昭和の風林史(昭和五八年十月二十五日掲載分)

売りあるのみの小豆大局

輸大は、なんとも気重い相場になった。小豆は先二本の盛りのよいところを売る。

休日入電のシカゴ大豆高と円安を見て、追証入れよか玉投げましょかの穀取輸大買い玉は、ひとまず追証入れて様子を見ることになったようだ。

シカゴは瞬間的に八㌦10を割って目先の下げトレンド抵抗帯に触れて反発したが、あと買われても中勢、大勢下降トレンドの支配から脱することはできん。

これからは、戻しただけあとが悪くなるという足取りになる。

国際情勢の緊迫化と国内政治の混沌で円の軟弱化はやむを得ないところ。

国際商品全般は円軟弱で下げに歯止めがかかる格好だが、相場そのものの流れには為替要因を過大視しない方が判りやすい。

穀取輸大は、いずれ先限四千七百円台の水準に落ち込む。戻りを売っていけばよい。取引員自己玉ポジションは年末にかけて収穫期に入るのが普通のパターンである。

小豆は期近限月が下げようとする相場の流れに歯止めをかけている。

輸入の枠が出るまでは、『ない物売ってもはじまらない』という空気。

これは11限についてもいえる。取り組みの安値におけるカラ売り玉が読めているから、これを踏ませる動き。

露骨にやれば、面白いように煎れてくる前二本だ。

しかし期近高につられて先限が高ければ、これは盛りのよい売り場になる。

相場の大勢は、すでに決まっている。

証拠金の高い当限や二番限(11月限)など触らず二、三月限で来月早々から大崩れするであろう小豆の価格革命を取ればよい。

小豆の取り組みは細る傾向にある。これは、昨年の解け合い後にも見られた現象と同じで、薄商いの中での値崩れ現象の暗示と思えばよい。いずれ、アッという下げになる。

●編集部註
 〝国際情勢の緊迫化と国内政治の混沌で円の軟弱化はやむを得ない…〟とあるが、この円安/ドル高問題に対して、先方の大将であるロナルド・レーガンがこの年の11月9日に来日。日本の市場開放と防衛努力を「要請」したと、小学館の「戦後史年表」に書いてある。
 この頃、ドル/円相場は230円台であった。
 しかし、その1年前は270円台。この円高は意外な所で効力を発揮した事が先日分かった。
 今月文芸春秋から出版された春日太一の「黙示録 映画プロデューサー・奥山和由の天国と地獄」を読むと、奥山和由は三船敏郎と組んでフィリピンに飛び、円の力をフルに生かしてマルコス大統領の協力を仰ぎ、同国で映画ロケを実施していた。