昭和の風林史(昭和五八年四月二二日掲載分)

2019年05月09日

輸大は葬式の準備必要か

緊迫の輸大市場。すでに葬式の準備せよという人も。ミラクルはないと見ている。

この輸大だけは、さっぱり判らない。

当限買い主力はまさにタイトロープの上の極度の緊張だ。

納会は受けきるだろうと見る人。いや一歩間違えたら奈落の底という人。市場荒廃だ。

受ける現物を定期にヘッジしていないところが無邪気だという見方もあるが、各種情報を分析すると、この買い仕手は必ず潰れると予測する人が多い。

オール商社を敵に回して勝てるはずがない。仕手は連合体であるだけに足並みが乱れだすと微軍だ。

孫子兵法でいう知者ありといえどもその後をよくすることあたわず。

あとはシカゴが支援するかどうか。四面楚の歌に包まれ場内鋭の気なしと見てとれば新規一枚80万円でも潰しにかかるから怖い。

すでに市場は八分二分で買い方敗北の見方。

小豆は目先戻す地点で、相場が強く見えだすと一度投げた強気がまた値頃観で買ってくる。

戻したところは判りやすい売り場になるだろう。

大勢としては二万六千円あたりに向かっている。

小豆東西取引員自己玉の売り買い接近。買いの多かった自己玉だけに食われた姿。昨今、自己玉ご難続きのご時世である。

ゴムは脳天に五寸釘を打ち込んだような強力陰線。状況が日柄とともに刻々変化している。

すでに相場としては一ツの山を越した。産地は中国と日本の手当て一巡すれば騰勢消滅。すでに米国大手メーカーは七~八月積みの手当てを終わった。

高グレード相場が軟化していることですべては判る。

今月納会(日本)でテクビー系は十中八、九現受けしないという商社の観測。現物は日毎にたまりだした。これで取り組みがほどけだすと判りやすい下げ道中に入る。

●編集部註
 牛は脳天に釘を打ち込んでと畜する。他の食肉は電気やガスを用いるが、牛だけは未だに釘を使う。 東京品川には食肉市場がある。ここに併設されている資料館に行くと色々と教えてくれる。
 転じて「脳天に五寸釘を打ち込んだような陰線」という表現は、チェスでいうところの「チェックメイト」のようなもの。
 今もこの言い回しを使う人はいるのだろうか。
 その昔、筆者が商品会社にいた頃、早朝からバカでかい方眼紙に陰陽を書き入れつつ、このフレーズを独り言つ古株の外務員さんの後姿が、エラく格好良くみえたものだ。

昭和の風林史(昭和五八年四月二一日掲載分)

2019年05月08日

末は野垂れ死に型の小豆

輸大は人気離散しなければよいが。大穀の市場管理の拙劣に対しての非難高まる。

小豆がなんとも情けない相場つきで、商いができるほどに取り組みが減る。本来なら値頃観で買うところだが、大衆はソッポを向いたまま。

期近の売り玉がほどけて手仕舞いしたら、あとはどうなとかまわないという人気だから困る。

天候相場接近で一昔前なら人気が寄っただろう。

強気組は辛抱するかもしれないが詮ない辛抱になる。

もうあと千丁七千円割れで嫌気して投げてこよう。

なぜこんなに小豆は悪いのか。今年の北海道は天気が良さそう。作付けは前年並み。そして消費地雨が多くて実需不振。モノは豊富にあるし、これから不需要期とくれば、二万八千円が二万六千円でも相場だ。

輸入大豆は大阪当限大型台風の影響が他市場当限に出てきた。

目には目を、早渡しには早受けを。受けた現物どうするんだろう?と市場は詮索するが、そんなことは、ご本尊も判らんのでなかろうか。ここまできたが、これからどうする。天まかせ、運まかせかもしれない。

いえることは、あとは野となれ山となれ、市場が荒廃しなければよいが。

『きっとあれは病気だね。感心したことでない』と評判は悪いが、やっている側は背水の陣。それこそ修羅八荒の生き地獄だ。

結局のところ『大穀はなにをしとるんかねえ』となるわけだ。

ゴムのほうは売るのが怖いという人気で、売る人は売ってきてもう弾(タマ)が切れている。

煎れに合わせての買い方利食い。しかし大きな玉だけにこの先ガラが来たらS安も入ろう。

現物は千枚近く集まっているようだ。

すでにこのゴム暴落前夜。

なにか臭うのである。時間の問題と見ているのだが、あとは待つだけ。

●編集部註
 人間、辛抱だ―。
 先代の貴乃花と若乃花が出演し、このセリフが流行語にもなったCMが放送されたのは、確か70年代の終盤であった。
 人間は、辛抱するのが好きなのかもしれない。自分も含めて、曲がった玉を追証や両建てで持ち続けがちになる人が多い相場の世界に身を置いていると、つくづく思う。
 辛抱している人を見るのも、日本人は存外好きなのかも知れない。
 この年のこの月、NHKで朝の連続テレビ小説「おしん」が始まった。
 簡単に言うと明治女の一代記なのだが、ヒロインの幼少期から苦労辛抱の連続で、視聴率は平均52・6%、最高で62・9%という、朝ドラ史上最大のヒット作となった。

昭和の風林史(昭和五八年四月十九日掲載分)

2019年05月07日

ゴム絶妙の売り場に到達

ゴムは天井圏での波乱。これを売らずになにを売る。小豆も先行き値崩れ必至だ。

なにもかも面白そうな相場である。

とりあえず、小豆売りだ。この小豆はトレンド崩れを起こす前兆だ。その場合二万六千円台あるいは六千円割れに突っ込んでくる。

北海道の天候は非常に良い。作付け面積は前年並み予想。鰊の漁でだいたいその年の小豆豊凶が判明されるそうで、ことのほか本年の鰊漁は好調との事。

産地の大量在庫と大納言の圧迫は、節句過ぎての不需要期に換金売り表面化して六、七限の八千円台買い玉シコリが、なだれ現象を起こすだろう。

即ち春のだんご天井打ち。

輸入大豆は納会まで強い基調が続きそうだ。

交易会の成り行き待ちだが、シカゴが申し分ない押し目を入れ、これが再び上昇波動に乗るのは見えている。

ただ気になるのは円高傾向である。

穀取は応分の押しが入って大当りしている大衆筋の積極買いが続いていた。

なにしろ高値で利食いしての押し目買いだから自己玉は格好がつかない。

米国大豆の播種期(五月上旬から六月上旬)接近に伴い、向こうの天気が敏感にシカゴ相場に反映されるわけで、輸入大豆相場もこれからが強気本番。

中越国境トラブルで煎れたがっていたゴム相場が夜放れ高。

あの店のあの玉が踏むまではとチェックされていた玉が煎れていた。

夜放れしたあと各限月一代の高値を付けたが、天井圏内の波乱と見る。

産地やロンドンの絡みもあるが円高基調が判然としそうだし、放出もあることだろう。

買い仕手の利食いも散見される。どこまでも、いつまでもというわけにいかないのが相場であるから、売り続けていけば一瞬にしてほどけよう。下げだすと手がつけられない相場だ。

●編集部註
 欧米の映画を観ていて凄みを感じるのは、権力側にとってあまり知られて欲しくない事象も、手を変え品を変え作品にしてしまう事である。
 本文中で中越の国境トラブルについて触れられているが、実はこの時分から徐々にヴェトナム戦争やそれに付随するカンボジア内戦、中越紛争を題材にした映画が作られ始めている。84年制作の映画「キリングフィールド」はカンボジア内戦を描き、米アカデミー助演男優賞を受賞する。
 昔の日本映画にもこうした気概があったが今はない。当節は「忖度」が大流行。ちょっとの事で「お上に楯突く輩」とバッシングされる風潮だ。

昭和の風林史(昭和五八年四月十八日掲載分)

2019年04月26日

小豆、ゴム売り、輸大買い

お寺の鐘を撞いても落ちそうなゴム。小豆は三千丁のトレンド崩れ。輸大のみ買い。

輸入大豆相場は週明けから再び堅調な足取りになろう。

急減していた自己玉の売りが再び急カーブで増勢を示したことは、大衆筋が高値で利食いして、今回の押し目で再び買いに回ったことを意味する。取引員経営者『もうさっぱりワヤです』と。

この輸大は大阪当限も納会安くはならない。取引所も神経質になっているから無茶な煎れ取りはしないが、交易会等の材料、あるいはシカゴ支援で買い方意外な天の援軍で道開ける今来週の相場である。

本当のところ今の輸大は気迷いの人が多い。

だが、シカゴの下げは必らず反動をつけて反騰するトレンドであるから、もう輸大を弱気してはならない。

小豆は、これは大衆が売らないから下げ続けるホクレンの価格政策の反動がきて、自由化問題も絡み続落していこう。七千円を割るのは早いような気がするし、六千円を割る惨状なしとしない相場にしてしまった。

八千円と九千円処の日足70本がトレンド崩れを起こし満目粛然となろう。オペック10年・ホクレンみつきだ。

ゴムはロンドンと産地を吊って日本を利食うパターンだし、いわくありの売り玉が急ぎだした。

先二本の61、62円あたりから売り乗せが王手即詰め。

このゴムが下げ波動に入ったらS安二発分がある。

線型は、いつ暴落してもおかしくない姿である。

売り玉気が持てんで両建するような事は決してしなさるな。熟柿まさに落ちんとす。日柄食った相場と心中してはいけない。

今まで傘屋の小僧だった人は小豆売り、ゴム売り、輸大買いを早く急げ。

●編集部註
 「温故知新」という四字熟語がある。
 古きを訪ね、新しきを知るという言い回しもある。
 人間、幾つになっても知らない事ばかり。真新しいものだけではなく、昔からのあったものや知られていたものも、初めて知るものはすべからく新しいものだ。当節古いものを捨てて真新しいものに作り替える所業は、内実新しいものを捨てているのと変わらない。
 本文を読んで「傘屋の小僧」という言葉に引っ掛かりを覚え、調べた。
 こんなことわざがあった事を初めて知る。
 小僧が傘を作る時、骨を折って叱られる事に準え、頑張って働いたのに、少しも褒められず報われず叱責されてばかりのつらい立場の事を指す。

昭和の風林史(昭和五八年四月十五日掲載分)

2019年04月25日

小豆の客は入れ歯に老眼

輸大は交易会絡みで売られた安値をまた拾えばよい。ゴムは疲労の色更に濃し。

小豆のお客は入れ歯に老眼―というのだそうだ。『見てご覧なさい。若い人は小豆なんか見向きもしませんよ』と。これには少なからぬショックを受けた。

価格支配はオペック10年・ホクレン三(み)つき。総理(の人気)は二年、歌手一年。

薄商いで今のような相場が続いたあげく産地の現物がドサッとくれば、梅雨時分、二万六千円台もう一度取りにいくだろう。

作付け面積前年並みで、お天気もいわれたほど悪くない―となれば、修羅(比良)八荒(八講)の生き地獄。ホクレンは傘屋の丁稚小僧よ骨ばかり折った。

ゴムはロンドンS高の急反騰だが、国内定期の反応は以前に比べたら格段の違いでぬるい。

それだけ相場の若さが抜けていた。いわば相場様が老境に入っている。

ゴムの人気面は〝手首半〟に気味悪がっている割りに客筋は実によく売る。買い仕手に提灯がつかないところが気になる。
万人皆弱気の相場は下がらんというからだ。

しかし、今の大衆皆玄人である。そして資金パイプが長い。二八〇円よろしい売り上がります―という気構えである。

おそらくその方針が成功するだろう。

輸入大豆は大阪当限に現物雲集。これを受けて立つ秀頼四天王は重成、幸村、長曽我部盛親、後藤基次、落城悲劇の武将。

さりとて、渡ってくるもの受け切ってしまえばどうなる。大々的な煎れを取って完勝という業界事情ではない。そこが相場師の悩みである。受けて悪し、受けざれば更に悪し。進退将に谷まれりの姿。

連休明けは交易会に焦点絞る。成約少しできても人気で売られようが、先三本安いところ拾え。

●編集部註
 今は出演者の不祥事で容易に観る事が出来なくなってしまったが、数年前に放送された大河ドラマ「真田丸」がヒットしたおかげで、ここで登場する豊臣恩顧の浪人たちがどういう人物か、その後どうなったかは、むしろ今の方が理解できるのかも知れない。
 現在の東京一般大豆は商い薄く死に体になっているが、この頃の大豆相場はこの年の1月から9月まで、途中途中に修正安を挟みながらきれいな上昇トレンドを描いて行った。
 この時の日足を見ると偶然にも4月の値位置は一種の出城のように見える。差し詰め1983年の真田丸とでも形容すべき線形である。

昭和の風林史(昭和五八年四月十四日掲載分)

2019年04月24日

ゴムでも日柄には勝てん

ゴムは日柄に勝てん。深い下げが入る。輸大も目先的な頭を打った。小豆は軟弱。

ゴムの先二本限月に、いわくありげな新規売りが出ている。大衆筋は先二本の高値売り玉の利食い先行。

七、八限の二四〇円あたりの売りが捕まって二六〇円台に担がれ、辛抱。あるいは難平かけ、その甲斐あって高値売り玉の回転が利きだしたところである。

ロンドンや産地相場は商いの多い限月が、いま一ツ伸びが鈍い。

疲れたという感じだ。

芭蕉の句に、くたびれて宿かるころや藤の花というのがある。いまのゴム相場は藤の花。垂れ下がり。

いつストップ安が入ってもおかしくない相場と見るのだが、新年早々からの上げを経験してきた投機家は、怖がっている。
二八〇円もある。三〇〇円目標だ―と強気にトークされては、用心して当然。

しかし、たとえそれが国際的巨大ファンドか、シッパーによる世界戦略かしらないが、相場は万国共通。日柄には勝てん。

輸入大豆は目先的に頭を打って相応の押しが入るところ。シカゴもあのまま上伸を続けるわけにいかない線型。

取引員自己玉の売りが減ったということは、大衆筋が買い玉高値で利食いして、やや売りに回った。これが当たっているだけに無視できない。

応分の下げを入れておいて交易会の様子を見る。天候相場はそれから先だ。

小豆はどうか?という。先月同様月の八日に頭して上から陰線で差し込んできた姿は、本来なら千丁下げを見てもよいのである。

しかし、薄商い。敢えて売る人もすくない。ホクレンの制空権支配下。

買い方が、煽りの手を入れると相場がムクロであっても一時的に高くなるから強弱にならない。相場金言にも商いの薄いものに手を出すなと教えている。

●編集部註
 商いの薄いものに手を出すな―けだし金言なり。
 この頃の風林火山がタイムスリップして今の日本の穀物市場を見た時、一体からはどんな文章を書くのだろう。
 
 力山を抜き気世を蓋う
 時利あらずして騅逝かず
 騅、逝かざるを奈何せん
 虞や虞や若を奈何せん

 後に「四面楚歌」の語源となった故事で、項羽が虞美人に詠んだとされる「垓下の歌」である。
 相場は損切りが大事であるという事は、相場師が一番知っている。しかし相場師達が集う取引所が最も損切りが出来ないとは奈何せん。

昭和の風林史(昭和五八年四月十二日掲載分)

2019年04月23日

利食い千人力の輸大高値

小豆は近く値崩れしそう。輸大は煎れたあと押し目が入る。ゴムは高なぐれ後反落。

ゴム相場の仕手戦は末期段階に入っていると思う。

目先の高下は内部要因次第。手口と取り組みによって強くも見えたり弱くも見える。

しかし、産地シッパーの大量買い建について、表面現象のみ見ている人が多い。裏側の楽屋(がくや)事情がどうなのか。これは戦い長びくに伴って自然に洩れてくるものだ。

孫子は「その戦を用うるや勝つも久しければ兵を鈍らし鋭を挫き、城を攻むれば力屈す」と教えている。そして「諸侯その弊に乗じて起る。知者ありといえどもその後を能くすることあたわず」―と。

ものいわざるゴムの罫線が、すべてを物語っている。あれだけの逆ザヤが六限月横並びになった。相場はサヤに聞けともいう。

また一月からの上昇波動の初期、中期、そしていまの流れは明らかに、その相場の性格を示している。

いまの相場は、トレンドから、はずれぬよう努力している姿である。

人々はこれに幻惑される。

買い主力は買い玉回転の利食い金が買い増し玉の建玉となって、いつの場合でも仕手戦末期に、そうなってしまうお決まりコースにはまりつつある。

従って、このゴムは気配変わると急落する。

輸入大豆は、ひとまず煎れるものは煎れた。

自己玉も売り急減した。

目先的に押すべきところにきている。

基調がゆるむと利食い急ぎの売りが嵩む。また15日からの交易会を控えて新規思惑の売りも出る。

安値売り玉に難平を乗せるテクニカルな売りも出る。

しかし基調そのものは売りの段階に入っていないから、押し目買いの方針で対処すべきだろう。

小豆は相場に芯がない。下がらんと思っているとある日突然値崩れする。

●編集部註
 相場が膠着状態に陥った時、もう少しで局面が変わる寸前、ポジションの変更、早過ぎる利食い、ドテン、損切りをしてしまうのは何故なのか。
 誰も皆泰然自若と構えたい。しかし現実はいらん事しぃになっている。儲かる事、幸せになる事が怖いのかも知れない。これが、精神分析学者フロイトが提唱したタナトスというものなのか。
 古今東西変わらないのは、利食いが早く、損切りが出来ず、追証で耐えに耐え抜き、両建てに安住する姿勢である。

昭和の風林史(昭和五八年四月十一日掲載分)

2019年04月22日

輸大更に棒立ちの可能性

輸大は売り方征伐。大々的積み上げが残っている。ゴムは山雨まさに来たらん風情。

ゴムの買い仕手は日本を買って、ロンドンに売りヘッジかけているのでないか?と。

シンガポール納会は三㌣安で三千二百㌧の受け。

週間棒は売り線。しかしマバラ人気は押し目買い気が強くなった。

売り方は、もうあと五円下げると玉の回転が利きだす。逆に買い方は数回転してきたゆとりがあるから押し目をすかさず仕込む。

週末の地合を見ていると、まだまだ買い方に力が残っている。しかし、二三〇円どころの週間棒の窓を埋めなければ大きく上に持っていけない。

東京では豊で売って明治で買う。神戸は豊で売って岡地で買う。手口からの傾向は巧妙であるけれど買い値平均は段々上になる。

強気は二八〇円台での総煎れを狙っている。

売り方は、それに耐えられるだけの資力を確保して踏まなければ勝つ。

輸大は煎れている。当限は15日からまた増証になる。追証の上の臨増しは踏みを誘発する。

取り組み表で目立つ売り店のどの限月の玉もすべて逆境である。

中豆20万㌧成約で叩くだけ叩いた反動である。

15日からの交易会は恐らく数量的に纏まらず、値段は大幅アップになるだろう。

枯草にガソリン撒いて火を付けるようなもの。

安値おぼえが抜けないから買いづらいけれど、トレンドからいえば東京去年の四月10日高値五千10円指呼に買う力をためている。

老人のお遊びゲート・ボールの世界の小豆は場所をとらない。銭がかからない。無理しない。若い人に興味がない。うららかのんびり春の山(天井)だ。

●編集部註
 風林火山のゲートボール弄りが止まらない。
 それは裏返すと、小豆相場への愛の深さと嘆息の大きさと言えるだろう。
 間もなく平成が終わろうとしているが、昭和が終わり、平成が始まって間もない頃まで、商品相場にしろ、株式相場にしろ、為替相場にしろ、市場での売買の最前線はさながら闘技場であった。
 1990年(平成2年)に放映された倉本聰脚本のドラマ「火の用心」で、主役を務めたとんねるずの石橋貴明が演じたのは、兜町の取引所に毎日通う証券会社の場立ち。今見ると手振りがぎこちない。
 当節の電子取引では、注文を巡って人と人が声を荒げ、手を振り、ぶつかり合うからセリ(競り)なのだとは気付くまい。 
まして、昭和の鉄火場で商いが薄いとなると、寂寥感は如何ばかりか…。

昭和の風林史(昭和五八年四月八日掲載分)

2019年04月19日

限りなく売り上がれゴム

春昼やゲート・ボールに厭きもせず(小豆)。二、三文競り合う値段霞みけり(輸大)。

現代は価格なき時代というのだそうだ。

パソコンや鋼材の世界は、メーカーの価格支配力が吹き飛んでしまった。

かの偉大な力を発揮したOPECにして然り。

ホクレンの小豆価格支配も必ず蹉跌がくるだろう。

『価格は市場に聞くしかない』。市場原理を無視した強引な価格政策は大きな反動を呼ぶ時がくる。

小豆相場はゲート・ボール的世界とみておけばよいだろう。それは老人センターの遊びである。

本日産地ゴム納会。買い仕手は来月に戦線を延長するだろうと、まことしやかに伝わる。

去年の六本木小豆でも来月に戦線延長すると宣伝されたが、来月も再来月もといいだした時は、たいがいそうはならない。

このゴムは三百円がある―と強烈なトーク。単なる買い占めとか玉締めでない。世界的視野に立ったゴム価格の水準訂正戦略だという。

産地買い主力が日本の定期納会受けて、中国に輸出するという話も伝わる。

奇妙な話だと思うが相場が強張ると、いかにも真実味をおびてくる。

これなども≪価格なき時代≫の一現象か。

価格支配力が吹き飛んだ時のゴム相場たるや惨。

ゴムは大衆の値ぼれ売りがすさまじい。しかしこの大衆筋、歴戦の勇士である。どこまでも踏まない。

限りなく売り上がる。

彼らはすでに輸大で勝利してきた。今の商品界に≪存在する大衆≫は、資力、思想、戦術、戦略を持っている。

旧軍隊でいえば軍曹、曹長のたくましさもある。

輸大のほうは飽きてきた。まさしく眠気をさそうところ。春昼やこぼるる花と散る花と。これ春特有の薄絹を透したような朧(おぼろ)相場である。

●編集部註
 相場分析の新聞を発行する会社に入ったのに、まさかゲートボールの事を調べるとは思ってもみなかったが、この頃のゲートボールは老人の余興というイメージが強かった事が分かる。ただ調べれば調べる程、むしろ酸いも甘いも噛み分けた老人達向きの、権謀術数を尽くした実にエゲツない闘いであると識る。
 さて今回、風林火山も指摘しているように、力ある者達の相場支配が如何にたまゆらなものであ ったかが記されている。
 ゴム相場にもINRO(国際天然ゴム機関)という伝家の宝刀が存在。頻繁に市場介入を繰り返していた。しかし、1999年に解散している。

昭和の風林史(昭和五八年四月七日掲載分)

2019年04月18日

ゴムの天王山ここ両日か

輸大はなんだかクタビレてきた感じ。小豆はゲート・ボールの世界。ゴムは売り勝負。

円高傾向である。二四〇円の抵抗が成功した格好で為替相場の流れが変わりつつある。

『日経ビジネス』誌四月四日号25頁・住銀の大海氏チャートが参考になる。今後円高に大きく動く可能性ありと。筆者も同じ見方だ。

ゴムはシンガポールの納会8日が転機になろう。

自己玉は買い増―ということは大衆がピラニアの如く売っている。

恐らくこのゴムは売りのテクニックを上手にこなせば、大衆売り大成功する。

相手は国際市場を股にかけての大仕手とは申せ、産地の輸出業者が消費地を買うという事は、水を高きに流そうとするようなもので、天の理にかなわない。

もちろんサイホンの原理で低きより高きに流す定期市場操作は一時的には成功しようが、時間(日柄)が三月(つき)またがり60日を越せば、荷は高きに集まる。

まして値下がり続きで弱っていたゴム園オーナーは千載一遇のチャンス。

ゴム樹が弱ろうとかまわないから一日に二度もタッピングして、労賃の安い女子供を駆りたてる。

まして上値には在庫放出という大敵が控える。

ひたすら買えばよいというわけのものでない。

仕手相場末期の買わなければ気が持たぬという段階。

小豆は踏まず、買わず傍観でよい。産地にモノは山ほど残っている。ホクレンはいずれ困るだろう。

輸大は今まで買い方だった人が先を売り、今まで売り方だった人が先を買う。建玉のクロス現象。

シカゴは買い人気旺盛。少々買い過ぎのきらいだ。用心すべき地点。

穀取は押し目待ち。待つ間は押さぬが、あわてることもない。交易会の様子を見ないことにはリスクが大きすぎる。弱気ではないが強気でもないところ。

●編集部註
 かの有名なプラザ合意は1985年9月。この月、ドル/円相場は239円で始まり、216円で終わった。そこから2年4カ月後の1988年1月、相場は120円まで進む。この時に比べれば1983年の為替相場はかわいいものである。
 ゲートボールを調べたら「如何に得点するかではなく、どう相手を邪魔するかに重点が置かれるゲーム」と出て来た。
 この競技が広く世に知られたきっかけは83年4月にテレビ朝日が放送を開始した「おはよう!ゲ ートボール」だったかも知れない。司会は玉置宏で、三遊亭楽太郎、今の6代目圓楽がレギュラーで出演していた番組だ。