昭和の風林史(昭和五四年八月九日掲載分)

2017年08月18日

警戒人気強い だけに再爆騰する

小豆相場は警戒人気ばかりが強い。それに大々的な踏みが出ていない。押したあと再爆発する。

「古市や秋立ちそめし紺暖簾 滴萃」

去年の今時分、大同物産の松本支店で投機研究会があり、横ゆれの激しい満員の電車で、まっ黒のお城のある信州松本まで出かけた。

今年は第一商品が、この11日の土曜日に金沢で〝株式と商品の講演会〟があり、九時五分発「雷鳥」で行かなければならない。

金沢には、農林水産省の堤前課長が農政局の次長さんで頑張っている。金沢に遊びに来い―と、常々おっしゃるが、とにかく忙がしい。〝亜民さん〟が農政局の偉いさんとして、どんなふうに一人暮しを楽しまれているのか、見にいきたいものである。

去年の今時分であったが、山本博康先生や江口商事の児玉社長、そして岡本氏、藤田氏が堤さんを大阪に御招待して、夜遅くまでお酒を飲んだ。岡安の岡本明社長は、愛用のロールスロイスを走らせて、小生も乗せてもらった。当時、農林大臣だった中川一郎さんも、大阪に来ると岡安さんの、この車を使用する。
博康先生のキャデラックには、よく乗せていただくが、ロールスロイスも、また乙な車だと思った。サウナ風呂の前に、横付けすると、すぐ人だかりがして、のぞき込んでいる。〝亜民さん〟と小生と、変なのが二人乗っているわい―と、のぞいた人は妙な顔をしている。

〝亜民さん〟は、かれこれ一年、金沢での一人暮しは、もうまいったよ。早く東京に帰りたい―と、暑さに、弱ったふうだった。

さて、相場のほうは、飛んであけた窓を、飛んで下げて、激しくなった。

三晶やホクレンが売ったのに提灯もついた。産地の天候回復も高値警戒感を強めた。

しかし、取組みは増大傾向である。産地天候も再び下り坂だ。

売り方は、ただただあきれたわけだが、相場としては肝心の大踏み上げがまだ出ていない。

それに、買い仕手がいないのだから、提灯のつけようもない。作柄が更に悪くなれば、ここでの押し目が、再爆発のバネになる。先限引き継ぎ線で新高値に買われた以上は、少々押し目を入れても、新値圏の新しい相場になるだろう。

強気は、適当な押し目と判断する。弱気は、もう天井だと見る。

6日にあけた窓を埋めると、再度新値に買う力を相場は持つだろう。どこを買っても間に合う。

●編集部註
 今の人は〝亜民さん〟がイディ・アミンのモジりとは気付かないだろう。

 資源ナショナリズムと〝先進国〟の傀儡がまだまだぶつかり合っていたこの頃、鉱物資源とコーヒーが豊富なウガンダで、アミン大統領は独裁者として恐怖政治を敷いていた。

 彼が反体制クーデターで失脚したのが79年。1月にアントニオ猪木と異種格闘技戦を行う話が持ち上がり、開催寸前まで進んでいたという。

昭和の風林史(昭和五四年八月八日掲載分)

2017年08月17日

無抵抗圏内へ 作柄ズカズ力悪い

乗り遅れた人が多い。相場様は先をお急ぎだ。今から飛び乗っても充分間にあう。

「秋立つや籔下刈りも昨日今日 杜羊子」

本日立秋。小豆相場は当限が、その一代棒で三分の二戻しを達成した。

先限の引き継ぎ線は新高値に躍進した。

小豆市場で心の晴晴しない人たちにとっては、あれよ、あれよという間にこんな値段になっていた。

相場様が、先をお急ぎになっている。

強気している人にとってさえ、うっかりしていると買い玉が取られている

(利食いしている)。

非常にテンポの早い相場である。

北海道の作柄のほうは土用に入って以来、ガーンと照りつけるところがなかったため、収穫予想は不良になろうとしている。

あと、秋が早い予報だけに、低温→長雨→早霜という、冷害・凶作決定的な場面に突入していくだろう。

相場のほうは、これはもう理くつなしである。

弱気の病気がなおらない人にとっては、釈然としない。そんな馬鹿な―という考えがどこかにある。また今に見ておれ大暴落があるさ―という負けおしみも強い。それらがミックスされて意地になる。

仕手が煽っているわけでない。だけに強気にすれば判りやすい相場だ。

飛んで跳んで窓あけて、踏んで踏んで腹立てて、アンドロメダ三万六千円相場である。

取組みは漸増傾向である。逆ウォッチの線ではどこを買ってもよいし、買い、また買うところだ。
弱気は、こんなところを―と思うが、それは一種の値頃感である。また、深押しがあるだろうと思うのは、はかない期待感である。売りたい病気にかかったら、なんともならん。

もの事は、ひとつケチがついたら、とことんあかん。今年の作柄など出足から変だった。去年、よすぎた反動である。

与謝蕪村の句に、「秋たつや何におどろく陰陽師」というのがある。まさしく今の小豆弱気の図である。

どこを買ってもよいと思う。相場は相場に聞けである。

ひと昔前の、冷害凶作年の小豆ケイ線を参考にすれば判りやすい。

それにしても、カラーッと強気になりきれない市場である。それだけに、ますます相場は大きくなる。

いま弱気筋が頭の中で考えている場面は、三万円に乗せてからになるだろう。それまでには、なお三千丁の上値を、ゆっくり残している。

●編集部註

「アンドロメダ」という言葉が、このところ頻繁に文中に入っている。

この年の夏、東映は宇宙戦艦ヤマトと銀河鉄道999の映画版を公開していた。

後者の主題歌はゴダイゴが歌っていた、今でも耳にするあの曲だ。

昭和の風林史(昭和五四年八月七日掲載分)

2017年08月10日

先を急ぐ相場 あとは新値新値と

小豆相場は先をいそぎだした。踏むに踏めない連発S高の可能性も濃い。夏休みは返上。

「おいてきし子ほどに遠き蝉のあり 汀女」

もう少し押すのかと思っていたら、産地の天候が待ってくれず、作況も、やや不良に落ち込み、週明けはストップ高に買われ、売り方の心胆を寒からしめた。

小豆の線型は、目先下値ありだったが、その線型を、産地の天候がひっくり返してしまった。天候相場はこれだから怖い。

さて、こうなると、アンドロメダ行き三万六千円の大疾走となるわけだ。

行く先は決まっていたのだから、ついていくだけである。

下値ありの予測で、その押し目を取りに上手した玉は、一発で捕まった。

この場合、新値抜けは踏む覚悟で上手したのだから、値頃にかかわらず売りのカードは手放すのが本手だ。

ストップ高で、踏むに踏めないし、踏めるところでは、かなりの高値である。しかし、相場は待ってくれない。

安値を売ったまま辛抱していた人は、年貢の納め時にきている。

小豆の作柄にとって最も大切な時期のお天気がまったくソッポをむいてしまったのだから三万円相場は自然のコースになる。

不作、凶作なら輸入ワクが拡大されるだろうが、それは、まだ先の事で、それまでの間、市場の場勘戦争は熾烈をきわめる。

先限引き継ぎ線で、この春の高値を買い切ってしまうのは見えているが、先限二万八千円抜けからが、褌を締めてかかる相場になる。目の色が変わらなければ嘘である。

弱気の病気にかかったままの人は、種々の希望的観測を持って、不安な気持ちをまぎらすところだが、この相場は(1)買い仕手が煽ったり工作している相場ではない。という事は、ごく自然の成り行きである。(2)相場の日柄が、まだ浅い。(3)三万円以上の値段を、本気で考えている人は、今もって少数派である。(4)冷害凶作相場の怖さというものを知らない人や、忘れた人が多い。
◇…だから、たかだか五千丁(8月限一代)の上げ相場で、おったまげたり、深押し(三干丁ぐらい)を考えたりする。
◇…これから先は、場が引けたらケイ線用紙を上につながなければならない。売っている人にとっては、気の滅入る作業である。

ともかく千円押しを入れきれなかった。という事は、相場は先をいそいでいるのである。

●編集部註
注文伝票が手書きの場合、注文時間順で処理される。ストップで決済注文が難航する事が予想された場合、いの一番で決済伝票を書くか、同枚数の両建てを注文するしかない。

昔、筆者は朝5時30分付で350枚の損切り伝票を書いた事がある。

当然一番に入力されたが、決済に3営業日かかった。

昭和の風林史(昭和五四年八月六日掲載分)

2017年08月09日

甲斐さんのこと 泣き笑い綿花人生

小豆相場は夏休みしたいと言っている。休む時に休んでおけば、再び力がつくものだ。

「船すすむ音なし燃ゆる夜光虫 波津女」

日商岩井の甲斐潤一郎部長は、定年一年前の同社慣例で輸入繊維原料部長を退いて後見人的役職につく。

これはサラリーマンの厳しい捉であるから仕方がない。甲斐さんは『月刊・商品先物市場』のレギュラー執筆者である。

紡績業界では〝綿花の鬼〟とうたわれるほど、こと綿花のビジネスに関して甲斐さんの名は、世界に轟いている。

甲斐さんの青春は戦乱の時代であった。拳銃をベルトに突込み、リュックサックに一千万円の現金を詰めて、中国大陸を綿花買いに転々とした事も今から思えば商社マンの情熱であった。

東棉から通産省、そして日商と、綿花と共に波乱の人生だった。日商社内では、〝上役に強い部長〟として一目も二目も置かれている。

昔、社長と大喧嘩になって椅子を叩きつけた。その頃の椅子は今みたいにスチール製でないから潰れた。

社長は、あとから甲斐さんに言った。君、喧嘩する時は、そばに仲裁に入れる人がいる時だけにしたまえ―と。このひとことに甲斐さんは、まいった。

甲斐部長は大紡績会社の社長からも綿花に関してはプロフェッショナルとして尊敬され、また人間性を高く買われ家族ぐるみのつきあいが続いている。

甲斐さんは、もうすぐそのシーズンがくる、あの苛酷というか、熾烈というか寿命を縮めるようなエジプト綿買い付けのビジネスを控えて、来しかたを、ようやく振り返れるきのうきょうである。

当社では甲斐さんに『商品先物市場』で〝私の武勇伝〟を御執筆願うことになった。

『商品先物市場』で目下、三井物産のサムライ菊池一雄部長が連載で〝商社マン武士道〟を読ませている。この人の文章には、どこか哀愁を感じさすものがある。映画でいうとマイケル・カーティスの『カサブランカ』の味である。

さて小豆相場のほうだが、「人様は夏休み。相場は水飲み場へ」と書いたら、そのようなふうになってしまった。線型としては下値ありである。

その下値は買いである。

問題は、どのあたりまで下げるのか。頭から、およそ千五百円ほどかもしれないと観測する。

相場というものは閑な時には閑なようにすれば難かしくない。

●編集部註 弊社が発行していたこの月刊紙では、各商社で農産品市場に精通した人物が執筆していた。

シカゴ穀物に関しては伊藤忠商事の課長さんが書いておられた。

それがのちに同社の社長となる丹羽宇一郎氏である。

昭和の風林史(昭和五四年八月三日掲載分)

2017年08月08日

人様は夏休み 相場は水飲み場へ

小豆は水飲みに押して、あたりの様子をうかがうだろう。大勢基調は上値指向である。

「涼しさや竿にもつるる釣の糸 蝶夢」

暑さも暑し都会炎熱地獄である。

暑さをのがれて来週あたりから夏休みをとる人がふえる。甲子園では高校野球大会が始まり、ふるさとのある人はお墓参りに帰省する。

相場のほうが活発に動いているようなら心頭も滅却して暑さを忘れようが、よくしたもので、この時分は閑になる。

小豆相場は、定石に従って押し目をつくりつつある。

押し目と言うからには、また高くなる相場を意味する。だから、下げ終った地点を買わなければならない。

問題は、どの程度の下げ幅になるか。それが判ればよいが、そのような事は誰にも判らない。

ただ、黒板の前やカウンターに陣取っている人には判ることがある。われわれは、その時の人気と罫線を注意深く引いて、出来高、手口等から判断するしかない。

相場は、なぜ、ここで押すのだろうか。

当限が下げ幅の半値戻しを三百円ほど乗り越えた。相場波動の三分の一の、半値地点は急所になりやすい。節足新値(12限)で13本を付けた。やはり定石である。

人気が一応強くなり、踏んだ人も多かったし、踏んだあと高値を飛びついたりした。〝気の変わり目〟は要注意になる。

ホクレンがヘッジしたとか、三晶さんや栗田氏が買っても鈍い―というのは現象面から相場リズムの変調を知らしめるものである。しかもお天気が少しだけ回復してみたり。

問題は、相場が水飲みに押したあと、どのような弾みで、再び上昇波動に乗るかである。

押し目で、人気を弱くする事が出来るか。買い玉のふるい落しがすすむか。

作柄が、もう良くなる事はないという時点。折り返しが利かないところ。やはりお盆過ぎになろう。

序盤の駒組みは買い方優勢のうちに終った。
相場が押すのも中盤戦入りの定石である。

ポジションをどうとればよいか。

千丁押しか千四百丁押しと見て、下げがきつく買いハナが大きい節で買う。ストップ安などあれば、すかさず買いたいが、そうはいくまい。安ければ安値の売り玉が仕舞いにくる。

そうしておいて、新値抜けは、飛びつき買いよしである。その時は、多分S高であろうが、飛びつくしかない。

●編集部註

「皆さん、今が天井です」と相場様は絶対言わない。

皮肉な話だが、経験則上ど底やど天井での仕込みに成功した玉は疑心暗鬼や狼狽等で後々になって自分を責めたくなるくらいに序盤の序盤で利食いしてしまう事が多い。

相場修業は人間修行である事を思い知らされる。

昭和の風林史(昭和五四年八月二日掲載分)

2017年08月07日

定石なら安い 方針は強気のまま

ちょっと嫌な雲が出ているから舟を沖に出すのを見合わせる―という図で、釣り具の手入れでもすべえ。

「夏山を上り下りの七湯かな 子規」

小豆に嫌な線が出ているから、相場は序盤戦を終わって中盤の戦いに入り、まず下げて、それからどうなるかの様子をうかがうところだ。

玄人筋は、おしなべて深押しありと警戒人気である。

産地天候の回復と、ホクレン筋の売り直し。

あるいは三晶や栗田氏が買っても、相場が鈍い。

そういう〝気味〟を見るのに敏感な玄人筋は、手すかしにして模様眺めである。

一月限の生れは、ああいうところで、可もなし不可もなしであったと思う。

総体に、押し目が入る場所に来ていると見る人が多いから手口は慎重だ。

二千丁押しがあると見る人。千五百丁ぐらいと見る人。千丁までと見る人。

線は、ちょっとしに頭になった。節足が肩下りで段になり、日足も売り線が出ている。

どの程度下げるのかは判らないが、七月27日の高値が天井になることもないし、八月1日の1月限寄りが天井になるまい。

目先の下げを狙う人は、いつでもすぐに、ひと味違えば踏む気で真夏のスリルを味わう。

12限や11限が六千五百円カイ七千円ときてから買っても、アンドロメダ行き夜行列車に十分間に合う。

中盤戦入りだから千丁でも千五百丁でも下げておいて、下げ幅の倍返し三倍返しと、駒を進めていくのかもしれない。

お天気のほうは、予報にある早い秋が心配である。霜一発。その時、市場は動転する。

相場とは、きわめて皮肉にできていて、人様のポケットの中をお見透しだからやりにくい。たいがいの人が強気になりかけると下げたりするが、押し目が入ると待てば、押さずに、もう一段高して、これは違うぞと飛び付けば、その時、初めて深押ししたり。

「当り屋につくより曲り屋に向かえ」は、けだし名言である。お手手が悪いと、絵に書いたようにチャブツク。こればかりは妙というべきか、実に嫌な病気でもある。

なんだか嫌な雲(線)が出てきたから、沖に舟を出すのを見合わせて、風むきを見ているというのが今の図ではなかろうか。

大局方針は、もとよリアンドロメダ行き三万六千円でよいと思う。深押しありやなしや。あってよし、なくてもよしの場面。

●編集部註
 直近、最後の打ち上げ花火相場が登場する前夜の記述としてご記憶に留めておいていただきたい。
 
頭と尻尾はくれてやれというが、目先の上げに何らかのモヤモヤを感じている事が行間から判る。

昭和の風林史(昭和五四年八月一日掲載分)

2017年08月04日

中盤戦に突入 強気強気の本道

売りたい病気にかからぬよう御用心。今月の買い玉はアンドロメダ行きのパスポートである。

「日盛や人の気もなく二尊院 泊月」

ひと息入れる場所で、産地天候が持ち直し、月末恰好の押し目となった。

S高で飛んだ窓を埋めておけば、足もとが確りできて、八月相場が戦いやすくなる。

気象予報では、八月に冷めたい空気が流れ込みやすいそうである。

開花期の低温、日照不足は、その後の作柄に大きな影響をもたらす。

そして、台風シーズン。そのあと秋が早いというコースで、少しも気をゆるせない。また、立枯病など、病虫害の不安も出ている。

お天気だとか、作柄というものは、ひとつコジレだすと、どこまでも、おかしな具合になる。
うまくいく時は、去年のように、なにもかもうまくはこぶものである。

われわれは、その年のツキが、売り方にまわっているか、買い方についているかを毎年注意深く見守る。低温が休みの日で、休日明け天気が持ち直すという売り方に味方する年もあれば、持って回わったように、ことごとく売り方にツキがない年もある。

小豆市場は、ここ三、五年というもの、昔のような天候相場を忘れてしまった。天候よりも仕手筋の動きに関心が集まった。北海道小豆よりも輸入小豆のウエイトが高かった。

従って、冷害・凶作相場の怖さを知らないセールスや投機家も多い。

そこのところが今年の小豆の盲点になると思う。「腐っても赤ダイヤ」と書いたところ、実感があったせいか、この言葉が、はやっている。

さらに言えば、作付面積が三万四千㌶(道農務部五月一日現在)と、少ない事が相場の急所である。

昭和48年以来六年続いて道農務部の数字よりも農林省(七月一日現在)の作付け予想数字が少ないことから、今年も三万四千㌶を下回わるだろうと予測されている。

これが、反収二俵を割るようだと、赤いダイヤの輝きが往年の栄光を取り戻すことであろう。

アンドロメダ行き三万六千円。そのコースを考えても、なんら不自然でないのは、人気が冷静である事。否、警戒感が強い。そして取組みは、まだまだ安値取組みである。

日柄の面からでも上昇の初期を終り、中盤戦にはいるところだ。ともあれ、心に隙をつくらず、売りたい病気にかからぬよう、心するところである。

●編集部註
 天災は忘れた頃にやって来る。政変や革命もまた天災と言えよう。

 この年イラクでサダム・フセインが大統領になったが、イランでは革命が起こった。この天災が自然災害と違うのは、燻りに燻ぶった火が、ある時一気に爆発する事。この時の小豆罫線と似ている。

昭和の風林史(昭和五四年七月三十一日掲載分)

2017年08月03日

強い基調不変 八月は三万円時代

保合って押し目の役を済ます事もある。買い玉を常に保有していなければ八月は暑い夏になる。

「草刈りの笠のみ動く夏野哉 松水」

あんまり勢いよく騰げたため、小豆相場は時間調節にはいった。

時間の調節は、待望の押し目を入れるか、横に保合って押目の役を済ませるか。そのどちらかになるだろうが、八月新ポに一月限が上ザヤを買うため、押し目待ちに押し目なしになるかもしれない。

売りたい病気がなおらない人にすれば、騰勢が緩むと、やはり売りたくなる。その反面、売るのは怖い。売りたい病気の症状は暴落するように思えてしようがないのが特徴だ。

買い方にすれば、今まで何回転かして、力がついているのと、相場が見えているのが強い。

ともすると、買い玉がなくなっている(利食いしてしまう)。

空間マドの分ぐらい押し目が入って、安いと結構だが。買う気で待つあいだは押してくれない。

だから、押してよしという態勢で構える。

買い玉を常に保有し、もし安ければ玉を仕込む。期待に反して、押し目がなければ、高いところを買い乗せする。

見ていると、強気筋は安いところを、すかさず買っている。そしてこの買い玉は遠からず利になるだろう。弱気筋は、追証というハンディを背負っているから、売り攻勢にも出られない。仮りに売り叩いて安い値にしても、涼しい顔で強気に拾われてしまうだろう。勝負にならないのである。

そうこうして、時間調節を済ますと再び相場は奔走するだろう。

八月中に一月限で三万円相場を展開することになると見る。一月限は、これは大変な限月である。古品の供用が出来ない。本年産が凶作ならば、輸入品を持ってくるしかない限月である。

ところが中国も、台湾も輸出しすぎたきらいがあるだけに古品の在庫は少ないと思う。

中国の今年産の作柄がどうなのか。それは、これからの問題である。台湾は、日本の相場を見て、大増産になるだろうが、出回るのは来年二月時分だ。

ともかく60万俵余るという考えと、加糖アンの圧迫感で、骨まで弱気の病気にかかった人は、八月はことのほか暑い夏を迎えよう。

11、12月限の七千五百円抜け。10月限の六千円あたり。楽なのではなかろうか。「理くつは、あとから貨車でくる」。その貨車を待つ時間調節だった。

●編集部註
 買いは「熟慮断行」だが、売りは「断行熟慮」であると相場巧者に教わった。逃げ足さえ早ければ、この思考は間違っていない。

昭和の風林史(昭和五四年七月二十八日掲載分)

2017年08月02日

“夢中戦艦栗田” アンドロメダ行き

相場の性格は今までと違うものになった。アニーよ銃をとれ、相場はこれからである。

「たまさかの人なつかしや一夜鮮 梅東」

小豆市場に栗田艦隊出動の報伝わるや相場奔騰、売り方狼狽す。

「アンドロメダ行き宇宙戦艦・栗田」―とでも言うべきか。いや三万六千円行き夢中戦艦・栗田かもしれない。

彼は必ず、小豆市場に出撃してくると思っていた。本年前半の戦績は、残念ながら牛追いである。

失地を挽回すべき商品は今や小豆しかない。

まして彼の小豆相場に対する思いは?悲願〟でさえある。一度でもよい。小豆で勝利したい。

彼の今度の小豆投機は成功すると思う。

ただし、市場のルールを守り、過剰投機にならなければ―だ。

『風林が強気方針だから、今度は幾ら栗田が、あばれても、去年の後半のように、仕手排除、仕手批判はするまい』―という人もいるが、相場の強弱と、市場ルールの厳守は別である。行き過ぎたルール破りには、強弱をはなれて攻撃を加える。

〝夢中戦艦・栗田〟の出現で、小豆相場の波動は今までの流れと、まったく性質を異にするだろう。二万五千円台から六千円台で玉を仕込むという事は、少なくとも一万円幅。即ち、アンドロメダは三万六千円。そこのところに目印の旗を立てなければなるまい。

一方、弱気の病気、売りたい病気にかかっている人は、二万七千円、八千円抜けから踏みにはいるだろう。この病気にかかると申し分ない押し目が、天井に見えるから、どうしようもない。毎節が天井に見えるあいだは、やまいコウコウである。

伸び伸びした週間棒と北海道先限の粋な日足線を見ると、この相場は二万七千円は買い切って、あとはどこで押し目を入れるかという、買い方にとっては非常に楽な戦いになる。

あと、売り方が、どのあたりで壮烈に憤死するか。売り玉弔の遠いラッパを聞くまでは、前進あるのみだ。

“理くつは、あとから貨車でくる”。八月に入っての産地天候は、冷害凶作を決定的なものとするだろう。土用に入って、真夏日というものを見たことがない。アニーよ銃をとれ、まだ間に合うのだ。

なぜなら、急伸しているが熱狂していない。こういう相場が一番怖い。八月には三万円相場の展開を見るだろう。値頃観無用の時である。

●編集部註
 当たりやにつけ、曲がりやに向かえは相場の常道である。ましてや小豆相場には罫線殺しと呼ばれる逆張り筋もいた。

昭和の風林史(昭和五四年七月二十七日掲載分)

2017年08月01日

あの玉を撃て 八月踏み月灼熱高

八月 踏み 月に準備して、利食いした買い方は押し目を待つ。二万七千円は普段着の値になろう。

「大阪の祭つぎつぎの鱧の味 月斗」

ぼつぼつ市場人気は強くなりかけた。

しかし、まだ指標的な安値売り込み玉は踏んでこない。

『あの玉が踏むまで買いのままでよし』―などと言われる。『あの玉は、安値のド壺叩いた玉』と市場で見ている。その球が煎れてくるまでは、相場の基調は変わらないのが定跡である。

今月は二日新ポだっただけに人気の意外性を目(ま)のあたりにした。

さて、三千丁を急伸した背景には(1)お天気がよくない。(2)作況が悪くなった―という外部的な現象と、(3)弱人気の市場だった、(4)安値を売り込んでいたという内部的要因が、(5)下げ相場の日柄百二十日を経過、(6)過去五年の相場から判断して、完全な大底をつくった―という相場基本の動きと重なって、きわめて自然の動きを展開した。

このあとは、来月に新穀一本の1月限が大きくサヤを買って登場し、二万七千円、八千円は普段着の相場になるだろう。

そうなると、目から星の飛んだ?赤い星の義勇兵〟(三月一日)を掴んだ八月限の二万六千円台の買い玉も、もし頑張っている人がいたとしたら、まさしく凱旋将軍、勲章ものだ。

ああ軍服も髭づらも泥に塗れて幾千里―という歌があった。ホクレン軍の戦術の変化から、買い方は敗走に次ぐ敗走となったが、いままたホクレン筋の戦略の転換により売り方は窮地にある。

市場では、買い方に仕手がいないというが、ホクレンという仕手の存在を無視してはいけないと思う。

さて、場面は利食いした買い方が、八月文(ふみ)月、踏み上げを狙って戦線を整備中である。

相場基調に、なんの変化も見られない以上、五千円乗せ後の押したり突いたりのあと、次の目標値は11・12限の二万七千円抜けである。従って、押したところは、すかさず買われる。

いみじくも?小豆の季節〟と、本紙夏期特集号(八月一日付け)にある。腐っても赤いダイヤの輝きは失っていない。

“母と子の水泳教室”じゃあるまいが、押し目買いを怖がっていたら?八月踏み月〟相場の利益は確保出来ない。

押してよし。下げてよし。崩れるもまたよしとして、あの下げも、この押しも、再び買い玉仕込みに専念するのが判りやすい。

●編集部註
 どんな事があっても、1枚、また1枚と買い乗せする相場師がいた。

 「最後の最後まで買えば良い。どうせ最後の1枚は損するのだから」と、買い玉をあたかも炭鉱のカナリアにしていた。