昭和の風林史(昭和五七年十月二一日掲載分)

2018年11月16日

三万円の小豆は売り場だ

小豆は三万円乗せを売ればよい。実勢悪がこれから出てくる。輸大の下げは深い。

小豆相場を、なんとかして蘇生させたい願いが今の買い方の気持ちである。弾みさえつけば―と力を入れて買うわけだが、環境は戻すほど、あとが悪いと思う。

小豆の11、12、1月限には高値買いの因果玉が残っている。

先二本の2、3月限は二万八千円台の売り玉が掴まった格好だが、少々高くても踏む必要はないと思う。

強気する人は行政面で外貨枠の絞り込みによる価格テコ入れが、一ツのよりどころであるが、自由化問題に絡む外貨枠は流動的で予測もつかない。

思うのであるがこの相場は実勢悪と仮需不発などで二万八千円割れ→二万七千円割れとなった時に、はじめてホクレンの棚上げなどがいわれ、そこで大底を打つのでないかと思う。

大局的なトレンドからみると二万六千円なしとしないコースを残している。

相場は、よもや、まさか、そんな馬鹿な―という値段が出て初めて天井も打ち、大底も入る。

そのような見地からいうと十月1日安値は七月19日安値に対して両足つきの二点底型であるが、七月の安値は仕手崩れ、解け合いのショックによる値段で作柄も決定していない時点だった。

という事は、あの安値は市場内部要因によるもの。

では十月1日の安値はなにか? これは豊作相場の現物実勢から来たもの。

そしてこれから先に予測される安値は需給相場における現実の実勢悪と投機家不在による仮需不発。そして現物の圧迫である。

さて輸大だが中豆成約の報で二番限S安。

煎れもでたあとだし納会の俵も読めるし、これからは飛びつき買い玉の整理場面である。

そしてシカゴが五㌦割れということになるだろう。

●編集部註
 相場は意地悪である。予測通りの相場展開になるケースは稀である。
 シカゴ大豆はこの年の10月に節目となる安値をつける。それは逆三尊の頭となっていた。
 ここに消費地市場と生産地市場の悲哀がある。為替の関係から、国内の大豆相場が上向きになるには少し時間が必要だ。
 小豆市場も10月末までは戻るも、そこが戻りの限界。下降局面が続く。
 この年の10月、つかこうへい原作「蒲田行進曲」を深作欣二監督が映画化。この作品のクライマックスは「階段落ち」なのだが、この時、東京の穀物市場は「階段落ち」の真っ最中であった。

昭和の風林史(昭和五七年十月二十日掲載分)

2018年11月15日

各市場建玉の老齢化現象

小豆は強気が増大しているから案外な崩れがくるかもしれない。輸大期近は天井。

商品によっては大きな取り組みがしこって玉の回転が利かない。

これは一種の建玉の老齢化現象である。

限られた投機資金が塹壕の中に張りついているから薄商いが続く。

小豆も極度の薄商いである。

もともと組織セールスによる小豆売買の委託は少ない。いまの小豆はマバラ大衆とはいえ、みな玄人である。その玄人の玉が塹壕の中で張りついている。

生糸、乾繭、砂糖、ゴム、そして輸大―と他市場に動員をかけた大隊も中隊も増証規制や相場動かず、まるで〝討匪行〟の歌の文句、どこまで続くぬかるみぞ―である。

建玉の老齢化は、相場の劇的な動きによるショック療法で若返るしかない。市場に酸素を吹き込むわけだ。

さてこの小豆相場、強気の人が多くなった。筆者も強気的見方をしたが、どうもいま一ツ相場に活力がない。これは薄商いだから―というだけの理由ではなさそうである。

大きなトレンドからいうと、二万八千円を割るコースを残している。

自由化問題、中国小豆の売り意向、台湾の作付け、北海道の売りもの、実需不振、薄商い―。

このようなものがミックスされて、万人予想もせぬ暴落が、ある日突然襲来するかもしれない。

値頃観、底入れ観、そして希望的観測による強気は、木っ端微塵に砕け散る時があるような気がする。

仮りに期近限月が三万円に乗せても三万百円、二百円絶好売り場となろう。

輸入大豆は名古屋の当限など品物がないというのに山高ければ崩れも厳しい。大阪当限も天井打ちである。当然二番限の崩れも見えている。ゆれ戻しを売るのが判りやすい。

●編集部註
 「討匪行」とは一体何かと調べると軍歌であった。
 その昔満州事件の頃、中国の抗日ゲリラの事を「匪賊」と呼んでいた。その匪賊を討つ行動の歌なので「討匪行」となる。
 ちょっと驚いたのは、作曲したのが日本のオペラの草分けにして世界的な歌手であった藤原義江という点。妹尾河童のお師匠さんでもある。
 当時は軍国歌謡という所謂プロパガンダソングがジャンルとして人気で、「討匪行」の作詞はアララギ派の歌人にして陸軍軍属であった八木沼丈夫が担当。この人物は戦時中に〝宣撫官〟という役職に就いていた。
 戦時中のプロパガンダは辻田真佐憲氏の『たのしいプロパガンダ』という本に詳しく載っている。

昭和の風林史(昭和五七年十月十九日掲載分)

2018年11月14日

小豆は強いのか重いのか

小豆は大衆離れである。相場に夢がない。輸大期近は暴落のシグナルを出している。

小豆相場が非常に難かしいところである。

先週13日、夜放れ高してのS高は、閑な市場がアッと息をのんだ。

しかしそのあとは再び薄商いで玉の出具合いによる小高下。

S高の勢いからすれば三万円大台乗せ必至と誰でも思ったはずだ。

十月1日の安値を七月19日安値に対比して両足つきの秋底と判断する人は、当然押し目買いの姿勢であるが、現物の売れ行きという実勢面を重くみる人は、期近限月が仮りに三万円乗せしても三万二、三百円あたり再び売り場になるとみている。

一般的には、基本として押し目買いなのか、それとも戻り売りなのか、なかなか決めかねている。

極端な弱気をいう人は、まだ大底が入っていないから、二万八千円割れはあるし、二万五、六千円という昔の相場に戻る可能性もあるとしている。

ともあれ判断がつきかねる時はポジションを持たないことである。

輸入大豆の10月限は大阪に予想外の現物が草木もなびいて集まりつつある。

罫線当限は煎れの出た姿。買い方は背水の陣で受けるだろうが、納会カイはなを商社筋は予想している。二番の11月限も暴落線のシグナル。

東京、名古屋、大阪当限は天井でよくやるユレ戻しがあっても売り線。二番限が極端に悪い線。

中国は売りたい気持ちがありありと見える。来月に入ればIOM新穀が入荷する。実勢遊離の異常逆ザヤは、いつまでも続くものでない。売り過ぎた取り組みもほぼ踏み終わった。

●編集部註
 相場とは全く関係ない話だが、この年の10月は、
その後の日本のテレビ史に名を残す番組がいくつも始まっている。
 新宿アルタで「笑っていいとも!」の生放送が始まったのがこの年の10月。この番組は4年前に終わったが、司会者として31年半も平日の昼間を担当したタモリはこれでギネスブックに載った。
 「笑っていいとも!」の初回放送から4日後、テレビ朝日で「タモリ倶楽部」が始まった。この番組は現在も続いている。
 関西ローカルでは笑福亭鶴瓶が司会の「突然ガバチョ!」の放映開始が同じくこの年の10月。地方の番組がその後、東京をはじめ他県でも放映される先駆けとなった。
 TBSからフリーになって数年。日本テレビで「久米宏のTVスクランブル」という冠番組が始まったのもこの頃。ここでの活躍が、その3年後に始まる「ニュースステーション」に繋がる。

昭和の風林史(昭和五七年十月十八日掲載分)

2018年11月13日

煎れたら輸大も天井打つ

輸大は、かなり煎れが出た。反落に転ずると真空逆さ落としになる。小豆は微妙。

輸入大豆当限の棒立ちは典型的な煎れ相場である。

大阪当限は八月17日安値三千七百七十円から二千五十円高。

線型は三段上げの最終的踏み上げ化け線。特に今月五日からの連続陽線一気に千百円幅を買った勢いは、売り方失神である。

旧穀の需給逼迫と売り過ぎた取り組み。強力買い仕手の作戦勝ち。

思えば叩かれ叩かれてきた買い大手だった。恨みは骨髄にしみている。

遺恨なり十年一剣を磨いてきた格好。

環境としては商社の体力が弱っていることや、商社の穀取離れが素地としてある。

輸大に限ってスクイズなど成功するためしがないという安心売りも災いした。

しかし、ここまできたら、穀取相場の当限大幅逆ザヤが影響するところ大である。取引所は増証規制を打ち出し異常性の鎮静化に乗り出した。

今年の夏には小豆市場で大不祥事件を起こしている。いままた輸大市場で世間の非難を浴びるようなことがあっては、先物取引に対する不信感はつのるばかり。

売り過ぎたとがめであり、需給逼迫に違いないが、実需が手の出ない値段ともなれば、売り方も煎れ、買い方も玉を合わせ鉾を納める段階であろう。

現在、生糸市場では売りと買いの大きな玉が対峙したまま商いたるや微々、手の出しようがない。

市場がこうなってしまうと取引所機能が麻痺して市場利用者も投機家も寄りつかなくなる。

取引所も主務省も、この異常性を解消すべく努力を続け、売り方、買い方また自粛の姿であるが利害の伴うことだけに難航した。

しかし、輸大にしろ、生糸にしろ大衆はシラケてしまった。本当は、これが怖いのである。

●編集部註
サラリと「商社の穀取離れ」と書いているが、これがどのような恐ろしい結果になったかは、今これを読んでいる取引関係者は痛感していると思う。値決めは重要なのだ。
 悪貨は良貨を駆逐する、とはよく言ったもので、本来市場(しじょう)は適正な取引を行う場所であり、流通を円滑化し、国民の生活を安定化するためにある。投機はその手段に過ぎず、前面に出過ぎるとロクな事がない。
ただの博打場になっては困るのだ。そのため悪用者をしっかり取り締まり、監督する必要がある。実際、米国のCFTC(商品先物取引委員会)にはFBIから出向組もいるという。優秀な審判は、日本にいたのだろうか…。

昭和の風林史(昭和五七年十月十五日掲載分)

2018年11月12日

輸大期近も生糸も山場か

輸大期近と生糸期近が役所にとって頭いただ。両方とも山場である。

百鬼夜行という感じを受ける昨今の商取界の各市場。超閑散の小豆が一夜明けたらストップ高。

輸入大豆期近限月は実勢遊離の大逆ザヤ。

生糸市場は売り方、買い方にらみあい。

東京砂糖市場の粗糖は、ひやかしみたいな売りの手ぶりをガバッと取られてしまうし。

お役所のほうも関係取引所も困った困った当限の玉がほどけぬことには。

今年は荒れ狂う年というわけか。円相場に金相場。そして政局は一寸先は闇だし。

ところで小豆だが、ある事情通、仕手関係について、買い方スルリと抜けてしまうかもしれないよ―と。仕手関係だけでみるならば、これこそ一寸先は闇である。

しかし相場つきや日柄、そして二万八千五、六百円を売り込んでいる取り組みなどみると、三万円大台乗せの相場といえよう。

輸入大豆にしても安値売り込み型の取り組みが踏まされている。

要するに売り過ぎのとがめである。

大豆の環境としては旧穀の需給逼迫を騒ぐ割りに実需離れで、ここまでくると買い方仕手の乱暴が非難されだす。

穀取も市場管理面で厳しい姿勢をとらざるを得ん。

なぜならば実需筋の突き上げがきつくなるからだ。

買い方も、ここまできたら、ほどほどにすべきであろう。

十分これで勝ったのだし、煎れに向かって玉も抜けられるのであるから、戦況有利のうちに終戦すべきでなかろうか。

生糸期近限月は15日か18日あたりに、なにか流れが変化する可能性が濃い。

売り方の手には意外なほど速いピッチで現物が集まっているそうだ。役所の動きもあわただしい。

●編集部註
 手ぶり、といっても何の事やらもう解るまい。
 平成もバブルに浮かれる直前くらいまで証券取引所も商品取引所も手と指の動きで注文を入れていた。1990年に倉本聰の脚本で日本テレビで放送されていたドラマ「火の用心」で石橋貴明が演じていたのが東京証券取引所で働く手ぶりの証券マンであった。
 筆者がこの業界に入ったのが1997年。商品取引所ではゴムの板寄せ取引が箱崎の仮設取引所で行われており、その模様を見学に行ったことがある。さすがに本文中で出て来る「乱手」まがいの取引はなかった。
 更に鎧橋を超えて東京証券取引所に行くと、「手ぶりロボット」というちゃちな機械が注文の仕方を解説。嗚呼、お金が余ってるんだなと思った。

昭和の風林史(昭和五七年十月十四日掲載分)

2018年11月09日

秋底確認で小豆軽やかに

小豆の足の軽さは、ただごとでない。このような相場を弱気すると大怪我します。

小豆相場が急変した。

夜放れ上寄りして伸びきった力は、ただごとでない。

このような場合は理屈なしについていくのが本筋。

きのうまでは、きのうまで。きょうからはきょうである。

相場が変わったのに、きのうまでの強弱を、引きずっていたのでは、相場に勝てない。

十月1日安値は、七月19日安値に対して両足つきの二点底だった―ということになる。

悪材料も織り込んでしまった―というわけだ。

そして天高く底を買いたい秋底であった。

薄商い続きで売り込みが足りない気もするが、むしろ、この上げ過程で売り込んでくるのかもしれない。即ち戻り売り人気。

どのあたりまで行くかといえば十月1日安値から三千丁高近辺。

小豆は腐っても鯛である。小豆に人気が寄らなければ商取業界活気が出ん。

来月は待つこと久しい六限月・全艦揃う。

司馬遼太郎が『菜の花の沖』で吸う息、吐く息が細くなると人間、萎(な)えてしまう―と。

わが小豆業界に限らず商取業界全般は、なんとも息をひそめて、段々影が薄くなっている。

大きく息を吸って、はきださなければ業界が萎えてしまう。

この小豆、売るべからず。押さば、買いあり。

輸入大豆は当限内部要因(売り過ぎ)が踏み終わると品物はないない言ってもあるのだから実勢不振に逆らって指し過ぎれば、相場には勝ったが、勝負に負けた―ということになる。

買い大手としては、このあたりが潮時でなかろうか。煎れの出た相場は、魂の抜けた、むくろのようなもので、あとは買うほど重くなる。

●編集部註
 〝売り込みが足りない気がする〟とは鋭い。まるで潮を見る老練な漁師か百戦錬磨の船商人の言葉のようである。
 今となってはチャートが残っているので、この読みが正しかった事が既に分かっている。
 唐突に司馬遼太郎の『菜の花の沖』が登場するのは、この小説が1979年から82年1月までの間、産経新聞に連載されていたからである。
 昔、新聞連載ものは一大コンテンツであった。
 古くは大正時代に朝日新聞が連載していた夏目漱石の「こゝろ」が有名。日経新聞に連載されていた渡辺淳一の「失楽園」もこの系譜に入る。
 いわば、当時の人達の「共通言語」である。

昭和の風林史(昭和五七年十月十三日掲載分)

2018年11月08日

輸大二番限など売り時だ

輸入大豆期近は煎れ相場。当限など生糸八月天井に見せたのと同じ線型である。

輸入大豆10月限の火薬庫に火が入ってS高の煎れ場面。

10限一代の日足は、さながら八月上旬に見せた生糸の天井取りの線型と同じ格好である。

市場人気は輸大前二本に対して、まっ赤な炎のように強くなった。

売り過ぎだ。品物がない―と。

しかし、このように人気が強くなった時分が、相場としては〝売り時〟である。

当限は買い方が煎れを取りながら受け切って、来月に戦線を延長すれば…売り方は、たまらんだろうという。確かに当限の一連の売りは、踏まされるのが見えている。砂糖売り、小豆売りで連勝してきた筋だが、どっこい輸大当限は不覚にも掴まっている。

輸大市場が荒れているから小豆のほうは超薄商いで、少々の玉の出具合いによる値付きだ。

これも、一段安ならば買いたい。戻れば売ろうの気持ちが見える。

小豆の週間足は七月19日安値と十月1日安値が両足つきで、本当なら底型といってもよい。

これは、去年の秋の両足つきの大底と同型でもある。

仮りに先日の安値が底であるとしても、売り込みが不足しているように思う。売り玉は、むしろ利食いしてしまい、高値の買い玉が引かされて辛抱している姿は、相場出直りに、ほど遠い感じでもある。

ただし、なにかのインパクトが今の相場を刺激すると値が宙に浮いているだけに急伸する可能性なきにしもあらず。

これは相場が煮え詰まって悪材料を織り込んだ時に発生する現象である。

ただし、今その事を考えて買うのはどうだろうか。なんとなく、もう一段安に放れる格好の罫線に見えてしょうがないだけに、あわてることもなさそうである。
●編集部註
 社会も、相場も漠然と、空気が澱んでいる。
 この前の週、夕張炭鉱が閉山した。
 今でこそ石炭は新たな活路が見出されているのだが、この頃の炭鉱は完全な斜陽産業であった。
 各地の炭鉱町は生き残りをかけた模索が続く。
 関東で生き残り策で最も成功したのが福島県常磐炭鉱であろう。76年に閉山したが、掘削時の厄介者であった温泉を利用して「常磐ハワイアンセンター」を作り、今も「スパリゾートハワイアンズ」
の名で年間150万人が訪れる観光地になった。
 夕張メロンも生き残り策の一つであった。既に一部で有名になっていたが、炭鉱閉山と同じ年に全国出荷が可能になり、一大ブランドとなる。

昭和の風林史(昭和五七年十月十二日掲載分)

2018年11月07日

小豆相場の先行き如何?

小豆相場のこれから先の事を考えてみると、秋底入れにはなるだろうが、冴えない。

日柄薬というけれど、小豆の限月も来月くれば六本揃う。

七月解け合いから、ひっそり息をひそめてきた感じだった。

相場のほうは、そのような時だけに元気のよい上昇などありようがなく地すべりが続いた。

作柄も悪くない。大幅増反。不景気による実需不振。

そして市場管理面の強化と人気離散など、更には産地の売り物が値を崩し、自由化問題が不透明。

行政のほうとしては次期枠操作で相場下落に歯止めをかけなければならないが、これとて今すぐ決め手がない。

市場内部要因は、買い玉すべて水つかり。

これでなお一段安に崩れると、辛抱組も気力の限界がくる。

二万八千円ラインを割るのは、多分、買い方の投げによってであろう。

その時の出来高が比較的多ければ、秋底になるかもしれない。

しかし雑豆自由化という方向が強く出るようなら、根底から相場を考え直さねばならない。

去年は10月19日と11月19日の二点底。綺麗な秋底だった。

まだ、あの頃は市場に元気のよい人が存在した。だから相場の出直りも足早やに二月10日まで買った。

今年、仮りにこの先秋底入れたとしても、去年のような精気ある出直りが期待できるだろうか。

余程、安値で売り込むとか、強力な行政が打ち出されるかしない限り、雑豆業界の体力も、商取業界の体力も弱りきっているだけに、下げの反動、自律戻し程度でないかと思ったりする。

●編集部註
 秋風が吹いている。
 それは商品業界における厳しい冬の時代の幕開けを告げる風であった。
 この年の2月から続いていた小豆相場の下げトレンドはまだ終わらない。10月の頭に切り返すも、下旬には反落し、更なる下げを指向する事になる。
 話は変わってこの年のこの日、当時ロッテオリオンズに在籍していた落合博満が首位打者・最多本塁打・最多打点の3つのタイトルを獲得。三冠王に輝いた。この記録は、1938年から現在まで11回しか作られていない。ただこの11回中、落合は82年、85年、86年と3回三冠王を獲得している。
 落合以外で複数回三冠王を獲得した選手は巨人の王貞治と阪神のランディ・バースがいるが(それぞれ2回)、なかなかに達成出来ない記録である。
 95年にイチローが寸での所で三冠王を獲得出来なかったが、この年の首位打者・打点王・盗塁王・最多安打・最高出塁率の五冠を達成している。

昭和の風林史(昭和五七年十月九日掲載分)

2018年11月06日

輸大二番限売りに妙味が

小豆相場は、もう少し日数をかけて下値探りという相場つき。買うにはまだ早い。

円相場が反騰に転じた。

円も相場なら大下げのあとは底入れ→大出直りとなろう。

要するに相場の流れが変わったのである。

輸大期近限月がマバラ筋の煎れと商社筋の売りヘッジはずし(買い戻し)で大阪当限は日足陽線三本立てた踏み上げの上値を新値に買った。

名古屋当限は九月28日高値を一文抜いて十月7日二番天井型。これが百二十円割れから売り線になる。

東京二番限も、つれ高で半値戻しの三百十円を買うかと思ったが四千二百三十円を割ると下げに速度がつくだろう。

長期限月のほうは、円安で買った分を、これからの円高で帳消しにする。

輸大は、だいたいそんなところで、火薬庫大阪10限も強気がふえ過ぎて心もとない。

皆が皆この10限輸大の上を大きくみている。買い主力としては逃げ場の急所でなかろうか。

いやいや受けて総煎れを取るのだ―と、ここまで仕上げたら手を緩めるわけにいかないかもしれないが、もの事腹八分という。執拗は益を受くることなしの現実を過ぎし七月小豆でも見てきたし、生糸の静岡筋の例もある。

大阪10限四千八百円割れから逆落としに入る格好。

小豆は薄商いとはいえ生糸に比べたらまだよいほうで、生糸となったらできない時は、ほんとにできない。

その点、小豆は投機層というか、小豆マニアの層が厚い。いまのところ下値探りで、二万八千円を割ってよし、割らずもよしのところ。実勢としては、まだ買えるところでない。

生糸は硬軟にらみあいで玉がほどけない。
来週は多少とも変化のある動きになりそうだ。なにかそのような材料が出そう。

●編集部註
 以前も書いたが、風林火山は晩年、音楽を聴きながら原稿を書いていた。
 もしこの時、音楽を流す事が出来たなら、R・シュトラウスの「ツァラトゥストラはかく語りき」を流していた気が。さながらそれは、映画「2001年宇宙の旅」のイメージだ。行間から、予測していた事象が遂に始まったという心情が伝わる。
 「2001年宇宙の旅」は70㍉という通常の倍のフィルムで撮影され、シネラマという特殊な方法で上映された。昔は東名阪に専門映画館があったが、東京と大阪の劇場は昭和56年に閉館している。
 公開から50年経って、この作品は11月1日まで全国のIMAXシアターで上映されている。

昭和の風林史(昭和五七年十月八日掲載分)

2018年11月05日

輸大期近は警戒ラインへ

輸大は円安と煎れ高で人気は非常に強くなっているから盛りのよいところを売る。

小豆は二万八千五百円中心にジグザグして、その間に行政の方向や一元集荷の成り行き、あるいは自由化問題、次期枠など諸般の情勢を手探りするわけだが、小豆相場に対する人気が盛り上がらなければ薄商いの中での出回り最盛期だけに、産地のちょっとした売り物で相場は軟化してしまう。

いまの相場は、買う人は買って引かされているから黙って辛抱している。

売っていた人は、まだそのままか利食いして、利食い組は二万八千円割れを買おうか、それとも二万九千円台の戻りを待って、売り直すか待ちの姿勢。

気分としては、今年の二月以来、小豆の強気好きは苦しきことのみ多かりて心労続きだ。
大勢トレンドが大なだれだっただけに、買うのが好きな人は激流に、ただ押し流されてきた。

本年は六甲伝によると三月甲で安回り下げに向かうとある。そしてその相場が実現した。

取るだけ取ってきた人は、魚の尻尾まで取りにいくことはない。

二万八千円割れがあろうとなかろうと、みておくのがよい。

輸入大豆は円安で押し上げている。

これで強気にさせられると、あとがひどいと思う。

期近に対しては絶対の買いだ―という強気ばかりになった。

人気がこんなに一致して強くなった現象を警戒する。

ワンサイクル買うだけ買ったあとの反落、期して待つものあり。

円相場も反騰に転ずればあれよあれよとなろう。

生糸のほうは今月の渡し物が二千俵ないし二千五百俵という予想。

買い方が今月も受けてしまうと当限は当然高納会だろうが、来月も三千俵の渡し物予想だけに大変だ。

●編集部註
 相場が細かくなると、必然的に相場の見方も細かくなり、当然記述も細かくなる。

 玄人さん、マニアさんには良いかも知れないが、素人さん、ご新規さんにはきつい展開である。

 休むも相場だが素人はそんな格言を知らない。成績と生活がかかっている先物営業マンはせっつく。ならば、と手がけて負けてしまい、商品先物市場から退場する。

 こんな流れだろうか。

 自虐的な記述だが、事実、ここでお客様を大事にした会社は今も生き残り、大事にしなかった会社は駆逐された。

 マニアや玄人しか相手にしなかった会社も衰退していったように思う。