昭和の風林史(昭和五八年七月五日掲載分)

相場の基調なんら不変?

小豆はゆさぶっておいて三万五千円を取りに行くトレンドだ。輸大も弱気危険。

小豆は余程確かりしたものの考え方を持っていないし、まるで船に酔ったようになる。

先週末はガット提訴と買い方利食い、それと天候の回復予想で高寄り後急落。

ガット提訴自由化問題は今すぐ現実にはなんという事もないのだが、人気面には多分に影響する。

買い方の利食いは、買い直すためのものと判断すればよい。

産地は低温、そして雨である。毎日新聞四日付けでは網走など千年に一度の低温と書いていた。

オホーツク海の高気圧がまた一等席に停滞しだした。そして、その上のほうにも、かなり冷たい高気圧が控えているみたいだ。

作柄の遅れは実にひどいもので、あと台風と秋の早い冷え込みが予想されているだけに、今年は大変なことになろう。

弱気は輸入枠発券に期待をつないでいるが、それで今の取り組んだ限月がどうなるものでもない。

ガット問題同様、人気面でショック安があっても、それは一瞬で終わろう。

今の相場は買い仕手というものがいないから、人気によるブレは大きい。

しかし大局観と基本姿勢さえ間違えず、高値で買い玉をひろげたりさえしなければ、瞬間的な下げにも十分耐えられる。

三万三千円どころは(11限)一ツの要所で、ここで時間調整を済ますと、次は三万五千円まで一気に水準を上げてしまう。

更に土用潰れ(七月20日土用入り)となれば、天神天井(25日頃)に向かって三万八千円に火柱が立つ。

いまのところ規制らしい規制もなく市場は穏健である。売り大手が煎れ尽くすまでこのような判りやすい相場の展開となろう。

輸入大豆のほうもシカゴがリードしていく。弱気は危険である。

●編集部註
 そのむかし、筆者が中学生あたりの頃、社会のテストで略語の正式名称を答える問題を解くのは得意だった。
 今回の記事で出てくるGATTとかNATOとかは出題の定番中の定番。当時のニュース原稿等で登場する際、略語と正式名称をセットで読まれるので、百人一首の上の句と下の句の要領で覚えた。
 GATTと言えば「関税と貿易に関する一般協定」だし、NATOと言えば「北大西洋条約機構」。
GATTは現在WTOとして教えられているのだろう。EUの前はEC、その前はEECだった。