昭和の風林史(昭和五四年十一月二八日掲載分)

精糖とゴム売り 輸大と小豆を買う

12月相場は輸大も買い小豆も買うが、ゴムと砂糖は売る―という方針、考え方でよいと思う。

「暁の雲いくながれ鶴の空 青蕪」

精糖納会は予想通り暴落した。海外も安い。ただ円が二百五十円台に売られているが、輸入商品下落の歯止めになっている格好だ。

精糖はI商社の買い思惑が裏目に出た。国内実勢を無視して、外糖高を理想買いした反動である。

相場としては、10月中の棒立ち。そして11月新ポの天井打ち。その後の実勢遊離。ジリ貧。上げ幅に対する三分の一下げという先限引き継ぎ線である。

この事は、外糖高と円安に支援されていた精糖だが、実勢にそぐわない事。買い仕手I商社は、いささか強引で無理をした。大衆は高値を買い付いた。上昇日柄を食い過ぎている。線型が非常に重くなっている―。従って、先限引き継ぎで半値押しの二百九円(大阪)は、ジリ貧で12月中に付けるだろう。

これに似た動きがゴム相場である。

ゴム相場も、下げに対しての抵抗を見せているが、円安、オペック原油値上げ等も、いまや相場に織り込まれ、商社筋の産地手当、定期市場売りヘッジの行動が活発である。

取組内部要因も、大衆筋は当初買い→利食い→売り慕い→踏み上げという起伏にとんだ流れであったが、やはりこの段階にくると、商社の売リヘッジ増大が、この相場の上値限界を見せているようだ。

ゴムは、すでに先行商品としての上昇サイクルの終末に来ていると思う。

ところで輸入大豆はどうなのか。

穀物は、遅行商品である。その中でも反応がまったくなかったのが小豆であり、やや反応しているのが大豆である。
先行商品の最たるものは、金、銀、銅であった。そしてゴム、羊毛、砂糖と続いて、金銀銅は頭打ち。ゴムも砂糖も遅れて頭を打った流れである。

先行商品や、そのあとを追う商品が上昇期にあるあいだ、穀物は逆に下降していた。

そして先行商品と、そのあとを追う商品が反落に転ずるや穀物(大豆)が上昇期に入った。その限りでは小豆も11月底である。

輸入大豆は、師走相場の花形になるであろう。国内需給見通しから言っても、このあたりで納まる値段ではない。小豆も、商いが薄いから投機家の食指は動かぬが、11月20日の安値で底が入ったと思う。輸大も買い小豆も買う。

●編集部註
 確かに、大豆相場は師走相場の花形となった。

 ただし、相場には買い方もいれば売り方もいる。

 ここから2カ月、この相場は両陣営に平等に花道を作ってくれた。