現金10億円と金塊100㌔を要求する脅迫状が届く。3日後に社長は発見されるが、これは事件の序章に過ぎなかった。
 4月になるとグリコに劇薬入りの脅迫状が届き、その後丸大食品や森永製菓、不二家などにも同様の脅迫状が。関西のスーパー等に青酸ソーダ入りの菓子がばらまかれた。俗に言う「グリコ・森永事件」である。この騒動は翌年、唐突に終わった。

昭和の風林史(昭和五九年三月一日掲載分)

2020年03月25日

乾繭三日見ざれば怱然!!

銀の押し目は判りやすい買い場。乾繭三日見ざれば惣然たり。輸大先限に夢あり。

きょうから東穀に米国産IOM大豆が別建の市場としてオープンされる。

また東京金取引所の銀市場は前場二節、後場二節と立ち会い回数がふえて売買回転が速くなろう。

これに呼応して“日経新聞”が商品先物の紙面を拡大するそうだ。

朝日や読売、毎日などの全国紙が商品取引所相場のスペースを、ほとんど削って、相場数字の掲載も朝夕刊最小限度になって久しい。昭和30年代は商品市況欄の雑記華やかなりし時分で朝日の繊維市況“たて糸よこ糸”など相当なスペースを持っていたものだ。

商品先物市場に対する一般紙の扱いは、やはり時代の変遷によるもので、日経紙が商品面のスペースを拡大することは、商品界にも新しい時代が到来しつつあることを知らしめる。

さて金の反落からシルバーも押し目を入れた。海外高を映して大出来高、人気沸騰のあと海外反落をダイレクトに受けたものだが、これは申し分ない押しである。相場は若いし、この相場の前途は雄大だ。

乾繭が急所を買い切って一説には五千百円があるという。中段の嫌というほどのモミが寒肥えみたいに養分を吸って大きな花を咲かせるだろう。前乾先限四八〇〇円が早そうだ。

輸大はシカゴが25㌣の押し目ほしいところ。

すでにシカゴは下げトレンドと離婚している。七㌦10あたりの押しはV2ボトムとしてコンピュータ筋が襲いかかる地点である。

またヨーロッパ通貨の回復は、その分だけシカゴ大豆が安くなる勘定だから下値にカンヌキが入る。

穀取輸大も新しく取り組む階段だ。高値取り組みは整理され、目下節足二段上げから軽く押して三段上げをつくる。まずは序盤のラリーというところか。八限天災期限月に狙いを。

●編集部註
 いまから20年前の2000年にイ・チャンドンという人が監督を務めた韓国映画で「ペパーミント・キャンディー」という作品がある。今回の全国紙の商品先物欄を巡る記述のあれこれを読むと、何故か無性にこの映画の事を思い描いてしまう。
 鉄道橋のふもとの河原でBBQに興じる中年の男女の横を、うらぶれた中年男性がふらりと通る所からこの映画は始まる。
物語はその数分後、男の「戻してくれ!」という絶叫を合図に進行していく。
 この作品、映画の冒頭が現在で、章が進むごとに過去に戻り、ラストが時代的に一番古くなり、タイトルの意味も分かる。
 二十余年この業界にいて、今回のような記事を読むと「戻してくれ!」と絶叫して、本当に時間が戻ったらどんなに良かったかと思ってしまう。

昭和の風林史(昭和五九年二月二九日掲載分)

2020年03月24日

東京銀期近85→90円目標

お金の流れが変化しつつある。ドルから貴金属へ。東京銀期近の85円→90円は早い。

NYコメックス銀は週間棒六本七本と連続陽線を立て前途雄大な上昇波動を予測させるのは、82年(昭和57年)六月底四㌦81から五本連続週棒陽線を立てたあと、半値押しを入れて、それからというもの27週の大上昇トレンドに乗って14㌦76まで凄い相場を展開した実績がある。

この時、週棒の新値は実に20本であった。

目下10㌦04を買い切って、10㌦50の窓を取りに行く格好。東京シルバーの期近限月85円→90円が恐らく出現するであろう。

海外は明らかにドルから貴金属に“お金”の流れが変化している。

そして「古今洋の東西を問わず、お金儲けは、お金の集まっているところにあり」-。貴金属市場に人気が集中するのは至極当然。

東京銀市場は来月から前場二節、後場二節の立ち会いとなる。まことに時宜を得たものである。

乾繭が中段のモミ合いから四千七百円あたりに行動を開始するかの如く、関心ある人たちは逆ザヤ相場を注目している。

乾繭は制度政策銘柄であり、ミニ仕手戦といわれ、敬遠する人もあるが、相場としては判りやすいところである。前乾先限四六〇円抜いた引けから四八〇円を買い切る線型は、五〇〇円台素通り六〇〇円→七〇〇円がテクニカルとして読めるのでなかろうか。

政策には時間差というものがある。政府の減産方針は泣く子と地頭に勝てぬという結果になりかねん。

シカゴ大豆はV型反発の半値ほど、せめて25㌣押しの7㌦20があれば理想型。すでに穀取輸大は大底鍛錬に入っている。

当社は読者サービスとして100円切手二枚と送り先住所記入の申し込み者に『セレクトシリーズ・ソイビーンズ』を一部進呈することにした。

●編集部註
 先週、R・メリマン氏が発行している「MMAサイクルズレポート」の緊急版が発行された。前週の米国株式崩落を受けたものである。
 これは記述全体がメリマン理論の入門レポートになっていたので急きょWEBサイトでの販売を決定。弊社にも幾つかの問い合わせが来た。
 中でも、筆者が応対させていただいたお客様の中に、この頃の「板寄せ」の貴金属取引をご経験されている方がおられ、こちらが逆にいろいろお聞きする側になっていた。筆者が外務員をしていた頃、貴金属は既にザラバ取引になっていたからだ。
 商いが薄い昨今、いっそのこと板寄せの方がちゃんとした値がついて健全だと筆者は思う。何もかも海外の取引に合わせる必要はないと思う。

昭和の風林史(昭和五九年二月二八日掲載分)

2020年03月23日

制度政策絡み商品を敬遠

制度政策に絡む商品の市場は投機家に敬遠される。その傾向はますます高まろう。

東穀、大穀の小豆片建取組表を見るとスカスカして風通しがよい。

商いの薄い日は東穀で千枚を割る始末。

一部の人を除いて今の小豆相場も小豆市場も判りにくいから敬遠される。

相場の流れはどちらを向いているのか。傾向としては逆ザヤがどこまで続き、そのあとどのような格好で解消するのか、それともせんのか。勢いというものが目下のところ見当たらないがほぼ一ヵ月続いてきた逆張り的高下運動が、どこで終わるのか。

納会の日るごとに当限売り方は踏まされてきた。今月は名古屋の市場で前日比千五百二十円高というスクイズが話題になった。

そして三月限も取り組み面では買い方の制空権下にある。しかも四月限まで『買い方の言いなりになる相場だ』と豪語されているそうだ。

次期枠絡み即ち早期発券のあるなし、枠の拡大あるかどうか。そして中国、台湾の売り値段と、売ってくる数量―これらが一にかかって相場の将来を決める要素だけに、一般の投機家には小豆にポジションを持つにはリスクが大きい。

それよりも輸入大豆のほうがまだ損しても納得がいくという風潮である。

大衆投機家は相場に制度のからむものを敬遠しだした。その典型が生糸市場であり、精糖市場である。また昨今では小豆が制度下における市場になった。

東京シルバーが人気を高めているもの要するに制度政策にかかわりなく市場が機能するからである。

相場世界で『政策は信ずべし・されど信ずるべからず』という。官僚はルールによって制度政策を維持する。それが仮りに害の大きいものであろうと、一朝にして変更できない。だから時間差を生じる。そこのところに難解さがある。

●編集部註
 先般、ツイッターのタイムラインを賑わせた写真の一つに、品川駅の西口と東口を結ぶ大きな通路をギッシリと埋め尽くし、黙々と一方向に進むほぼ全員マスク姿のサラリーマン達を俯瞰で撮った写真がある。ついたタイトルはリビングデッド(生ける屍)。まさしくこれはジョージ・A・ロメロが1968年に発表した「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」にかかっている。所謂「ゾンビ映画」の元祖というべき作品だ。
 中国では「ゾンビ企業」が問題となっているが、今回の記述は、小豆相場が日本の商品先物市場における「ゾンビ銘柄」になろうとしている瞬間を切り取った者として考えると味わい深い。この時、まだゾンビウィルスに感染したばかりと言えよう。