昭和の風林史(昭和五八年三月十二日掲載分)

2019年03月26日

投機家は絶望したら終り

輸大の強人気がグラついている。小豆は春天井型。産地相場がなんとも重いです。

あの旗を撃てとばかりに輸大三・四月限の高場が売られた。中国側の積極的な売り姿勢というムードが輸大相場を悲観に包み、もう一回、嫌な場面を辛抱しなければならないのか?と買い方沈黙。

もし市場で言われている中豆積極売り・30万㌧成約もあり得るとなれば、余程シカゴが天候相場で狂わない限り、大衆投機家にとって、穀取輸大相場は魅力を失う。

みすみす輸入商社の餌食になりたくない。

では、売りに回ればよいじゃないか―となるが、大衆人気が弱くなれば当然取引員自己玉は買いに変化し、インポーターまた逆ポジションになる。

だったら輸大に近寄るな。という身も蓋もないことになる。

投機家は、絶望した時が終りである。その時は金輪際足を洗うことである。絶望しながら少しポジションが有利に展開すると、今泣いた烏がもう笑う

安ければ買い玉整理が進む。新たに定期渡し用の玉もつくるまい。

われわれは、今年の輸大に大相場ありと狙いをつけて、すでに大底確認の上での夏に向かっての投機作戦である。

土台、四千円以下の相場は、長続きしたことがない。

53年秋から54年にかけての中豆大量入荷(54年三月四市場九十七万俵在庫)でさえ四千円以下の相場は18週しかなかった。

投機家は常に天下大乱、天変地異のアクシデントを期待して神仏に願う。パナマ運河の水位低下→フレート上昇結構な話。

まして今年の夏の異常気象は間違いない。

小豆は、暖候期予報の悪さを買うだけの人気がなかった。産地相場が、なによりも今の小豆の重さを物語っている。例年、春天井はお決まりのコース。

●編集部註
 相場だけでなく、並行して当時の世相も記しておかなければ立体的な見方が出来ないだろう。
 バブル景気を数年後に控え、この時期は〝軽チ ャー〟の時代であった。
 「楽しくなければテレビじゃない」をキャッチフレーズにフジテレビが路線を変更。漫才ブームが起こったのが80~81年。「オレたちひょうきん族」もこの頃に始まった。出演者のビートたけしや明石家さんまは、この番組以外にも平日の昼間から生番組に出演していた。
 その後番組として82年10月から始まったのが「笑っていいとも」。司会に抜擢されたタモリは当時一部の好事家しか知られていない存在で、すぐ終わると見られていたが、
この時分から人気に火が付き、結果的に番組は2014年まで続いた。

昭和の風林史(昭和五八年三月十一日掲載分)

2019年03月25日

気分冴えない時もあるさ

それにしてもよくできる輸大の出来高をゴムが上抜いた商いには恐れいる。

ゴムの取引所は東京と神戸。八万五千枚の取り組みで九日・四万七千枚の出来高。

六ツの穀取の輸入大豆は四万二千枚の出来高だった。

計算ではゴムの買いがピン(一枚)で40万円の利益だが、安いところを買った人ほど早々と利食いしてドテン売りに回り、日夜失神しそうな苦しみ。

『利食いドテンは愚の骨頂』という言葉がある。

まさにそれを絵に描いたようなゴム相場だ。

それではというので『損切りドテンは福の神』とばかり煎れたあと買いついた。

果たして九週間連続陽線を立てたこの相場、損切りドテン買いが福の神になるかどうかのところ。

輸入大豆は百円幅上げるのに骨が折れる。

逆に下げる時は一発。輸大とは売るものなりと覚えけり―となるのも当然か。

もともと輸大は強気三分・弱気七分の利といわれる相場だ。まして中豆圧迫のご時世では、なおさらで、賽の河原の石積み。鬼がきて潰す。

しかし安いところを買っておけば、知らず知らず利が乗っている。まして大底打って上げ基調の中にあるのだから、気長くいくしかないようだ。

小豆は北海道の暖候期予報が6~7月一、二回の低温周期。盛夏期短く秋早い。八月不順、低温多雨―と買い方百万の援軍。

天候相場に勝負をかけようという買い物が入って、雨雲がたれて今にも降りだしそうな相場が、降りそうで降らない。

しかし、人気が離れている時だけに、高ければ買い屋の利食いで値が抑えられる。

えびす底の彼岸天井型のようにも思え、日柄の面でも春の天井づくりに入るところに見える。まあ昨年一年買い屋が苦労したことを思えば、まだ楽だ。

●編集部註
 この当時のゴム相場がどんなものであったかは82年12月末あたりからの東京ゴム相場の期先つなぎ足の日足をご覧になるとよい。「まだ」は「もう」なり、「もう」は「まだ」なりの典型例と言える。
 利を伸ばし、損切りは早くすべし―、と頭ではわかっている。しかし、すぐに利食い、損は切れずに夢を見てひたすら耐えてしまうのが現実だ。
 最後の最後は、運とタイミングと勇気に左右されるのが相場なのかも知れないと思う今日この頃。修練の果てに運は貯める事が出来るという人も。 相場修業は人間修行というが、相場をやればやる程人としての磨きが足りぬと気付く今日この頃。

昭和の風林史(昭和五八年三月十日掲載分)

2019年03月22日

上げ基調の中での押し目

輸大は上げ基調の中の押し目と見るべきだ。押したところを買えば、楽な相場である。

東穀輸大ひと場八千百一枚の出来高。

五月積み中国大豆三万㌧・二四〇㌦成約で売られた。

中豆20万㌧成約が言われていたが、この分を入れて、20万㌧に達した―と見るのが強気。

月に三万㌧積み出し能力しかない中国大連港。慢性的な船積み遅れが解消するわけでない。

期近限月の急落にもかかわらず期先限月はカイハナ千枚という東京先限(9日前二節)、意外と下には値頃の抵抗が強い。

東西自己玉の売り合計は先月24日のピーク(二万三千枚)から四千枚ほど減少している。

大衆の買いは、高値で利食いした姿が出ている。

その大衆筋、やや売り傾向のところにこの下げが入って、売り玉利食い、ドテン安値買い―という当たり屋さんだ。

前二本の三・四限は買い方の制空権下にあって安値売り玉は踏まされた。

そしてこの限月、まだまだ死んでいない。大底から二段上げしたところだ。

五・六の中二本限月も安値切り上がりのダイナミックな底練り。肩上がりの押し目買い有利の姿。

七・八の先二本は今年の天候相場に勝負をかける。

要するに基調は上向きなのだ。ジグザグ適当に押しを入れて、ふるい落としや売り込みを誘う。

従って押したところ、悪いと見えたところを買う。

小豆は、少しゆるむと売りたくなるが、これを売ると引っかけられて、またまた頭をかかえる。

売るのなら、ワーッと高いところを狙うべきだが、そのような時は安値売り玉に追証がきつく、とてものこと売れない。

しかしこのようにしていて春の天井をつくる。

安値売り玉は、春まだ遠しという気で死んだふりしておれば笑える日がこよう。

●編集部註
 ここで記されているような内部要因分析による投資判断は各社の手口が公開されていない現在、出来なくなっている。
 相場に愛がなく、江戸の米相場の歴史も学ばぬ出羽守がしゃしゃり出て、何でもかんでも海外の市場に倣ってザラ場にしてしまった事が、日本の穀物市場を駄目にしたと個人的には思っている。
 今の東京一般大豆の日足を見ると全く機能していないことが分かる。
 商いが少ないのだからすぐにでも板寄せに戻さないと相場が成り立たぬ。それが日本の穀物市場の最大の振興策と考える。

昭和の風林史(昭和五八年三月八日掲載分)

2019年03月20日

前二本の売り玉火だるま

輸大前二本、押したらすかさず買う事。売り過ぎ玉は火だるまで踏み上げる。

輸入大豆は三、四月限の売り玉が捕まって、これはこのまま買い屋が、運鈍根の三文字で、無策の策のなにもせずとも勝手に弾けてくる格好。

大穀二番限。売りも売ったりという建玉が目立つ。この玉が、どの水準で売ったものかは、手口と取り組み表の分析を続けている人なら判るはず。

期近逆ザヤ高いと、スクイズだ、スクイズだ―と、わけもわからず騒ぐのがいる。言葉に気をつけろ。

スクイズというのは、アッと気がついた時には、もう手遅れという予想もしない結果が出ることを言うのだ。納会一カ月も、二カ月も前からスクイズだ、スクイズだと騒がれて、なにがスクイズ。

そういうのを、叩き過ぎの反動という。カラ売りの反動。なにがスクイズだ。もし仮りに、玉締めだというのなら判る。

しかしそれを言うなら、オーバーヘッジや恫喝的売り叩きをも、声を大にして言えといいたい。

今のは玉締めでもなんでもない。一市場に限っているわけでない。全市場前二本が、叩き屋の叩き過ぎによる反動現象である。

サヤにしても当限・二番限は順ザヤだ。

二番と三番の逆ザヤは、買い屋がつくったものでない。売り屋が自らそうしただけだ。

期近二本といいたいが前三本。総踏み上げがあってもよい。

それは中豆市場からの離脱である。

上場以来の最安値を売り叩いた咎めが出なければ相場にならん。

先三本、これは今年の天候次第。シカゴと円相場次第。

大底の入った相場は天井打つまで上に行く。

そのことさえ判っておれば、方針自ら一本の道しかなかろう。

●編集部註
 スクイズを巡るこの文章を読んだ時、筆者は「日本の動物園で初めて間近でライオンを見た」とアフリカ出身のタレントが話す場面を思い出した。
 そのタレントは、真面目な顔でこう続ける「だって、向こうでライオンを間近に見た時は喰われて死ぬ時だもの」と。
 些か盛っている話だとは思うがジョークとしてはよく出来た噺である。
 ブラックジョーク、捻りの効いたジョークというものが市井から絶えて久しい。昔はタモリが眼帯をして各所で暴れまわていたと20代の人に語っても、にわかに信じてもらえない時代になった。
 言い方を変えれば、何事も無知で馬鹿で半可通である事が恥ずかしく、もっと謙虚に研鑽を積んで、洒脱に洒落の分かる人になろう、という時代ではなくなったと言える。

昭和の風林史(昭和五八年三月七日掲載分)

2019年03月19日

手ぐすね引いて押目待ち

輸大は高値警戒心が強く熱狂買いするところまできていない。息の長い相場になる。

東穀輸大10万の取り組みで三万三千枚の出来高(3日)はダイナミックな市場である。

三月、四月限の売り過ぎが咎められた格好。

中豆、中豆と中国大豆入荷を、どれだけ叩き材料で宣伝されたか判らない。

まるで強気する奴は馬鹿か阿呆あつかいだった。

確かに中豆の成約は20万㌧だろう。そして遅れているとはいえ、船は港に大豆を積んで九万五千㌧入荷しただろう。

それは商売だから当然のことである。入荷して当たり前、入らなければ大変だ。

ビジネスの世界と相場の世界は、また別の次元ということを知るべきだ。

穀取相場を崩さんがための中豆成約ではあるまい。もしそれならばインポーターは名ばかりの相場師稼業になる。

期近二本の高値買い玉は辛抱の甲斐あって皆蘇生し、追証も、ほどけた。

そしてこれが、やれやれで降りる。相場はえてして降りたあとが高い。

三市場三日の出来高五万九千枚。二月七日の四万枚。一月十日の四万二千枚。大出来高は大底か、頭打ちしているだけに用心されるが、今回の相場は期近中心の棒立ちで大衆の先限飛び付き買いはなかった。

そして、これは現物が言われているほどダブついていない現われで、一にも二にも過剰ヘッジの足もとをすくわれ、売り屋の油断を衝かれたものである。

しかも基調は大底確認。出直り途上。先行き天災期を控え、大取り組み。

人気面は警戒色が強く安心買いになれないだけに、未だ熱狂せず、冷静な相場と見てよいと思う。

●編集部註
 〝やれやれで降りる。相場はえてして降りたあとが高い〟―相場師として数々のいくさ場の「匂い」を嗅いだ事がある人間しか紡ぐ事の出来ぬ、超ド級のパンチラインである。 実際、このパンチライン通り輸大相場はストンと落ちた後、ババーンと飛翔していく事になる。
 買い屋が買って売り屋が買うと天井というが、まだ売り屋が買っていないと見ているのだろう。
 大豆も、原油や金と同じく国際政治における武器弾薬となりうる。それは昨今、中国との貿易交渉で大豆が俎上に乗った事から見ても明かである。
 この頃、当時のアメリカ合衆国大統領、ロナルド・レーガンは、演説中に当時のソ連を指して「悪の帝国」と発言。物議を醸しだした。これも商品上昇の一要因となる。

昭和の風林史(昭和五八年三月四日掲載分)

2019年03月18日

大底圏を鳴動して脱出中

底が入った相場を叩き過ぎたから相場が怒ってS高になる。輸大市場鳴動中。

輸大がストップ高。大取り組みが弾けた。

首をかしげる人も多い。そんな馬鹿な―と。

中豆、中豆で頭の芯まで弱気がしみ込んだ人にとって、シカゴ反発もさることながら、わけが判らんようだ。

この相場は大底が入っているという事。

例えば大阪三月限三千四百円1月10日、27日と両足つけてWボトム。

東京当限引き継ぎ足でも三千三百20円と三千三百90円で肩上がりの大底。

土台三千三、四百円の上場以来の安値圏を叩くのが間違いである。

去年から玉の回転が利かなかった買い屋は、酸素吹き込みで、いま颯爽と蘇った。

東穀10万、名阪八万六千の大取り組みが地鳴りをあげ、自己玉差し引き売り一万四千枚がキリキリ舞い。

見たところ、まだ本格的な煎れがでていない。

そしてこの当限だが、受け腰を強めれば行くところ敵なし無人の荒野を吹き抜ける。

それは四月限にも飛び火して、四は五、六限に活力を与える。

やれやれの利食いで買い玉降りたあと、さんざん下げ場面で苦労してきた人たち、今度は売りに回るのが人間心理だ。

それは自己玉売り枚数の減少というメーターの針で判明できよう。

小豆のほうは、確かに相手にしないムード。高かろう、安かろう、関心ないですとベテラン・セールスもそっぽを向いていた。

玉が薄くハナが取りやすいから、もう一段上の三万円を付けたい筋がケイ線をつくる。

相場つきとしては呆やり疲れた格好。だがこれを売ると?まる。従って、買い屋に逆らわず、近寄らず、相場自然の崩れがくるのを待つだけ。蚊がとまっても落ちる時は落ちる。

●編集部註
 盗作騒動で自主回収を余儀なくされ、現在は絶版になっている池宮彰一郎悲劇の名作「島津奔る」。その冒頭は慶長の役における撤退戦に入る直前に名勝、島津義弘が現場から突然いなくなる所から始まる。
 一度最前線から離れる事で客観的に現状を分析し、作戦を練り直すシーンなのだが、この時の相場と風林火山のスタンスは、どことなく島津義弘のスタンスと似ている。
 劇中の島津義弘はいくさには〝におい〟があるのだという。相場もいくさ場の一つであるとするならば、風林火山もこの時の小豆相場に〝におい〟を感じたのだろう。

昭和の風林史(昭和五八年三月二日掲載分)

2019年03月14日

輸大期近売り過ぎの反動

輸大期近三本は売り過ぎの修正。売り屋の手詰めで締まっている。

中東産油国の海外資金引き揚げで金相場暴落→ゴム、砂糖、穀物暴落。

国際商品三本柱も原油値下げには勝てない。

盛り上がろうとしていた商品投機ムードが、これでまた時間調整ということになりそうだ。

その間、国内は生糸、乾繭、小豆という国内銘柄に期待をかけるところ。

シカゴ大豆期近暴落を円安でカバーしたような輸大新甫八月限は結構強い生まれだった。

野も山も見渡す限り弱気一色の輸入大豆人気であるが、期近限月、誰がなにかをやっているわけではないが、存外強い相場だ。

東京で強気の陣を張っている人から『大阪でなにか、やろうとしているのですか?』と。

大阪の強気『東京でなにかやろうとしているのだろうか?』と。

なんにもしないでジリッと締まるところが無気味。

円が安くても、相場の地合いが下げならばシカゴがあれだけ崩れたのだから、穀取輸大は、ぶっ叩かれて当然。それが逆に締まってくる。

これは、相場は相場に聞けという事でしょう。

中豆、中豆と、売り過ぎたのでなかろうか。

二月納会六市場で二月入港物が百五十八枚渡された。

全受け渡し六百二十六枚の二割五分に当たる。

二月入船は一月入船のズレ込み。その分を定期に渡すという事は、言われているほど荷がダブついているわけでない―と思う。

結構、味噌業界に中豆がはまっているそうだ。

これであとの契約ができたとしても六月以降の積み出しだから三月、四月に買い方が積極的に攻めれば流れが変わるだろう。

小豆は買いたい人はどんどん買うべし。わが党は売らず、踏まず、兵力の温存。忍の一字。

●編集部註
 やらないのも相場、休むも相場である。しかし、大口の投機家は休めない。
 同様に、素人さんを抱える商品取引員の取引も休めない。いや、休ませてあげられないというのが正しい言い回しか。
 商品に限らず、金融商品は大概が手数料商売である。商いが回転しないと食っていけない。それは充分理解出来るが、この頃から今に至るまでノルマを課し、素人のお客さんを、営業マンを追い込むのは如何なものか。
 無理をした咎めは紛議になって返ってくる。信用も失う。役所の締め付けはより厳しくなる。良いところなど何一つない。 
昔は「わかっちゃいるけどやめられない」で済んだのかも知れないが、今はそうもいかない。

昭和の風林史(昭和五八年三月一日掲載分)

2019年03月13日

小豆売り方劣勢声もなし

小豆は買い玉回転、売り玉の煎れ。環境買い方に味方。劣勢売り方、声もなし。

久々で小豆の商いが大阪あたり大豆を上回った(月曜前2節)。

東京も売り店中食が数日来手詰めている。

いわば小型の煎れ相場だ。

大台三ツ変わりや連続陽線など、買っている相場師は自信をつける。

見渡せば野も山も春、そして皆強気。さあこれから小豆の時代がくる。三万円指呼の間。そのようなムードである。

この時、弱気は言うべき言葉なく資力続かぬ者は踏み、資力あるものは両建て、なすすべ知らぬものは神に祈る。

当局の輸入の絞り込み政策とホクレンの出荷調整。これに相場師のテクニックがうまく噛み合って売り玉を包囲した。

弱気(売り方)は負けであるから、相場に逆らう時でない。さわらぬ小豆にたたりなし。売るから相場を高くする。

泣く子と地頭に勝てぬ。なりふりかまわぬ踏みとホクレン出荷調整にも勝てん。

もう一ツ。春の需要期と逆ザヤには勝てん。

しかし、踏むのは嫌だという人もおれば、買う気もないという人もある。

仕方ないから追証を積んで世の変化を待つのみ。

気やすめを言うわけではないが春の相場は大きくならないものだ。

仮需要(人気買い)一巡と煎れ一巡を待つだけの辛抱力があれば、もう一度この相場は安値を取りにくる(だからと今、相場に逆らうことは兵力の温存に反するし、劣勢での攻撃は、利敵行為、火に油を注ぎにいくようなもの)。

アイ・シャル・リターン(私は帰ってくる)と相場はいう。アイ・ハブ・リターンド(私は帰ってきた)という時がこよう。

輸入大豆は三~四月にひと相場ありそうな雲行きだ。輸大市場は弱気ばかりが目につく。

●編集部註
相場とは関係ないが83年3月1日に文芸評論家の小林秀雄が亡くなっている。享年80歳。
 編集者として今も続く文芸雑誌「文學界」の発刊に携わり、彼の著作である「本居宣長」「無常といふ事」「考えるヒント」等を学生時代に読書感想文で読まされた人も多い筈。正直、それが筆者のトラウマになる。何を言っているのかサッパリ解らなかったのだ。
 小林の存在がトラウマであった人物に隆慶一郎がいる。本名、池田一朗。中央大学助教授にして脚本家。そして小林の弟子。彼の存命中、怖くて小説が書けなかったという。
 小林の死の翌年、隆が「吉原御免状」でデビューした時、彼は還暦を過ぎていた。しかしこの作品でいきなり直木賞候補になるなど、時代小説に新風を巻き起こした。

昭和の風林史(昭和五八年二月二八日掲載分)

2019年03月12日

ふりまわされてくたくた

シカゴ期近崩れにもかかわらず輸大は堅調ということは円安の予想とシカゴ離れか。

二・二六相場乱調。金暴落。シカゴ大豆棒下げ。ゴム安。生糸急伸。小豆高。輸大安。

シカゴ大豆期近は下げに勢いがついているから五㌦60あたりまで早い格好。

穀取はシカゴ離れ。IOМ大豆に比べて中国大豆は非常に安い。資力のある信州の味噌メーカーが中豆を纒めて手当てしている。

中国大豆の成約は20万㌧を越えるかもしれないが、入船は半分にも達せず、入船遅れや、あとの商談途切れなどみていると、中国は売り過ぎたのでないか。

押したり突いたりの相場だが、期近から締まってくるあたり、見渡す限り皆弱気の中で三月~四月にひと相場の期待が持てる。

一般大衆は、もう買い玉の苦労はかなわないと両建になってきた。

大阪五月限など日足六本連続陽線。

下に千円は下げようがないが、上に千円はあり得るだけに、安値を叩いた売り玉のほうが、気持ちが悪い。

小豆相場はマバラ大衆売りの玄人買い。

買い煽りめいた手を振って小口の煎れを誘う。

出荷調整で俵が読めているだけに、売り方不利はまぬがれず、しかも先二本が天災期限月だけに、二月中行ったりきたりしてダンゴになった八千円相場が九千円抜けとくれば、辛抱できない踏みがでよう。

週末は一種の踏み上げ線である。

しかし今の取り組みでは人気化するはずもなく、触らぬ小豆にたたりなし。
●編集部註
 この当時のチャートを見ると、鵯越の逆落としの如き罫線をよく見る。
 東京金暴落はNYの影響。これは当時の日足を並列で見ると判る。
 今となっては、なぜこのような崩落相場になったのかがよく解らない。ただ、テクニカル分析に明るい人間が両相場を見ると、この下げが所謂「異市場間弱気ダイバージェンス」を伴って下げているという点、それ故にこの高値圏が、何らかの節目になっているという点は理解出来るかと思う。
 この下げで確実に地獄の一丁目一番地に足を踏み入れたであろう人物が一名、筆者は想像出来る。金のペーパー商法で社会問題化した豊田商事の創業者、永野一男である。
 金価格が下がってているのに「純金ファミリー契約証券」の価値が上がる筈がない。この時解約すれば儲かった人もいた筈だが果たしてキッパリと解約出来ただろうか。

昭和の風林史(昭和五八年二月二六日掲載分)

2019年03月11日

大衆が降りたあと大きい

輸大市場の流れが変化している。大衆買い玉がやれやれで降りたあとが大きいだろう。

輸入大豆はシカゴ崩れと関係ない動き。

期近限月から締る相場は怖い。

中豆、中豆で中国大豆を悲観しすぎた反動ともいえる。

あれだけ買い気の強かった大衆筋が、先二本の戻りを盛んに売ってくる。

幾度も叩かれ打たれた大衆にしてみれば、売っていくほうが楽だという気になるのも当然だろう。

中豆の入船遅れと、春節明け後の商談途切れ。そして価格引き上げムードなど、流れが変化している。

六限の八百円台。七限の九百円台が固まると、待望久しき四千円相場の幕開けとなろう。

〔1〕大衆マバラ買い玉のやれやれの逃げ、〔2〕自己玉の売り減少、〔3〕大衆の値頃観売り、〔4〕筋ものの強力買い、〔5〕安値売り玉の踏み、〔6〕強材料の出現→というコースに〔7〕シカゴ反発、〔8〕円安とくれば、市場は鳴動して熱気むんむんとなろう。

今年は(四月になってか、五月に入ってかは別として)輸大に大相場ありと鶴翼の陣を張ったわが党である。

トレンドを二百円ほど踏みはずしたが、大器晩成のための試練だった。

安値における並び陽線は、鋭角的に上昇トレンドに乗せてしまう迫力がある。

触れなば落ちん風情の小豆と書いたら立腹したかの如く切り返した小豆。

ホクレン管理相場だし、玄人という玄人みな強気だから、値を吊る気なら煽りの手を入れればわけはない。しかし、相場そのものは、活力がない。

だからと大衆が売るとワナにかかるようなものでつまらない。

市場振興策には悪いけれど、巧者筋の餌食にならぬよう気をつけなければ。

売っている人は白けたままでよいし、踏まない権利で伸びきった値を難平かけるチャンスを待つところ。

●編集部註
 そもそも、現物市場あっての先物市場である。
 本来なら市場振興策の前にやる事があった。
 コメであれ、小豆であれ、農家を育てるという事をせず、外国からの輸入を徐々に増やしていくという政策をとった結果、日本の農業は衰退し、市場も衰退している。
 客が来なければ、振興策など意味はない。
 客の少ない先物取引市場など素人には百害あって一利なしである。これは、今の東京一般大豆の日足を見るとよく分かる。
 国破れて山河在り
 城春にして草木深し