昭和の風林史(昭和五八年八月二十二日掲載分)

輸大も完全天井打ち確認

年初来上げ続けた国際商品に日柄の疲れが出ている。輸大は天井打ち確認だった。

輸大はとどめを刺す下げが入った。

これで本年の天井打ち確認ということかもしれない。

先三本の高値でのダンゴになった22~23本の日足線を、ほぐすには頭から五百円下げがあってもおかしくない。

シカゴはもう一度急反発するだろうが、それはあくまで天井打ち後のゆれ戻しの二番天井取りだから、戻り一杯見てテクニカルな売りが出る。

割れるような買い人気と取り組みのほとんどが一、二日で入れ替わる出来高。しかもコントラリー・オピニオン(人気指数)80オーバー五週間ときたら、相場は、ひとまず作柄やお天気と分離して当然。

穀取輸大の泣きどころは中豆の重圧である。伝えるところ今年の中国の作柄は非常に良好ともいう。それだけに昨年秋から暮にかけて中豆で苦労した時の事を買い方は思い出す。

週間棒はへたすると高値から七百丁崩しになだれ込む姿。

まさしく土石流型の崩壊である。

ゴムにしても砂糖にしてもすべての商品は長期間の上昇で疲労しきっている。輸入大豆にしてもそれはいえることである。

トレンドが下げにはいると気やすめの強弱は通用しない。それは先刻小豆の相場で見てきた。

その小豆だが自由化問題がつきまとうあいだは、戻してもまた売られる。

力のバランスが完全に崩れて売り方の制空権下にあるから少々お天気などを材料に買われても絶好の戻り売り場とみられる。

小豆はどこで大底打つのだろう。彼岸頃になるのかもしれない。

●編集部註
 相場の動きとは別に、この頃世界に衝撃を与える事件が起こっている。
 1972年から81年までフィリピンはマルコス大統領によって戒厳令が敷かれ、実質的に独裁政権となっていた。反政府側の要人は危険人物として逮捕、投獄、他国へ追放される。ベニグノ・アキノもその一人だった。
 米国に亡命中だったアキノは83年にフィリピンへの帰国を決意。8月、帰国中のアキノに各国の報道が同行していた。
 現地時間8月21日、アキノを乗せた飛行機がマニラの空港に到着。そこへフィリピン軍兵士が機内に乗り込み、アキノを外に連れ出すなり射殺。その生々しい模様は世界中に報道された。
 この暗殺劇で反マルコスに火がつき、フィリピン全土は政情不安に。これが86年のエドゥサ革命へと繋がり、蜂起した民衆が大統領官邸であるマラカニアン宮殿に押し寄せた。これでマルコスは失脚。米国に亡命する。