昭和の風林史(昭和五七年六月二二日掲載分)

基調崩れの暴落が接近す

小豆相場は暴落の接近を感じさせる。基調根底から崩れるシグナルも出ている。

月末にかけて小豆相場は崩れそうだ。

トレンドは先限四千二百円があってもよい波動だったが、とどかずに折れた。

五月6日安値から千八百五十円高。同14日から千七百七十円高。同25日から千八百四十円高(大阪先限)と肩上がりのトレンドはそれぞれ千八百円高で三ツの山をつくった。

この千八百円という値幅は多分証拠金幅と関係があるのだろう。

五月10日、20日、六月3日の頭・頭・頭をむすぶ斜線に並行して、五月6日、14日、25日、六月10日の安値・安値・安値をむすぶ線の中の相場だった。

が、いま二千八百円を割り、二千六百円、二千三百円を先限が大引け足で割ってくると、五月からの基調に変化が生じたシグナルと判断すべきだ。

月曜21日は今年二回目の日食(一月25日)だった。来月も21日に日食がある。そして暮の15日と今年は大正六年以来日食が四回もある。日食は古代人をして畏れさせた。米相場時代は相場流れを変えると信じた。現代は月齢を重視する。

早渡し希望と早渡しが逆ザヤ当限に集中する。

今月納会買い仕手は受けなければ暴落がくる。

相場の流れを見ていると23日、24日あたり日柄の最大急所に当たり気崩れに移るかもしれない。

いかなる相場も日柄には勝てない。

仮りに仕手筋が防戦するとしても段々散発的になり、実勢との遊離が顕著になるばかりだ。

攻めて攻められず、守りて守られず、兵法でいう「破れ」が接近していることを相場が暗示しだしたように思う。

●編集部註
 出星前夜―とでも形容出来るだろうか。近々新作が出る飯嶋和一の小説のタイトルである。
 西洋占星学にもベネフィットやマレフィットという言葉で表されるが、東洋でも吉星と凶星という星の分類がある。
 木星は吉星とされる。とある戦国武将は武運を木星に尋ねたとか。
 有名なのは九鬼水軍を束ねし海賊大名、九鬼氏の家紋「七曜紋」。そのルーツは北斗七星にある。
 その昔、航海に北極星に必要不可欠な存在であった。この星を見つけるために北斗七星は大事な道しるべであった
 船乗りの星読みは我が身の命がかかっている。
 相場師の罫線読みも我が身の命がかかっている。
 歪な商いに崩れかかる小豆相場の中で、どうやら風林火山は凶星を見つけたようだ。