昭和の風林史(昭和五八年四月二二日掲載分)

輸大は葬式の準備必要か

緊迫の輸大市場。すでに葬式の準備せよという人も。ミラクルはないと見ている。

この輸大だけは、さっぱり判らない。

当限買い主力はまさにタイトロープの上の極度の緊張だ。

納会は受けきるだろうと見る人。いや一歩間違えたら奈落の底という人。市場荒廃だ。

受ける現物を定期にヘッジしていないところが無邪気だという見方もあるが、各種情報を分析すると、この買い仕手は必ず潰れると予測する人が多い。

オール商社を敵に回して勝てるはずがない。仕手は連合体であるだけに足並みが乱れだすと微軍だ。

孫子兵法でいう知者ありといえどもその後をよくすることあたわず。

あとはシカゴが支援するかどうか。四面楚の歌に包まれ場内鋭の気なしと見てとれば新規一枚80万円でも潰しにかかるから怖い。

すでに市場は八分二分で買い方敗北の見方。

小豆は目先戻す地点で、相場が強く見えだすと一度投げた強気がまた値頃観で買ってくる。

戻したところは判りやすい売り場になるだろう。

大勢としては二万六千円あたりに向かっている。

小豆東西取引員自己玉の売り買い接近。買いの多かった自己玉だけに食われた姿。昨今、自己玉ご難続きのご時世である。

ゴムは脳天に五寸釘を打ち込んだような強力陰線。状況が日柄とともに刻々変化している。

すでに相場としては一ツの山を越した。産地は中国と日本の手当て一巡すれば騰勢消滅。すでに米国大手メーカーは七~八月積みの手当てを終わった。

高グレード相場が軟化していることですべては判る。

今月納会(日本)でテクビー系は十中八、九現受けしないという商社の観測。現物は日毎にたまりだした。これで取り組みがほどけだすと判りやすい下げ道中に入る。

●編集部註
 牛は脳天に釘を打ち込んでと畜する。他の食肉は電気やガスを用いるが、牛だけは未だに釘を使う。 東京品川には食肉市場がある。ここに併設されている資料館に行くと色々と教えてくれる。
 転じて「脳天に五寸釘を打ち込んだような陰線」という表現は、チェスでいうところの「チェックメイト」のようなもの。
 今もこの言い回しを使う人はいるのだろうか。
 その昔、筆者が商品会社にいた頃、早朝からバカでかい方眼紙に陰陽を書き入れつつ、このフレーズを独り言つ古株の外務員さんの後姿が、エラく格好良くみえたものだ。