昭和の風林史(昭和四八年六月十八日掲載分)

小豆六月崩し 大手亡人気離散

大手が亡びる豆。大手亡は敬遠すべし。人気離散の大手亡。小豆は戻り売り一貫。山は越した。

「道にまで西瓜の花のさかりかな 除夜子」

二度あることは三度あるという。三度目の正直になるかどうか。S安で暴落したところを逆向かいで買えば、暴騰した先週の相場を誰もが知っている。

しかし仏の顔も二度三度。そう、うまくいくまいとも思う。伝えるところ小豆の作付け面積は七万五百ヘクタールという。しかも六月15日現在の作況は平年並みである。

相場は完全に疲労している。ただ、うかつに売ると、今まで見たいに買い煽られる可能性があるだけに、警戒が先に立つ。

いや、むしろ、人気面はここにきて強くなったようだ。安いところは目をつぶって買えばよいという考え方が支配しているから、ストップ安でも商いが出来る。結局

このようにして、押し目買いと悪目買いが尾を引いていく限り戻りは鈍いものになり、反騰する抵抗力も無くなって、続落の道を辿るだろう。

ところで手亡のほうだがアメリカの穀物輸出規制が実施されるのは八月10日前後、今年の主要穀物の作柄の見直しが判明してからになりそう。

輸出規制の品目も判然としたものではない。またアメリカとしては農産物は輸出の大宗をなすもので、これの輸出制限は国際収支にも影響することからきつい事は出来ないだろう。

手亡相場も、ここからの陽動作戦は、規制の強化を呼ぶだけで、取引所当局者も、小豆は品物が豊富だから心配ないが、手亡は東穀の中国大豆の二の舞いにしてはいけないという強い考えがある。

主務省も局長通達で過当投機を排除するよう業界に注意している。従ってこれ以上S高を付けるようなら建て玉の厳しい制限を受け、人気は離散しよう。

手亡には近寄らぬように、誰もが相手にしなければ、買い主力の一人相撲で、結局は枯れてしまおう。ひとたび場面が変化してS安に転落すれば三発、四発は見えている。手亡なんかに手を出すな。ほっておけば結局大手が亡ぶ豆である。

判りやすいのは小豆の戻り売りではなかろうか。青田ほめと、買いついた取り組み、疲れた相場の三拍子揃えば、ストトン、ストトンで夜が明ける。明けりゃストトンでまた下げる。

●編集部注
相場全体のリズムの話が文章最後に登場する。

リズムを把握する事自体はさして難しくない。

そのリズムがどんなボリュームで刻まれるかを把握するのが難しい。

【昭和四八年六月十六日小豆十一月限大阪一万七〇〇〇円・七〇〇円安/東京一万七〇六〇円・七〇〇円安】