昭和の風林史(昭和四七年十月十七日掲載分)

大崩落の前兆 すでに天井せり

小豆は戻り売り。手亡も七千円台は売り上がりでよい。毛糸が音をたてて崩れるだろう。

「ちらほらと村あり紅葉いそぐなり 占魚」

小豆の線型は非常に悪いものになった。上げた分だけ消してしまうだろう。北海道小豆は、出回り最盛期にはいる。産地との契約も急ピッチで進んでいる。

その上に交易会で幾らかでも契約すれば、再び八千円割れの相場になりかねない。人気面は、一気に反騰したため、出直り気分で高値掴みになったようだ。

九千円は、やはり大きな抵抗がある。なんといっても大豊作であった。しかも輸入品の持ち越し在庫が豊富である。戻したところは売っておけばよい。

交易会で、値段が折り合わねば契約できぬかもしれない。契約なしを伝えて相場はそれを材料に買われる場面があるかもしれぬ。

だが、そういうところは精一杯戻したあたりをドンと突けば腰が据わっていないから、また崩れよう。

時に、高値を売らんがために陽動する事もあろう。六日の急騰のように。派手に買っても、それが売りたい為の買いの事がよくある。惑わされぬ事だ。

では、下げて、八千円あたり、、あるいは八千円割れという相場になれば、この時どうする。

大底が確認されている相場に変わりはない。

安くなれば人気も再び片寄ってくるだろう。七千五百円目標などと言いかねないが、八千円前後は、その時の人気がどうあれ弱気しないことである。

手亡のほうはどうか。手亡は人気がつくと怖いが不人気のあいだは、高い場面を売り上がればよい。

手亡という相場は、追いかけては絶対に取れない。乗せていく相場ではない。仕手がかった動きになれば別であるが、先三本、七千円台は売り上がりでよい。

毛糸は月曜の三市場の動きを見ても判然と相場に力のないことが感じられた。

ケイ線では先限の千六百三十円あたりが予測出来る。

いま仮りに、この毛糸相場が、すさまじい急反騰などするようなら、なにを置いても火の中に飛び込むつもりで売ることだ。

〝高なぐれ〟の相場は必ず時間の経過に伴って音をたてて崩れだす。まだ、この毛糸相場に期待している向きも多いけれどストップ安がはいって狼狽するようなことのないよう玉を始末しておく事だ。

●編集部注
この記事で重要なのは既に九月で大底をつけていると認識している点。

簡単に言うと相場玄人は「そんなに単純に上がるかよ」と思っている。

その結果や如何に。

【昭和四七年十月十六日小豆三月限大阪八五八〇円・七〇円安/東京八五四〇円・五〇円安】