昭和の風林史(昭和五八年四月八日掲載分)

2019年04月19日

限りなく売り上がれゴム

春昼やゲート・ボールに厭きもせず(小豆)。二、三文競り合う値段霞みけり(輸大)。

現代は価格なき時代というのだそうだ。

パソコンや鋼材の世界は、メーカーの価格支配力が吹き飛んでしまった。

かの偉大な力を発揮したOPECにして然り。

ホクレンの小豆価格支配も必ず蹉跌がくるだろう。

『価格は市場に聞くしかない』。市場原理を無視した強引な価格政策は大きな反動を呼ぶ時がくる。

小豆相場はゲート・ボール的世界とみておけばよいだろう。それは老人センターの遊びである。

本日産地ゴム納会。買い仕手は来月に戦線を延長するだろうと、まことしやかに伝わる。

去年の六本木小豆でも来月に戦線延長すると宣伝されたが、来月も再来月もといいだした時は、たいがいそうはならない。

このゴムは三百円がある―と強烈なトーク。単なる買い占めとか玉締めでない。世界的視野に立ったゴム価格の水準訂正戦略だという。

産地買い主力が日本の定期納会受けて、中国に輸出するという話も伝わる。

奇妙な話だと思うが相場が強張ると、いかにも真実味をおびてくる。

これなども≪価格なき時代≫の一現象か。

価格支配力が吹き飛んだ時のゴム相場たるや惨。

ゴムは大衆の値ぼれ売りがすさまじい。しかしこの大衆筋、歴戦の勇士である。どこまでも踏まない。

限りなく売り上がる。

彼らはすでに輸大で勝利してきた。今の商品界に≪存在する大衆≫は、資力、思想、戦術、戦略を持っている。

旧軍隊でいえば軍曹、曹長のたくましさもある。

輸大のほうは飽きてきた。まさしく眠気をさそうところ。春昼やこぼるる花と散る花と。これ春特有の薄絹を透したような朧(おぼろ)相場である。

●編集部註
 相場分析の新聞を発行する会社に入ったのに、まさかゲートボールの事を調べるとは思ってもみなかったが、この頃のゲートボールは老人の余興というイメージが強かった事が分かる。ただ調べれば調べる程、むしろ酸いも甘いも噛み分けた老人達向きの、権謀術数を尽くした実にエゲツない闘いであると識る。
 さて今回、風林火山も指摘しているように、力ある者達の相場支配が如何にたまゆらなものであ ったかが記されている。
 ゴム相場にもINRO(国際天然ゴム機関)という伝家の宝刀が存在。頻繁に市場介入を繰り返していた。しかし、1999年に解散している。

昭和の風林史(昭和五八年四月七日掲載分)

2019年04月18日

ゴムの天王山ここ両日か

輸大はなんだかクタビレてきた感じ。小豆はゲート・ボールの世界。ゴムは売り勝負。

円高傾向である。二四〇円の抵抗が成功した格好で為替相場の流れが変わりつつある。

『日経ビジネス』誌四月四日号25頁・住銀の大海氏チャートが参考になる。今後円高に大きく動く可能性ありと。筆者も同じ見方だ。

ゴムはシンガポールの納会8日が転機になろう。

自己玉は買い増―ということは大衆がピラニアの如く売っている。

恐らくこのゴムは売りのテクニックを上手にこなせば、大衆売り大成功する。

相手は国際市場を股にかけての大仕手とは申せ、産地の輸出業者が消費地を買うという事は、水を高きに流そうとするようなもので、天の理にかなわない。

もちろんサイホンの原理で低きより高きに流す定期市場操作は一時的には成功しようが、時間(日柄)が三月(つき)またがり60日を越せば、荷は高きに集まる。

まして値下がり続きで弱っていたゴム園オーナーは千載一遇のチャンス。

ゴム樹が弱ろうとかまわないから一日に二度もタッピングして、労賃の安い女子供を駆りたてる。

まして上値には在庫放出という大敵が控える。

ひたすら買えばよいというわけのものでない。

仕手相場末期の買わなければ気が持たぬという段階。

小豆は踏まず、買わず傍観でよい。産地にモノは山ほど残っている。ホクレンはいずれ困るだろう。

輸大は今まで買い方だった人が先を売り、今まで売り方だった人が先を買う。建玉のクロス現象。

シカゴは買い人気旺盛。少々買い過ぎのきらいだ。用心すべき地点。

穀取は押し目待ち。待つ間は押さぬが、あわてることもない。交易会の様子を見ないことにはリスクが大きすぎる。弱気ではないが強気でもないところ。

●編集部註
 かの有名なプラザ合意は1985年9月。この月、ドル/円相場は239円で始まり、216円で終わった。そこから2年4カ月後の1988年1月、相場は120円まで進む。この時に比べれば1983年の為替相場はかわいいものである。
 ゲートボールを調べたら「如何に得点するかではなく、どう相手を邪魔するかに重点が置かれるゲーム」と出て来た。
 この競技が広く世に知られたきっかけは83年4月にテレビ朝日が放送を開始した「おはよう!ゲ ートボール」だったかも知れない。司会は玉置宏で、三遊亭楽太郎、今の6代目圓楽がレギュラーで出演していた番組だ。

昭和の風林史(昭和五八年四月六日掲載分)

2019年04月17日

勝負かけるならゴム売り

ゴム取は流石冷静そのもの。取引所はこうあるべきだ。相場は八合目、九合目。

輸入大豆の売り方が逆境に立たされた。

売ってさえおけばよいという時代が終わった。

シカゴは取り組みが増加傾向。幻の投機家が帰ってきた。

そしてコーン・ベルト地帯の天候不順→作付け遅れに関心集中。

日本の穀取相場はシカゴ高を先取りして、あたかも穀取相場がシカゴをリードするかの如く。

自己玉は再び大衆買いを反映して売り建枚数増加である。

押し目待つ日に押し目なしで、バスに乗り遅れるなと新値に飛びつく。

そしてその玉がすぐ手数料抜けるのだから愈々超ド級戦艦の出港だ。

15日からの交易会が当面の鍵。輸入商社は積極的な姿勢で商談にのぞむだろう。中国側がシカゴを眺めて、どのような態度に出るか。

それにしても、あれほど弱気支配の輸大が、なんとまあ強気のふえた事。

さてゴムのほうはシンガポールの納会8日は、これまで、たいがい大きな変化をもたらせている。

月曜は筋店三社で東京千枚ほどの買い手口。

全限60円台に煽って、まだ行くぞ、さあ大きいぞといわんばかりだが、買い玉逆ピラミッドに増加して、買い方は逃げ場があるのだろうか。

それにしてもゴムはこれからが面白いところ。10円一発で上げる相場は、10円一呼吸で下げもする。10万にならんとする取り組み。相手はロンドン、シンガポール、東京を股にかけた大仕手。

すでに相場には崩れの兆候が見える。買い方はそれを巻き返してくる。

日柄を食った仕手相場の末期に見せる現象である。

流石ゴム取は穀取みたいなことがない。解け合いや違約の不安もない。

●編集部註
 〝人は弱いから群れるのではない。群れるから弱くなるのだ〟という言葉がある。竹中労の言葉とも、寺山修司の言葉ともいわれるが、どちらの言葉かはっきりしない。
 この言葉は銘柄や市場を問わず、仕手筋に通じる言葉だなと思ってしまう。知ったら仕舞いで、ロールモデルと持てはやされた時点で、もうそこで繰り出された手法は研究し尽くされ、使えなくなる。つまり、群れたが故に弱くなってしまう。
 その昔「や」のつく反社会的総合商社のトップにおられた方が仕手の魅力と魔力に憑りつかれ、現役時代に活動資金を相場で捻出していたという話を何処かで読んだ。
 今現在、そんな彼らが対峙しているのはプロではなくAIなのだとか。

昭和の風林史(昭和五八年四月二日掲載分)

2019年04月16日

もみあい中は手を出さん

輸大は時間待ちの相場つき。人気はゴムと砂糖に移っている。小豆など無視された。

輸大は押したら買いたいが、押さないから見送る。

それと大阪当限の流れが模糊として掴みにくい。投機家は儲かりそうな気配にも敏感だが、胡(う)散くさいものには敬遠する。

仕掛け難が出来高減少で表示されていた。

輸大の出来高減少分がゴム市場に流れている。

ゴムは新甫売られたが休日明け筋店の積極買いが値を切り返した。

一月四日大発会を大底として九〇円幅も上げた相場。恐らくもう末期だろうと日柄、値幅観で売った投機家は先日のS高で踏まされた。

ゴムはシンガポール→ロンドン、ポンド為替相場(オイル動向)が絡んで国内だけの相場観は通用しない。また、商社、メーカー、海外相場師も東京、神戸両市場に参加しているため商いの弾みかたは輸大などと違って、ゆさぶりが激しい。

強気は二八〇円台を目標にしているようだが、筋店が積極買いしなければ落ち込んでくるあたり、売り場に入っているとみる。

また限月サヤが横並びになった。そして順ザヤ化しつつある。このサヤの変化も一ツのシグナルだ。

天井圏では上下のゆさぶりが激しくなる。

取り組みが大きいだけに大天井打ちのあとは、相応の暴落があるはずだ。

お話にならないのが小豆である。

大衆は取り組みの薄い商品、出来高の少ない商品に近寄らない。

これは賢明な方法である。

ホクレンが現物と価格を支配しているあいだは決して手を出さない事である。もし安値の売り玉あるならば踏むことはない。放っておけば、春天井打っている相場は、どこかで崩れてくる。小豆はもはや語るべきもないという昨今だ。

●編集部註
 この時ホクレンがやってた事は、江戸時代中期、享保時代に、幕府公認の堂島米会所でお上がやってた事とよく似ている。
 相場は一時的には支配出来るだろう。だが長くは続かない。大抵は大失敗で終わる。この時も、お上は大失敗。本間宗久など百戦錬磨の手練れ達の餌食となる。尤も、本間自身も初戦では大敗、破産しているのだが…。
 大抵、お上の思惑はズレる。よせばいいのに賢しらに「国書を典拠に」と縛り、今回の元号は萬葉集から決められた。
 萬葉集は萬葉假名だ。詠み人も編者も漢籍の素養がある。しかも今回の年号の典拠部分、悪政を批判し疎まれ、都を追われた後漢の科学者、張衡の詠んだ「帰田賦」にも由来するという話が…。
 令和の考案者は、碩学泰斗の中でも相当の手練れであったといえよう。

昭和の風林史(昭和五八年四月一日掲載分)

2019年04月15日

四月満開の輸入大豆買い

四月は輸入大豆が、まさしく今のゴム相場のような展開となろう。弱気無用の地合い。

国際商品の怖さ(面白さ・妙味)をゴムの相場が見せつけている。

前日(30日)ストップ高のあとを受けて月末東京・神戸前一節合計一万三千八百余枚の出来高。

ゴムは自己玉買い。大衆売りという取り組みで二四五円あたり更に売り込んだ。これを二六〇円台に煽られて煎れ高憤死。

ゴムのこの出来高に対して、大阪小豆前二節36枚とは、ほんに情けなや。

ところで輸入大豆。これが相場の前途はゴムが教えているような気がする。

叩き屋筋も、弱気も静観しだした。

中豆が交易会でどうなるのか。シカゴが7㌦に走りだすのか。

まして大阪四月限に東京、名古屋の現物が寄せつけられては、アキ家にぬすと。東・名当限火がついたら、メラメラ、消火のしようがないほど異常乾燥。

そこへ九月限という強力な機関車が連結されて大衆買い人気が燃えると、ゴムの二の舞いピンで50万円が実現せんとはいえん。

本当は月初押してくれたら判りやすいのだが。押し目待つ日に押し目なし。

人はこの輸大をどんなふうに見ているか?というと東京四千七百円あるだろう。もとよりシカゴが作付け遅れを材料に取り組み増加、7㌦目標に熱狂すればの話。

もう一ツは中豆入荷分が消えてしまうか偏在すれば消防隊のいない町になる。

さて小豆のほうは、これはみんなで傍観すれば強気が買っても利食いができない。ホクレンはそのうち高値を待って売るだろう。

買い方は天候相場まで戦線維持ということになるが、人気ますます離散で亭主の好きな赤小豆。大衆は儲かるほうの輸大やゴムや砂糖に熱中。土台、小豆は消費者に言わせてもらえば三千円ほど高過ぎる。

●編集部註
 この文章が読者の目に留まった36年前の4月は、放送大学が設置され、東京ディズニーランドが開園した月である。
 それから36年後の4月1日、5月から元号が平成から令和に変わる事が発表され、配られた号外に若い人達が群がっている映像がテレビに流れた。
 後にこの号外が、メルカリ等に出品されている所が如何にも現代っぽい。
 昭和から平成に変わった時は、その前後で自粛自粛の空気が充満、ちょっとでもチャラけたら不謹慎と叩く輩が多かった。
 古今東西この手の輩は何処にでもいて、台湾では「正義魔人」と呼ぶそうな。言い得て妙である。

昭和の風林史(昭和五八年三月三十一日掲載分)

2019年04月12日

輸大の値頃観売り危険?

輸大の弱気は顔色なし。買い方回転が利く。小豆は傍観すれば値が消える。

この輸入大豆相場は、ちょっとや、そっとの相場と違うぞ―という見方になってきた。

というのも大衆筋の買いが降りつつある事。

万丈千騎出ずとばかりの買いだった大衆が、やれやれの利食い。そして、これから値頃観で売ってくる。

それは東西取引員自己玉の売り枚数変化を見れば一目瞭然。

売りピーク時二万三千枚あったものが今一万七千枚。

当面は交易会での中国産大豆価格と六月積み以降の契約数量が材料。シカゴが上昇トレンドに乗っているだけに、中豆も値段を上げてこよう。

またIOM大豆の価格水準切り上がり。フレート上昇。円安傾向とくれば、叩き材料だった中豆が、逆に火つけ材料に変化する。

これで九月限登場となって強力な機関車が、もう一両先頭に連結される。

流れとしては四千七百円→五千円目標である。

月末、月初めに、果たしてどれほどの押しが入るか。

われわれは早くから強気して、だいぶくたびれたが、待つこと久しい本番これからというところ。

小豆は商いが細るとヘラヘラと値が消える。

戦前、近衛さんは蒋介石を相手にせず。小豆の売り方、ホクレン相手にせず。

驕るホクレン久しからずともいう。現物をタンクして、定期を締めて、それが相場になると考えるのは思い上がりだ。

九千円台は、仮りに三万円を付けても大丈夫な準備でベトコンの如く売っていけばホクレンの三月決算終わったあとの相場は実勢悪と豊作尻の、見たか、これがテコ入れ相場の末路あわれ―という姿になるわけだ。

ゴムは弾みをつけて切り返したが、これがないと次の下げが甘くなる。買うだけ買わすところ。

●編集部註
 ここで登場する〝近衛さん〟とは近衛文麿の事を指す。歴史を振り返ると、「あの時こうだったら」というイフは数あれど、「近衛文麿があそこであの時ああ動いていれば」とつい思ってしまう残念な総理大臣として後年評価されている感が強い。
 筆者も以前、福田和也が書いた石原莞爾の評伝「地ひらく―石原莞爾と昭和の夢」を読んで、近衛文麿を「色々と残念な政治家だなぁ」と思った。
 因みに彼の長男、近衛文隆はシベリア抑留中に死亡。その生涯は「夢顔さんによろしく」という本になり、劇団四季でミュージカルにもなった。

昭和の風林史(昭和五八年三月三十日掲載分)

2019年04月11日

輸大は愚鈍に徹して強気

輸大は値頃観で売ると四月ひどい目にあう。忍の一字のあとは愚の一字で強気一貫。

あれほど弱人気だった輸入大豆相場が様相急変している。

納会も弱気の思惑はずれ。

そこへシカゴ高、円安ときては、いかな弱気も気が持てず踏んでいた。

中豆、中豆、夜が明けたら中豆圧迫。強気するのは阿呆か馬鹿かといわんばかりの市場だった。

取引員自己玉売りも三月中旬当時から東西合計四千五百枚も急減し、買いが二千五百枚の増。

店は食われたという格好。

オーバー・ヘッジャーも顔色なしだ。恐るべきは大底の入った相場。PIKは刺激剤に過ぎない。

ピンで50万円とまでは、とてもまだいかないが、一月10日安値6月限東京三千五百十円。いまその6月限は四千二、三十円。

月末は押し目を入れるところであろうが、安値売りが捕まったままだから、これが踏み終わるまで押し目買い一貫。

決して値頃観で売ってはいけない。

また、交易会で、どんな材料が飛び出すか判らない。この場合、売り材料ではなく買い材料の可能性が強い。

高値飛びつかず、ほどほど利食い。押し目すかさず買えば四月花咲く大相場の展開に乗れる。

小豆は納会ホクレンの受け。今月決算の関係で良い数字を出したい。

現物押さえているから売り屋のカラ売り見え見え。

場勘と追証で攻めてくるから煎れが出る。

資金さえ続けば三万円あってもよいつもりで売り上がれば四月この反動がくる。

ホクレンというマンモス買い仕手に真っ向から立ち向かっても勝ち目なし。

相場が値を出しきって疲れきるのを待つ。要するに相手にせず近寄らず。

ゴムは急落後の反動戻し。このゆれ戻し伸びきったところ再度売り場。

●編集部註
 〝ホクレンというマンモス買い仕手に真っ向から立ち向かっても勝ち目なし〟という記述から、風林火山は先般、売り方を「ベトコン」に投影した。

 米国が軍事介入した所謂「ベトナム戦争」よりも前、ベトナムはフランスと戦って勝利していた。当時、ゲリラ戦にかけては最強と言ってよい。

 枯葉剤を巻き、ナパーム弾を落としてもゲリラの勢いは収まる事無く、遂には米国も撤退を余儀なくされる。「ハンバーガーヒル」「地獄の黙示録」「プラトーン」等々、ベトナム戦争を描いた映画作品は枚挙に暇がない。

昭和の風林史(昭和五八年三月二十八日掲載分)

2019年04月10日

小豆は春の淡雪のような

小豆はベトコン魂でどこまでも踏まない気なら売り上がりの苦労また勝負である。

小豆は一夜にして強気がふえた。びっくりするような罫線は春眠暁を破る。折りから自己買い玉が減少しつつあった。

小豆はマバラ大衆が安値を売って捕まったままである。これらの人達は、昨年春から夏にかけての六本木相場を闘い、解け合いで、売りの勝ち味が今もって忘れられない。

買っている側は、いわゆるホクレンの動きをダイレクトに知る玄人である。

三万円は絶対にあると思っているし、閑な市場で陽動買いすれば値が飛ぶことも知っている。

それにホクレンが今のところ味方である心強さ。

ただ、強気側の敵は閑散・薄商い・誰も手をださないという場面である。

自分が買って値を吊り上げて場勘取って満足しているのはよいけれど、利食いに出れば値が消える。

今の小豆は、なんとかして大勢的上げムードにして投機家の参加を呼びかけ、買い玉回転したい。

二番底打ちの、大勢二段上げ波動というキャッチフレーズや、天候不順のキャンペーンだが、なにしろ豊作尻だし、実需活発とはいえ仮需の沸く環境ではない。

マバラ大衆売り方が煎れさえしなければ、玄人連合、強気グループ即ち一ツの仕手と見なして、彼らはいずれ、自分の坐っている坐ぶとんを持ち上げようとすると無理になる。

だから売りたい人なら仮りに三万円があっても追証と売り乗せ資力を配分して、朝鮮戦争人民義勇軍の如く、あるいはベトナムべトコンの如くどこまでも踏まない戦いなら、これは負けない。春相場は大きな上値が出ないものだ。

●編集部註
 降る雪や明治は遠くなりにけり(中村草田男)。
 この句が詠まれたのは昭和6年(1931年)。今は〝昭和も遠くなりにけり〟となる。〝遠く〟なるにつれ共通言語でなくなり、歴史修正主義者が跳梁跋扈する。数年前に作られた映画「否定と肯定」は話題になった。
 無知は罪ではない。学べば良いだけだ。罪なのは、ここで歴史を自陣に都合良く解釈をする阿呆が出て来る事であろう。
 ベトナム戦争が米国とベトナム間の戦争と勘違いしがちだが、実は南北ベトナムの内戦。そこに冷戦の東西両陣営が加担して代理戦争となった。
 ベトコンは南ベトナム解放民族戦線の通称で、西側諸国が支援する南ベトナムの反政府組織だ。 多勢に無勢と思われた中、ゲリラ戦を組織して勝利したベトコンと小豆の売り方を、この時風林火山は重ねて見ている。

昭和の風林史(昭和五八年三月二十六日掲載分)

2019年04月09日

四月相場の大本命は輸大

四月は輸大全限四千円台の相場展開になろう。ゴムは山上から丸太棒転がす如く。

輸大の自己玉売りが急減している。

大衆の買いがやれやれで降りる格好だ。

週明け納会は一段高に買われたあと、押し目の入るリズムだが、新ポ九月限は、買いの本命限月。

月末の押したところを買っておけば四月全限四千円相場の開幕に十分間に合うわけだ。

人々はまだ中豆圧迫におびえているが、交易会は数量的にも価格面でも、売り方の期待が裏切られ、IOM相場の色彩を強くすることになろう。

すでに安値の売り玉はサヤすべりどころか、引かされている。

相場の基調が完全に上値指向していることを知らないと、意外や意外、そんな馬鹿なと、思ってもいない水準に横並びする。

大きな取り組み。大きな出来高。地鳴りしながら水準を上げる怖さ。

これはなにかを暗示している。

中豆値上げ。六月以降積みの契約難航。四月入船遅延。シカゴ続騰。円安。フレート高騰。安値売りのヘッジ玉踏み上げ。大衆の値頃売り。自己玉の買い転換。中豆の実需手当て活発化。天候不順予測等々。

このようなことになると千里の目を窮めんと欲して更に上る一層の楼。

われわれは強気するのが早や過ぎたが、桜花爛漫四月愁眉開かん。

ゴムが納会予想外の渡し物。二百三十円割れまでは祇園精舎の鐘の声。諸行無常である。ただ春の夜の夢の如し。

一月大発会からの上げかたが余りにも鋭角でしかも高値で煎れが出尽くした。

人間でも天才は短命なように、早や過ぎた上げは、実にモロイものである。

小豆は勢いづいているところを売ると火に油だから燃えきるまで見ておればよい。

●編集部註
 平成最後の3月、ミュージシャンが麻薬で逮捕された。お上は芋づる式に有名人を捕まえたいらしく、リストには先般海外で賞を取った映画で主役を演じた人物がいた。
 その人物は別の映画で麻薬中毒の情報屋を演じていたのだが、その映画は84年に作られたドラマのリメイクで、この頃巷を賑わした写真週刊誌の編集部が舞台であった。
 作品内で裁判所に出廷した元首相を隠し撮りするエピソードがある事から、この雑誌編集部のモデルは、明かにその昔新潮社から出ていた「フォーカス」であった。
 同誌は83年3月に発行部数100万部突破。これに便乗すべく、各社から同様の写真誌が創刊される。今もあるフライデ ーもそのうちの一つだ。

昭和の風林史(昭和五八年三月二十五日掲載分)

2019年04月08日

輸大買いは三度目の正直

輸大は大衆が降りたあとが大きくなろう。小豆は傍観。ゴムはヒビが入った。

PIK参加で米国主要農作物が三割減反ということは、キングの法則なら値上がり率一六〇%高になってもよいわけだ。

今年の天候が悪くて不作ということだと、減反の上の減収で仮りに前年比半作なら前年相場の四五〇%高という算術をキングの法則という。

PIKに参加していない農家もあるから、彼らは千載一遇のチャンスとばかり、大豆の作付けをやめてコーンに走るだろう。

アメリカでは〝なまけ猫〟が大流行しているそうだ。ガーフィール現象という。

農民も、なまけ猫で、百姓しないでPIK参加。

概してこのような年は凶作・価格暴騰となるものだ。

穀取輸大は大衆買い玉の大利食いのマーチ。

これに向かって自己玉売りが降り、買いになろう。

大衆の心理は、だいたい高い水準の買いを辛抱していた。この前の高いところは、さあこれからと買い乗せたぐらいだ。

それが相場反落、嫌な思いをさせられた。

今度は、水風呂がちょっと温まったところでサッと飛び出す。

相場は皮肉にできているから、やれやれ買い玉逃げたあとが大きい。

新規買いどうか?という。結構。『ピンで50万は書かんほうがよいよ』と。『提灯がつくから裏目が出てしまう。大衆はこれからの高値を恐らく売ってくるだろう。そうなってこそ大相場だ』―と。

その通りだと思う。これで中豆交易会は値上げだろう。契約数量も多くはなるまい。買い方辛抱したのも彼岸まで。

小豆は芯はないが目先強張りそうだ。逆らってはいけない。放っとけ。

ゴムは二三〇円の窓を埋めにいくところ。丸太転がしのように落ちる。

●編集部註
 どてっとした体形、やる気のないふてぶてしい眼―ガーフィールドは78年から始まった新聞漫画。コボちゃんとか、サザエさんの類と同じである。ただ、日本と違って欧米のこの手の漫画は風刺が強烈に効いている。
 あえて〝なまけ猫〟と風林火山が表記したのは、恐らくその前年あたりまで「なめ猫」が大ブームになったからではないかと推測する。始めは免許証風のプロマイドだった。 その後下敷き等の文具が出て、写真集が売れ、ついにはレコードが発売されるまでに至る。
 数年前、携帯電話会社のCMに登場し、現在再度脚光を浴びている。