昭和の風林史(昭和五八年六月十一日掲載分)

2019年06月25日

小豆は三万円吹き抜けへ

小豆が一番判りやすいし三万円乗せが早い。輸入大豆も基調が非常に強い。

円続落で精糖、ゴム、輸入大豆が熱狂高。

見ていると、なんだかんだと自己玉ポジションは逆境にある。

強弱を持った玉に対してただ単に機械的に相対する自己玉は概して成績が悪いのは当然だろう。

小豆の急上昇に対して市場は無条件強気になりきれない。

ひとまず踏んではみたものの、また売りたいという気を引きずっている。

小豆東西合計自己玉売り九千二百枚に対して買い三千四百枚。この差がグンと詰まるはずだ。

作付け面積の増反と密植が気になって相場が高ければ高いほど玄人筋は売ってくる。

しかし発芽後の低温や降霜あるいは降雹、長雨など油断ならないだけに、作にキズがついたとなればS高二連発ぐらいやってしまう。

近畿地方は百年来の旱天だそうだ。気象専門家は昭和48年に似ているという。48年の北海道は悪くなかったが狂乱物価(石油ショック)で商品相場は荒れ狂った年である。

いまの小豆は押したら無条件買い。

とにかく若い相場についていけ。目立つあの店の売り玉も、この店の売り玉も踏み終わるまでは息の長い相場が続く。

第一の目標先限三万円乗せ。小豆の長大波動はだいたい六千円幅だから今夏三万二、三千円はあっても驚くに当たらない。

輸入大豆の動き足が荒々しい。シカゴは押し目完了。円安背景に日照り続きの夏は豆腐の需要も伸びる。また豆乳の需要も爆発的なのびである。

輸大の波動はテンポの速い上伸トレンドの中に安定した姿勢だから、これに火がついたらポンポンS高でいく。それは来月かもしれないが、もう下に用のない相場である。他商品も面白いが穀取が最高だろう。

●編集部註
 とにかく若い相場についていけ―。
 銘柄は違うが、1999年9月中旬からの東京金相場がこの時の小豆相場を取り巻く市場参加者の心理状態に近いのではないかと思う。
 読者の方々の中には、この頃の情景を覚えておられるかも知れない。
 99年9月16日に先限価格で836円を記録した東京金は6営業日後に905円まで上昇。ストップ高に張り付く。〝買えない相場は強い〟の典型例となっていた。
 同年12月にも、同様の相場展開が出現している。この時は、904円から3カ月弱の日柄を要して1095円まで上昇。穀物相場と違い、現物が腐らぬ銘柄には強みがある。

昭和の風林史(昭和五八年六月十日掲載分)

2019年06月24日

小豆は大行進のマーチが

小豆10限の八千円抜けも11限の三万円乗せも約束されたような大底脱出のマーチ。

小豆相場は安値に叩いておいて強力陽線三本を立て、しかも千円棒である。

安値から連続陽線三本は三兵行進といって買い線の一種。

ところが今回の陽線三本は化けものみたいな三兵で、まさに三兵の巨人だ。

なん十年の相場経験に、そう数々出るような買い線でない。昔なら『嬶質入れても買い』というわけだが寄る年なみではそうもいかず、さしづめサラ金梯子(はしご)してでも―となるが、それはいけません。

まあそのぐらいの意気込みで強気すべき線が出たと判断していただければよい。

あとは噴き上げれば押すし、押せばまた上伸する。それは相場に底が入ったからであり、基調が上向き、上昇トレンドに乗ったからである。

弱気の人は相場がゆるむと、すかさず売ってくるだろう。その売り玉が次なる上昇のエネルギーになる。従って、弱気が多いほどスケールの大きな相場に成長する。

なにがどうだから、なんなのだ―という理屈を知りたがる。

硬材料はあとから貨車でくる。荷が着いた時には納得だろうが値はもうその辺にいない。

取り組み増大。低温被害。売り込みすぎた取り組みの煎れ。ホクレンもびっくりの相場になる。

増反、密植が売り材料だったが、密植弊害が出るかもしれない。

10月限が大納言の捨て場月というけれど冷害・凶作なら、大納言様々になるし、捨て場限月が早いもの勝ちの買い場限月になる。

足かけ三年、丸二年も下げたのだから11限で三万円乗せは軽いだろう。

輸入大豆もシカゴ安で売られたところは買い場である。小豆のほうの足は速いが輸大とて各駅停車が特急に編成変えされる。

●編集部註
 ここでいう「三兵」とは酒田五法における「赤三兵」と呼ばれる線形の事を指している。罫線上にこれが出ると「相場はここから上昇に向かう」というメッセージになる。
 実際、当時の小豆相場はこの三兵から修正後に飛翔を開始する。買い方には極楽、売り方には地獄のような罫線がこの一カ月で出現する事になる。
三兵以外に「三山」「三川」「三空」「三法」の5つで酒田五法となる。
とはいえ、本文でもあるように、わかっちゃぁいるのだが出来ないという相場心理も働く。
誤解を恐れずに書くと、「おっ、三兵だ」と取引に参入する者が多ければ多い程定法通りに相場は動かず、少ない程定法通りに動く。

昭和の風林史(昭和五八年六月九日掲載分)

2019年06月21日

小豆は三万円時代の開幕

精糖の次の目標は二百40→50円。小豆は先限とりあえず八千円乗せ。輸大上昇過程。

うまいものは宵のうちに食えというが、S安であれほどあった精糖の売り物が次の日小確りに寄り付くと、おやおや売り物どこへ行ったやら。

もう一発とはいわないまでも次の日の安いところで利食いしようと待った人は外電小堅いのを見て逃がした魚はさぞや大きかっただろうと思う。

要するに相場は人気である。精糖先限の二百二円~三円あたり以下買っておきたい値段。

当業者筋は、外糖天井打ちと見て、定期も弱い見方のようだ。末端現物が売れない現実を相場にはめる。

しかし相場は別。二百円は割れない。

シカゴ大豆期近は、二、三㌣でよいのに六㌣ほど押したが、これは別条ない。仮りにもう五㌣押しても、この相場は上に行く準備をしている。

いまそんな事をいうと人は笑うだろうが、今夏の大豆は作付け遅れだけに発芽後のトラブルは、この異常気象下、随分きわどいことばかりと思うし一九八三の三のつく年の歴史を見てもおだやかに済むはずがない。

国内定期の八千円。シカゴ11㌦。円二六〇円―どうだろう。シカゴ取り組み五億B、穀取三市場二十万枚になった時、そのような相場の実現性が一歩近づく。

小豆は不思議な相場だと思う。五月26日の底入れでよいのに戻り方がぬるいというのでぶっ叩かれ六月3日のS安はキモを冷やした。二連休の休みのあいだ色々考えさせておいて6日朝もう一発下寄りさせ、弱気は四千円必至、いやあと二千丁下と本気にさせたが、切り返しもきつく、なんの事ないもとの水準に戻っている。

投げさせて、安値売らせて相場は皮肉だ。

産地の地温低く発芽遅れや中旬の低温でとりあえず八千円に乗せる先限である。

●編集部註
相場の人気も、景気も、字面では〝気〟が付く。
〝気〟は重要であり、もっと言えば、世の趨勢は押しなべて〝気〟であると言い切って良いのかも。
〝気〟が遣える者と遣えない者の違い。
\空〝気〟が読める者と読めない者の違い。あるいは空気を「読まない」所業で難局を乗り切るという荒業もある。古人が格言に遺した「阿呆になって買え」―というものはその代表格といえよう。
 「相場の常識は世間の非常識」「麦わら帽子は冬に買え」等々色々と言われているが、共通しているのは、精進して感覚を研ぎ澄まし、英〝気〟を養っておく事なのであろう。

昭和の風林史(昭和五八年六月八日掲載分)

2019年06月20日

精糖は明日の安値買い場

小豆取組漸増を刮目。輸大上昇トレンドの中。精糖は明日からの安値再び買い場。

シカゴ大豆期近の罫線はほんの目先二㌣か三㌣押してくれると更に申し分ないのだが、押す間も惜しいと上伸速度を速めるかもしれない。

それならそれでよいわけで現地あたり六㌦30が一ツのフシと見る見方もあるが、筆者の線にはそのあたりなにもなく六㌦40から50に駈け登ると見ている。

そしてシカゴ取り組みが増加しだせば、愈々判りやすくなる。

穀取相場は完全な上昇トレンドの中に入った。

注目すべきは東西とも自己玉先限は買いだ(ということは大衆が先限を売っている)。なぜ先限に対して弱気になったのか。恐らく八、九、十限を買った玉が引かされて、輸大とは売るものなりとまた悟ったのでなかろうか。

ところが相場は意地悪くできていて、みんながその気になったら上にいく。

輸大七限の四千円台の玉も八限四千百円台も、あるいは九、十限の三百円あたりの買い玉は全部蘇生するし、もっと早く楽しようと思うなら今の水準の先限買いで難平かける事だ。

さて小豆であるが、これは万人予想もしない展開になると思う。

二千丁やそこらの引かされ玉は忍の一字の辛抱薬にすれば薄紙はがすように追証もほどけてくる。

すでに六月崩しを終わったあとだ。怖いものはなにもない。でき得れば買い難平かける気迫がほしいところ。

砂糖はどうだろうか。精糖は明日(9日)あたりからの安値買い場になる。

先限二〇〇円は割れない相場と見た。

NYの足取りが大股になって将来の大相場を暗示している。飛んであけた窓を埋めれば再び上伸だ。

国内砂糖もここでの押しが二二〇円→二四〇円挑戦の頑強な足場になるだけに売り込みは大歓迎。

●編集部註
 一度底打ちした相場は、その後糸の切れた凧のように浮上していく―。
 〝押してくれると更に申し分ないのだが、押す間も惜しいと上伸速度を速めるかもしれない〟という文言、現在我々はこれを金相場に見ている。
 買うにやぶさかではないが、買った途端に下がるのではないか―という心理が買い参入を躊躇させる。そして「買えない相場は強い」という格言通りの相場展開になる。
 阿呆になって買え―という格言もあるが、阿呆になり切れない自分がいる。そんな局面に何度遭遇した事だろう。ただ、相場は運・鈍・根とはけだし名言で、運が良ければ何処で動いても勝てる。

昭和の風林史(昭和五八年六月七日掲載分)

2019年06月19日

輸入大豆は上昇トレンド

小豆は買い玉辛抱する木に花が咲く。輸入大豆が流れを変えてきた。強気の時代へ。

小豆の強気は声はないけれど、ここは忍の一字。今なにを言ってもはじまらん。なにかを言えば愚痴になるか気やすめ的になる。愁眉を開くのも遠くないと信じている。

輸入大豆の足が軽くなった。

月初早渡し攻勢で随分叩かれたが、叩かれても叩かれても、もう下がらんという水準に達したことが、その後の値付き具合いで段々判ってきた。

シカゴの取り組み減は高値買いつき玉の整理進行を物語る。

あとはシカゴ取り組みの増大を待てばよい。

穀取定期は中豆圧迫も四月納会のシコリも、持ち下げならぬ関西にトグロを巻いている中豆証券玉も言うだけ言い尽くした。

大阪先限四千円。東京先限四千百円が実に固いのも、物の値打ち採算と、将来に対する思惑が万人この値段なら買っておけばよいという衆目の一致した値段だからである。

輸大トレンドは二カ月にわたる下げに別れを告げていることが愈よ鮮明になってきた。

ところで砂糖はどうか。六月新甫S高の中で先限がサヤを買われ過ぎた。

ああいうのを群集心理というのであろう。

いまその反動である。

先限は高値から10円ほど下げるところであるが、八、九限あたりも10円下げがあるのかどうか。

材料としては今月中下旬に判明する欧州ビートの含糖テストの%がどの程度下がるのか。

ヨーロッパの天候がやや回復してきたから外糖は目先売られるかもしれない。内外ともに過熱化したあとの玉整理場面である。

ゴムは新甫買い気を燃焼した相場で、38~39円から52~53円あたりへの上昇はいってこいで、もう一度下値を取りに階段降りよう。

●編集部註
 風林火山が「タイガース相場」と揶揄の対象にした1983年のプロ野球。熱狂的なファンが阪神甲子園球場に押し寄せる中、パリーグの球場は今と違って連日閑古鳥が鳴いていた。
 スカスカの観客席で流しそうめんを興じる模様などがひとまとめに編集され、フジテレビで『プロ野球珍プレー好プレー大賞』という名で初めて特番化したのは1983年である。
 世界的な好プレーもこの年に記録されている。
 1983年6月3日、阪急ブレーブスの福本豊が通算939盗塁を記録して世界記録を更新。時の中曽根首相は福本に国民栄誉賞を打診する。
 しかし、この打診に対し福本は『立ちションベンもできんようになるがなぁ』と断ったという。

昭和の風林史(昭和五八年六月六日掲載分)

2019年06月18日

小豆急騰まさに接近せり

小豆の買いが早い勝負になろう。今週S高もあろうか。輸大も強気の時代に入る。

輸入大豆はタイガース相場(人気ばかりで勝てない)などと狂信的タイガースファンがいうのだから困ったものだ。干支(えと)でも13年すれば寅年がくるのに19年しても優勝にとどかない。

ところがこの輸大は阪神タイガースと違って、熱狂的人気に必らず報いてくれるから、辛抱が肝要。

輸大の弱気は、もう店じまいしなければならん。

これからの相場は買いの一本道。シカゴがだいたい底を取った。六㌦18を買いきると上昇気流に乗る。

作付けが遅れているのが心配だ。シカゴの取り組み四億二千八百Bは極限である。オピニオンも陰の極。

シカゴがひとたび買われだしたら国内はウもスもあったものでない。

新甫早渡し攻勢でぶっ叩こうとしたが、どっこい値頃の抵抗がある。孝行をしたい頃に親はなし。

買い玉を投げたあとから値は戻し。そんなものである。輸大自己玉大量売りがいずれ悲鳴をあげよう。

小豆が非常に判りやすい。今週あたりから産地天候を材料にピッチの速い上げに向かうトレンドに入るから、いつまでも今までのような態度でいるとS高を喰らうかもしれない。

底が入った相場は天井打つまで上がる。3日に十勝の一部で氷点下。相場は無関心だったが、これが怖いのだ。
敢えていう。小豆暴騰まさに接近せり。

精糖は大衆筋が買ってきた。どうしても人気張りすると高値掴みになる。

大勢的には強気でよいが目先は頭から10円ほど押すみたいだ。

ゴムは買い上げても今はまだ息が続かない。

●編集部註
 ご存知の通り、この原稿は大阪の地で綴られている。この頃、関西には兵庫県西宮市に阪神タイガースの本拠地である甲子園球場と、阪急ブレーブスの本拠地である西宮球場があり、大坂市内では難波に南海ホークスの本拠地である大阪スタヂアムがあり、そこから少し離れて近鉄バッファロ ーズの本拠地である藤井寺球場があった。
 つまり、関西5大私鉄のうち京阪電鉄以外全てプロ野球チームを持っていた事になる。
 ただ、阪神を除けばあとは全てパリーグ球団。人気は阪神一強だった。しかし1964年以降、1985年まで優勝経験がなかった。
 この頃大坂では、よしもとの芸人がテレビでジローズの「戦争を知らない子供たち」の替え歌で「優勝を知らない子供たち」を歌っていた。

昭和の風林史(昭和五八年六月三日掲載分)

2019年06月17日

輸大の売りは店じまいを

小豆は予定のコース。輸大の売りはぼつぼつ店じまいしたほうがよい。砂糖厳しい。

シカゴやNYの人気指数(コントラリーオピニオン)五月31日のそれは砂糖五週続いて82という圧倒的強人気。制限値幅を拡大したとたん逆さ落としで国内精糖も前日S高のフダを返してS安。

S安で売れない分を制限値幅のない東京粗糖当限に売りヘッジする。

NYは目先天井。ゆれ戻しを入れて、それが垂れ込むと戻り天井型で下も割り合い深くなる。

古今東西総強気になった相場は裏が出るものだ。

前記人気指数ココア85、コーヒー80。いずれも反動がくる。

国内精糖は一八〇円の二割高二一六円はトレンド上でも素一の売り場だった。

八、九限二〇二~三円。先の二〇六~七円あたりは考えるところ。

小豆が産地低温で売り警戒人気になりつつある。

期近売りを仕舞って先に乗り換えという手口も見られるが、底が入って出直る時は限月も古品・新穀の差別なしに上がるものだ。

買いさがり組は投げたりせんから、要するに売り方根気負け。

そのうち市場のムードが手の掌返したように強材料を必らず言いだす。

取り組みも肥えてきて逆ウォッチのチャートも買いなら節足新値も45手で先月26日大底している。

あとは硬材積んだ貨車の着くのを待てばよい。

輸入大豆はシカゴ人気指数36。円31という弱人気。シカゴ大豆取り組みがまだ減少中。これがどこで底つくか。期近六㌦寸前で総投げ→大底打ち。それが刻々接近しているのは事実。

国内定期はあと50円~70円の下値があるかないかの相場つきで売り玉はぼつぼつ店じまいにかかるところだ。

精粗糖で自己玉顔がひん曲ったように次は輸大で自己玉悲鳴をあげるだろう。

●編集部註
 一度底打ちした相場は、その後糸の切れた凧のように浮上していく―。
 1983年後半のシカゴ大豆相場は、まさしくこの言を体現する可能ような動きを見せた。そこへ来て、この頃にジョン・ランディス監督、ダン・エイクロイドとエディ・マーフィーのダブル主演による映画「大逆転」が全米公開されている。これほどまでにシカゴ市場のPRになった作品は今に至るまで存在しない。
 少々毛色は異なるが、辻田真佐憲氏の著書「たのしいプロパガンダ」(イ ースト新書Q)を読むと、まさしくこのような作品こそが本寸法のプロパガンダ(宣伝)である事を教えてくれる。

昭和の風林史(昭和五八年六月二日掲載分)

2019年06月14日

輸入大豆は薄氷踏む思い

輸大の一両日は要注意。劇的下げが入るかもしれない。精糖三割高地点売り狙い。

精・粗糖が真夏の太陽ギンギラ人気。

連休明けの海外が騰勢なおも烈しく国内朝寄りからS高。

目標値の二二〇円が今では二三〇円という人気。

制限値段のない新甫先限生まれは勢いまかせでよくもまあ買ったもので、目先的には急所の売り場。

つい先日一八〇円のものが二割高。少々狂っている。これがもっと狂うのかどうか。

輸入大豆は円安にもかかわらずシカゴが下げ止まり見せるまで、国内荷もたれ分だけ叩かれる。

四月納会受けた関西の買い主力が気弱になって樫の棒の突っ張りがはずれると、ガタガタとくる。

要するに玉整理強要、買い玉投げ出せと相場様が待っている。

相場というもの、なんでもよく知っていて投げたら仕舞、投げずばどこまでも悪さが尾を引く。

その尾を引く悪さと根気くらべをしようにも金利・倉敷の時計が容赦しない。

新甫11限は東京二文、大阪四文の情けないほどのサヤしか買えなかったのは、やはり相場に力がない。

輸大のここ一両日に劇的な下げが入れば、内部要因面が大掃除できる。

強気するなら、それを見てからである。悪くすると大阪10限三千八百円台だ。

小豆は産地の気温が低すぎる。新甫は予想以上に新穀のサヤを買った。

先日(26日)の安値が青田底。その近辺を取りにいっても、それ以下は深くない。

十分過ぎる下げ日柄と下げ値幅を経験した相場は、いかに悪材料があろうと玄人筋の人気が弱かろうと、ひとたび底を打つと、これは不思議なもので買い材料がどこからともなく出てくる。まして産地気温がおかしい。様相急変という場面があるはずだ。

●編集部註
 その昔、大正時代の終盤から昭和初期にかけて〝ギンギラ〟といえば夕日であった。きんきんきらきらの朝日に対する、ギンギンギラギラである。
 やがて1940年代以降、日本では1960年代後半、ヴィスコンティがカミュの異邦人を映画化したあたりから、ギンギラは太陽と結びつき始める。「涙の太陽」のヒットも恐らく影響している。
 歌は世につれ、世は歌につれ―。この頃、1981年以降のギンギラは、そいつが俺のやり方とばかりに、赤い革ジャンを引き寄せ、恋のバンダナを渡すさりげないものに変わっていた。

昭和の風林史(昭和五八年六月一日掲載分)

2019年06月12日

小豆の先限は買いになる

小豆が言うことをきくようになってきた。精糖の本日は利食い先行となろう。

精糖は規制(臨増)緩和を待つようにしてS高に買われた。丁度先日の押し目幅の倍返しである。

連休明けの海外市況高(予想)の先取りと円安が支援。

いまの精糖はゴムの相場がお手本を見せてくれた。大きな罫線を広げればそれがよく判る。

だからゴムの相場で苦戦した人は、二度と同じ苦しみを味わいたくないから素直に精糖を買って、これがご正解というところ。

国際商品はダイナミックな波動だから、キメ細かな相場テクニックは無用というわけ。

NY砂糖の罫線は、まるでコーヒーカップの受け皿のような底をつくり、これが棒に立ったのだからたまらない。

ともあれ買わなければという熱気である。

ゴムのほうは二四〇円台を固め、先限二六〇円抜けのチャンスをうかがう。

円安傾向が続く限り強い地合いである。

小豆は産地がまた低温。かなり増反され、更に密植ということだが、これからは天候次第。

取り組みも漸増だし、先日の26日安値は、一月底に対しての二番底。

これで10限六千八百円抜けに半値戻しを買い切れば一局の相場になろう。

小豆には小豆のファンというものがあって、夏がくれば軒下に風鈴を吊るして涼をたのしむ如く、新穀11限が建てば、なにはともあれ買い建する。これが相場道奥の細道である。

まして言い尽くせるだけの弱材料を一身に浴びて下げるだけ下げて灰汁も業(ごう)も抜いてきた。

日柄にしてもそれはいえるであろう。

ところで輸入大豆だが新甫から一段安に叩かれるかもしれない。

円安で下げたい相場を支えているが支えきれない。

●編集部註
 6月である。
 この年の6月は、いろいろとピックアップしたい事象があるのだが、ウラディミール・ホロヴィッツが初来日した事を採り上げたい。
 NHKホールで行われた2回のコンサートでは高校生(8000円)からS席(5万円)までが即売。ネット予約が当たり前の今とは訳が違う。また、5~600円も払えば封切館で高校生が映画を観れた時代の800 0円が如何ばかりか。
 この時、ホロヴィッツは御年80歳。晩年に差し掛かっており、その演奏は「ひび割れた骨董」と評され胸を痛めた。これが3年後の再来日につながり、年齢を感じさせぬ音色を響かせたという。

昭和の風林史(昭和五八年五月三十一日掲載分)

2019年06月11日

輸大下放れの転機が接近

小豆は新甫待ち。円安で砂糖、ゴムが買われた。輸大は重い。一雨くればよい。

海外市況入電なしの週明けは円相場安を映して精・粗糖とゴムが買われた。本来なら輸入大豆も買われてよいのだが、このほうは重たい。

東京は粗糖の人気が凄い。海外市況を素直に反映する。

残念ながら関西は粗糖が出来にくい。大阪砂糖取引所に粗糖取り引きの仕組み改善を希望する人が日毎にふえている。要するに売買制度の問題である。

取引所も改善の必要性は認識しているようだ。

さて二二〇円目標で精糖相場に対する人気は、まず強気するのが相場の常識になっている。

海外市況もすこぶる強かった。精・粗糖相場は一にも二にも海外次第だから難かしく考えないでついてきた人が儲かった。

買いで大幅利食いした人は目下静観している。

ゴム相場で買い玉利食いしたあとはドテン売りに回って、その後の大上げにたいがいやられた経験のある人達だから砂糖を利食いしても売ってはこない。

S安二発叩き込んだあとS高二発で切り返し、押した幅の倍返しを今取りにいく精糖だ。二百10円抜けは煎れが出よう。そこを売り狙う手が必至と見る。

ゴムは来月証拠金が下がる。再び人気を集めるだろう。週明けは罫線筋の煎れと飛びつき買い。半値戻し地点をどう判断するか。

全般円高予想が円安に狂って、このショックが大きかった。

小豆は新穀(11限)登場待ちで薄商い。

玉の出具合いによる小高下だが依然玄人筋は弱い。

大納言が悪役で、ホクレンあたりこの大納言を集めてタナ上げすれば相場は舞い上がるのだが。

輸大は地盤陥没が近いように思えてしようがない。一五〇円ほど下げるべき日柄にきているのだが。
●編集部註
 全くもって制度の問題であるという事は、この頃から言われていた。運営側に言い分はあるだろうが、不作為の罪ではないかと問われたら、一体何と答えるのだろう。
 市場は「しじょう」だけでなく「いちば」とも読める。売り手と買い手のニーズが求められるのに、お上も相場に参加して、百戦錬磨の玄人さえもボロボロになるような恐ろしい鉄火場、というイメージが素人に嫌忌されたのは致命的だった。
 この年の6月、米国で「大逆転」というコメディ映画が公開。原題が「Trading Places」とあるように、舞台はシカゴ市場の冷凍オレンジジュース相場―という話は以前も書いたが、ここまで人口に膾炙する努力はするべきであった。