昭和の風林史(昭和五四年十二月五日掲載分)

期待しない期待 小豆の押し目拾い

小豆の安いところ拾いは、期待しない期待である。輸大はダイナミックな上昇帯に乗っている。

「一箱のうるめ届きし飯場かな 三木」

小豆相場は戻しかたが急であっただけに押し目も入る。

輸入大豆に比較しようもない細った出来高であるが相場としては11月20日に底が入っていると判断出来るから、安いところを拾ってみる。

この場合、大きな上値というものは考えられないから、出来るだけ、押し目段階の、値段の低いところを買うように心掛ければ、明るい気持ちになれよう。

要するに、なんだかだと言っても底が入ってしまった相場は、上げる力がなければ横に這うし、横に這うあいだに上昇エネルギーができる。

小豆の安値買いは『期待しない期待』である。

やはり力のはいるのは輸入大豆だ。

大阪先限は6月22日の高値五千二百七十円を、新ポ。音もさせず抜いて、これが抜いたからどうという、ギラギラしたものも感じさせない。

値のはこびかたも、きわめて静かな上昇が続いている。押す事により次の上げをつくるという格好だ。

それだけに、売り玉は知らぬ間に引かされ、その引かされかたが、激痛を伴なわないけれど大きいから、年末どたん場で、まいった、まいった―と、輸大相場の怖さを痛感させよう。

この相場は、九月の安いところが(大阪市場)四千三百二十円(先限)だった。

先限引き継ぎで千丁幅の上昇になる。

上昇の日柄からいえば、かなり経過しているし、引き継ぎ線の節足新値で18本。

それだけに警戒人気がないでもないが、(1)熱狂したところがない。(2)インポーターの定期市場オペレーションが構造的に変化している。(3)国内需給事情。(4)フレート、為替がらみ。(5)激動する国際情勢。(6)シカゴ逆ザヤ―等、きわめて複雑な高次元の要因が絡みあっているだけに、単なる値頃観や日柄観では判断出来ない。

一応の目標値として東京市場五千八百円→六千円という見方も、あながち強気筋の希望的値段とは言いきれないものがある。

精糖相場は海外事情を映して反発したが、取組みが減少傾向にある。これは〝逆ウオッチ〟のチャートでいう、売りシグナルで、値段は、ともすれば垂れ、商いも細り、取組み減ではいずれ実勢悪を表面に出す値段を付けるだろう。持ち上げても垂れ込んでくる相場になっている。

●編集部註
 逆ウォッチ曲線を使っている人はいるのかと思い調べたら、個別株分析で結構現役であった。

 出来高を伴うので今の小豆相場には使えない。