昭和の風林史(昭和四八年二月二日掲載分)

急落またよし 押し目買い態勢

反落また楽しからずや。深押し待ち。下げればまた高い。小豆、手亡とも大勢買いだが押し目待ち。

「春めきてものの果てなる空の色 蛇笏」

新ポは警戒されながらも小豆、手亡は買われた。

小豆七月限は一気に一万三千五百円肉薄。

手亡七月限も九千五百円に棒立ち。

大勢的には小豆の一万五千円から一万七千円の相場。手亡の一万一千四円、五百円という値段が目標になる。

ただ、目先的には小豆も手亡も、ややきつい押し目が入ってもよいのではないか。いや、押し目が入ったほうが先行きさらに相場が大きくなる。

このまま、ズンズン相場が高ければ、案外短命に終わり、押しが、より深くなるだろう。

小豆の一万三千五百円は一応の目標値である。やはり敬意を表し、利乗り玉は利食いするのが相場に対する礼儀のように思う。

相場は、まだ二月である。先は長い。いま、勢いに乗って値を出しきっては、あらゆる面で風当たりがきつくなるだろう。

弱気する場面ではないが慎重になるべき地点だと思う。これがもし、なんらかの軟材料出現で急落(場合によってはS安)でもあれば、もとより断固買いで、絶好の押し目をつくる。

手亡にしても、八千円から押し目なしに棒で上げただけに、相場としては押し目を入れるところで、その押し目が浅かろうが、深かろうが、やはり買い場になるのだ。

見ていると市場は、相場にふり回されている。古い相場経験では、今の動きが全く理解出来ないのだ。

だが、相場は相場に聞けという。

相場のこの勢い(それは小豆、手亡を問わず)を見ておれば、今年の穀物相場は、とんでもない大きなものに発展していきそうだ。

国際的な豆類の高騰そして世界的な天候不順。インフレによる換物運動。尨大な投機資金。規制でしばられた他商品からの思惑移動。

理くつではない。現象であり感覚である。投機は決断と実行である。

小豆は大勢一万五、七千円目標。しかし当面は深押し待ち。崩れよし、ぶっ叩きよし、時にS安も可なり。要は買い場待ち。

手亡も大勢一万一千四百円。なれど反落待ち。暴落また楽しからずや。

●編集部注
 朋あり遠方より来る、また楽しからずや―。

 論語よりの一説である。

 紀元前5世紀頃の〝遠方〟から朋友が来た嬉しさは、今の比ではない。

 その当時の嬉しさと、相場の読みがピタリ当った時の嬉しさは、ひょっとして同等かも知れない。

【昭和四八年二月一日小豆七月限大阪一万三二六〇円/東京一万三三三〇円】