昭和の風林史(昭和五八年六月二十二日掲載分)

2019年07月04日

玄人筋本気で強気に転換

小豆が魔性を発揮すると理屈では割り切れない動きになる。輸大は納会後浮上する。

目先を考えると、この小豆は難しく見える所に入ったが、中長期的ならどこを買ってもよい。

発芽直後の低温障害もさることながら、生育遅れや、今後に予想される不順な天気を思うとやはり三万三千円あたりがなければならない。

相場が高くなれば、輸入枠の問題や早期発券も取沙汰され風当たりがきつくなり、その度に波乱も展開するだろう。

しかし昭和56年の板崎相場に見た如く大勢大天井打ちまでは谷深ければ山再び高し。

次から次へと買い方に味方する材料がでてくる。

毎年いま時分になるとツキがどちらにあるかと考える。

このツキというもの目には見えないが、絶えずつきまとうもので、二連休明け後の各紙の大々的な異常気象の記事はまさしく買い方にほほえんだ。

なにしろ相手がお天気であるから若い相場のうちは需要供給も、内部要因もあったものではない。

春天井(三月八日)、青田底(六月六日)、そしてこれが夏天井の秋底となるだろう。

いまの段階では三万三千円あたりでどのような展開になるか。

そしてその後三万八千円という相場を考える。

これは大きなトレンドによる観測で、いまの所第一目標の三万三千円に焦点を合わせればよい。

次に輸入大豆だが、おそらく当限納会後この相場は上昇に転ずるだろう。

シカゴも理想的な下値洗いを終わっている。

小豆で利食いした人達は安値に放置されている大豆に回ることも考えられる。

アメリカ穀倉地帯にこの夏大きなドラマが展開するだろう。

●編集部註
 ファンダメンタルなど糞の役にも立たない?。
 とある高名なテクニカルアナリストの至言だ。かと言ってファンダメンタルを無視せず、並みのエコノミストよりもきっちりと統計データを読み込んでいるから言葉に重みがある。テクニカルが骨なら、ファンダメンタルはロジックを組み立てる上での血や肉であるという事になる。
 ローソク足の面白いところは、市場参加者の行動パターンの集積体であるが故に、銘柄を問わずよく似たパターンが形成上に登場するという事ではないか。
 この時の小豆相場は「買えない相場は強い」を体現している。現在の金相場を巡る市場参加者の心理とローソク足に現れる線形は、どことなくこの時の小豆相場に近い。

昭和の風林史(昭和五八年六月二十一日掲載分)

2019年07月03日

次は輸入大豆の番になる

小豆は煎れ一巡するまで高い。次に火がつくのが総弱気の輸入大豆である。

二連休中の北海道は低温だった。ぼつぼつテレビなどで東北、北海道の異常低温が騒ぎになる。サンケイ新聞20日、朝刊トップに「異常気象2年続く恐れ。北半球は大雨、干ばつ」と大きくワシントン発共同電を掲載、朝日新聞も「エルチチョン噴火の灰が北半球覆う」と共同電を掲載した。

小豆市場は現実に北海道の六月に入ってからの日照不足と低温を眺め、玄人筋を中心とする売り玉がいたたまれず踏んできた。

思えば六月六日安値からアッという間に先限三千丁高で、げに天候相場は恐しいことである。

それでもまだ強気になりきれない人がいる。玉のほうは追証たまらず踏むしかないがS高では踏むに踏めない。

売り方は天候に油断していた。そして買い方芯になる存在がなかっただけに安心していた。要するに相場をナメていたのだ。

さて、これから全限三万円乗せの波乱相場を展開するわけだが、売り玉の目立つ東京山種の建て玉が一ツの物指しで、この売り玉が半減以下になるまでは基調不変。

とりあえず上昇初期の踏み上げ段階が、どのあたりで終わるか。上げも急なかわり押しも入るだろう。

その押しをまた買うという玉の回転。大局観さえ間違いなければ、どこまでも強気の一手でよい。

産地天候のほうは21日から再び悪くなりそうだ。

さて隣の小豆が火柱を立てているのに、輸入大豆は元気がない。

恐らくこの輸入大豆はシカゴから火がついてくると思う。エルチチョン火山灰の影響が大豆生産地に現われるとシカゴS高の可能性なしとしない。

穀取輸大は総弱気である。それだけに小豆のようなことになりかねない。

●編集部註
 サンケイ新聞が大阪で産声を上げた新聞社であるという事を知る人は意外に少ない。東京に進出したのは1950年だ。
 まだこの頃、本社は大阪の西梅田にあり、この時に記者として活躍していたのが司馬遼太郎だ。
 因みに、このサンケイ本社ビルの目と鼻の先、今のリッツ・カールトン大坂の斜向かいに、毎日新聞の大坂本社がある。
 ここの学芸部で副部長だったのが井上靖。その部下が山崎豊子。年表を見ると、後の芥川賞と直木賞受賞者(そのうち二人は文化勲章受章者)の三人が、1950年代に新聞記者として西梅田を歩いていた事になる。

昭和の風林史(昭和五八年六月二十日掲載分)

2019年07月02日

小豆の魔性ぼつぼつ発揮

噴いたら利食い。押したらまた買う。小豆は六月低温年の凶作相場再現である。

小豆は売り方の煎れに、せっせと買い方が利食いして久々三市場合計出来高が一万六千余枚(16日)。
これはちょっと様子が違うぞ―と、売り陣営の旗がゆれた。
六月の産地低温を過去に見ると昭和29年(〇・八三俵)。31年(〇・九三俵)。32年(一・八二俵)。39年(〇・八俵)。41年(一俵)がある。
いずれも六月出足にキズがついた年は凶作になった。
いまの市場は買い方に芯のある、いわゆる仕手的な存在がないから、S高してもおだやかだ。
急伸したら押す。押してまた次の上伸のエネルギーを充電する。噴いたら利食い、押したら買う。
基調が変わるまで、この方法の繰り返しになる。
基調は(1)相場が出直って非常に若い。(2)現物面から突き上げがくる。(3)目立つ大きな売り玉が踏むまでは押してもまだ上だ。(4)人気がまだ本当に強くなりきれない。
従って三万三千円あたりまでは売ることまかりならぬ相場と見る。
買い玉引かされていた時は、じっと辛抱していた読者から、利が乗ってくると、そわそわした電話。少し押すと心配になる。それが人間心理というもの。
利が乗ったら利は伸ばせ。そのためには大局観を持たねばならない。
利食いは器量でもある。その人の器(うつわ)である。売り玉二千丁利が乗っていたものが、はげてしまった人もいる。欲を伸ばしすぎたのと大局観の違いといえる。
二連休のあいだのお天気がどうなっているかで今週また多忙な投機家。

●編集部註
 所謂「まだ」は「もう」なり、「もう」は「まだ」なりの典型と言えよう。
 株式や債券、外為や貴金属ではなく、穀物相場の場合、いつかは何処かで手放さねばならない。つなぎ足で過去の罫線を見ている人間には到底わからないリアルである。
 話は変わるが、いまNHKの朝ドラで日本アニメーションの草創期で活躍した主人公が活躍するドラマをやっている。
 権利の関係上、登場人物や名勝は全て架空だが、その中のモデルとされる人物達がこの年、アニメ雑誌に連載中の漫画を長編アニメ化すると発表。翌年劇場公開されたこの作品は世界的評価を得る。
 次回作を製作するにあたり、実質的なスポンサ ーであった徳間書店社長、徳間康快は制作会社を設立。上記のアニメ雑誌の編集長をプロデューサーに据える。スタジオジブリの始まりである。

昭和の風林史(昭和五八年六月十七日掲載分)

2019年07月01日

怖い小豆踏み上げ一万丁

55年は連続S高一万丁上げだった。その再現を小豆が暗示している。早踏み早勝ち。

オホーツク海高気圧が停滞して冷たい空気を北海道に吹き込む。

そして低気圧の影響で雨がまた続きそうだ。

北海道小豆は最悪事態である。

いまのところ四日ないし六日の(作柄)遅れというけれど、発芽後の低温障害は、仮りにその後の天候回復をみても後遺症が残るし、三カ月予報を見ても決して、その後がよくなると思われない。

そのようなことから相場は冷害・凶作を見込んで助走の段階に入った。

産地農家は、あと一週間今のような天気が続いたら凶作間違いないという。

今の時点は七・三で凶作という人も出てきた。

産地作柄も怖いが、もっと怖いのが今の取り組みである。

一体、売っている玉に現物があるのか? 現物はないのが見え見えの売り玉ばかりだ。

となると場で煎れるしかない。

玄人筋の大手売り玉は逃げたい焦燥感が、ありありと出ている。逃げるために叩いてみるが、叩いた玉が逆効果で相場はいうことをきかない。

ここのところは、早逃げ(早い踏みあげ)早勝ちである。戦艦クラスの売り玉が方向転換しだしたら大浪をくらう。

買うならどの限月がいいかというが、黒板勝負なら先限であり、現物屋商売なら10限買いだし、七、八、九のカラ売り踏みあげ狙いでもよい。

従って、どの限月でも走る時は、同じスピードである。要するに出回り遅れになる11限が走り、ヒネがサヤを詰めに追いかける。

当面の目標は倍返し、先限三万三千円は凶作相場の第一幕。

いつかも書いたが昭和55年の時のあの一万丁踏みあげの再現と思えばよい。

●編集部註
 〝見切り千両〟という。
 当然、見切りが早まって大相場を逃す事も経験則上多々ある。だが、これまでの戦歴を振り返ってみると千両とまでは言わないものの、九百両くらいの価値はあるだろう。
 相場の世界では「シマッタ」「御免」と即座に言えて動ける人間が強い。それは、次の一手で挽回する確率が高いからだ。
 他方「シマッタ」「御免」というと死んでしまう病に罹っている人も。相場世界でそれは確実に死を意味するのだが、当節この手の御仁があちこちと相場とは関係ない所で増えている気がする。〝値洗い〟という明確な判断材料がないからだろう。
 憎まれっ子世に憚るという反面、天網恢恢疎にして漏らさずとも。何処かで銭金に代え難い人としての〝投げ・踏み〟を経験する羽目に陥る筈だ。

昭和の風林史(昭和五八年六月十六日掲載分)

2019年06月28日

北海道は冷害凶作の不安

この小豆相場は暴走しだしたら、行く所まで行ってしまう。三万円は軽いはず。

小豆は産地の気温が上がらない。しかも日照り不足。

発芽しない小豆畑もあるそうだ。種を掘りだしてみるとカビがきている。

あるいは発芽したけれど本葉がつかないうちに根腐れもきている。

小豆相場のプロは朝九時10分、夕方四時、夜十時のNHKラジオ第二放送の気象通報を記入している。

オホーツク海の冷たい高気圧は西に移動していた。

これは逆流だ。東に移動しなければならないのに。

ここ当分北海道の天気はますます悪い。

おそらく、これからテレビなどで東北、北海道の異常気象が騒がれる。

相場の方はボツボツ、売り方大手のお尻がむずむずしてきた。

値段が走れば様子を見ていた売り玉が思いきって踏んでくる。

北海道の冷害凶作は昭和59年と予想する人が多かった。しかし、いまの様子では今年が危ない。

南方洋上に台風が発生しない年の八月、九月は日本本土に上陸する台風の数が多い。

北海道の長期予報はことの外今年の秋の訪れは早いという。

ところで現物当業者筋の庭はカラカラで流通在庫がない。実需筋も先安をみて当用買いだった。

大きな相場はこのような背景によって出現する。

早くも目先のきく人達は新穀ザラバを手当てしているがザラバが定期を刺激し、定期がザラバを刺激する。

輸入小豆にしても枠が極端にしぼられ在庫が軽くなっている。

仕手介入時の相場と違うから上昇速度はなんとなくぬるいが、その事は余計この相場を無気味にしていて、牛が走り出せば行く所まで暴走するしかないだろう。

●編集部註
 この年は5月にM7.7の日本海中部地震が、7月に山陰地方で集中豪雨が、10月に三宅島が噴火するなど日本列島で天変地異が断続的に発生。必然的に農産品相場師達は天候に過敏になっている。
 当時は今のようなネット全盛の世の中ではない。生産地の気温、海水の温度の高低は重要な投機判断材料。専用のグラフも存在し、過去の相場動向との比較が行われていた。
 「羹に懲りて膾を吹く」スタンスで相場に臨むと、必然的に「買えない相場は強い」にリンクする。
 天災は忘れた頃にやって来るというが、急騰急落も同じ事が言える。

昭和の風林史(昭和五八年六月十四日掲載分)

2019年06月27日

小豆はなにか知っている

小豆はなにかを知っている。それは大相場の出現である。いまはまだ序の口だ。

北海道は低温が続いている。発芽した小豆は二㌢ぐらいだが、未だ発芽しない場所もあって、地温の上がらないのが怖いし、発芽して二㌢や三㌢のところに低温、強い風とくれば被害が出る。

例年六月15日の札幌神社の御祭礼を過ぎると、もう降霜の心配はなくなるといわれ、ともかくほっとするが、今年の場合、いまのような気象条件だと、15日過ぎても油断できない。

市場は全般に弱気支配である。

増反。改良品種増。密植。農協筋の売りヘッジ。不需要期。実需不振。冷凍小豆の輸入圧迫。大納言小豆の10月限ぶちあけ。

そのほか自由化への傾向や小豆取り組みのふえない現況。またマバラ大衆筋の買いに対して玄人筋の売り姿勢。

ともかく芯になる買い方不在であるし、弱材料ばかりだ。西洋ではよくワラの中から縫針を探すというが、まさしく買い材料はお天気まかせだけで、ワラの中の針一本を探すようなもの。

しかし、相場としては本年の大底が入っていると思う。一月11日安値に対して五月26日安値(実際には六月6日安値)が年内の大底をつくっている。

相場というものは実に不思議なもので、どんなに悪材料山積でも大底が入ると、なんだかんだと起き上がり、そして上伸していく。いまの小豆でもそれは言えると思う。

いやむしろ玄人筋の売りが多いだけに、流れが変化したと確信を持てば、それが九千円でも損切りしてドテン買いにまわるだろう。

その辺から今買っている大衆筋が利食いして、今度は売り上がるというパターンになるだろう。大きく発展する相場の、ほんのまだ序の口である。

●編集部註
 自戒の念を込めて書くが、せっかく天運に恵まれて大底で買ったにもかかわらず、小賢しきかなちょいと上がったところで利食いドテンに転じる事の何と多い事か。
 損ならば幾らでも耐えられるのに、利が伸びていく事に耐えられないのは何故だろう。これが人間の器量の違いだろうか。
 そういえばちょうどこの頃、不登校や引きこもり、非行を繰り返す子供たちを集め、スパルタ教育で更生させるという触れ込みで一躍有名になったヨットスクールの校長らが、訓練中の障害致死で逮捕されている。
 折しも校長の教育論に共感した有志が映画を製作。この年の9月に公開予定だったが、校長の逮捕でお蔵入りとなった。

昭和の風林史(昭和五八年六月十三日掲載分)

2019年06月26日

小豆も輸大も強気のまま

小豆、輸大とも上昇急度鋭角だったのを訂正し再度基調に従って上向く準備中だ。

乾繭といい小豆といい、はたまた輸大にゴム、砂糖、六月相場は厳しい動きで皆既日食の影響か月齢による潮のせいか修羅八荒の荒れ地獄だった。

最近の相場は、なにによらず潮騒のようだ。あるいはラジオの北京放送みたいに音量が押し寄せてくるかと思うとまた引いていく。投機家心理の情緒不安と焦燥感が絵の具の濃淡のように現われる。

このような時は付和雷同して気あじにつくと振りまわされて失神する。

利のあるものは素早い利食い。引かされたものは忍の一字。大局方針さえ間違いなければそれでよい。

小豆は皆さん弱気だ。出直り初期の相場はこんなものである。

産地の照った曇ったで帳尻が上下する。

今の小豆は強気のままでよい。強気して、することがなければ、さしづめ将棋だと端し歩でも突いておくところ。

いずれ発芽遅れや低温障害を騒ぐ時がこよう。

シカゴ大豆が先日の小豆の先限S安みたいなことをしている。

毎朝七時頃にシカゴ相場を電話してくれる人の声のお早ようというその声だけでシカゴが高かったか安かったかが判る。時々電話がない。なぜでしょうね。たぶんきつい下げが入ったのかもしれないね―と。

円が確りしだした。円安で買った分だけ値が消えたうえにシカゴが叩かれて穀取定期は荒波に翻弄されている。

しかし水準としては底値圏だ。シカゴの人気指数(オピニオン)も急激に下げているから六㌦割るも割らぬも大底の圏内と見る。
売る相場ではない。

●編集部註
 その昔、テレビ放送が始まる前、ラジオはメディアの王様であった。
 1981年、MTVが開局し、その1曲目としてバグルスの『ラジオスターの悲劇』のビデオクリップが放映された時、完全に廃れたメディアになったと思われていた。
 ただ、平成から令和になった今でもこのメディアは生き続けている。
 特に国際情勢や経済情勢に関しては、音だけのメディアであるラジオを重要視する人は今も少なくない。また、相場の世界との親和性も高い。今ではサイマルラジオなるものも登場している。
 手嶋龍一の小説『ウルトラ・ダラー』の主人公はBBCのラジオ部門の特派員である。その中でアラン・グリースパン元FRB議長がBBCラジオを聴くのが日課であるという箇所が出て来る。
 昔は地方、特に広島、山口、福岡あたりでは夜になると電波が混線して中国語や朝鮮語の放送が流れていた。ふいに日本語で符丁のような数字を読み上げていて、不気味な印象があった。

昭和の風林史(昭和五八年六月十一日掲載分)

2019年06月25日

小豆は三万円吹き抜けへ

小豆が一番判りやすいし三万円乗せが早い。輸入大豆も基調が非常に強い。

円続落で精糖、ゴム、輸入大豆が熱狂高。

見ていると、なんだかんだと自己玉ポジションは逆境にある。

強弱を持った玉に対してただ単に機械的に相対する自己玉は概して成績が悪いのは当然だろう。

小豆の急上昇に対して市場は無条件強気になりきれない。

ひとまず踏んではみたものの、また売りたいという気を引きずっている。

小豆東西合計自己玉売り九千二百枚に対して買い三千四百枚。この差がグンと詰まるはずだ。

作付け面積の増反と密植が気になって相場が高ければ高いほど玄人筋は売ってくる。

しかし発芽後の低温や降霜あるいは降雹、長雨など油断ならないだけに、作にキズがついたとなればS高二連発ぐらいやってしまう。

近畿地方は百年来の旱天だそうだ。気象専門家は昭和48年に似ているという。48年の北海道は悪くなかったが狂乱物価(石油ショック)で商品相場は荒れ狂った年である。

いまの小豆は押したら無条件買い。

とにかく若い相場についていけ。目立つあの店の売り玉も、この店の売り玉も踏み終わるまでは息の長い相場が続く。

第一の目標先限三万円乗せ。小豆の長大波動はだいたい六千円幅だから今夏三万二、三千円はあっても驚くに当たらない。

輸入大豆の動き足が荒々しい。シカゴは押し目完了。円安背景に日照り続きの夏は豆腐の需要も伸びる。また豆乳の需要も爆発的なのびである。

輸大の波動はテンポの速い上伸トレンドの中に安定した姿勢だから、これに火がついたらポンポンS高でいく。それは来月かもしれないが、もう下に用のない相場である。他商品も面白いが穀取が最高だろう。

●編集部註
 とにかく若い相場についていけ―。
 銘柄は違うが、1999年9月中旬からの東京金相場がこの時の小豆相場を取り巻く市場参加者の心理状態に近いのではないかと思う。
 読者の方々の中には、この頃の情景を覚えておられるかも知れない。
 99年9月16日に先限価格で836円を記録した東京金は6営業日後に905円まで上昇。ストップ高に張り付く。〝買えない相場は強い〟の典型例となっていた。
 同年12月にも、同様の相場展開が出現している。この時は、904円から3カ月弱の日柄を要して1095円まで上昇。穀物相場と違い、現物が腐らぬ銘柄には強みがある。

昭和の風林史(昭和五八年六月十日掲載分)

2019年06月24日

小豆は大行進のマーチが

小豆10限の八千円抜けも11限の三万円乗せも約束されたような大底脱出のマーチ。

小豆相場は安値に叩いておいて強力陽線三本を立て、しかも千円棒である。

安値から連続陽線三本は三兵行進といって買い線の一種。

ところが今回の陽線三本は化けものみたいな三兵で、まさに三兵の巨人だ。

なん十年の相場経験に、そう数々出るような買い線でない。昔なら『嬶質入れても買い』というわけだが寄る年なみではそうもいかず、さしづめサラ金梯子(はしご)してでも―となるが、それはいけません。

まあそのぐらいの意気込みで強気すべき線が出たと判断していただければよい。

あとは噴き上げれば押すし、押せばまた上伸する。それは相場に底が入ったからであり、基調が上向き、上昇トレンドに乗ったからである。

弱気の人は相場がゆるむと、すかさず売ってくるだろう。その売り玉が次なる上昇のエネルギーになる。従って、弱気が多いほどスケールの大きな相場に成長する。

なにがどうだから、なんなのだ―という理屈を知りたがる。

硬材料はあとから貨車でくる。荷が着いた時には納得だろうが値はもうその辺にいない。

取り組み増大。低温被害。売り込みすぎた取り組みの煎れ。ホクレンもびっくりの相場になる。

増反、密植が売り材料だったが、密植弊害が出るかもしれない。

10月限が大納言の捨て場月というけれど冷害・凶作なら、大納言様々になるし、捨て場限月が早いもの勝ちの買い場限月になる。

足かけ三年、丸二年も下げたのだから11限で三万円乗せは軽いだろう。

輸入大豆もシカゴ安で売られたところは買い場である。小豆のほうの足は速いが輸大とて各駅停車が特急に編成変えされる。

●編集部註
 ここでいう「三兵」とは酒田五法における「赤三兵」と呼ばれる線形の事を指している。罫線上にこれが出ると「相場はここから上昇に向かう」というメッセージになる。
 実際、当時の小豆相場はこの三兵から修正後に飛翔を開始する。買い方には極楽、売り方には地獄のような罫線がこの一カ月で出現する事になる。
三兵以外に「三山」「三川」「三空」「三法」の5つで酒田五法となる。
とはいえ、本文でもあるように、わかっちゃぁいるのだが出来ないという相場心理も働く。
誤解を恐れずに書くと、「おっ、三兵だ」と取引に参入する者が多ければ多い程定法通りに相場は動かず、少ない程定法通りに動く。

昭和の風林史(昭和五八年六月九日掲載分)

2019年06月21日

小豆は三万円時代の開幕

精糖の次の目標は二百40→50円。小豆は先限とりあえず八千円乗せ。輸大上昇過程。

うまいものは宵のうちに食えというが、S安であれほどあった精糖の売り物が次の日小確りに寄り付くと、おやおや売り物どこへ行ったやら。

もう一発とはいわないまでも次の日の安いところで利食いしようと待った人は外電小堅いのを見て逃がした魚はさぞや大きかっただろうと思う。

要するに相場は人気である。精糖先限の二百二円~三円あたり以下買っておきたい値段。

当業者筋は、外糖天井打ちと見て、定期も弱い見方のようだ。末端現物が売れない現実を相場にはめる。

しかし相場は別。二百円は割れない。

シカゴ大豆期近は、二、三㌣でよいのに六㌣ほど押したが、これは別条ない。仮りにもう五㌣押しても、この相場は上に行く準備をしている。

いまそんな事をいうと人は笑うだろうが、今夏の大豆は作付け遅れだけに発芽後のトラブルは、この異常気象下、随分きわどいことばかりと思うし一九八三の三のつく年の歴史を見てもおだやかに済むはずがない。

国内定期の八千円。シカゴ11㌦。円二六〇円―どうだろう。シカゴ取り組み五億B、穀取三市場二十万枚になった時、そのような相場の実現性が一歩近づく。

小豆は不思議な相場だと思う。五月26日の底入れでよいのに戻り方がぬるいというのでぶっ叩かれ六月3日のS安はキモを冷やした。二連休の休みのあいだ色々考えさせておいて6日朝もう一発下寄りさせ、弱気は四千円必至、いやあと二千丁下と本気にさせたが、切り返しもきつく、なんの事ないもとの水準に戻っている。

投げさせて、安値売らせて相場は皮肉だ。

産地の地温低く発芽遅れや中旬の低温でとりあえず八千円に乗せる先限である。

●編集部註
相場の人気も、景気も、字面では〝気〟が付く。
〝気〟は重要であり、もっと言えば、世の趨勢は押しなべて〝気〟であると言い切って良いのかも。
〝気〟が遣える者と遣えない者の違い。
\空〝気〟が読める者と読めない者の違い。あるいは空気を「読まない」所業で難局を乗り切るという荒業もある。古人が格言に遺した「阿呆になって買え」―というものはその代表格といえよう。
 「相場の常識は世間の非常識」「麦わら帽子は冬に買え」等々色々と言われているが、共通しているのは、精進して感覚を研ぎ澄まし、英〝気〟を養っておく事なのであろう。