昭和の風林史(昭和五七年六月一日掲載分)

時間が相場を食う段階
 
安値叩かず、高値煎れず。時間が相場を食うのを待つ。いずれご正解が出るだろう。

新ポの様子をみようと月末は閑だった。

北海道の天気は順調。作付け面積は三万四千㌶を上回るかもしれない。

増反、順気、発芽順調、降霜不安なし―となれば、やはり売られる。

買い方は、安いところは積極的に買う。

弱気も敢えて安値を叩かん。

東西取り組み合計七万五千枚。ガップリ組み合う。

場面は新甫待ちだし、材料待ち、時間待ち、硬軟音なしの布陣。焦ったほうが斬られる。

新甫11限のサヤは、たいがい買ったサヤの分は引き継ぎ線で穴埋めしている。サヤを買えば盛りのよい売り場になろうし、サヤが買えなければ旧穀限月は割高視されて売られる。

いまの相場、売り方が流れに逆らっているのか、買い方が流れに逆らっているのか。一体どちらが無理をしているのか―この事が判れば六月相場がやりやすい。強気は、こんな安い水準で―と思う。弱気は三万八千円や六千円は標準にならないと見ている。

それぞれの考え方の違いに対して相場様がご正解を示してくれる。

相場は、ひたすら待つ時もある。

待つは仁。向かうは勇。利乗せは智といった。

五月6日、14日、25日、29日と安値が切れ上がっている。

だからこの相場は頑強な大底ができていると見るのが強気。

しかし、旧穀期近を別として九限、十限三千円が四千円と上に行く材料もない。

それより29日安値、25日安値、14日安値を切ってきたら、千円の堤防が守りきれるか。梅雨時はよく堤防が決壊するものだ。

●編集部註
 昭和57年6月1日。小豆相場の堤防が決壊する直前の1カ月が始まる。
 買い方、売り方双方が焦れに焦れる保合い相場となる。
 待つは仁―とばかりに映画でも見るか、という話が昭和57年6月1日に交わされたかも知れない。
 現在、全国の封切館の入場料金は大人1800円。それが毎月1日には1100円となる。
 この割引制度が広く普及したのが昭和56年12月1日。「映画の日」として今も知られるこの日、全国の3分の2の映画館の入場料金が半額になる。当時は大人1400円であったので700円となり、観客動員数は通常の4倍、2倍の興行収入を叩き出した。
 これに気を良くした興業側は映画会社と掛け合い、この年の6月1日と9月1日も入場料半額の日にすると発表した。更にその後、元日と3月1日も入場料半額となる。