昭和の風林史(昭和五七年十月十九日掲載分)

小豆は強いのか重いのか

小豆は大衆離れである。相場に夢がない。輸大期近は暴落のシグナルを出している。

小豆相場が非常に難かしいところである。

先週13日、夜放れ高してのS高は、閑な市場がアッと息をのんだ。

しかしそのあとは再び薄商いで玉の出具合いによる小高下。

S高の勢いからすれば三万円大台乗せ必至と誰でも思ったはずだ。

十月1日の安値を七月19日安値に対比して両足つきの秋底と判断する人は、当然押し目買いの姿勢であるが、現物の売れ行きという実勢面を重くみる人は、期近限月が仮りに三万円乗せしても三万二、三百円あたり再び売り場になるとみている。

一般的には、基本として押し目買いなのか、それとも戻り売りなのか、なかなか決めかねている。

極端な弱気をいう人は、まだ大底が入っていないから、二万八千円割れはあるし、二万五、六千円という昔の相場に戻る可能性もあるとしている。

ともあれ判断がつきかねる時はポジションを持たないことである。

輸入大豆の10月限は大阪に予想外の現物が草木もなびいて集まりつつある。

罫線当限は煎れの出た姿。買い方は背水の陣で受けるだろうが、納会カイはなを商社筋は予想している。二番の11月限も暴落線のシグナル。

東京、名古屋、大阪当限は天井でよくやるユレ戻しがあっても売り線。二番限が極端に悪い線。

中国は売りたい気持ちがありありと見える。来月に入ればIOM新穀が入荷する。実勢遊離の異常逆ザヤは、いつまでも続くものでない。売り過ぎた取り組みもほぼ踏み終わった。

●編集部註
 相場とは全く関係ない話だが、この年の10月は、
その後の日本のテレビ史に名を残す番組がいくつも始まっている。
 新宿アルタで「笑っていいとも!」の生放送が始まったのがこの年の10月。この番組は4年前に終わったが、司会者として31年半も平日の昼間を担当したタモリはこれでギネスブックに載った。
 「笑っていいとも!」の初回放送から4日後、テレビ朝日で「タモリ倶楽部」が始まった。この番組は現在も続いている。
 関西ローカルでは笑福亭鶴瓶が司会の「突然ガバチョ!」の放映開始が同じくこの年の10月。地方の番組がその後、東京をはじめ他県でも放映される先駆けとなった。
 TBSからフリーになって数年。日本テレビで「久米宏のTVスクランブル」という冠番組が始まったのもこの頃。ここでの活躍が、その3年後に始まる「ニュースステーション」に繋がる。