昭和の風林史(昭和四八年五月二十八日掲載分)

五千円台売れ 次は青田ほめだ

充分に押しておかないと、強く見えても騰げきれん。無理に煽ると次は四千円下げにつながる。

「分け入っても分け入っても青い山 山頭火」

小豆の先物市場は強気が支配している。やや大衆筋が売り込んだ跡もあるだけに、狙われた格好である。やはり異常天候が思惑の芯になっている。

冷夏、冷害、凶作。

この夏は寒からんとて豆を買う。

強気筋は、七百円押しを絶好の買い場と見た。理想的な押し目であるという。あるいはそうかもしれない。

だが、筆者はそう考えない。買い気が強く(強気支配で)押すべきところを、中途半端にしておくとここから水が洩れる。ボルトの締めぐあいが甘いとあとからゆるんでくる。

千円以上を押さなければならない場所であった。日数にして五、七本。それをターンと叩いて、パーンとはねた。しかも作為的に買い方が露骨な陽動をしている。買い方の手で買い上げる相場は、ちっとも怖くないものだ。

産地の気温は、これから上昇する。

五月末から六月上旬の冷え込みも、たいしたことはなさそうである。

当然、次は青田ほめの番である。

阿波座は強くなっているが、高値を買ったから強くなっただけで、これは人情のしからしめるところ。

五千円までは弱気していて、踏んで、高値を飛びついて―ということをやった人なら、やはり強気になろう。強気に転換したから踏む。踏んで買い余す。買い越しになるのは、さらに強く見えたからであろう。しかし、本当は、売り辛抱していて辛抱たまらず踏む。上が大きく見えるからドテン買う。買い玉を建てた以上、これは誰でも強気を言う。

なんとなくこの相場は頭が重くなりつつあることか見える。一万五千円は今の時点でいえば買いすぎた地点である。それをなお買い上げようとするのは無理ではないか。無駄、むら、無理。むの時をはずして〝だ・ら・り〟という。

週末の引けは、月曜下放れの味を見せた。線は二点離れ星型。月曜に強い陰線を引くと千三、;四百円の下げ場面を迎える。逆に上放れて強く見せても、それは下げるための前触れにしか過ぎない。惜しめは完了していない相場だ。

●編集部注
 種田山頭火はこれまで何度かブームが到来。そのさきがけは昭和四十六年ごろ。永六輔がラジオで紹介したのだとか。

 全国チェーンの「らーめん山頭火」の創業が昭和六十三年。このあたりでもブームが来ていた。

【昭和四八年五月二六日小豆十月限大阪一万五一九〇円・二四〇円高/東京一万五二四〇円・一六〇円高】