昭和の風林史(昭和四八年五月二十一日掲載分)

買い方に余裕 強気方針は不変

小豆は五千二百円という値を付けてもおかしくない。いよいよ天候相場らしい動きになってきた。

「べら釣るや真上の空は航空路 青松」

バイカル湖北部の五千メートル上空に氷点下三十六度以下の寒気があり、東に移動中で20日、21日にかけて北海道は冷えこむ。その後23日と24日にかけて日中の気温は高くなる。26日ごろからヨーロッパの寒気がやってくるため、二、三日冷え込みが加わり、内陸部では霜の降りることもあろう(気象情報KK)―。

産地気温低下で買われたところを買い方は利食いした。利食いによる押し目を再び買い直した。

買い方ペースの相場であるから天井現象は現れない。基調としては〝ちっともゆるまない〟。

取り組みも徐々に大きくなりつつある。これからまだまだ大きくなろう。

一般人気は、強気になりきっていない。高値警戒人気が強い。やはり在庫が気になっているようだ。

人気が弱いから、少し押してくるとワッと売る。なんのことはない、次の飛躍への足場をつくるだけだ。

先限の一万四千五百円から一万五千二百円までは棒立ちで瞬間的かもしれない。

それというのも完全な踏み上げ現象がまだ見られない事。九、十月限の三千八、九百円から四千円どころを新規に売りこんだ事。買い方は利食いして余裕があり、気分的にも先行きの異常気象を予想して相場革命が、どこかで展開されるであろうというゆとりもある。

逆に売り方は、霜一発のS高が常についてまわるだけに嫌な感じだ。しかも追証が攻めたてる。

四千円が五千円。別に騒ぐほどの水準でもない節(ふし)足線で差期限は四千円ラインを乗せたり割ったり随分ここのところでジグザグ縫い込んだ。これを土台にして一本火柱を立てると場は熱狂してしまう。

週末の引けが一種のそれである。ワッとくるとすぐに〝売りハナ三百〟ぐらいになる。

月曜は、あいだに日曜がはさまって盛り上がった人気が中断されるかもしれないが、新値に買われた相場の力は、あなどれないものがある。

手亡も期近の八千円どころ、期先の八千五、七百円は安心買いの出来る値ごろで、まずこのあたりを買って、買い玉を忘れてしまえば、いつの日か遠からずストップ高で利食いが出来るだろう。

●編集部注 
 天候相場は博打。当ればデカイ。平成の相場師達は、ここ5年の穀物相場でそれを知っている。

【昭和四八年五月十九日小豆十月限大阪一万四三九〇円・五〇〇円高/東京一万四四一〇円・四三〇円高】