昭和の風林史(昭和五八年八月三十一日掲載分)

輸大九月中頃元の木阿弥

輸大は現物当業筋が本気の本気で強気になったところが天井。小豆戻り待って売る。

輸大の自己玉の売り買いトントンになったことは大衆筋の買いが高値で利食いしたわけで三市場21万枚強の取り組みのうち29日七万七千枚の出来高。シカゴもこちらも火炎盛ん。将に燃え尽きん風情。

大勝利した大衆筋の資金が、どこへ流れるか。

その事を注目すべきだ。

見ていると年初来上昇トレンドに乗ってきた国際商品御三家の精・粗糖・ゴムに輸大が日柄の疲れを見せている。

ゴムは一月4日からの大波動二段上げ。精糖は一月19日からの三段上げ。輸大また一月11日からの二段上げ。

残暑厳しいとは申せ忍び寄る秋の気配。九月は怖い高田素十は「まっすぐの道に出でけり秋の暮」と。

秋は収穫である。収穫とは利を入れて玉を絞り込まなければならない。少なくとも玉を広げる時期でない。

それが自然界のいとなみであり人間社会も相場界も季節に逆らうことはできん。

輸大は、揺れ戻しが入っても天井であろう。

8/29日=1。五四〇〇円=九。1と九=1。数霊で見ても値を出し切った。

シカゴの線は週間で煎れ上げ化け線。大暴落近しを暗示していた。

穀取輸大は高い節を売る手。いずれ秋の陽はつるべ落とし。元の木阿弥。

小豆は薄商い。目先的には調査部会の産地作柄刻々の報告が買い気を刺激して買わせるだろうが、凶作は二番、三番煎じだ。

あとは降霜被害を買うところがあるが、こと作柄に関して買われたあとは、逆現象=凶作になるほど次期外貨枠ジャブジャブ=で所詮は飛びつき買いした分が因果玉になる。

相場にパワーがないし、玉整理不十分。大勢的小豆トレンドは先限二万八千円なしとしない下げの怖さを引きずっている。

●編集部註
 勢いのない相場、商いのない相場には決して手を出すべきではない。
 令和の御代に日本の穀物相場は死んでいる。そんな中で、ゴム相場はかろうじて生きている。
 今回の注釈を書くにあたり、当時の東京ゴムの商いを調べてみた。83年8月31日の出来高は2730枚。総取組は4万3928枚あった。
 対して、19年8月30日の商いはどうか。出来高は6428枚。総取組は1万7418枚。総取組こそ大きく減ってはいるものの、出来高は遜色ない。いちばは、取引する人が来てくれてナンボ。存外、いまの商品先物を救うのはゴムかも…。