昭和の風林史(昭和五八年五月十四日掲載分)

待つこと久し小豆の底入れ

小豆は底が入ったと見る。輸大に連鎖するかどうか。ゴム人気離散。精糖に移る。

人気は精糖相場に移った。

動きが激しく証拠金が低く、更にいえばセールスマンにとって手数料の嵩がいく。そして海外絡みだけにゴムで利益を得た投機家は砂糖に移る。

この精糖は先限二〇五円あたり売り場になろう。

小豆は大阪当限の主(ぬし)が早や逃げして、同志たちは置きざりだからあわてるのも無理はない。

遅ればせの投げでS安。間が抜けた話である。腹を立てても始まらない。相場に曲がったのだから誰を恨むわけにもいくまい。

この小豆、当限崩れて、やっとスッキリした。

期近安につられて先のほうを売ると、これは捕まる。

玄人連合総弱気の中でのシコリ玉の投げによる期近S安崩れは、一般人気を更に悪くしたが、このような事があって大底が入る。

われわれは先のほうの限月を強気しているのであるから内心待ってましたというわけだ。つられて先安ならこれは絶好買い場。

弱気がいくら叩いても下げは知れているのである。怖いのは投げである。その投げがきて、灰汁抜けも大灰汁抜けだ。

小豆は大底が入ったと思う。これからの戻りは弱気が売ってこようが、かなり大幅な反騰につながると見る。

小豆の買い大手の落城で次は輸大に連鎖すると読むのが市場である。

彼らグループの中豆三万㌧は金倉の時計の針が刻んでいる。しかも現物纏めて製油メーカーに売るには三千三百円あたり。これでは東京六限、七限に売り繋いだほうがまだよい。

だから輸大相場は、嵐の前の静けさ。

大阪当限三千四百円。その時先限三千八百円。相場としてはあり得る値段。

シカゴ期近の罫線はきわめて悪い姿である。

五㌦90あたりに突っ込んでくるトレンド上にある。

従って穀取輸大は戻るところは、ともかく売りの一手。

相場というもの天井したら底が入るまで下がる。この輸大は春の天井四月11日、二番天井五月1日だから、今月中一杯は、買い目はまったくないのだ。

不幸にして高値買い玉ある人は投げられなければ追証を入れて三千八百円まで辛抱するか、両建で凌ぐしかない。

ゴムは人気が離れてきた。証拠金を精糖と比較されると歩がない。

だから売るのか買うのかゴムに関心がないところ。

●編集部註
 小豆相場が踏み上がる直前の文章である。関西では「煎れ」と表現する。