昭和の風林史(昭和五八年五月十六日掲載分)

輸大S安も十分あり得る

小豆は底入れした。輸大はS安もあろう。精糖S高目先売り。ゴム先51円まで戻す。

13日の金曜日、小豆の三市場出来高は久々の一万一千六百余枚。期近の投げで一気に整理を強要し、灰汁を抜いた。

大穀S安二百余枚の売り物が残ったが、土曜も一段安と見て売り玉利食いせずに待ったが、なんの一文安。投げたらしまいで、当限買い主力店の投げに対して、このあたり十分だろう―の利食いが入った。

これで風通しがよくなった。天災期に向けて小豆先限買いの楽しみが大きい。今年の二番底確認だ。

輸入大豆は相場妙味がない。高値掴みあり、両建あり、ドテン安値売りもあって、それらがシカゴの空を眺めているところ。

結局は四月大穀納会の(買い方の)無理が、小豆みたいにどこかで出るだろう。大阪期近三千四百の先三千八百があるはず。

精糖の週末は買い気むんむん。人気を一身に集めている。取引員自己玉は買い。上げ賛成だ。

相場は二〇六円あたり目先の売り場になろう。熱気に包まれて買うと冷やされる。カンカンの強気は二二〇円をいうが、風当たりもきつく波荒らしの場所にきた。

週末のゴムは砂糖に負けておれようかと発奮した。先限で新甫の次の日夜放れ安の空間窓が47~51円のところにある。これを埋めに行くのだ。

相場は下げのトレンドから離脱して下げ幅の半値戻しの波動に入った。

大局的には人気面での天井はしたが、実勢面での天井をしていないだけに、調子で売ると突き上げにショックを受けよう。

それにしても輸入大豆の週末の気味(あじ)は病い篤かりしを思わせた。

東京市場に関西の中豆を繋いでいるのでなかろうか。

現物でさばこうとしても足元見られて話にならん。定期に売るしかない。となるとこの輸大S安もある。

●編集部註
 〝上げ賛成〟という表現に得も言えぬ懐かしさを感じてしまう。〝煎れ〟であるとか〝○○賛成〟等は、当節の相場記事でお目にかかる事はなかなかない。
 以前、筆者が在籍していた商品会社は歴史が古く、本社の一角に書庫があった。
 営業から相場を分析するセクションに異動になった時、分析記事など書いた事のなかった筆者は、日がな一日書庫に籠って過去の相場新聞、雑誌、レポートなどを読み漁りその「文法」を勉強した。
 その中には当然過去の投資日報も含まれていた事は言うまでもない。