昭和の風林史(昭和五八年六月九日掲載分)

小豆は三万円時代の開幕

精糖の次の目標は二百40→50円。小豆は先限とりあえず八千円乗せ。輸大上昇過程。

うまいものは宵のうちに食えというが、S安であれほどあった精糖の売り物が次の日小確りに寄り付くと、おやおや売り物どこへ行ったやら。

もう一発とはいわないまでも次の日の安いところで利食いしようと待った人は外電小堅いのを見て逃がした魚はさぞや大きかっただろうと思う。

要するに相場は人気である。精糖先限の二百二円~三円あたり以下買っておきたい値段。

当業者筋は、外糖天井打ちと見て、定期も弱い見方のようだ。末端現物が売れない現実を相場にはめる。

しかし相場は別。二百円は割れない。

シカゴ大豆期近は、二、三㌣でよいのに六㌣ほど押したが、これは別条ない。仮りにもう五㌣押しても、この相場は上に行く準備をしている。

いまそんな事をいうと人は笑うだろうが、今夏の大豆は作付け遅れだけに発芽後のトラブルは、この異常気象下、随分きわどいことばかりと思うし一九八三の三のつく年の歴史を見てもおだやかに済むはずがない。

国内定期の八千円。シカゴ11㌦。円二六〇円―どうだろう。シカゴ取り組み五億B、穀取三市場二十万枚になった時、そのような相場の実現性が一歩近づく。

小豆は不思議な相場だと思う。五月26日の底入れでよいのに戻り方がぬるいというのでぶっ叩かれ六月3日のS安はキモを冷やした。二連休の休みのあいだ色々考えさせておいて6日朝もう一発下寄りさせ、弱気は四千円必至、いやあと二千丁下と本気にさせたが、切り返しもきつく、なんの事ないもとの水準に戻っている。

投げさせて、安値売らせて相場は皮肉だ。

産地の地温低く発芽遅れや中旬の低温でとりあえず八千円に乗せる先限である。

●編集部註
相場の人気も、景気も、字面では〝気〟が付く。
〝気〟は重要であり、もっと言えば、世の趨勢は押しなべて〝気〟であると言い切って良いのかも。
〝気〟が遣える者と遣えない者の違い。
\空〝気〟が読める者と読めない者の違い。あるいは空気を「読まない」所業で難局を乗り切るという荒業もある。古人が格言に遺した「阿呆になって買え」―というものはその代表格といえよう。
 「相場の常識は世間の非常識」「麦わら帽子は冬に買え」等々色々と言われているが、共通しているのは、精進して感覚を研ぎ澄まし、英〝気〟を養っておく事なのであろう。