昭和の風林史(昭和五七年十一月十九日掲載分)

金屋玉でもろ過紙通せば

小豆相場を、どのように考えたらよいかを、時間かけて考えるところにきたと思う。

小豆相場は〝政策は信ずべし、されど信ずるべからず〟という言葉を、どのように受けとればよいのか。

その段階にきている。

簡単に申せば今は、逆張り型。先限二万九千円を中心に上下五百円圏内のどのあたりで逆張りするのだろうか?

読者から電話が非常に多い。ということは、少なからず筆者の強弱に提灯がついているわけで、これは心しないと必ず提灯倒れになる。

などと書くこと即ち、お前は天狗になっている―ということにもなるから怖い。

人気のほうは気迷いである。11月底が入ったようにも思えるし、九千円台の盛りのよいところは再び売り場になるようにも思えるし、ここは判らん。

このような時は相場から離れることである。

当限納会を見たうえで考えるところかもしれない。

言えることは売ってきた人は本年大豊作(大勝利)だったと思う。師走近くして大きな苦労を買いにいくこともない。玉がないのが一番気楽。だから、相場の決め手を?むまでは人気の流れを見て暮らす。

輸入大豆はどうなのか。当限は腕力相場みたいだ。目には目を歯には歯を。

先のほうは〝金屋〟の買い玉を入れるだけ入れておいて梯子をはずす格好だ。

円高が進めば、やみくもの強気もできない。

〝金屋〟玉には受託忌避の大義名分がある。役所も取引所も業界団体も悪魔のようにあつかう。

しかし、未だ四十社に及ぶ取引員が〝ろ過紙〟を通した玉ならば、厄よけできたという神経。そこのところが判らん。悪魔にタマシイを売っておいて、おもてヅラは金屋玉排除を声高に唱えているリーダーの無神経を疑う。それこそチャンチャラおかしい。

●編集部註
 この年の10月から翌年1月の11週間で50円も円高になるとどうなるか、実際に生活した事がないのでわからないが、今なら被害は甚大だろう。
 グローバル化も良し悪しで、自国で何とかやりくり出来ていたのが幸いだった面もあると思う。ただ円が高くなると、円建ての金価格は安くなる。
 徳力本店が公開している年ごとの市中小売り年間最高価格を見ると、81年が3895円、82年が4220円、83年が3975円となっている。
 豊田商事が社会問題化するのは85年なのだが、存外この時の相場変動が関係していると思われる。