昭和の風林史(昭和五九年三月三十日掲載分)

投げきるまで小豆は続落

小豆の下値は深くなりそうだ。目立つ買い玉投げきるまで大底は入らない。

急に陽気が春めいて、頭の中に霧がかかり思い違いも甚しい。低頭平身。

さて、小豆相場はドッと疲れが出てきた。

安値の売り玉、踏んでしまったあとだけに、下げ道中の歯止めがない。

昔から“三つき(月)またがり60日”を相場の一波動と見るもので、前に回る四月限一代足を見ても、暮の六日(大阪)二万九千七百四十円安値から三月12日五千三十円まで節足新値24本で〔五千二百九十円高〕。大きな上昇トレンドの中を登りつめた。

その四月限が二度のS安で亀裂が入り、トレンド放れ。

あっさり半値地点を割って、これが買い玉の整理ができていない以上、小反発はしようものの、基調立て直しは望むべくもない。

逆ザヤ長期化時代の相場は先限引き継ぎ線でなく当限引き継ぎ線で見るべきである。

どこまで下がるかは判らないが、一般的に大衆は離れており、セミプロ級は、むしろ値頃観と夏の天候思惑で買いたいところ。

先のほうの限月は、二日新甫登場の九月限にしても値頃感で買うだろう。

今の段階では、買えば買うほど底入れ遠のく。

そういう相場である。

要するに、市場で目立っている買い玉が、投げきるまで、戻したら売られ、戻したら売る。

売り方は玉に力がついてきた。回転も利く。

守り(今の買い方)は三倍の兵力を要するというから、苦しい道中だ。

ひと昔前の小豆なら、ここから二千丁は崩れたはずである。

●編集部註

 過ちては改むるに憚ること勿れ―。我々が張っているのは相場であって維持ではない。〝シマッタは仕舞え〟という相場格言があるように、変な意地を張ると大概は大ヤケドする。しかも、低温ヤケド故に気付いた時は重傷のケースが多い。

 よく考えると格言に残るくらいなのだから、やはり実践出来る人が少ないのであろう、各々が気付いて実行している事なら格言にはならない。

 相場ではシマッタを認めて動かないと大抵死んでしまうのだが、世の中にはシマッタに気付いても「謝ったら死んでしまう」という病に罹患している人が結構いる。一度テレビではなくラジオ等の音声で国会中継を聴いてみると良い。重症患者だらけである。声は決してごまかしが効かない。