昭和の風林史(昭和五九年三月十四日掲載分)

お金の流れは銀に向かう

お金の流れを常に注目して、先々と先取りしてポジションを考えなければならない。

全般に掴みどころがないという感じの市況だ。

東京銀の取り組みが四万枚を越し、商品市場のお金の流れが銀に移行している。

二月中の出来高は、輸入大豆の167万枚は断突で六取引所合計としては当然であるが、次いでゴム43万枚。砂糖41万枚、乾繭40万枚と、この三商品が40万枚台。かつての花形商品の小豆が五番目で24万枚。それに次ぐのが貴金属(金銀等)23万枚である。

いずれ東京金取引所一ヵ所の出来高が、全国六ツの小豆出来高合計を上回るであろうし、貴金属相場が激しく動くごとに銀の取り組みも厚くなろう。

取引員の出来高上位50社の内訳を見ると、穀物で一ヵ月二万五千枚以上の商いを確保し、砂糖、乾繭、ゴムの、いずれかの商品で一万枚ないし二万枚を維持する。

そして銀のほうに営業の主力を徐々に移す流れが、はっきり出ている。

取引員の月間出来高で、一万枚から二万枚までが、およそ30社の混戦区境だが、二万から三万。三万から四万と上位に上がってくると10社、10社単位の激戦区になり、四万から五万枚、五万枚から六万枚となれば5社ないし7社と絞られてくる。

ベスト・テン入りは、やはり月間九万枚を維持していかなければならず、七万から八万のあたりは確かに胸つき八丁である。

これを見ていると、月間一万枚台から倍の二万枚台に乗せることが、いかに大変であるかがわかるが、二万枚から倍の四万枚になるよりも、三万枚から倍の六万枚にタッチするほうがよほど楽なようだ。

営業の方法、会社の体質、看板の数などの要因が大きいわけで陽の当たる商品に営業力を集中するところが上位陣を占めている。

●編集部註
 東京商品取引所のWEBサイトでは過去の取引データを見る事が出来る。
 令和二年二月の出来高は、金が86万9千枚、銀が1445枚、白金が26 万2千枚、パラジウムが6272枚。なお、これらは標準取引での枚数で、ミニ取引や無限月取引等は含まれていない。
 原油(ドバイ)は29万 1千枚、ゴム(RSS3)は8万7千枚、コーンは3931枚、小豆は2枚、そして大豆は0枚である。
 投機は、その名の通り機会に資金を投じるものである。海外市場を見て勝機を感じても、1カ月で1万枚以下の商いしかない市場に一体何の妙味があるのか。玄人から見れば何も知らない素人さんなど鴨がネギ背負ってやって来るようなものであろう。ましてや商いが0枚、2枚などしかないなど言語道断である。