昭和の風林史(昭和五九年三月五日掲載分)

2020年03月30日

春の突風の如き為替変動

ドルは下がらないという政府筋の見通しの裏をかいた。相場の難かしさきわまれり。

雛節句の三日は円相場急伸の突風に見舞われ、ゴム、粗糖が売られた。

長らくボックス圏の円相場久しぶりの変動だ。

欧州通貨が売られ過ぎたあと底入れ感→反発。円の割安感。見直し買い。

ゆれ動くドル相場は貴金属市場に兆候が早くから出ていた。

米国高金利―ドル高基調から、再び通貨変動のシーズンに入るのだろうか。

東京金は為替(円高)分を売られたが、あと小反発。シルバーは円高に響かず逆に買われた。

中東情勢の混昏→原油高傾向→債務国に対するカントリー・リスク→通貨不安→インフレ再燃の心配→金利商品から貴金属へ→世界の天候不順→コモディティへの資金移動という図式が展開されるかどうか。

さて東京シルバーは立ち会い回数の増加で売買回転が速くなりだした。

相場水準の上昇に伴う取り組みの増大は前途に大相場を暗示するものである。

輸入大豆はシカゴの素晴しい底値脱出を横目で眺め円高分を売られた。

シカゴは、どこでもう一度押し目を入れるか。

シカゴにとって欧州通貨に対するドル安は、ヨーロッパの購買力を高めるから大豆の好材料である。

シカゴ罫線は暮の戻り頭からの下げに対して半値以上の戻しかただ。

線の勢いから見ると七㌦80あたりから、少しきつい押し目を入れそうだ。

乾繭は前乾先限五百円をタッチして押し目を入れている。なかなか一本調子の波動に乗らない。伸びると見せて押し、押すかと見せて反発。思春期の少女の如くナーバスな相場展開で神経が疲れる。

●編集部註
 ここで採り上げられている〝中東情勢の混沌〟は、恐らくイラン・イラク戦争の事を指している。
 世界史上でこの戦争は1980年9月に始まり、1988年8月に終わった事になっている。この年はちょうど戦争の真ん中あたり、歴史年表を開くと82年にシリア占領下のレバノンにイスラエル軍が侵攻したり、同じ年には英国がフォークランド紛争を起こしていたり、翌年になると米国がグレナダに侵攻したり、もう一つの大国ソ連も79年末のアフガン侵攻が泥沼化。米国がベトナム戦争で味わった苦難の道を歩むなど世界各地で紛争が勃発。そんな中、イラン・イラク戦争自体は沈静化に向かうかに見えた。事実、この年の2月に米国は撤退を開始している。
 しかし、3月になるとイラク側が戦闘で毒ガスなどの化学兵器を使用した事が国連の調査で発覚。これを機に再度戦争が激化。両国間の都市がミサイルで攻撃されている。

昭和の風林史(昭和五九年三月三日掲載分)

2020年03月27日

業界の急速な変革と相場

商取業界の流れが変化するとともに相場の流れも徐々に今までとは違ったものになる。

数多くの取引所に加入している取引員の市場関係者は、商いのあまりできない今でも立ち会いが連続し、重複し、疲労とストレスが心配される。

東穀のIOM別建市場、ゴムの九月限、そして金、銀、プラチナの立ち会い。

店側としても人員配置を考慮しなければならない段階である。

上場商品がふえることはよいのだが、受け入れる側のキャパシティに限度があるから、自然効率のよくないものや人気のない商品は手抜き現象になる。

しかも新しい投機家が市場や限月の増加に伴いふえるのであれば、これに越した事はないが、東京粗糖から銀市場に証拠金が移動したごとく、数はふえたが小さいパイは、やはり小さいパイのままだったという事になれば、取引員の経費負担のみが肩に食い込む。

考えてみれば待望久しき新規上場商品(貴金属)であり、また制度の手直し(限月延長や別建市場)であるが、新しい投機層を拡大するという努力のほうが疎(おろそか)になっているのではなかろうか。

各市場の取り組みや出来高などを、もうすこし見ていかなければ、まだ結論を出すのは早いが、キャパシティの限界(現在の投機人口や取引員の経営効率)が、いずれ表面化するかもしれないと思う。

一方、投機する側にしてみれば、魚のいない場所に糸を垂れる人はいない。『お金儲けは、お金の集まっているところにあり』で値動きが大きい、証拠金効率がよい、商いがよくできている、市場管理が適切、市場に信頼性がある―など、投機対象とタイミングを選択する自由がある。

今の商品業界は大きな曲がり角にきているだけに業界の流れというものを確り掌握してその上で相場を考えなければならない。

●編集部註
 人生然り、作戦然り何度か立ち止まって考え、方針を転換するポイントはあるもの。しかし、それは後々になって明らかになる。後悔、先に立たず。その失敗を教訓にその後の人々は生きていくしかない。
 つい歴史にたらればは禁物だが、「あの時動いていれば」という夢想は、小説等でよく使われる手法であり、それを読む人が多い事からわかるように、大なり小なり人間は何らかに後悔している。
 今回の文章の後半で出現する条件をクリアしている銘柄は、今の国内商品先物市場でどれだけ存在しているのだろうか。主務省の違いやイメージ等、運営側にも言い分はきっとあるだろうが、体たらくを招いた、というそしりは免れないだろう。

昭和の風林史(昭和五九年三月二日掲載分)

2020年03月26日

輸大底値大脱走のマーチ

時に前乾当限五千円なきにしも非ず。輸入大豆は底値圏大脱走のマーチ。銀好買い場。

六取引所六節の小豆と、二取引所四節の乾繭と取り組み出来高を比較すれば、取り組みで(28日)八千九十枚乾繭が多いし、出来高(29日)で三千二百枚これも乾繭が多い。

穀取には輸入大豆というドル箱があるから小豆が不人気でも深刻さはない。

しかし、かつて黄金時代を謳歌した小豆のおもかげは、もうないのである。

それは二取引所ゴムの取り組みにも一万四千余枚の差をつけられ、東京粗糖一市場との差においては三万枚もの開きがある。

山高きが故に尊からず、取り組み多いばかりが能でないかもしれないが、市場の盛衰、商品の潮流を歴然と見る思いがする。

注目の東穀・米国産大豆市場はシカゴ高の反映と御祝儀気分もあって、いい値段に寄りついた。

東穀では、大豆両市場(米国産、中国産)の商いが長い時間になった場合、物理的に小豆を前場二節、後場二節にせざるを得ないだろう―と考えている。

それは淋しい話であるが淋しいと思う気持ちが、すでに老化した考えかもしれない。時代の流れは速い。

さてシカゴ大豆は底値から大脱走のマーチである。押さば買い場と見たが20㌣と押さず、はね返した。

九㌦→八㌦→七㌦と大台三ツ割った下げ相場のトレンドが上向きに転じ、明らかに相場が変わったことを示していた。

乾繭は玄人ほど売りたくなる。まして生糸相場を眺めていては、とても買えたものでなかろう。しかし逆ザヤ相場売るべからずだ。政策を小馬鹿にする風潮がゆきわたっているが、相場の勢い・流れ、そして罫線を見ていたら、これは黙ってついていくものが勝つだろう。

前乾先限四千八百円、時に当限五千円という場面なきにしもあらずと思った。

●編集部註
 生糸、乾繭、粗糖?。結局、全てゾンビ化して消えていった。昭和も遠くなりにけり。
 1984年3月は帝銀事件や下山事件、三億円事件などに並ぶ、戦後犯罪史上最も不可解な事件が発生する。
 3月18日、当時の江崎グリコの社長が誘拐され、現金10億円と金塊100㌔を要求する脅迫状が届く。3日後に社長は発見されるが、これは事件の序章に過ぎなかった。
 4月になるとグリコに劇薬入りの脅迫状が届き、その後丸大食品や森永製菓、不二家などにも同様の脅迫状が。関西のスーパー等に青酸ソーダ入りの菓子がばらまかれた。俗に言う「グリコ・森永事件」である。この騒動は翌年、唐突に終わった。

昭和の風林史(昭和五九年三月一日掲載分)

2020年03月25日

乾繭三日見ざれば怱然!!

銀の押し目は判りやすい買い場。乾繭三日見ざれば惣然たり。輸大先限に夢あり。

きょうから東穀に米国産IOM大豆が別建の市場としてオープンされる。

また東京金取引所の銀市場は前場二節、後場二節と立ち会い回数がふえて売買回転が速くなろう。

これに呼応して“日経新聞”が商品先物の紙面を拡大するそうだ。

朝日や読売、毎日などの全国紙が商品取引所相場のスペースを、ほとんど削って、相場数字の掲載も朝夕刊最小限度になって久しい。昭和30年代は商品市況欄の雑記華やかなりし時分で朝日の繊維市況“たて糸よこ糸”など相当なスペースを持っていたものだ。

商品先物市場に対する一般紙の扱いは、やはり時代の変遷によるもので、日経紙が商品面のスペースを拡大することは、商品界にも新しい時代が到来しつつあることを知らしめる。

さて金の反落からシルバーも押し目を入れた。海外高を映して大出来高、人気沸騰のあと海外反落をダイレクトに受けたものだが、これは申し分ない押しである。相場は若いし、この相場の前途は雄大だ。

乾繭が急所を買い切って一説には五千百円があるという。中段の嫌というほどのモミが寒肥えみたいに養分を吸って大きな花を咲かせるだろう。前乾先限四八〇〇円が早そうだ。

輸大はシカゴが25㌣の押し目ほしいところ。

すでにシカゴは下げトレンドと離婚している。七㌦10あたりの押しはV2ボトムとしてコンピュータ筋が襲いかかる地点である。

またヨーロッパ通貨の回復は、その分だけシカゴ大豆が安くなる勘定だから下値にカンヌキが入る。

穀取輸大も新しく取り組む階段だ。高値取り組みは整理され、目下節足二段上げから軽く押して三段上げをつくる。まずは序盤のラリーというところか。八限天災期限月に狙いを。

●編集部註
 いまから20年前の2000年にイ・チャンドンという人が監督を務めた韓国映画で「ペパーミント・キャンディー」という作品がある。今回の全国紙の商品先物欄を巡る記述のあれこれを読むと、何故か無性にこの映画の事を思い描いてしまう。
 鉄道橋のふもとの河原でBBQに興じる中年の男女の横を、うらぶれた中年男性がふらりと通る所からこの映画は始まる。
物語はその数分後、男の「戻してくれ!」という絶叫を合図に進行していく。
 この作品、映画の冒頭が現在で、章が進むごとに過去に戻り、ラストが時代的に一番古くなり、タイトルの意味も分かる。
 二十余年この業界にいて、今回のような記事を読むと「戻してくれ!」と絶叫して、本当に時間が戻ったらどんなに良かったかと思ってしまう。

昭和の風林史(昭和五九年二月二九日掲載分)

2020年03月24日

東京銀期近85→90円目標

お金の流れが変化しつつある。ドルから貴金属へ。東京銀期近の85円→90円は早い。

NYコメックス銀は週間棒六本七本と連続陽線を立て前途雄大な上昇波動を予測させるのは、82年(昭和57年)六月底四㌦81から五本連続週棒陽線を立てたあと、半値押しを入れて、それからというもの27週の大上昇トレンドに乗って14㌦76まで凄い相場を展開した実績がある。

この時、週棒の新値は実に20本であった。

目下10㌦04を買い切って、10㌦50の窓を取りに行く格好。東京シルバーの期近限月85円→90円が恐らく出現するであろう。

海外は明らかにドルから貴金属に“お金”の流れが変化している。

そして「古今洋の東西を問わず、お金儲けは、お金の集まっているところにあり」-。貴金属市場に人気が集中するのは至極当然。

東京銀市場は来月から前場二節、後場二節の立ち会いとなる。まことに時宜を得たものである。

乾繭が中段のモミ合いから四千七百円あたりに行動を開始するかの如く、関心ある人たちは逆ザヤ相場を注目している。

乾繭は制度政策銘柄であり、ミニ仕手戦といわれ、敬遠する人もあるが、相場としては判りやすいところである。前乾先限四六〇円抜いた引けから四八〇円を買い切る線型は、五〇〇円台素通り六〇〇円→七〇〇円がテクニカルとして読めるのでなかろうか。

政策には時間差というものがある。政府の減産方針は泣く子と地頭に勝てぬという結果になりかねん。

シカゴ大豆はV型反発の半値ほど、せめて25㌣押しの7㌦20があれば理想型。すでに穀取輸大は大底鍛錬に入っている。

当社は読者サービスとして100円切手二枚と送り先住所記入の申し込み者に『セレクトシリーズ・ソイビーンズ』を一部進呈することにした。

●編集部註
 先週、R・メリマン氏が発行している「MMAサイクルズレポート」の緊急版が発行された。前週の米国株式崩落を受けたものである。
 これは記述全体がメリマン理論の入門レポートになっていたので急きょWEBサイトでの販売を決定。弊社にも幾つかの問い合わせが来た。
 中でも、筆者が応対させていただいたお客様の中に、この頃の「板寄せ」の貴金属取引をご経験されている方がおられ、こちらが逆にいろいろお聞きする側になっていた。筆者が外務員をしていた頃、貴金属は既にザラバ取引になっていたからだ。
 商いが薄い昨今、いっそのこと板寄せの方がちゃんとした値がついて健全だと筆者は思う。何もかも海外の取引に合わせる必要はないと思う。

昭和の風林史(昭和五九年二月二八日掲載分)

2020年03月23日

制度政策絡み商品を敬遠

制度政策に絡む商品の市場は投機家に敬遠される。その傾向はますます高まろう。

東穀、大穀の小豆片建取組表を見るとスカスカして風通しがよい。

商いの薄い日は東穀で千枚を割る始末。

一部の人を除いて今の小豆相場も小豆市場も判りにくいから敬遠される。

相場の流れはどちらを向いているのか。傾向としては逆ザヤがどこまで続き、そのあとどのような格好で解消するのか、それともせんのか。勢いというものが目下のところ見当たらないがほぼ一ヵ月続いてきた逆張り的高下運動が、どこで終わるのか。

納会の日るごとに当限売り方は踏まされてきた。今月は名古屋の市場で前日比千五百二十円高というスクイズが話題になった。

そして三月限も取り組み面では買い方の制空権下にある。しかも四月限まで『買い方の言いなりになる相場だ』と豪語されているそうだ。

次期枠絡み即ち早期発券のあるなし、枠の拡大あるかどうか。そして中国、台湾の売り値段と、売ってくる数量―これらが一にかかって相場の将来を決める要素だけに、一般の投機家には小豆にポジションを持つにはリスクが大きい。

それよりも輸入大豆のほうがまだ損しても納得がいくという風潮である。

大衆投機家は相場に制度のからむものを敬遠しだした。その典型が生糸市場であり、精糖市場である。また昨今では小豆が制度下における市場になった。

東京シルバーが人気を高めているもの要するに制度政策にかかわりなく市場が機能するからである。

相場世界で『政策は信ずべし・されど信ずるべからず』という。官僚はルールによって制度政策を維持する。それが仮りに害の大きいものであろうと、一朝にして変更できない。だから時間差を生じる。そこのところに難解さがある。

●編集部註
 先般、ツイッターのタイムラインを賑わせた写真の一つに、品川駅の西口と東口を結ぶ大きな通路をギッシリと埋め尽くし、黙々と一方向に進むほぼ全員マスク姿のサラリーマン達を俯瞰で撮った写真がある。ついたタイトルはリビングデッド(生ける屍)。まさしくこれはジョージ・A・ロメロが1968年に発表した「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」にかかっている。所謂「ゾンビ映画」の元祖というべき作品だ。
 中国では「ゾンビ企業」が問題となっているが、今回の記述は、小豆相場が日本の商品先物市場における「ゾンビ銘柄」になろうとしている瞬間を切り取った者として考えると味わい深い。この時、まだゾンビウィルスに感染したばかりと言えよう。

昭和の風林史(昭和五九年二月二七日掲載分)

2020年03月19日

これからの“商品業界”

ほとほと小豆にあいそがつきた―という昨今の商品界である。やはり時代の流れか。

お金の流れが、なにに向かうか―というこの一点をたえず見ていなければならない。

今年は貴金属の相場が本命中の本命でないかと注目している人が多い。

『お金儲けは人の集まるところにしかない』という言葉がある。

人の集まるところとは、さしづめ人気のある市場だし、出来高の多い市場といってもよい。取り組みに厚みのある商品でもある。

『お金の集まるところにしか、お金儲けはない』。

その意味から目下のところ銀の市場に対する関心が期待感を含めて非常に高い。来月からようやく前場二節、後場二節の立ち会いになる。取り組みも将来東穀の輸大並みにふくれ上がるだろう。

ただ残念なことには取引員の数が少ないのと、金・銀・白金を扱える支店の数がしぼられていて、穀物のように手近でないこと。貴金属市場が人気を集めるほどにお客さんも、セールスも移動を開始したいだろうか。

そのためにも輸入大豆市場を大切にしなければならない。

しかし東穀のIOM大豆の別建市場やセット売買などユニークな制度が定着していくと他の穀取輸大市場に、かなりの影響をもたらす。また、東繊取や東ゴム東京金取の統合で東京コモディティの存在がアジアにおける先物機能の殿堂として脚光を浴びれば、ローカル市場は淋れ行く街になりかねない。

この辺のことを各穀物取引所も取引員も考えなければならない段階にきている。投機家も市場利用者(ヘッジャー)も寂れた市場には近寄らない。

●編集部註
 このような主張を、バブル前の1984年にしていた、という点に筆者は敬意を表したい。
 結局のところ、その後のバブルに浮かれ、バブル崩壊後に沈み、パリジウムバブルや金の上昇を嚆矢として再度浮き上がる事も出来ず、この警鐘を真剣に受け止める事なく、ましてや危機感をもって行動する事もなかったために、日本の商品市場は〝オワコン〟となってしまったのが現状だ。
 監督官庁は相場に愛のない事なかれ主義の指導ばかりで、現場の一兵卒はただただお客様に書いてもらう書類だけが増えていく。こんなに書くならと、資金はCFDやビットコインへと流れ、更に〝オワコン〟化は進む。
 もう、日本はアジアの一等国ではない。今後、アジアにおける先物機能の殿堂として世界で脚光を浴びる事になるのは、提出書類山積みの日本ではなく、シンガポールか中国。下手すると韓国にさえ追い抜かれるだろう。

昭和の風林史(昭和五九年二月二四日掲載分)

2020年03月18日

シカゴ 下げトレンドと離婚

シカゴ大豆が下げトレンドと離婚した。新しい相場に入っていく。銀が熱烈歓迎。

取引所に銀が上場される前の日本での相場の動きは現物価格を参考にするわけで、この数字「ザ・シルバー」(当社発行¥150)掲載の分をグラフに書き直し、これを次回発行の「コモディティ・オピニオン」(当社発行月間¥200)に掲載する。

東京シルバーは海外高を反映して新高値に飛んだ。昨年二月に現物価格113円がある。とりあえず目先的には79円50。これを買い切ると83円50が目標。取り組みも二万枚に乗せ、更に増大傾向を辿れば、昨年8月から9月にかけて窓あけて崩れたその窓の85円→90円を埋める勢がつくだろう。

シカゴ大豆が下げトレンドと離婚した。

下げも下げたり去年の九月から大台九㌦→八㌦→七㌦と三ツ替わりの実にダイナミックな下げトレンドの中を判りやすく下げてきた。

シカゴの線は確かにコンピューター筋のぶっ叩きなど急所急所で効果を挙げてサポートライン、レジスタンスラインのトレンドに忠実というべきか、ある種のシステムを持ったソフト・プログラムによるオペレーションであった事が、その線を分析していくと判る。

この事については当社発行の「月刊商品先物市場」誌で“ファンダメンタリストへの警告”(58年11月号藤本晨教氏)が綿花市場を例にとって解説しているし、同誌本年三月号では住友商事の加藤元昭氏が“米国先物市場のドラマ”で投機家デニス氏のコンピューター売買の勝利を紹介している。

相場の世界も、その売買テクニカルズが非常に速い勢いで変化していて、銀にしても大豆にしても、その海外における市場背景を理解しておかないと流れが判らなくなろう。

筆者は目下それらの判りやすい解説書を執筆中で出版準備に多忙の毎日。

●編集部註
 降る雪や明治は遠くなりにけり(中村草田男)
 その後この句をもじって一時期「昭和も遠くなりにけり」という語句を用いた本歌取りや著述をあちこちで見る事になる。
 当節、フラッシュ取引も古くなっているという話をちらほら聞くが、このような電子取引や電子決済の黎明期らしき記述が今回の文章。平素当たり前に用いている言葉が新語のように取り扱われており、まさしく「昭和も遠くなりにけり」だ。
 ウィンドウズ95が発売され、PCが広く世間に届くまであと10年。フロッピーディスクの前はもうひと回り大きな薄いディスク、その前は磁気テープが記憶媒体で―と書いている内に、ひどく大昔の事を話しているようで自分が嫌になってきた。

昭和の風林史(昭和五九年二月二三日掲載分)

2020年03月17日

小豆三、四月限が台風の目

小豆の三、四月限が台風の目になりつつある。市場振興と規制強化の矛盾を見るだろう。

東京シルバーが二月四日、高値75円50を一気に買い切った。

このあと軽く押しても基調は四円押しの倍返し79円50。あるいは勢いがつくと、80円台があるだろう。

シルバー現物価格では去年二月に113円がある。その前の年(57年)六月に44円の安値を叩いて八ヵ月を上げたわけだ。

国内現物チャートでは85円から90円のところに窓があって、場合によると80円乗せから、この窓を埋めにいく相場になりかねん。

小豆のほうは三、四月限の買い店動向が関心事で、中国小豆新穀成約量が非常に少なかったことから、春の需要期→北海道播種期→そして発芽期の気象異変を思惑する動きに入りつつあるようだ。

春の需要は、値段の上がっていない古品小豆でなんとでもなるが、定期供用品の極端な品ガスレは、いずれ市場管理の問題になろうが、片方で市場振興の旗を振る手前、取引所としても立場が難かしい。

強気は新しい取引制度(30㎏建)になれば一万八千円→九千円、二万円(今の値にして倍の四万円)が黒板(取引所)の値になろうと期待している。

ただ問題は、受け渡しの供用品が、ほとんど出ないようなものを建てておくことに疑問を持ち、立ち会い停止したらどうかという世論にまで発展するかもしれないから強引な買い煽り、玉締め、買い占め行為は小豆市場の破壊につながり、当然、市場規模を考えたオペレーションが要望されよう。

このことは相場強弱の次元でなく市場継続の次元で判断されることである。

輸入大豆のほうは取引員の自己玉が売り増勢傾向。減ってきた取り組みが増加するかどうか。相場は底値を探っている段階で商いが薄いのも仕方ない。

●編集部註
 一度壊れた相場は、なかなか元には戻らない。白金が低迷している中、海外ではパラジウム相場が昇り龍のように上昇していたが、大商いでも1日700枚を超える事が出来ない東京市場ではお話にならない。それもこれも、一度相場がぶっ壊れて人が寄り付かなくなったためだ。2008年2月、東京パラジウムの出来高は25万枚。取組高は2万5千枚あった。
 何故こんな事を書いたのかというと、今回の銀相場に同じような匂いを感じたからだ。小豆も乾繭も似たような道程を辿っている。愛のない人間が運営に回るとこうなるという典型例を我々は見させられている。

昭和の風林史(昭和五九年二月二一日掲載分)

2020年03月16日

輸大投機の戦略を考える

春はすぐそばまできている感じの穀取大豆だ。大底確認の大きな判をどこで押すか。

シカゴ大豆が、もう一度七㌦を割るあたりを、すぐでなくても日数をかけて割ってくれば、これはもっと判りやすい底値になるだろう。
いわゆるWボトムになるからだ。

過去のシカゴ・チャートを見ると大相場後の長期的な下げのあとに、このWボトムが出ている。そして、W型大底確認後は、なんだかんだと弱材料・弱人気の中にありながら知らず知らず相場水準を切り上げている。要するに(1)値頃にとどき、(2)日柄で玉整理が終わり(3)人々の考えかたが変化するわけだ。

穀取輸大のほうも、四千八百円が底値圏と見て買った玉が、その後の下げで気が持てずに投げさされたわけだが、V型でしかも窓あけて飛ぶには少々早すぎて、これがもう一度安値を洗いにくれば、ぼつぼつ夏場にポイントを絞った投機の戦略を組み立てる人たちが出動してくるところ。

相場というものは、買いました、騰がりました、グングン高いです、大きな利が乗っています―という場面は、ホップ、ステップ、ジャンプの、いわゆる二段上げ段階、三段上げ段階のところで、いまはまだ大底圏を模索し、何回か助走の練習を繰り返しながらホップの見定めをつける。まあそのように思えばよいと思う。

東京シルバーが74円10を買い切り、上向きトレンドが急に明るさを増した。

75円50の高値を買い切れば出来高が急増し、80円台に挑戦する。

人々も段々、銀相場に馴れてくる頃で、早く全節の相場を建ててもらいたい。

乾繭は、意外なほど隠れた人気がある。今年前半は乾繭買いが本命だと断言する人もある。前乾四八〇円を買い切ったあとは四千七五〇円がマークされる線型になっていた。

●編集部註
 あらためて84年前半のシカゴ大豆の日足を眺めてみると、先般提示した2月安値の時以外にも、ダブルボトムと縁があるチャートであると再認識させられる。
 本文で登場した「ホップ、ステップ、ジャンプ」も出現。数学者は、しばしば数式を美醜で例えるが、この波動はチャートの教科書に出て来るような美しさがある。
 美しい波動は相場が張りやすい。それを阻む要因は、大抵の場合仕掛ける者の疑念や逡巡、猜疑心や怯えに起因する。
 本人も、それを充分に承知している。