昭和の風林史(昭和五四年十一月二十日掲載分)

遅行商品輸大が 一巡煎れ出し尽す

師走の勝負手は輸大先の百円幅売り上がり。天井した精糖とゴムの先売りでなかろうか。

「しぐるるや牡蠣割辻も灯りぬ 貞」

小豆先二本が三千円を割った。期近限月の夜が明けたら安い底抜け相場に、どうしてもなびく。

日足(日柄)19本をかけた(3月限)三千百円と三千八百円でのボックス型保合を下放れてしまうと、買い方勢力は、心理的にも打撃が大きい。あと、下の値段は先限二万二干円である。

それは本年六月27日に付けた安値である。

ホクレンが、どのあたりで定期オペレーションの第一ラウンドを終えるか(売り玉の買い戻し)。

それにしても期近限月の下げ幅四千丁は、十月4日を頭にしてのものだけに、人の気の付かぬところに大相場があった。

目下のところ輸入大豆市場が活気を呈しているから、実勢が悪い小豆なら思い切ってこの際、悪目を出しておくほうがよい―という見方も出来る。

悪材料すべて織り込み、下げるだけ下げて、更に行き過ぎるぐらい下げれば、相場は、むしろ灰汁抜けして、すっきりと自律反騰にむすびつくだろう。

先行商品・ゴム相場が非常に不安定になっている。51年の大相場の時は月捧新値8本で天井した。

今月で、月棒新埴8本だ。今月の月棒が陰線引けすると大暴落線になる。

日足線で、もう一度三百二十三、四あたり以上に買われる事が、ないとはいえないが、あれば(売り)勝負をかけるところだ。手応えのあるクリスマス・ボーナスになろう。

精糖相場も、きわめて不安定である。(大阪先限)二百十三円→二百九円の下値を、この相場は取りにいこうとしている。

新値足(日足)で25本。実数53本で天井したあと、高なぐれで熟すのを待つ姿。海外も、買い疲れ現象を濃くしている。

国際商品の中で、最も遅行している大豆が、シカゴ底入れ感と国内の商社強気で、玉が回転した。

中国大豆が入荷するものと思って売られていた市場が、カードが狂って、踏み上げている。

東京自社玉は七千四百売りの三千七百買い。これは食われている。玉を巻いた、巻いたで、ひろげるしか手がないだろう。

大阪自社玉は、関西の営業システムが関東と違うから、早くから買いになっている。

窓を明けて飛んでいるだけに、下げにまわるとS安崩しだ。先限百円幅での売りが師走の勝負手。

●編集部註
 古来より山師、成金と蔑まれる彼らも、楽して儲けているわけではない。相場読むより日柄読めだ。