昭和の風林史(昭和四八年五月七日掲載分)

利食い消化し 基調さらに硬化

早くも一万四千五百円目標が言われる。テンポがだんだん早くなるのが上昇相場の特色。

「山水に夏めく蕗の広葉かげ 蛇笏」

さあ仕事である。長かった中だるみ、休養は十分に取れた。気がつけば、もう、第五ラウンドに入っている。

相場のほうも本年度の作付け予想、四月末の在庫発表、長期予報、輸入動向、供用格差問題―と、それぞれ強弱が展開されるところ。

小豆に対する人気は弱いとも言うし、強いとも言う。

売り玉を持って、相場が下がって欲しいと願う側の人、即ち弱気筋は『大衆はよく買う』と言う。

逆に、強気する側の人たちは『お客はよく売ってきます』と言う。

それぞれその通りなのかもしれぬ。立場によって身びいきな見方になるようだ。

三月10日の頭から四月14日の安値までの五千五百円下げを一本と見れば、一万三千五百五十円の地点が半値戻しに当たる。

現在の市場人気では先限の、そのあたりが、あり得るという空気だ。

そのあたりで押し目を入れて、あと天候相場。

強気が支配する阿波座では、早くも一万四千五百円の声を聞く。

一万四千五百円という目標値の取り方は前記五千五百円下げを一本の棒と見て、ちょうど三分の二戻しの地点に当たるわけだ。

売り方は、戻りぐらいに思っていたが、おやおやである。千円が二千円、二千円が二千五百円では、追証も攻めてくる。十月末の繰り越し在庫が五十万俵いや六十万俵と言うもののこういう数字は、ひとたび天候相場にはいって、不順の天気が続くと、瞬間にして、どこかへ隠れてしまうもので、相場の上では、いっこう気にならず、逆に〝虎の子〟的存在となるだろう。

夏の天候がどうなるかは誰にも判らない。だから思惑が発生し、投機家が躍動するのである。ただし、可能性としては異常気象下にあるだけに冷害・凶作が充分予測できる。

なんといっても山場は第六、第七、第八ラウンド。恐らく今年は第九ラウンドで勝負はついているだろう。

手亡相場も九千七百円に、いつでも走れる態勢が出来ている。

手亡に対する人気は、これは非常に弱い。しかし、世界的に雑豆は不足気味の時だ。安くなりようがない。

●編集部注
 黄金週間明けの記事。ただ当時は飛石連休。リズムが歪むと相場も歪む。

【昭和四八年五月四日小豆十月限大阪一万三五五〇円・三四〇円高/東京一万三四九〇円・三一〇円高】