昭和の風林史(昭和五八年七月五日掲載分)

2019年07月19日

相場の基調なんら不変?

小豆はゆさぶっておいて三万五千円を取りに行くトレンドだ。輸大も弱気危険。

小豆は余程確かりしたものの考え方を持っていないし、まるで船に酔ったようになる。

先週末はガット提訴と買い方利食い、それと天候の回復予想で高寄り後急落。

ガット提訴自由化問題は今すぐ現実にはなんという事もないのだが、人気面には多分に影響する。

買い方の利食いは、買い直すためのものと判断すればよい。

産地は低温、そして雨である。毎日新聞四日付けでは網走など千年に一度の低温と書いていた。

オホーツク海の高気圧がまた一等席に停滞しだした。そして、その上のほうにも、かなり冷たい高気圧が控えているみたいだ。

作柄の遅れは実にひどいもので、あと台風と秋の早い冷え込みが予想されているだけに、今年は大変なことになろう。

弱気は輸入枠発券に期待をつないでいるが、それで今の取り組んだ限月がどうなるものでもない。

ガット問題同様、人気面でショック安があっても、それは一瞬で終わろう。

今の相場は買い仕手というものがいないから、人気によるブレは大きい。

しかし大局観と基本姿勢さえ間違えず、高値で買い玉をひろげたりさえしなければ、瞬間的な下げにも十分耐えられる。

三万三千円どころは(11限)一ツの要所で、ここで時間調整を済ますと、次は三万五千円まで一気に水準を上げてしまう。

更に土用潰れ(七月20日土用入り)となれば、天神天井(25日頃)に向かって三万八千円に火柱が立つ。

いまのところ規制らしい規制もなく市場は穏健である。売り大手が煎れ尽くすまでこのような判りやすい相場の展開となろう。

輸入大豆のほうもシカゴがリードしていく。弱気は危険である。

●編集部註
 そのむかし、筆者が中学生あたりの頃、社会のテストで略語の正式名称を答える問題を解くのは得意だった。
 今回の記事で出てくるGATTとかNATOとかは出題の定番中の定番。当時のニュース原稿等で登場する際、略語と正式名称をセットで読まれるので、百人一首の上の句と下の句の要領で覚えた。
 GATTと言えば「関税と貿易に関する一般協定」だし、NATOと言えば「北大西洋条約機構」。
GATTは現在WTOとして教えられているのだろう。EUの前はEC、その前はEECだった。

昭和の風林史(昭和五八年七月四日掲載分)

2019年07月18日

侵略すること火のように

今週の小豆も足が速いだろう。基調不変。輸入大豆が革命する。シカゴ大底打ち。

小豆は七千円騰がったからどうのこうのという考え方がある。

それはおかしいと思う。三万円から下の値段は、あれは水面下で、その分は余分に下げただけ。

だから三万円から幾ら騰がったかという物指しではからないと、この相場が判らなくなる。

三万円という値段は一、二年前なら立ち入り禁止地区といわれたほどの大安値である。

その三万円から地下に穴を掘って、掘った穴の底から物指しをあてるから七千円も騰がったと、りんき売りする。

三万円から出発したと思えば、まだ三千丁しか騰がっていないのだ。

何回も書いたが足かけ三年、丸二年も下げた小豆が、一ケ月ぐらいの上昇で、たまげていたら身がもたない。

天気も天気だし、作柄も作柄だが、要するに取り組みと人気である。

相場の基調は、ちっとも変わらないのは、熱狂しない。売り屋が売りたがる。適当に押す。利食いしては押し目を買う。だからこのリズムは息長く続く。

売り方には天気が回復したら―という望みが断ち切れない。回復しても駄目であるが、人気の流れが変わることを期待する。

全般に古品限月を買って、新穀限月売りという思想がひろまったが、12限は別として11限は売り過ぎている。ヒネ限月が次々納会して11限の売りが残れば、新穀出回りは遅れるし、結局再び11限見直し買いとなるだろう。

輸入大豆のほうは、これから大相場を展開するという、前兆である。どこを買ってもよいのだ。

]●編集部註
 後々に日足なり週足なりを見ていれば、買いなり売りなりを保持したまま放置しておけば利が乗るのはあきらかである。
 しかし、そうは問屋が卸さない。
 リアルタイムで相場に接していると、ハイそうですかともいかない。確実に上がるという保証がない以上、逃げたくなる。事実、逃げている。こおいう所に「人間力」の違いが出る。概して当たり屋の人間力は高い。
 令和最初の参議院選挙が始まるが、事前に各局で行われた党首討論を見ていると「人間力」の大小、人としての「器」の大小が如実に出ていた。
 誰が人気なのか、言っている事に筋が通っているのは誰か、等々は正直どうでも良い。相場に従事する人間の視点だと、器の小さい人物は「ああコイツ、相場が下手そうだな」と感じる。そんな御仁が頭目の政党には投票しない事にしている。
 曲がり屋の言動に従ってロクな目に合わない事を、我々は知っている。

昭和の風林史(昭和五八年七月一日掲載分)

2019年07月17日

その速きこと風のごとし

輸大は五千円を取りに走るところ。小豆は基調まったく不変。淡々とした波動。

輸入大豆にきた。予想外の作付け面積の減少だった。

シカゴは投げたあとの総投げと売り叩きだからこの材料の反応は強烈であろう。

やはりシカゴは、あの安値にきてのきつい下げは大底をとるためのものであった。

さあ号砲一発これから天候相場に入る。減反による需給見直しと、はらはらさせる天候の推移によって、シカゴは燃えよう。

当社では来月九日から伊藤英治記者をシカゴに派遣し、向こうの畑を視察する。その時分は多分、穀取輸大相場が熱気を帯び、白熱化しているだろう。

刻々現地からテレックスでホットな産地情報を送稿する。

この輸大相場は七月中に五千円をマークしているだろう。かなり安値の取り組みであり、底練り十分、しかも綺麗なWボトム(底)である。

大衆投機筋には力がついているから地鳴りして新値街道を行く。

とりあえず五千円と見ているが、トレンドは六千円の可能性が濃いのだ。

小豆のほうは、またいうことなしの続伸S高場面を迎えた。

値がゆるんだところで弱気が売った。その分が全部エネルギーになった。

押した(先限)千百円分の倍返しなら三万四千三百で三倍返しが三万五千四百だから、まるで絵に描いたような判りやすい動き。

先限は千円棒を入れたが古品限月は一息入れただけというあたりが、この相場の前途を暗示している。

渡し物薄で、いずれ大逆ザヤになりかねない。

産地天気は七月上旬また雨が多い。

とにかく昭和最悪の北海道である。だから、こんな相場見たこともない―という場面が七月に実現するのである。

●編集部註
 記者を海外に派遣するとは豪勢な話である。
 まだこの頃はバブルに入っていない。ただ今のようにネットで世界中がつながっておらず、記者が足で現地でネタをとってくる必要があった。
 いまは「コタツ記事」が全盛。これもネットの功罪の一つと言える。
 風林火山もシカゴに飛んで、その模様を一冊の本にまとめている。記録としては残っているが。現在弊社にはない。
 以前、筆者が勤めていた商品会社が社屋を移転するにあたり、書庫の整理を任された事が。70年代以前の相場関係の書籍も眠っており、貴重な体験をさせてもらった。
 その時、このシカゴ見聞記の原本を手にした事がある。泣く泣く処分したが、まさか投資日報にも残っていないとは知らなかったので実に惜しい事をしたものである。

昭和の風林史(昭和五八年六月三十日掲載分)

2019年07月16日

勝者は勝ちやすきに勝つ

小豆の売り方は大勢に逆らっている。いずれ玉砕である。次は三万六千円が早い。

小豆は千円棒を入れないと絵にならない。

その千円棒を入れて、これをバネにして再び上昇波動に乗る。

買い方には力がついているが相場師でない悲しさ、押すと利食いを急ぐ。これは仕方ない。値が締まってくると元気が出てまた買いの手をふる。

利食い千人力でそれも悪くなかろう。

北海道のほうは、これはもう昭和九年型の凶作。

全道仮りに50万俵収穫としても二等検の20万俵あるかなしで、あとは三等やクズ豆だろう。となればヒネに値が出る。

産地農家は一俵四万五千円から五万円になるだろうと過去の経験を重んじる。

テレビの気象の画面に映らないサハリンのその上のほうに冷たい高気圧が停滞している。

七月中旬までどうにもならないお天気だ。

手口のほうは売り屋の売りである。買い方は芯になるところがいない。

だから面白いし、怖いのである。基調不変。日柄が若い。売り方は手負いで、最後の兵力を結集して相場を潰しにかかろうとするが万歳突撃のようなもの。

三万三千円あたりで時間調整をして、次は三万六千円である。いままでのところまだ九〇〇円のS高を消費地市場でやっていないが、七月は連発S高の熱狂となるはずだ。

とどのつまり行きつくところは四万円タッチという相場で、七月15日を過ぎると当限が一日二千丁高ということもあろう。

外割発券は売り方鶴首の援軍であるが、本年の需給は繰り越し30万俵の計算で心配はない。その意味でも急ぐことはない。ただ来年の需給を考えれば八月発券という事になろう。

それまでに売り方は刀折れ矢尽きる。玉砕してしまうだろう。勝者は勝ちやすきに勝つ。

●編集部註
 梶山季之の小説「赤いダイヤ」が発表され、TVドラマ化され、果ては映画化までされたのが1 960年代、文庫化されたのが1975年。一時は絶版となっていたが、文庫で復刊したのが19 94年。いまはアマゾンですぐに入手出来る。
 思えば、今回の生地で出て来る小豆相場の動きは、この小説の中で登場する相場展開とよく似ている。外割発券ではないものの、ある特例措置が小豆相場とその後の展開のカギを握っている。
 思えば、梶山季之も平成生まれで知る者は少なかろう。大正時代の島田清次郎のように、世世を経て忘れ去られる流行作家になるのだろうか。

昭和の風林史(昭和五八年六月二十九日掲載分)

2019年07月12日

七月小豆、輸大共に白熱化

小豆は絶好の買い場を作った。相場はまだ若い。輸入大豆も必ず走り出す。

小豆の三万三千円はひとまず利食い場所とみて、おりる人が多かった。

見えている人は押し目をすかさず買った。

次のコースは三万五千円から六千円目標。

七月相場は北海道の決定的な作潰れがトークされるだろう。

六月中の産地平均気温を示す赤とブルーの色別に記入するグラフは穀取開所以来見たこともない悪さだ。

天気の方はまた別の高気圧が上の方にある。

十日程前だったか『今のような天気がもう一週間続いたら凶作だ』と言われて以来、よい天気の日は一日もない。

大きな売り建てのある店の取り組みはまだそのままで踏まない。

相場基調は適当に押し目を入れて淡々たるものだ。

過去の凶作の罫線をチェックする。

随分急な上昇のように思えるが日柄からいうとまだ浅い。

手口から言えば、まだまだ売りたい気持を引きずっている。

外割発券に期待する訳だが、過去の例からみても、そのような材料でS安でもしようものなら瞬間的、絶好の買い場でその日のうちにS高切り返しということになる。

外割発券問題はもう少し先にいってからの作業である。また実際に現物が入荷するのは、もっと遠い先のことである。また中国も台湾もいろいろな事情があろうし、値段を吊り上げるのは当然。

いずれにせよ、この小豆は息が長い。

輸入大豆の方はシカゴ急落で押したが、これまた絶好の買い場。

相場は基調の底値脱出のところ。人気が弱い程大きい相場に成長する。

いずれにしろ、来月は小豆、輸入大豆大狂乱。穀取は大出来高の毎日だ。

●編集部註
 実のところ、誰が最初に言ったのかサッパリ思い出せないのだが「神は細部に宿る」のだとか。
 真珠湾攻撃が行われた1941年、名匠溝口健二監督の「元禄忠臣蔵」が公開されたが、この時は当時の建築、歴史、美術の大家の監修の下、刃傷沙汰のあった江戸城松の廊下を丸々造った。
 草月流家元にして映画監督であった勅使河原宏は千利休の映画を撮る際、劇中で使用する茶器や掛け軸、屏風を美術館などから本物を借りて来た。
 端から見れば変わらぬが、トゥーマッチも極めれば狂気となる。映画も相場も、狂ったように隅の隅まで何かにこだわり突き詰めた先に何かがある、という点でどこか似ている気がする。

昭和の風林史(昭和五八年六月二十八日掲載分)

2019年07月11日

小豆続伸、輸大が暴走する

小豆は煎れ終わるまで基調不変。輸入大豆の五千円タッチが早い。輸大が暴走する。

将棋や碁のプロといわれる人でさえ、大きな勝負で形勢が開き過ぎるほど開いて優勢になると、手にフルエがきてポカをする。

それと似たような心境が引かされた玉を持って辛抱していた小豆の買い方のフルエであろう。

利を伸ばせというが、これができない。十分ひきつけたつもりでの利食いが、常に早すぎて、利食いのあとが大きいものだ。

売り方が、もうたまらないと煎れてきた。

産地の天候は今月一杯低温続きの予報で、作柄もなにもあったものでない。

かつて経験したことのないような冷害であり、凶作である。

それだけに相場も、売り方の踏みが終わるまで上昇する。もちろん水準が高いほどブレがきつく、ハッとする下げも入るがそれは押し目で安いところを売り込んだら百年目。すぐ捕まる。

三万三千円ひとまずの値段。それから三万六千円→八千円の相場をつくる。

恐らくこれから新聞、テレビで冷害凶作を大々的に伝えるだろう。

モスクワでは真夏の冬将軍といってオーバーを着るほど寒かったと伝える。

小豆も走るが、隣の輸入大豆が火を噴く。

輸大のファンダメンタリストは、判らんという。小豆が高いから大豆を買うというのは馬鹿げたことだと思うのは当然である。

しかし、相場というものは、その馬鹿げたことが通用する。即ち理外の理である。本当は馬鹿げてなどいないのである。

売り込んだ取り組みが担がれる。場勘戦争は時の勢いでありパワーだ。

しかも大底が入っている。底練り百日の強味である。

輸大は、いまならどこを買っても大丈夫。上は大きい。輸大のS高もあるだろう。怖い相場がきた。

●編集部註
 人はしくじりを重ねると他者の振舞いに優しくなれるような気がする。修行が足りぬもの程、兎角苛烈に他者と対峙する。
 今回の文の書き出しにうんうんと肯き、「でも、わかっちゃいるんだけどなぁ」と遠くを見つめる御仁は少数ではあるまい。それだけ我々は多くの失敗を経験してきたのだ。 それでもまだ相場の世界で生きているのだからむしろしくじりは財産か。
 碁盤のマス目の中心点を「天元」という。当時はおろか今でも常識を逸脱した「初手天元」を実行した棋士が江戸時代にいた。二世安井算哲こと渋川春海。ただ彼の歴史的功績を調べると、この時のしくじりが後々財産となっていた事が分かる。

昭和の風林史(昭和五八年六月二十七日掲載分)

2019年07月10日

小豆の上値は想像を絶す

小豆は今から買っても上は大きいし十分間にあう。今週輸大の押し目も買う事。

小豆相場は佳境に入るわけで今週は再び火柱を立てる。

人間心理の面白さでストップ高抽選となると、ひやかしでもいいから大きな買いの手を出す。逆に値がゆるんでくると、あわてて利食いを急いだりする。

相場は初期の段階から中期の入り口にある。

そして基調は今までとちっとも変化しない。

売り方は、あくまでも売ってくる。下値の売り玉が可愛いくて踏めない。だから難平売りしてくる。

その売り玉は捕まることが見えている。

買い方はマバラである。大きな買い仕手的な存在がないからこの相場は本当は怖い。きわめて自然な流れとリズムを維持している。だから規制の必要がない。産地の状況は悪くなるばかり。恐しい事だ。

そのうち、今売っている玄人筋が、ただならぬ産地事情を正視して、ドテン買いに回るだろう。今の時点では、まだ天候回復に望みをかけているが、絶望的状況を知るに及べば決然買ってくるのは見えている。

その時分、いま買って儲けている大衆が値頃観で売ってくるかもしれないが〔利食いドテンは愚の骨頂〕値頃観無用を銘記して利食い急ぐな利は伸ばせ。

もとより〔損切りドテンは福の神〕。今からでも売り玉踏んで十分間に合う。上値はとてもの事大きい。

恐らく今年の北海道は「昭和最悪の冷害」となるだろう。三万六千円→三万八千円時代の再現だ。

当然上値で臨増しがくる。売り方は追証と臨増しの二重苦で憤死の運命だ。

輸入大豆は両三日の押し目を仕込む事。七月大相場の展開必至。

●編集部註
 この頃の小豆相場の動きと、当時の取引現場を取り巻く空気、そして風林火山のこの空気に対する印象と意見―。読む人が読めば、特にテクニカル、更に言えばサイクルやチャートパターンを重要視する人間であれば尚更、非常に重要なテキストである事が解かる。
 この時の穀物相場と、現在の金相場の動きはよく似ている。相場は「歴史は繰り返される」を体感する最良の教科書だ。
 ファンダメンタルは時として人を迷わせる。むしろ迷わせるために材料を流している時も。誰が言ったかは忘れたが「数字は嘘をつかないが、嘘つきは数字を使う」という言葉があるくらいだ。
 その点、嘘をつかない数字の集積体であるチ ャートも嘘をつかない。チャートを見誤るのは、大概〝自分に〟嘘をついて素直にチャートを見る事が出来ないため。これは他人の話ではない。自分自身の話でもある。

昭和の風林史(昭和五八年六月二十五日掲載分)

2019年07月09日

輸入大豆の七月相場強烈

小豆作況は悪化するばかりだ。北海道大豆もやられる。輸大相場七月破竹の勢い。

小豆についてあれこれ書くこともない。煎れる玉は多けれど、利食いする玉が出ない。

今回の相場と似ている昭和55年の八月中旬から後半にかけて、産地天候崩れによる小豆棒立ちは八月14・15・18・19・20・21・22・23・25日とストップ高をつけている。当時六〇〇円のS高を八〇〇円S高に制限値幅をスライドで拡大しているから、売り玉はたまったものでなかった。

当時の状況は今回と実によく似て(1)仕手不在。(2)玄人筋の売り。(3)取り組み薄。さらにその他の条件もまったく似ている。

その事については月曜付け三面で書いてみよう。

早々と輸入大豆に怒濤がきた。

北海道の大豆が駄目になれば中国大豆に値打ちが出るし、アメリカの天候だって大干ばつの可能性濃い。

国際的にも食用油脂の相場が殺気をはらんでいる。これはマレーシアのパームが干ばつにやられたり、気象に関するトラブルが多発しているからである。

穀取輸大は七月に入れば破竹の勢いで上昇するだろう。いや、もう、半分駈けだした。

大阪10限の四千円がどうにも割れなかったことを見て、言われるべき悪材料のすべてを相場は織り込んだことを知らしめた。

安値売り込みの取り組みに火がつき、これでシカゴがS高でもやれば小豆の隣の黒板(輸大)までS高赤色大出来高となる。

とりあえずトレンドからいえば七月輸大は五千円タッチである。

相場の怖さというものは大底を打ったものは、時期さえくれば天井打つまで上昇トレンドの中を行く。

まして安値取り組みの時間が長かっただけに五月の高値、四月の高値を買い切ると、強弱御無用の境地に入るだろう。

●編集部註
 先週、増補改訂版となって電子書籍で復活した中原駿氏の「短期売買100の法則」は、もともと弊社が発行していた月刊誌「商品先物市場」に連載していたものだ。
 連載時、中原氏はトレーダの〝取引にかかる時間〟の長短によって同じ人間でも全く人種が違うといった旨の論考を載せていた。
 そこへ来て、今回の風林節である。「相場の怖さというものは大底を打 ったものは、時期さえくれば天井打つまで上昇トレンドの中を行く」。
 この〝時間〟が曲者。先物取引、特に限月に敏感な穀物市場で、長期的な視点を養うというのは存外難しい。長期トレンドが強気の時、短期視点で売買を繰り返そうとすると悲劇が生まれる。
 「絶えず頭は柔らかく」と、知己ある相場師が何度も筆者に繰り返していた事を思い出す。

昭和の風林史(昭和五八年六月二十四日掲載分)

2019年07月08日

輸大が小豆のあとを追う

S高連発の小豆の強弱はもう用なし。次は輸入大豆に火がつく。まず五千円目標。

小豆がS高で買えないから大豆を買う。

これはご正解である。

輸大相場はシカゴS高も十分可能性ありで、穀取は小豆の隣の輸大までストップ高ということになるだろう。

アメリカ穀倉地帯の大干ばつ。これは一九八〇年に襲来したヒート・ウエーブ(熱波)と同じだ。あの時は七面鳥まで暑さで死んだ。

穀取輸大の七月限のド天井(大阪四二二〇円)を掴んだ玉でも、これが利になる。だから少々高くなってもホイホイ利食いなどしてはいけない。

本当に腰が抜けるほどの速さで上げだすのは当限納会落ちてからあとだ。

七月はとりあえず五千円指呼の間に先限が買われるだろう。

大きな取り組みが鳴動して大地をゆるがす。

大量売り建の自己玉が小豆の二の舞いを見る。

玄人筋の人気は弱い。これも小豆と一緒である。

商社はシカゴを買って穀取を売るわけだが、シカゴが火を噴き穀取も燃えればヘッジ売りなど20万枚の取り組みは難なく消化する。

要するに怒濤のような人気買いである。大群衆がなだれを打って、そちらのほうに走りだせば、それは間違っていると制止しても、間違っていると言うほうが間違っていることになり、渦に巻かれる。それが人気相場の怖さだ。

さて、小豆はなにもいうことなし。きょうもS高、あすもS高では買うにも買えない。あとは利を伸ばすだけである。

お天気は七月中旬まで駄目らしい。夏型にならない。もう今の時点では、お天気が回復しても坊主になった畑に毛ははえん。

小豆はどこまで行きますか?と聞きにくるが、そんなこと判らない。凶作相場の過去を見ればよい。

●編集部註
 慶大の小熊英二教授が書いた「グローバリゼーションの光と影」という評論文があり、三省堂の国語の教科書に掲載されている。今日日、昔と決定的に違うのは「テスト対策」としてネットに実際の授業での板書や解説、実際に問題が出題された場合どんな問題が出るか、模範解答は何か等々出回 っている事。先生達はさぞかし授業がし難かろう。
 今回の記事で採り上げられている天候不順や相場の変動も、グローバル化を推進する人達にとっては大義名分となった。
 これが「光」の部分だとすれば、「影」の部分を我々はエンロンやモンサントのような企業の不祥事で改めて知る事になる。
 日本でも種子法が廃止された。元に戻すには時間がかかる。気付いた時にはもう遅く、「影」をこれから味わうのだろう。

昭和の風林史(昭和五八年六月二十三日掲載分)

2019年07月05日

小豆連続S高場面接近!!

北海道は大変なことになっている。天気はこれからも悪い。六月に決着がつく小豆。

北海道の小豆は、過去に見たこともない作柄の悪さで、十勝、北見方面は、なおも低温と雨が続けば壊滅状態になるだろと現地古老は憂慮。

十勝の小豆は発芽したが本葉が出ない。畑はマッチ棒を立てた様相を伝える。北見方面は発芽せずの畑が目につく―と。

明治以来このような六月の悪さは体験したことがないとも。

昭和に入って北海道小豆の反収が最も低かったのは終戦の年(20年)の〇・五三俵。これは天候もさることながら異常下のもので例にならない。

近年では東京オリンピックの昭和39年の〇・八俵。29年洞爺丸台風の年が〇・八三俵。

まだ天候が回復すればという期待が売り方にはあるがオホーツク海高気圧のきついのが停滞しだして月末迄は冷え込みと曇天が続くから十勝、北見全滅ということもある。

トウモロコシが成長せず茶色になった。小麦畑も黄色に変色した。

全道平均〇・八俵という凶作になった時、値打ちが出るのは去年よかった古品小豆である。

11限新穀の出回りは遅れるだろう。

ザラバはノンデリになる。

あとは輸入小豆の枠拡大、早期発券だが、凶作が一般に判明しだしてからの作業になるから、相場はすでに連日のS高をやっているだろう。

売り玉は煎れ、買い玉は利を食い出来高増大。あとまた値頃感と意地をつけて売ってくるのをためておいて三万三千円が早い。

凶作と判ったら納会受けて現物を抱くという人がふえる。売り方に現物の裏付けがない。怖いことになる。売り建は今踏んでも遅くない。連続S高まさに目前にあり。躊躇逡巡の時に非ず。

●編集部註
 お天道さまを相手にしている相場ゆえに、天候には勝てない。「豊作に売りなし、凶作に買いなし」というが、これは〝織り込み済み〟を戒める警句であり「知ったら仕舞い」のようなものなので、初動はやはり大事である。
 この時のような目に見えて明かな歴史的な凶作はこの記事から十年後、1993年の日本でも起こる。これは後に「平成の米騒動」と言われる。
 端的に言えばそれまでのお上の減反政策が裏目に出た。この騒動でタイや中国等から緊急輸入したが米を茹でる習慣がなく、各地で色々と文句が。罰当たりな所業や言動をする大人達を見かけた。
 この時の騒動然り、今の小豆相場然り、日本政府は自国の農業に愛がない。徹頭徹尾、間違った事しかしていないと思う。