昭和の風林史(昭和五八年十二月十四日掲載分)

小豆売り玉は冬ごもりだ

小豆売り玉は先憂後楽だから、ここは冬ごもりしてしまう。大局トレンドは不変。

またしばらく曲がり屋になるのかもしれないと、嫌な予感がしていたが、悪い予感はよく当たるもので産地のS高とか期近の夜放れ高など、小豆弱気組はままならぬところ。

16日に発表される北海道小豆実収高が九月発表の五十九万七千俵より落ち込むだろうというのが材料。

今のところ59万俵が53万俵ぐらいに減少するかもしれないという予測。

実収高が減少すれば、輸入外貨の枠を増大しなければならない。

その輸入小豆の新穀が高い値段を付けていて、輸入商社は成約を躊躇している。

買い方強気は一限、二限でスクイズができると確信している。

高ければ高いで次期枠までに臨時枠を組む動きも出てくるだろうし、外圧による関税引き下げ問題も選挙が終わると表面化する。

内部要因は、やや売り安心になったところだった。別段あわてて踏む(煎れる)相場でもないが、買い方だって嫌な思いをしてきているのだから、どっこいどっこいである。

下げるために戻すと思えば気も楽である。

取り組みが漸増している出来高も動きさえすれば増大する。自己玉は期近三本買いの先三本売り。大衆筋は期近三本に安値の売り玉がある。

どうなんだろう。夜放れ空間窓をあけて買うところでないと思うが、いやそれだけ力がついた相場だという見方もできる。

高ければ、引かされていた買い玉が年末だけに利食いしてくるだろう。

しかし、買い玉利食いできる圏内まで、この相場とどくだろうか。

大局的なトレンドからいえば大きな肩下がりの中にあって売り玉は先憂後楽型と思う。戻り場面敢えて逆らわず売り玉は冬ごもりしているほうがよい。

●編集部註
 好きの反対語は嫌いではなく、無関心である。
 風林火山の相場分析が当たろうが、曲がろうが、彼の日々の記述は、全国の商品取引員たちの話のネタになった。ある者はそのロジックを受け入れて営業の材料とし、ある者はアンチとなって哄笑の対象に…。世の中、アンチ様ほど良いお客様はいない。存外ファン以上にアンチは色々な知識に明るい。攻撃相手への、歪んだ愛情と言うべきか。
 知られない―というのが最も不幸。忠臣蔵等はその曲がり角に来ている
 この日は赤穂浪士の討ち入りの日。ときはげんろくじゅうよねん―と諳んじる事が出来る世代は受け継がれる事なく、どんどん高齢化している。
 先般、忠臣蔵の映画が公開されたが、それも数十年ぶりだそうである。