昭和の風林史(昭和五七年十一月十六日掲載分)

小豆相場の下値を考える

◇…小豆は二万六千八百円があるかもしれないが、ないかもしれない。輸大当限は急所。

◇…小豆相場は、このあたりで様子を見ようという動きになりそう。
二万八千円を割っていくトレンドは残っているが、生産者団体、あるいは農水省の価格対策が、相場水準低ければ低いほど敏感に響くから御用心。
◇…今年の小豆の大きなトレンドは(大阪先限)次のようになっている。
二月10日大天井三万六千八十円→一段下げ五千丁。
これが五月6日下げ止め。
第二波動は六月3日の三万三千五百三十円からの五千三百七十円下げ。
これが七月19日下げ止め。
第三波動が八月11日の三万一千八百円からの下げ。
五千丁ひと波動とみるなら二万六千八百円あたり。
◇…だいたい五千丁、五千丁と下げてきている。
そして罫線の横幅(いわゆる日柄)は、筆者のグラフの節足新値三段で左右十二、三㌢が一区切りになってきた。
◇…それからみると、日柄(左右の幅の目盛り)はぼつぼついいところ。
ただ縦(タテ・値幅)が五千丁ひと波動とすれば、あと千六百丁ばかり下げ足りない。
◇…問題は腹八分でなく腹六分、あるいは腹半分でうまいところだけ食うという相場哲学を持つのか、いや根本一杯までという考えなのか、人それぞれ考えは違うから、ここから先は各人の気持ち次第であろう。
◇…今のところ二万六千八百円がないとも言えず、あるとも言えない。
目先的には、ゆさぶるところだろう。
へたに戻せば、あと千五百丁取りの売り新規もスリルある方法。投げらしい投げが出るのはその時か。
◇…輸入大豆は当限の売りが踏まされていた。
しかしこれも、いまや時間の問題。かなり息の長い相場だったが、末期にきているから崩れたら怖い。

●編集部註
 「もう」は「まだ」なり、「まだ」は「もう」なり―という相場格言があるが、市場全体に「もう」という空気が出て来ている事を受けてのこの記述なのかもしれない。実際、小豆相場は「まだ」だった。
 日本の輸入大豆相場も「まだ」であった。ただこれは生産地相場ではなく、消費地相場であったが故の悲劇と見る事が出来る。
 実は、シカゴ大豆相場の底打ちはこの年の10月に完了している。日足を見ると11月には一段上げて上昇基調に入っている。
 しかしこの時、ドル/円相場は強烈な円高になっていた。10月末に1㌦=277であった相場は翌年1月に227円に。これが相場に直撃する。