昭和の風林史(昭和五八年三月二十四日掲載分)

ゴムは天井、輸大これから

売ってみて判る輸大の強さかな―。ゴムはまさに山雨来たらん。小豆ほっとけ。

注目の米国PIK参加集計は米農務省も予想外だった大幅な作付け面積の削減。

特にコーンの39%はシカゴ相場S高必至という数字。

大豆はPIK参加農作物でないが、影響するところが大きい。

〔PIK計画等についての子細な解説は当社発行の〝月刊商品先物市場〟3月、4月号にやさしいPIK解説。米国PIK計画。PIK計画とコーン。農民のPIK選択等を参考に〕

米史上最大の穀物減反計画は成功するだろうという米政府の見通しである。

これで今年の天候が不順だと、意外な相場展開になるし、世界的な穀物価格の水準訂正が予測される。

穀取輸大はIOMヘッジの商社筋が買い戻していた。

この輸大相場、買っている人は物足りないが、売ってみれば判る。売り玉ほとんど引かされている。

まして叩き屋が安値をこれでもか、これでもかと叩いた玉はすべて突き上げをくらった。

売ってみて、はじめて判る堅さかな―というところ。

これでシカゴ高、フレート暴騰、IOM大幅な逆ザヤとくれば、中国だって交易会は値上げしようし、中豆20万㌧はどこかに消えてしまうということになりかねない。

その時、穀取は全限四千円相場となり、愈々天災期の波乱期を迎えるわけだ。

小豆が不人気の中で八千円を割った。

非常に悪いトレンドに乗っている。ホクレン不信の相場だ。実勢甚だ悪い。

売り方は傍観しておれば、買い方がこの相場自分で崩す。要するに蟻地獄なのだ。

ほっておけば七千二百円あたりまでチンタラ安。

ゴムは山雨まさに来たらん風情。崩れだしたら30円幅棒落としになる。

●編集部註
 現在は休刊中だが、月刊商品先物市場という雑誌を弊社で発行していた事は、日本の先物市場史の中で誇るべき歴史であ ったと自負している。
バックナンバーを読み返すと、当時課長クラスでバリバリと先物市場に関わていた商社マンや学識経験者、経済評論家達が執筆陣に名を連ねている。その中には後に経営者として知られる人物や、経験を買われて大使に任命された人物もいる。
 後年、とあるテレビ局がこの話を聞きつけて、弊社にこの雑誌を借りに来た事がある。ドキュメンタリー番組の中で一瞬だけ雑誌が映っていた。