昭和の風林史(昭和五七年八月三十日掲載分)

2018年09月21日

げにうらぶれて大台割る

さようならも言わないで―という歌の文句があった。ビオロンのため息の小豆だ。

小豆は三本揃って三万円。さようなら。この週間棒が話にならぬ悪さだった。こうなると三万円台の買い玉が、大きなシコリになって、夢も希望も遠のいた。

小豆12限一代足で半値下げ地点。これが三分の二下げは九千二百円。

人気は自己玉推移でも判るように、玄人筋が打たれた。

これで月替り新甫から二、三日下値抵抗見せて買われるかもしれない。

天気が崩れるとか、なにか気を持たせる材料がそのあたり出現して、下げの反動見せてくれよう―と勢いのある反撃場面なしとしないが、戻して九月上旬せいぜい七百丁程度の力。

これを買うもよしだが、買わぬがよろしい。戻りを一杯引きつけておいて今度の売りは秋底取りの二万七千円台つるべ落とし、ビオロンのためいきだ。

という事は三本限月三万五百円以上の買い玉は辛抱するほど嫌というほど思い知らされるわけだ。

まあ、そんなふうに思うが、見方によっては九月上旬そんなに戻せず、アヤ戻し程度があって、豊作相場に、のめりこんでいくだろうと見る人もいる。

どっちにしろ、七月19日の安値は取りに行く相場である。

輸大のほうは先を買った人は「前とうしろを間違えた」となげく。

確かに九月限は下げ幅の八割近くを戻した。まさにV型反騰七百丁高は大きい。

しかし先限にしてもトレンドは底入れ後の上昇帯に乗っている。

悪材料はすべて織り込み、あとから出てくる好材料待ちなのだ。しんきくさいかもしれぬが待つは仁。

●編集部註
 秋風がチャート上にも吹いている。
 それは小豆相場冬の知らせを告げる風である。
 旧暦では8月後半に七夕が来る。新暦の七夕は雨が降りがちだが、天の川を眺めるなら旧暦の七夕に限ると誰かが言っていたのを思い出す。昭和、平成を問わず、この頃は星空が極めて美しい。
 北海道で地震があった。大停電で、はからずも目の前に現れた美しい星空を、不謹慎と思いつつカメラに収め、ネット上に挙げる人達が多くいる。
 どうせ腐らせるのならと、ホームセンターで炭や七輪などを買い込み、冷蔵庫や冷凍庫の食材で星空の下、ご近所総出で野外ジンギスカンに興じる人達も出て来たという。
 停電も解消されつつある中、36時間後に電気が復旧したスーパーで唯一、井村屋のあずきバーのみが冷凍食品売り場で生き残ったとか。こおいうたくましい話が大好きだ。

昭和の風林史(昭和五七年八月二八日掲載分)

2018年09月20日

輸大結局踏んだめんたる

小豆は「金屋」の踏みと13号台風買いだが、あとが悪くなる。輸大は踏んだめんたる。

「金屋筋」が砂糖を受けると前宣伝が利き過ぎたが、役所も取引所も神経を逆立てているから、受けようにも受けられなかったのか、もともと受ける気がなかったのか。

「金屋」は、あこぎな現物まがいのほうの商売が、金相場の大暴騰で、本職のほうの背中に火がつきカチカチ山の泥舟だ。

本来、人を泣かせて怨を買うような商売は長続きしない。遠からず定期市場からも姿を消す運命にある。

小豆は三万円大台の抵抗だった。

手亡相場のほうが、お先に失礼とばかり暴落納会した。手亡は小豆の先行きを暗示している。

各地の読者からの電話は、かなり風林に提灯がついていることを知らしめる。提灯がつきすぎると、用心しなければならない。

しかし小豆は売りのままでよいと思う。

来月になれば二月限という重しが先にぶらさがる。

トレンドは、一時的に強く見せても結局は安いですよ―といっている。

輸入大豆の各地納会は暴騰だった。渡しものが薄い。

輸大納会を見て、つくづくと〝相場は誰にも判らない〟ことを思い知る。

朝まだ明けぬ夜中の一時、二時、シカゴを聞いたり、穀取相場に張りついて、大豆本職プロ中のプロも、五百丁棒戻しするなど考えもしなかった。

『ファンダメンタルズに暴騰は、なかったのだが』と負けおしみを言っても現実に、この納会を見ては、あなたはほんに〝フンダめんたる〟。

期近が締って逆ザヤならば先のほうも上がるしかない。そのうち産地に早霜被害拡大などというテレックスでも入れば、底した相場は天井するまで高いだろう。いい球くるのを待ってホームラン。

●編集部註
 相場における〝仕手〟は、能における〝シテ〟から来ている。今のような電子決済、ネット注文中心ではない、人海戦術による取引の中で、金の力にものを言わせて買っていく様は、能舞台に颯爽と現れるシテ方のような存在であったのだろう。
 仕手はグループごとに「〇〇筋」で呼ばれていた。では「金屋筋」は誰か?
 〝あこぎな現物まがい〟〝金相場〟でピンと来た人も居るのではないか。永野一男の事を指している。
 後に暴漢に刺殺された豊田商事創設者だ。彼は81年4月に会社を設立。82年に豊田商事と名を変えたので、1年弱で悪名が轟いていた事が判る。
 何故、金上昇で背中に火がついたかは、恐らく判る人には判るであろう。

昭和の風林史(昭和五七年八月二七日掲載分)

2018年09月19日

いい球くるのを待つ気持

三万円の抵抗とはいえ、相場の流れは下降トレンドに乗ったままの小豆である。

台風13号の進路を気にした小豆相場だった。しかし、相場そのものはぬるい。俗にいう「金屋筋」が小豆の売り玉を手仕舞っていたが、その割りに値が締まらない。

ひところは大量売りの「金屋筋」を締めあげるのだ―と強気筋は狙いをつけていたが、敵前悠々の手仕舞いは、買い方がなめられているというよりは、相場環境が、よくよく悪い。

〝七色のパッチ〟神戸のK氏と麦酒を飲んでいて『北海道は一日好天即ち二万俵増収。五日続いて十万俵ふえる。九分作がいわれていたが、十一分作を通り過ぎて十三分作』と。Kさんの手は、とにかく早い。だから、その強弱変身はデジタル時計の秒刻みで玉虫色に輝き千丁動く相場を七回変身するから、なかなかついていけない。

トレンドとしては台風13号にかかわらず下降帯に乗っている。仮りに台風の影響で買われたとしても、基調を転換する力はない。

輸入大豆のほうは、阪神の藤田平が「いい球を待てるようになった」という言葉が口から出るようになってから、外角は流し、内角は引っ張り、フォームが実に綺麗になった。要するに無理がない。なにげない動作がファインプレーにつながる。この無理のなさが今の輸大の強気に必要な要素である。

いい球を待てるということは、それだけ力がつかなければならない。

新規売りも出れば利食いも入る。目先押したからといって基調が変化したわけでない。

輸大は底打ち出直りの緒についたばかりだ。

いい球がくるのを待つ気持である。

●編集部註
 当欄を担当していると、昭和57年の記述と平成30年の出来事が奇妙にリンクしていると感じる時が多々ある。
 昭和57年のこの頃も異常気象、特に台風などによる雨に悩まされた。平成30年9月4~5日にかけて、過去最大級とされた台風21号は、徳島に上陸し、神戸に再上陸し、その間に関西国際空港を水没させ、日本海に抜けた後は北海道にも甚大な被害をもたらした。
 北海道はその直後に地震にも見舞われる。一刻も早い回復を祈念したい。
 SNS全盛の現代では雨風の猛威がいち早くタイムライン上に乗る。
 少しだけ心が安らいだのは神戸市長田区の動画。
この地区ゆかりの漫画家、横山光輝の功績を記念し同区の公園に設置されていた全長18㍍の鉄人28号像に猛烈な台風が襲った。
 しかし像は倒れる事無く、台風一過でピカピカに磨き上げられていた。

昭和の風林史(昭和五七年八月二六日掲載分)

2018年09月18日

まさに小豆は崩れんとす

小豆売りの輸入大豆買い。方針不変。小豆はアッという下げが、今日か明日あろう。

小豆相場は三万円割れを前にしての抵抗をみせたが、作柄がよいだけにそれ以上に買えない。

要するに今の小豆は買っても夢がないのだ。

もう一ツは、作付け面積の大幅増反を逆に買った現象。これは素直でない。

従って、いずれ、増反売りという場面があるはずだ。

相場波動としては七月19日安値から夏天井を取りに八月12日まで、反動をつけて反発したが、一本足のV型底は、もう一本、必らず取りに下げる。

その下げ地点が、目先二万九千五百円(先限)あたりだろうと思う。

そのあたりから千円ほど戻すかもしれないが、これは九月上旬の相場で、再び絶好戻り売りとなろう。そして来月中旬からの下げが、いわゆる秋底を取りにいく二万八千円割れへの、秋の日のビオロンのためいきの身にしみて、ひたぶるにうら悲し。げにわれは、うらぶれてここかしこ、さだめなく―という下げがくるのである。

ところで輸入大豆のほうだが、期近限月から反撃にはいって、やっぱり底を入れたのだね―と、あとから気がつく。

こちらは小豆と違って、相場が若いし、逆ザヤに売りなしの図だ。

読者から期近限月は気持よく上げるのに買った先限は、ぬるい―と心配顔だが、先限も走りだすから大丈夫。

東京輸大のトレンドは24日の二百六十円以下(先限)は下げ過ぎ。25日すぐその分を奪回。ということは弾みがついた。四百十円三分の一。五百三十円半値。そのあたりを狙った動きになっている。

●編集部註
 暦の上では秋。風林火山が生きていたら、反知性主義が跳梁跋扈する平成の最後の秋をどう見るだろう。嘆くのか、あきれるのか、それともセ・ラヴィ、と全てをやり過ごしてしまうのか。
 少なくとも相場の分析にヴェルレーヌの詩が登場する事は、後にも先にもないのではないか。
 フランスの詩人を原書で読む人は今も昔も少ないと思う。ただ昭和初期の知識人の一般教養として、上田敏の「海潮音」は、例えば〝山のあなたの空遠く幸住むと人のいふ〟などと幾つか諳んじる事が出来た。三代目三遊亭圓歌もこの詩集を落語のネタにして人気を博した。
 本文に登場する一説は「海潮音」からの引用だが、この箇所は、第二次大戦末期のノルマンディー上陸作戦で、暗号として使われた事を知っていると、少し意味合いが変わる。

昭和の風林史(昭和五七年八月二五日掲載分)

2018年09月14日

あとからだんだんひびく

夏休みももう終わる。夏のない夏に変な相場ばっかりだった。小豆の夢も、うたかたに。

三味線も器用に弾きて芙蓉かな―というのは夏の終わりに近いけれどまだ初秋でもないような、ほんのちょっとしたあいだを久保田万太郎は感じたのだろうと思う。

当社の東京の人形町あたり、五、七年前、路地裏の細いところを場の引ける三時頃になると、三味線のつま弾きを聞いたものだ。

富安風生は、法師蝉煮炊といふも二人きり―。

多分、お昼のお膳に、コトコトと老妻がなにかたいていて、そんなふうなところが法師蝉のよさである。

長いあいだ、ひぐらしや―と思っていた。法師蝉と置いたほうがよい。

毎年夏の一番暑い時分に、大和吉野の奥の、かなかなを聞きにいったが、今年はなんだかんだとその閑がないうちに、もう法師蝉がきていた。

当社のビルがいま外装工事中で、窓という窓は足場とキャンバスを張りめぐらせて、そとはなにも見えない。かれこれ三カ月かかるという。これは、本当に、体にこたえる。まいってしまう。大きな紙袋にスッポリ包まれたような具合いで、息がつまる毎日だ。

相場のほうは、これは判らないが、だいたい判る。輸大は、一歩一歩階段を上がるところで、なんとも強い。こうしておいてドーンと行く。その時は利食いだが、ドーンと行って、更にドーンがあるかないか。

これは欲だろうか。

小豆は、安い。流れがそうなっている。

しかし、千円ぐらい辛抱するという人は頑張ったらよい。安くても今週後半二万九千五百円あたり。

そこから千丁戻して今の値段か。九月上旬気を持たせておいて十月秋底をとりに二万七千円だろう。

線がそう申している。

山頭火の「空襲警報るいるいとして柿赤し」。そんなふうである。

●編集部註
 「英霊をかざりぺたんと座る寡婦」(細谷源二)
 「一兵士はしり戦場生れたり」(杉村聖林子)
 「憲兵の怒気らんらんと廊は夏」(新木瑞夫)
 1940~1943年にかけて、当時の治安維持法に基づいて上記の句を詠んだ俳人達、掲載した雑誌関係者が次々と逮捕された。これは後に昭和俳句弾圧事件と呼ばれている。当時、戦意高揚の俳句作成や使う季語に国の干渉があったという。
 種田山頭火は、幸か不幸か1940年に亡くなっている。彼がどのように亡くなったかについては、嵐山光三郎の「文人悪食」(新潮文康)の中で詳しく描写されている。

昭和の風林史(昭和五七年八月二四日掲載分)

2018年09月13日

小豆強気しても夢がない

薄商いの節に買われて強くみえる小豆を売る。先限三万円割れが今週後半にある。

あけてびっくり小豆の作付け三万七千百㌶は、前年比小一万㌶の増反だった。

相場は知ったらしまいで、もう増反は気にしないでよい―と、強気はいうが、あとから、ゆっくり響いてくるのでなかろうか。

小豆の線型は、やはり先限三万円割れを暗示している。これは、相場の流れである。

商いは薄い。薄商いを少しまとまって買うと強くみえる。しかし実勢はダウントレンドに乗ったままだ。

小豆作柄のほうは一時九分作がいわれたけれど、その後の好天で十一分作などと、平年作を上回ったように伝わる。

今の市場、強気はあくまで強気である。

それは高いところを掴んでいるせいもある。

弱気は流れに乗っておれば、なんということもないから気が楽だ。先限が三万円割ってから考えればよい。

それと来月新甫の二月限登場は、先のほうに重りをつけるようなものだ。

ともあれ今週後半から下げピッチが速くなる足どり。

輸入大豆は強気しても疑心暗鬼だから利食いが早い。

東京四千四百十円=三分の一戻し地点を取るトレンドに乗っている。

いまは底固めという格好だが、円高も一応の限界にくるところだし、シカゴも底が入った感じだ。

この相場を売って、一体下を幾らにみるのか。

史上最高の豊作予想とはいえ、収穫までにまだまだ日数がある。

油断していて早霜の予報でも出れば劇的変動ということになりかねない。

輸大相場も今週後半にアッという動きをみせよう。

●編集部註
 この時、ドル/円相場は1㌦=250円台。その半年前は1㌦=230円台であった。それがこの年の10月頃には277円まで円安となり、そこから10週間後の83年1月には230円台を一時的に割り込む。8カ月間の円安は、僅か10週間で元の木阿弥に。これは当時のFRB議長、ポール・ボルカーが3年にわたって続けていた金融引き締め政策を断念した時期と重なる。
 この年は台風をはじめとした気象被害が深刻な年でもあった。過去の年表をひも解くと6~10月までエルニーニョ現象が起こっていたとの事。日本は雨に祟られていたが、インドネシアやオーストラリアでは干ばつの被害に悩まされていた。
 なお、この年の日本は暖冬。スキー場に雪のない暖かい年末を迎えた。

昭和の風林史(昭和五七年八月十九日掲載分)

2018年09月12日

輸入大豆は火を噴くはず

輸入大豆は底入れ→大出直りだから買い一貫。小豆は大下げの前夜だから売り一貫。

依然として輸入大豆は買い方針でよい。

それはこの相場が大底を叩いて、いま出直りの非常に若い時期にあるからだ。

人々は輸大相場を小さくみている。強気するにしても疑心暗鬼である。

これは相場の大転換期にみせる現象だ。

確かに輸大のファンダメンタルズは、一般的・常識的強弱を垂れるとすれば買えないはずだ。

だからこの相場は面白いのである。万人予想もせぬ大幅上げ、それもピッチの早い展開になるだろう。

信ずるものは強しという。

小豆のチビチビした出来高からみると東京、名古屋両市場の輸大手口は実にダイナミックだ。輸大の呼吸を掴めば、こんな面白いものもない。

だからつい小豆の強弱がおろそかになる。

その小豆だが先限三万円割れに向かっている。

作付け面積がかなりふえているという頭の重い材料が判然としてからの下げがきついと思う。

お天気も、まずまずだ。

小豆の線型は、一本一本、悪いですよ、深いですよと物語っている。

しかし、買い玉、見切りがつかない。それは天災を期待するからである。

買い玉見切りの決断がつくのは三万円を割ってからであろう。

夏相場のあっけない天井を打ったのであるから、買い玉に希望はない。にもかかわらず頑張るのは、相場の苦労であろうか。

ともかく素直に相場についていくところである。

話はまた輸大に戻るが19日(昨日)朝寄りは飛び付き買いした人が多い。

相場は、飛んであけた窓をすぐに埋めた。利食い先行の格好。

これは、相場出直りの初期にみせる現象だから、なんの不安もないはずだ。熱狂するところが必ずくる。

●編集部註
 さて、9月が始まる。
 1982年9月は世界で初めてリニアモーターカーの有人走行実験に日本が成功したり、大型台風の東日本縦断で死者が出たり、海外では、当時モナコ公国の公妃であった女優、グレース・ケリーが自動車事故で亡くなるというニュースがあった。
 その中の一つに、三越百貨店の当時の社長が電撃解任されるという事件があった。この社長はその後、愛人と共に刑事訴追された挙句に刑務所に収監されるが、一連の経緯は小説やドラマ、映画のモチーフに。その中には三越本店で開催されていた「古代ペルシャ秘宝展」の展示品が殆ど偽物であったという、嘘のようなホントの話もあった。

昭和の風林史(昭和五七年八月十九日掲載分)

2018年09月11日

輸大は急騰、小豆は暴落

輸入大豆買いは今からでも遅くない。人々が唖然とする暴騰波動。小豆は暴落必至。

オーディナリー(製油用)より安い値に叩かれた穀取輸入大豆は、要するに市場内部要因によるものでいわゆる一種の極限状態だった。

そのような不自然さは長続きするものでない。

下げるだけ下げて、灰汁(あく)が抜けただけに輸大は成り行き買いよしのところで、S高の連発も当然くるだろう。

その時、人々は唖然とする。だから買っておかなければ話にならない。

なにがどうだから、ああだこうだは、いわゆる相場の強弱。世の中、強弱上手の相場へたという人が多い。本当は強弱なんか上手でなくてよい。儲かればよいのである。

小豆のほうは、輸大とは逆に売りである。

先限の三万円割れがある。

ケイ線がそれを物語る。

買い仕手が抱えていた現物がバラバラに散った。そのことだけでも供給は潤沢になっている。

まして作付け面積は、かなり増反している。

作況のほうは、まず平年作にキズがつく程度。

そして輸入外貨枠がまだかなり残っている。

産地の相場がとにかく重い。もの言わざれど色おのずから現わる。

三万一千円から三万円大台割れにストレートの下げは直撃であろう。

八月12日が結局今年の夏相場の天井だった。

小豆弱気を書いているから電話がかかってこない。買い玉持って頑張っている人にとっては、電話する気になれんのだ。人気の強さというものが、それだけで判る。

その強人気が、もうすぐひっくり返ってくるだろう。小豆売りは早いもの勝ち。

●編集部註
 兎角この時期は〝夏枯れ〟という言葉が使われやすい。ただ〝夏枯れ〟という単語を使いたいだけじゃないかと思しきものもあるが、紙面と相場には〝夏枯れ〟が存在する。
 明らかにこの時の小豆相場は〝夏枯れ〟相場と言えるだろう。これからこの相場は枯れに枯れまくる展開を見せる。
 昭和の初め、紙面の〝夏枯れ〟を補うため、ある新聞記者が当時存命だった資生堂の創業者や彫刻家高村光雲、政財界の大立者などのところに足を運んで食にまつわるインタビューを慣行。これを記事にした。
 この新聞記者は子母澤寛と名を変え、戦後は小説家として大成する。
 彼の新聞連載は当時を振り返る随筆と合わせて「味覚極楽」という名で一冊の本になっている。

昭和の風林史(昭和五七年八月十八日掲載分)

2018年09月10日

小豆は三万円割れがある

輸大買いの小豆売りがご正解という日が近い。人気にまどわされては相場は取れん。

シカゴが下げても穀取輸入大豆は左程敏感に反応しなくなったのは、市場内部要因と円安。それにシカゴとの大逆ザヤで下げ余地ない値にとどいている証拠である。

テクニカルな面で今の輸入大豆は買いの一手である。上げ足がつくと非常に速いテンポの鋭角的急伸態勢に移るだろう。

証拠金関係で小豆の倍いける輸大だけに、ここは思い切って買っても大丈夫だ。

上げ足がついてから飛び乗る手もある。結構それで間に合うしS高も取れよう。

逆に小豆はこれから下だ。三万一千円底などと楽観していると、三万円割れ(先限)に素通りするだろう。線型は勿論悪い。

作柄も九分作から平年作のあいだぐらいだし、作付け面積もふえているようだ。そして天気も騒ぐほど悪くない。

八月11、12日に飛びつき買いした玉が投げに入るところ。

先限三万円割れなんて、そんな馬鹿なと思っている人ばかりだと思う。

ところが、それがあるのだから、まあ見ているがよい。あとから気のつくテンカン病(やまい)。

小豆売りと、輸大買いと、どっちが投機の効率がよいか。

輸大の五百丁幅、小豆の千五百丁幅。どちらもそのぐらいは目先あるだろう。とすれば同じ証拠金で倍いける輸大買いが早道である。

相場というものは極限に達すると理外の理のはたらきをする。極限とは値段の極限もあれば日柄もあるし人気の片寄りもある。また逆ザヤもそうだし、取り組みでもいえるわけだ。

●編集部註
 輸入大豆は消費地市場で小豆相場は生産地市場なので、風林火山のロジックに矛盾はない。ただ、消費地市場は為替要因が重要になってくる。
 経企庁の年次世界経済報告を見ると米国はこの頃景気後退期なのだが、高金利から市場はドル買いが優勢だった。これは当時のドル指数の動きを見るとよくわかる。綺麗な上昇トレンドになっている。
 ドルが高いと、ドル建て商品の価格は安くなる。ドル高の流れに反比例するように、シカゴ大豆の週足は綺麗な下降トレンドになっている。
 ドル高は米国の輸出ににとってマイナス材料。更にこの頃のドル高で輸出の減少傾向に拍車がかかり、これが米国景気の悪化要因に働いていた。

昭和の風林史(昭和五七年八月十七日掲載分)

2018年09月07日

輸入大豆買いの小豆売り

輸入大豆買い(S高連発もあろう)の小豆売り三万円割れ狙いのところである。

輸入大豆相場が小豆の下げ相場みたいに玉整理が強要され、完全に灰汁(あく)が抜けたから急反騰に転ずるだろう。

輸大に対する人気は戻り売り一色である。

それだけに、おやおや、あれあれという人気の裏の動きになる。

暴落していた魚かすの相場も止まり、今の大豆は製油メーカーにとっても安過ぎる。

ひとたび相場の流れが反転すればS高連発も可能の輸入大豆相場である。

ところで小豆のほうだが悪い線型である。週明け夜放れ安は、相場が三万円割れ(ミスプリントでない。三万円大台割れ)に直行する暗示だった。

誰がいま、小豆の三万円割れ(先限)を考えているだろうか。全般に強気支配で押し目買い人気である。これも輸大と同じく人気の裏目が出るだろう。

輸大買いの小豆売りもよし、証拠金の低い輸大を集中買いするもよし。それは各人の判断であろう。

昨日も書いたが、高名な画家が『自分の力だけしかモノは見えない』と書いていたが、相場も確かにそうだと思う。

人間を見る目、世の中の先を見る目、あるいは芸術作品を見る目、いずれもそれは自分の力量の範囲内でしか理解できない。

そして、普通は、そのことにこだわる。

強弱聞いていても、余りにも、こだわりが多いと思う。相場はあくまで相場様である。

なぜ高いのか、なぜ安いのか判らん時もあるが、下がりたがっている(小豆)、上がりたがっている(大豆)の呼吸が手にとるように判る時もある。

●編集部註
 小豆がここから真っ逆さまに下がって行く点については以前も述べた。
 では、この時大豆はどう動いたのか。週足を見ると、相場は前年末の安値とつら合わせとなり、この時期、底打ちが近いかも、という期待感が買い方の中で熟成されるような線形になっていた。
 しかし、現実は残酷なもので、これはチャートパターン的に中断の保合い下放れの線形であった。
 結局、大豆相場も小豆相場と同じく、83年まで安値基調が続く。
 小豆相場と異なるのは、シングルボトムであったという点。両相場とも83年1月に節目となる安値をつけたが、大豆がこの安値を頭にした逆三尊の形状を夏に完成させたのに対し、小豆は5月末にダブルボトムをつけた。