昭和の風林史(昭和五八年三月二十五日掲載分)

輸大買いは三度目の正直

輸大は大衆が降りたあとが大きくなろう。小豆は傍観。ゴムはヒビが入った。

PIK参加で米国主要農作物が三割減反ということは、キングの法則なら値上がり率一六〇%高になってもよいわけだ。

今年の天候が悪くて不作ということだと、減反の上の減収で仮りに前年比半作なら前年相場の四五〇%高という算術をキングの法則という。

PIKに参加していない農家もあるから、彼らは千載一遇のチャンスとばかり、大豆の作付けをやめてコーンに走るだろう。

アメリカでは〝なまけ猫〟が大流行しているそうだ。ガーフィール現象という。

農民も、なまけ猫で、百姓しないでPIK参加。

概してこのような年は凶作・価格暴騰となるものだ。

穀取輸大は大衆買い玉の大利食いのマーチ。

これに向かって自己玉売りが降り、買いになろう。

大衆の心理は、だいたい高い水準の買いを辛抱していた。この前の高いところは、さあこれからと買い乗せたぐらいだ。

それが相場反落、嫌な思いをさせられた。

今度は、水風呂がちょっと温まったところでサッと飛び出す。

相場は皮肉にできているから、やれやれ買い玉逃げたあとが大きい。

新規買いどうか?という。結構。『ピンで50万は書かんほうがよいよ』と。『提灯がつくから裏目が出てしまう。大衆はこれからの高値を恐らく売ってくるだろう。そうなってこそ大相場だ』―と。

その通りだと思う。これで中豆交易会は値上げだろう。契約数量も多くはなるまい。買い方辛抱したのも彼岸まで。

小豆は芯はないが目先強張りそうだ。逆らってはいけない。放っとけ。

ゴムは二三〇円の窓を埋めにいくところ。丸太転がしのように落ちる。

●編集部註
 どてっとした体形、やる気のないふてぶてしい眼―ガーフィールドは78年から始まった新聞漫画。コボちゃんとか、サザエさんの類と同じである。ただ、日本と違って欧米のこの手の漫画は風刺が強烈に効いている。
 あえて〝なまけ猫〟と風林火山が表記したのは、恐らくその前年あたりまで「なめ猫」が大ブームになったからではないかと推測する。始めは免許証風のプロマイドだった。 その後下敷き等の文具が出て、写真集が売れ、ついにはレコードが発売されるまでに至る。
 数年前、携帯電話会社のCMに登場し、現在再度脚光を浴びている。