昭和の風林史(昭和五八年八月十九日掲載分)

値頃観は通用しない小豆

相場の世界は値頃観禁物。小豆の下値は深いと思う。投げは投げを呼ぶ。輸大も同じ。

小豆は八五〇万㌦発券分で28万俵。産地に25万俵の在庫。七月末消費地10万俵の在庫。

合計63万俵。8 9 10 11月と各月10万俵消費(とても無理だが)として40万俵。

11月供給力23万俵の計算の上に新穀80万俵収穫として、年内20万俵は出てくると想定すれば相場の居所はどのあたりがよいのか。

次期枠は10月発表、11月発券のスケジュール。

中国小豆の新穀成約も進むことだろう。

問題は北海道が60万俵なのか80万俵なのか、それとも100万俵収穫なのか。

台風、大雨、早冷、早霜とまだまだ怖いが。

もう一ツの関心は、雑豆の自由化問題。自由化ならショック安がきつい。

高値買い玉辛抱して早霜期待という姿でもあるが最悪40万俵収穫予想という段階で付けた高値が三万四千四百円。今は作が直って80~90万俵収穫予想。

今後の天候トラブルで再び40万俵収穫時点まで、あともどりしたとして、時期枠絡みで三千円台には買えない相場だ。

(1)買い方に芯がない、(2)高値掴みで戦力低下、(3)日柄で相場疲労、(4)売り方追証ほどけて力がついた、(5)役所の考え方が判らん、(6)需要期に入るが実需筋は高値で飛びつき買いした。(7)線は三山天井型、(8)週間足、半週足暴落線、(9)取り組み減少傾向。

要するに、うたかたの真夏の夜の夢。流れは完全に変わったと思う。

いや、信は力なり。私は私の道を行く―と買い玉放さぬ人もあろう。それはそれで、あすの相場は誰にも判らんのだし、親子でも相場の強弱は別だから相場が出す解答見るしかない。

輸入大豆はシカゴ離れ。中豆重圧。高値で線が重なり過ぎ。週足暴落線。いずれ五百丁崩れる相場でなかろうかと思う。
●編集部註
 この当時、風林火山をして「役所の考え方が判らん」と言わしめた日本の農政だが、令和元年のの夏に、さして必要もないのに、G7で米国からデントコーンを買ってしまうという報道を見て、今ならハッキリ言える。
 何も考えていないのだ。自国の、それも下々の者どもの気持ちなど何一つ考えず、ましてや日本の市場の発展も考えず、ただひたすらに上の顔色ばかりを伺っているだけ。
 小役人になればなる程、自身が在任中に余計なトラブルは起きてほしくはない。そんな事なかれ主義が、日本の農業及び農産品市場を壊した。
 恐らく今後、様々な日本の市場が壊れるだろう。