昭和の風林史(昭和五十年五月十三日掲載分)

2017年05月23日

「桐の花葵祭はあすとかや 碧梧桐」

五月の半分を棒に振った感じがする。連休と交通機関のスト騒ぎでビジネスが停滞した。

その間、穀物相場のほうはギクシャクした。

小豆、手亡は、下げの反動で反発したところ。

これからの相場をどうみるか。

取り組みの大きい手亡が、やはり投機の対象になっているが、これはピービーンズの相場という混血種だけに天災期に入っての反応の仕方にとまどうかもしれない。時には手亡相場の本性も出ようし、かといってかといってピービーンズの血が騒ぐ時もあろう。

穀物業界にとっては、混血種類相場の天災期は新しい経験だけに模索する場面も多いと思う。

市場の常識としては時間をかけて全限九千円台に低落するだろうという。あくまでそれは理屈からくる予想である。

だからと言って絶対ではない。相場の世界に常識はないし、値動きは理屈通りにはこばない。

人気の面はどうか。①に気迷い②に戻り売り③に開き直った大引かされ玉。

売り方は利食いした。

手亡の売りでポケットのふくらんだ人は小豆の悪目を買おうと狙う。

あるいは手亡の戻りを待って売り直す。

混血の手垢によごれた手亡に執着するか、ここは一番、まだ相場らしい相場の出ていない新鮮な純血種の小豆に天災期を賭けるか。

小豆の七千円台はホクレンの売り物が出る―という警戒心が強い。

だから〝管理相場〟だといわれ、なななか本気の強気になれない。

ホクレンとしては、今年の小豆の作付け面積を極度に抑えたい気持ちがあるはずだ。

そのため播種期には、特に意識して相場を抑えるだろう。

種も播いて、あとはどうにもならない―という時間切れが来て相場が続伸することは、これはホクレンとしても大歓迎である。

間もなく相場は作付け面積大幅減反、四万五千ヘクタール以下を予想してホクレンが売ろうと、走る時は走る。いわゆる水瓶(がめ)から火が噴くということになるだろう。

●編集部註
 「ミセスワタナベ」という言葉が一時期、通貨市場で飛び交った時の事をこの文を読んで思い出す。

 ここで登場する売り方は素人ではないが、信念の強さは共通している。 相場の世界で、信念を持った投機玉ほど強いものはないと筆者は思う。

【昭和五十年五月十二日小豆十月限大阪一万六八〇〇円・九〇円高/東京一万六七九〇円・一〇円高】

昭和の風林史(昭和五十年五月十二日掲載分)

2017年05月22日

千丁戻し売れ 小豆は強気一貫

手亡のこの戻りは売り直して十分に取れるだろう。決して強気出来ない。小豆は押し目買い一貫。

「石菖や打水弾く脂石 若沙」

49年産小豆に大量の48年産小豆が混入されて、そのため大阪での受渡に随分とクレームがついた。

新穀と称する商品に古品を混入する習慣は過去にもあったが、そういう悪い習慣は過去にもあったが、そういう悪い習慣は、なんとしてでもやめなければ信用が台なしになる。

前週末の小豆の急所はそういうことを嫌気した。

また需要最盛期の四月の消費が意外に伸びていなかったのも影響した。

割り切った見方をする人は、ホクレンの管理相場だから、播種後の本格的な天候相場に入るまでは七千円台は売られ、六千五百円以下は買われる逆張り相場の域を出ないと見る。

それにしても、もうあと半月ばかりだ。取引員の店頭には、きょうから産地の天候が表示される。

ちなみに昨年の今時分の帯広の平均気温は次の通り。

9日  九・四度 ▲〇・九
10日 一二・七度 △三・四
11日 一三・三度 △二・九
12日 一三・八度 △三・三
13日 一二・九度 △二・三
14日 一一・九度 △一・二
15日 一四・四度 △三・六

昨年の今ごろの帯広の平均気温は平年より二、三度(△)高い日が続いた。

相場としては五月9日の瞬間的安値が三月20日の瞬間的安値に顔合わせの格好。六千五百円の値段以下には強力な抵抗のあることをまた知らしめた。

一方、手亡相場も期近限月の一万円大々台割れは〝初割れ買うべし〟の金言で、目先巧者は器用に泳いだ。

今月のピービーンズ入船は量的に少ないが、やはり来月からの圧迫を思うと手亡相場の先行きは希望が持てない。

ピービーンズの割れ豆が六千二百円。まあそれより五百円上のものとして六千七百円。そういう事から、手亡の行く末は、結局九千円以下、八千円台だろうと見るのが市場の常識である。

前週末は下げの反動で自律戻しを入れたが、これとて長続きするまい。

従ってここのところは先限の戻りを売りで十月限九千五百円以下を目標にする相場だ。決して手亡の強気など出来る時点ではない。

強気をするのなら六千五百円どころの六千五百円どころの小豆であろう。小豆は小豆。手亡は手亡。

●編集部注

昔、新人外務員は出社すると平均気温や相場の四本値をグラフ用紙に書かされた事を思い出す。

【昭和五十年五月十日小豆十月限大阪一万六七一〇円・一七〇円高/東京一万六七八〇円・三九〇円高】

昭和の風林史(昭和五十年五月十日掲載分)

2017年05月19日

〝難平〟の急所だ 見え見えの場所

小豆はナンピン買いの急所である。これで相場に弾みがつく。天候不順を見直す時が必ずくる。

「苔あをし更に影置く若楓 万太郎」

小豆の品質が悪いという事。これを嫌気された。

また、ホクレンの売りつなぎが目立った。

薄商いの市場に纏まった売り物が出たため崩れた。

小豆の品質が悪いという事は、果たして昨年の豊作は本当だったのか?という疑問を投げかける。

発表された百六十七万五千俵の収穫は、当時、唖然としたものだ。

今ごろから49年産の小豆の品質が悪いといわれだしては〝豊作小豆〟として、おかしいじゃないか。作柄もよくなく、実際の収穫高は、うんと少なかったのではないか。

この事は、必ずあとから相場に響いてこよう。

ホクレンの売り。恐らく一万枚、40万俵に達しよう。

ホクレンは小豆の播種期を控えて、小豆作付け面積を出来るだけ抑えたいのではないか。これは高度な政治的含みがあるように思われる。

この問題は今後の小豆相場の最大ポイントになると思う。

相場を安くしておいて生産者の小豆作付け意欲を減じさせる。

現在予想される小豆の作付け面積は四万五千ヘクタール。非常に少ないという見方の人は四万二千。多い人で四万七千。

大場所十勝でさえ二割減反になるのではないか―と。

手亡もこのあたり以下の値は、あっても深くない感じがしだした。投げが目立つのと売り方の利食いが出ているし、ピービーンズの採算を割る水準だ。

そういうことから一巡小豆が下げてしまうと、強力な反発が考えられる。八月限小豆あたり三月20日の安値顔合わせだ。

なにしろ天候の不順を、今の相場、まったく受け付けられていない。手亡崩れに目をうばわれているからだ。
筆者は、これで(この下げで)小豆相場に弾みがつくと思う。強気する意を更に強めた。ナンピン買いの急所である。

●編集部註
 運命の時間帯である。
 後々日足を見ると判るが、小豆相場はこの時期の前後で様相が一変する。
 奇しくもこの日は、世界の電子媒体の歴史に残る商品が一般発売された。
 その名はソニーベータマックスSL―6300。最終的にVHSとの熾烈なシェア争いに敗れるが、家庭用VTRの世界的な普及は、まさしくこの商品から始まる。

【昭和五十年五月九日小豆十月限大阪一万六五四〇円・二一〇円安/東京一万六三九〇円・三二〇円安】

昭和の風林史(昭和五十年五月九日掲載分)

2017年05月18日

大なる相場へ いまその雌伏期

小豆の目先を狙って売るよりは、買いさがっていくほうが、余程気が楽であるし楽しみがある。

「風の香も南に近し最上川 芭蕉」

小豆の上旬高、中旬安という相場癖がまた出ている。

二月6日。三月10日。四月7日。五月6日。いずれも月の上旬に頭を打っている。

小豆の作付け面積が予想するほど減反にならないかもしれないという空気。

それは、天候が不順で、ビートの作付けが遅れている。ビートの作付けは一日遅れると一%。二日遅れると二%の減反といわれる。

ビートの遅れた分が小豆作付けに切り替えられるのではないか?と。

しかし、小豆の今の値段を見ては、生産者も二の足を踏むかもしれない。

ピービーンズ価格が軟弱なため、再び手亡相場が売られた。

手亡の買い玉の目立つ西田三郎商店の買い玉が整理されるまでは手亡相場の底は入るまいと見られている。
西田三郎商店では、三枚、五枚、十枚という買い玉が集まってこのような数量になっているという。だからあと千円下げようと二千円下げようと、十万円か二十万円の損という考えだから、値幅で整理される玉ではない。いわゆる南ベトナムの解放軍みたいな玉である。これが二、三人の顧客筋の買い建てなら、とっくの昔に整理が済んでいただろう。

西田三郎商店は、相場の強弱自由(もともと当然の事だが)で、売り方針、買い方針を店は打ち出さない。それでいて手亡がこれだけ買われているという事は市場の世論調査をしているみたいで参考になる。

手亡は結局全限一万円大台を割ることになるだろう。そういう環境であり相場つきだ。

それでも買い玉を投げない人が多い。それは投げると帳尻が出て、すぐ伝票がまわってくるのが怖いからで、判っているけれど投げきれない気持ち。

癌の宣告を受けても、万が一という神にもすがる心境に似ている。

手亡相場がそういうぐあいだから小豆もつい足を引っ張られる。

どちらかというと場のセミプロ、玄人問わず小豆に対してまだ買いづらい。むしろ目先二、三百円幅を狙って売ってみたい気持ちのようだ。しかしどうだろう。思うほど下がるまい。むしろ買い下がっていくほうが、余程気が楽だと思う。

●編集部註
神仏にすがっても、相場はどうにもならない。

相場は水物。事実、今回の文章で賞賛された西田三郎商店は既にない。

大阪は北浜に瀟洒なビルを建てたが、それすらも取り壊されてしまった。

【昭和五十年五月八日小豆十月限大阪一万六七五〇円・四四〇円安/東京一万六七一〇円・四八〇円安】

昭和の風林史(昭和五十年五月八日掲載分)

2017年05月17日

投機すべきだ 値の出ぬうちに

相場のプロは小豆を狙う。小豆相場で億の金を掴もう。今が好機。あなたは投機すべきだ。小豆に。

「窓ひらく鉄線の花咲きわたり 青邨」

ストにもめげず出てきてみたが―というところ。相場のほうは閑である。

しかし産地の新穀相場10月限は発会生まれ値から一気に七百三十円幅を棒立ちして新旧のサヤを買った。

全国的に気象の異常が伝えられるし、北海道の農耕も十日ないし二週間の遅れが言われ、前途に不安が感じられる。

相場は、そういう将来の未確定要素を早くも買っている。

ただ手亡相場が、どうしても六月以降のピービーンズ圧迫を嫌気して、軟調地合いから抜け出せず、市場全般を湿らす。

いずれ東は東、西は西。ビギンザビギンで手亡は手亡、小豆は小豆となるだろうが、人気が本格的に寄ってこないため相場が燃えにくい。

人々は、小豆の取り組みの薄さを気にする。

だが、細い取り組みには凄みというか、怖さがある。山高きが故に尊からず、取り組み薄きが故に軽視出来ぬ。肥満体の手亡は、いうならもう若さがない。焼跡の釘ひろいである。

その点、小豆は痩せたりとはいえ筋肉質だし、相場に若さがある。

映画の題名式でタイトルをつけるとすれば〝亡びゆく手亡相場〟。〝老いと疲労と、そして絶望の手亡〟。〝若さの小豆〟。〝二万円に挑む〟―。

相場にもキャッチフレーズが必要である。特に取引員営業の最前線に活躍するセールスは、四の五の説明するよりも、ピリッとしたキャッチフレーズを徹底したほうがアピールする。

考えてみると、わが業界は、キャッチフレーズをつくるのがへたである。

宣伝、PRが、まったく幼稚だから、人の心を打つキャッチフレーズなど考えもつかないのであろう。

手亡相場で尨大な大衆が敗北した。その一員にピービーンズという輸入豆の相場における存在を、営業体が認識出来ず、ただ単に値ごろ観と証拠金の安さのみにとりつかれ、売りより買いがすすめやすいという理由で相場にのぞんだ。
取引員は、その営業方法を反省する必要がなかったか。慙愧、慙愧の手亡相場だ。

確かに市場は荒れ果てた。しかし、いまこそ小豆投機の種を播くときだと思う。

●編集部註
確かに好機はあった。

「赤いダイヤ」が映像化されていた時にメディア戦略をしっかりと打ち出していれば、商品先物市場の魅力面が今よりも多く広まっていたかと思う。

【昭和五十年五月七日小豆十月限大阪一万七一九〇円・一一〇円安/東京一万七一九〇円・一九〇円安】

昭和の風林史(昭和五十年五月七日掲載分)

2017年05月16日

線型上昇暗示 雄大なる相場へ

小豆相場が非常に新鮮に見えてきた。五月は風光る。風薫るという。小豆線型また光る。

「えにしだの黄にむせびたる五月かな 万太郎」

◇…小豆相場のケイ線が各限とも有力な買い線になっている事は、小豆の線を引いている人々は、すでに感じている事だろう。

〔小豆五月限〕(以下いずれも大阪市場基準)=一万六千円ライン中心に日足11本は短陽線が仕勝っているこれは上伸を暗示する。特に五千九百円寄りの25日陽線と、五月1日五千九百円寄りの陽線は強力な買い線。

〔小豆六月限〕=六千二百円と三百円のところでケイ線のあらゆる種類の型が組み重なっている。この集団線を上放れて五百円カイとくれば早い足になる。

〔小豆七月限〕=基準が完全に変化していることを物語る。斜線帯75度の下げ波動から離脱し、上昇初期の肩上がり60度の斜線帯に早くも乗っている。七千円乗せからの波動が楽しみ。七千百二十円を抜くと拍車をかけて一代の高値七千六百三十円をマークする。

〔小豆八月限〕=非常に珍しい線(組み)が出ている。24・25・26日の三本である。今のところ八千四十円が付く線型。七千三百三十円を大引けで買い切ってしまうと、三月20日(彼岸)につけた瞬間安値(六千百八十円)が強力な威力を発揮し、この値を点にして70度の角度で雄大な相場に発展していくだろう。週間足もまた素晴らしい。節(せつ)足も小刻みな買い線が無数に出現している。一代足は七千百九十円抜けから陽に転ず。

〔小豆九月限〕=三日棒が判りやすい。日足で七千百九十円、三百七十円抜けが急所になっている。下り65度、天地三百円幅の斜線帯から脱してV字反騰へ。すでに充分の買い線。七千七百円抜けが相場としての重大急所。買い切って引けると八千円相場に感性があがる。節足は買いの買い線出現中。八月限同様に、きわめて珍しい買い線も四本組み合わせで出ている。天災期の本命限月。七千五百円まではどこを買っても安心。

〔小豆十月限〕=八千五百円がついてもよい線型。付いてもよいという事は、そこまでは現時点で無理がない相場と見る。

以上、線型から判断してみた。線は神秘である。線は呼びかければ応ずる。一本一本に生命がある。読みとるべきだ。

●編集部注
エリザベス女王が訪日した翌日、大阪では地下鉄にラインカラー導入。主要色を東西で比較すると比較すると面白い。
大阪で赤は御堂筋線。東京では丸の内線である。

【昭和五十年五月六日小豆十月限大阪一万七三〇〇円・一六〇円高/東京一万七三八〇円・一九〇円高】

昭和の風林史(昭和五十年五月六日掲載分)

2017年05月15日

待つこと久し 投機家出動態勢

すべては天候次第というスリリングな場面に近づくわけで、そろそろ投機家も落ち着かなくなる。

「後架にも竹の葉降りて薄暑かな 蛇笏」

穀雨のあと十五夜、きょう立夏(りっか)。夏立つともいう立夏のあと十五夜、小満という。万物次第に長じて満つる意。もう夏が来た。

三連休が終わった今週は、国鉄、新幹線、私鉄のストが予定され交通機関は混乱しそうだ。

一方では英国の女王陛下の御来日できらびやかな歓迎行事が展開される。フォード米大統領の時とは比べものにならない絢爛たるものだろう。

フォード大統領の時の宮中晩さん会のメニューはツバメの巣のコンソメ。マナガツオの白葡萄酒蒸し。フオグラ。牛肉蒸し焼き。サラダ。凍菓。メロンと葡萄であった。

今度も恐らくメニューが発表になるだろうが、これが楽しみである。

さて相場のほうはどうだろう。

大規模な交通ストが決行されると、これまでの経験で相場のほうも、ちぐはぐになる。

営業活動が、どうしても停滞するからだ。

そういうことから相場に調子がつくのは今月中旬以降になるのではなかろうか。

四月末消費地在庫の発表。北海道三カ月長期気象予報の発表。豆類作付け動向―など、いずれも相場に影響をもたらす重要発表があいつぐ。

また北海道から農作業の進展状況が刻々と伝えられるわけで、小豆相場を忘れた投機家もそろそろお尻のあたりがムズムズしてくる。

小豆相場は、なんといっても天災期である。

万朶の桜か襟の色の歩兵の本領か散兵戦なら小豆投機の醍醐味は播種期前の緊張感。発芽期の降霜。成育期の低温と雨。はえぎれ。あるいは旱ばつ。土用の天候。病虫害。開花期の気象。そして結実。収穫期の早霜、その間の台風の針路など、まさしく舞台が変わり、手に汗握らすドラマである。

穀物市場の人々は名古屋の熱田神宮祭(六月五日)時分から札幌神宮祭(六月十五日)のころにかけてもう落ち着かなくなる。

さて今年の天候相場は、どのような興奮が楽しめるであろうか。

仕手の介入もあるだろう。

産地供給量百十三万俵。消費地在庫二十万俵の小豆。絢爛たる展開が期待されるのである。

●編集部注
この時、宮中晩さん会の料理を担当する宮内省大膳寮厨司長は秋山徳蔵ではない。彼は昭和四七年に引退し、四九年に亡くなっている。彼こそが後年出版され、ドラマ化もされた小説「天皇の料理番」のモデルである。

【昭和五十年五月二日小豆十月限大阪一万七一四〇円・三〇円安/東京一万七一七〇円・三〇円高】

昭和の風林史(昭和五十年五月二日掲載分)

2017年05月12日

顔ぶれ揃わず まだ時間かかる

期待はされても、まだ小豆相場にぬくもりがない。強気にウェイトを老いた逆張りか。

「霧なくて曇る八十八夜かな 子規」

現在の手亡相場は①自律戻しが入るだろうが②戻りは売られ③大勢的には安値に陥没する運命―という見方が支配している。

それでは小豆相場はどうか。①まだ買い方の顔ぶれが揃わない②手亡の下げで大衆投機層が痛んだ③しかし相場そのものとしては最悪一万六千五百円までのもの④これから作付け動向と⑤春耕遅れや遅霜が相場を刺激するし⑥産地の小豆供給量も四月以降百三十万俵という軽い数字になった。従って必ず小豆に人気が集中する時期がくる。

昭和48年の十勝の小豆生産コストは反当たり一万七千百四十六円だった。これが49年は前年比三割アップの二万三千円になっている。

ちなみに農業パリティ指数は48年二六〇。49年三二八。50年三四九(予測)と上昇している。小豆の生産コストが仮りに前年度より二割アップとしても反当たり二万八千円となる。

50年度小豆は生産費、輸送コスト等の上昇に伴って、当然値上がりする運命にあるわけだ。

いまのところまだ小豆の相場に〝ぬくもり〟は感じられないが、おいおい不順な天候が材料視されてくると思う。

本間宗久伝に『五月中旬より六月中の相場は、急に引き上げる時、また急に引き下がるものなり。急に下げる時は、上も同断』とある。去年の小豆相場がそれだった。

ここのところは強気にウェイトを置いた逆張りという場面かもしれない。

相場そのものが〝しらけ〟ているせいか、どうも原稿を書くにしても講演会を頼まれても小豆の強弱にパンチが利かない。

その点、やはり取り組みの大きい手亡は原稿になる。

これは新規仕掛ける場合でも言える事ではなかろうか。

手亡は日足線〝鮎の友釣り〟を月末には〝叩き込み包み大陰線〟でかぶせた。いうなら〝陰の陰〟である。本間宗久伝に『人も相場も我れも弱きとき気を転じるべし』とある。この思い切り海中に飛び入る心持ちにして甚だ悪きものなれど―と説明している。

手亡は、だいたいとどいた感じがするから反発を待つところで強力な反発があればまた売り場になる。

●編集部注
天災と相場の節目は忘れ厭いた頃にやって来る。

パンチが利かない時こそ実は要注意なのだ。

【昭和五十年五月一日小豆十月限大阪一万七一七〇円/東京一万七一四〇円】

昭和の風林史(昭和五十年五月一日掲載分)

2017年05月11日

戻りを待つ姿 再度売り場狙い

いずれは小豆に花も咲こうが、まだ少し早い感じ。手亡は戻りを待って売り狙うところ。

「暮れて来て植う草花や夏隣 梅の門」

メーデー、八十八夜、憲法記念日、こどもの日、立夏―と続く。飛び休のあとの三連休。仕事のほうは、もうひとつ調子が乗るまい。

穀物市場は手亡戦争が一段落して、去勢された感じがする。

終戦処理というか、焼跡の釘ひろいとでもいうか、さしもの大商いの手亡相場の影が薄くなった。

しかし突っ込みは警戒して深追いしないまでも戻したところは狙い撃ちされる。

ピービーンズ病から離脱出来たのではないから、閑になればなったで悪さは尾を引く。

水につかった大衆筋の買い玉は、介錯人がいないと整理がつかない。

ジリ貧相場に日柄をかけて、徐々に片づけていくことであろう。

次は小豆だ―と気負った気分が市場から消えている。

いずれは小豆相場に花も咲こうが、これまた時間を要する。

手亡の下げで、ざっと百億円が買い方の手から売り方のポケットに移った。ポケットがふくらんだ手亡の売り方が、どこで小豆を強気してくるか注目される。

穀物相場は怖い。やはり毛糸がよいとか、綿糸が面白そうだという空気がないこともない。

相場は怖いから面白いのである。

目先、手亡の三百円あるいは五百円の戻りを想定して、戻り一杯を狙って売りたい。戻すかしら、戻り待ちに戻りなしで戻さぬかもしれない。

小豆の線型は意味慎重である。

作付け面積や産地の天候が、これから切実に影響してくるだろう。

産地は早や十月限の新穀相場である。

昨年の小豆相場は四月中上昇を続けたあとは五月は一万七千三~五百円あたりでの高もちあい。

この相場が六月の十日を過ぎた時分から七月にかけ、天候相場らしい動きをほんの少しした。

ここは小豆の押し目待ち。手亡の戻り待ち。大型連休を控えているため積極的な仕掛けは多分望めまい。

最近の相場癖として月の上旬は高い。その高値を飛びつくとあと叩かれる。

●編集部註
黄金週間前後の相場には魔物がすんでいる。

それは材料であったり、自分の体調であったり、何かとしっくり来ない事が少なくない。

恐らく休む期間が中途半端なのだろう。一~二カ月休んでしまえば良いのだが、そうもいかない。

【昭和五十年四月三十日小豆九月限大阪一万六九四〇円・一三〇円安/東京一万六九五〇円・一三〇円安】

昭和の風林史(昭和五十年四月三十日掲載分)

2017年05月10日

急反発がある 戻り一杯を売れ

手亡の大勢は下だが目先の突っ込みを売ると五、七百円の反発があろう。戻りを待って売る。

「城跡や井戸の中より揚雲雀 虚子」

手亡相場の悪さは、いまや誰一人知らぬ者がない。

ゆくゆくは一万五百円→一万円割れ→九千五百円以下といわれる。

あるいはそうかもしれないが相場は、そう単純な動きにならないと思う。

必ず逆襲が来る即ち下げの反動だ。それは大きいものではないだろうが、これだけ安心売り人気になった以上、自律戻しがあってもおかしくない。

大阪手亡七月限。

二月24日→三月25日。

この下げ幅…二九三〇円。

日足線24本の下げ。

この相場が急反騰して四月4日に一四二〇円高で戻り頭をつけた。

一四二〇円の戻しは前記下げ幅の約半値弱。

そしてこの相場が大台三ツ(三千円→二千円→千円)替わりの二段下げに入って日柄が18本目。

下げ幅(28日寄り値計算)二四四〇円。

前記一四二〇円を下に倍返しなら七月限の一〇四六〇円が急所になる。

二月24日から三月25日までの下げが約三千円の24日で大台四→三、二千円の三ツ変わり。

四月4日からの下げ目標値もそれと同じ小三丁(正確には二千八百四十円幅)の下げで一万四百六十円目標。日柄でいうと五月7日前後。

以上は大阪七月限を基準にしての計算。八月限ならその百円上の値段。九月限だと百五十円上として一万六百十円か。

どんなに悪い相場でも急所というものがある。ズンベラ棒のまま一万円割れにはならない。仮に将来割れるとしても必ず反発場面がある。

反動自律戻しが入ると七百円~八百円幅の三分の一戻しを考えればよいだろう。

戻すべき材料が出るものだし、戻すべき現象が発生するものである。

人々は戻す相場を見て売りあき気分とか、産地天候の異常(融雪遅れ)とかあるいは売り込みすぎた、取組整理などを言うだろう。

ここでの方針は、五、七百円の戻しが入る事を考えて突っ込み売りをせず、戻り一杯を売り直す態勢でよいと思う。

小豆は、瞬間的に九月限基準で一万六千五百円を洗いにくるかもしれない。黄金週間の相場は時に気まぐれだ。

●編集部註
 黄金週間の相場は本当に気まぐれである。昭和五十年も多分に漏れず。

 日足を見ると判る。休み明けから上昇したかと思えばやおら急降下。そこから一転昇り龍の如き未曾有の上昇相場になる。

【昭和五十年四月二八日小豆九月限大阪一万七〇七〇円・七〇円高/東京一万七〇八〇円・一一〇円高】