昭和の風林史(昭和四八年五月四日掲載分)

大勢は大直り 強気強気でよい

大底を見てきた相場である。そして大勢大直り過程。安いのは押し目構成である。買いしかない。

「ほとととぎす何もなき野の門構 凡兆」

きょうから紙面建てが普通に戻る。国鉄順法闘争や私鉄ストなどの後遺症で印刷、発送、配達など、あらゆる面に支障が出て、一日も休刊することはなかったが、ペラペラの二頁建ては、なんとも頼りないものだ。製作発行する側が、情けないような気持ちになるペラの二頁だから、受け取る側の読者はもっと頼りなかったと思う。

まだ郵便物は遅れている。東京から送られてくる新聞はいずれも十日前の日付けである。本紙も郵便購読者から入手が、かなり遅れていると苦情が殺到している。困ったことである。

相場は安い。窓外は雨である。なんとなく湿った空気で、うとうしい。コーヒーを二杯ぐらい続けて飲んでも頭の中の芯が、キリっとしないのは連休や飛び休などで生活のリズムがいつもと違うためだろう。

安い小豆は押し目構成中である。

札幌管区気象台の五月の予報は下旬に遅霜があるかもしれないという。

発芽前の降霜なら被害は出ないけれど、投機家に与える心理面の影響度は、かなりきついものになる。

北海道は六月十五日の札幌神社の御礼祭が別れ霜。異常気象の年だけに発芽前後の冷えこみが怖い。

さて当面は、七日の在庫発表を早目に嫌気して売られるわけだが、この相場、現物を見たら、誰だって皆弱気になってしまう。さりとて現物の需給を無視するわけにはいかず、難しいところである。

ただし、在庫数がどれほど多くても、天災期にはいってしまえば、気温の低さには、気温の低さには、在庫数でも勝てない。

四千四百円幅を下げて二千二百円の半値戻し。二千二百円戻しに対して半値押しなら千百円安。
そうは下げまい。

これからの相場は場面、場面で気配が一変する。悪いと見てワッと売ればコツンとする。閑だと思って油断すると湧き返る様変わりの熱狂相場になったり。

大底は見てきたのである。四月14日の安値を起点にして、不順な天候というファクターを考慮し、人気というものを計算にいれると、ここでの三百円押し五百円、七百円の押しは、次の飛躍への強力なバネになると思う。

●編集部注
当時の業界雀達は「風林火山はいつ弱気になるか」の話題で持ちきりになっていた事であろう。

【昭和四八年五月二日小豆十月限大阪一万三二一〇円・二六〇円高/東京一万三一八〇円・三〇〇円高】