昭和の風林史(昭和五九年四月三日掲載分)

小豆30㎏建制に期待する

小豆30㎏建による低い証拠金が、市場に活性化をもたらすことを、誰もが期待している。

静岡のお茶が、いつまでも続く寒さで被害を受けている。

和歌山の梅も開花が遅れ、今年は不作間違いないという。

今年の例年にない遅い春は、いろいろなところに思いがけない被害をもたらし、例えばゴルフ場の経営難や、大規模な植木屋の倒産など、お天気にかかわる不幸な話を耳にする。

商品相場の世界で、天候不順といえば、遅霜被害の桑や、北海道の小豆を連想する。

桑といえば乾繭。政府の減産指導が、昨年アメリカの穀物減産→旱ばつによる不作というような図式になりはしないか?と危惧する人もある。

小豆にしても、昨年に続いての冷害ということなら、これは小豆市場にとっても難儀な問題だし、疲弊している雑豆流通業界は致命的打撃をこうむり、輸入の自由化が再び表面に出てこよう。

さて、注目されていた30㎏建の限月が登場。

北海道は九本の限月。12月限は二節S安。早くも二日新甫月の荒れようだ。

市場のほうは異常気象を思惑した買い方が長期戦の構えで、大衆筋も夏の天気が心配なため、うかつに売れないという態度だ。

いまのところ30㎏建の値段を頭の中で倍の値にして比較するわずらわしさがあるけれど、先三本、四本と30㎏建の限月がふえてくれば、今年の小豆は意外に面白くなる―という期待感がある。

そのためにも輸入枠が早く決まり、将来に対する考え方と、方針をスッキリしたいところ。

とりあえずここは下げの反動で買って、それから整理期に移るのか、小戻しておいて、本格的な整理に入り、作付け動向と長期予報、需給動向等を検討しながら買い場を探る。まずはそういうところであろう。

●編集部註

 コロナ禍でパブリック・エネミーとされ、自粛警察の格好のターゲットとなったパチンコ業界―。 筆者は二十年近くパチンコをしていないのだが、先日ふらりと近所の店にに入ってみたら思いの外客は入っていない。思えば、コロナが来る前から斜陽気味な業界であった。

 昔は深夜とはいえ、地上波でパチンコ番組があ った。何となくボーリングやプロレスと同じ道を辿るのだろうなと感じる。 明暗がくっきり分かれたのは1円パチンコの存在。斜陽期で客単価を安くしても、所詮安い客が来るだけ。延命策にはなったかも知れぬ。ただ起爆剤にはならなかった。

 小豆30㎏建制なるものが如何なるものかは、令和のいまとなっては知る由もない。しかし、パチンコ業界の衰退を知る者から見ると、多分同じ事になるのだなと感じた。

令和2年6月10日記