昭和の風林史(昭和五七年八月三十日掲載分)

げにうらぶれて大台割る

さようならも言わないで―という歌の文句があった。ビオロンのため息の小豆だ。

小豆は三本揃って三万円。さようなら。この週間棒が話にならぬ悪さだった。こうなると三万円台の買い玉が、大きなシコリになって、夢も希望も遠のいた。

小豆12限一代足で半値下げ地点。これが三分の二下げは九千二百円。

人気は自己玉推移でも判るように、玄人筋が打たれた。

これで月替り新甫から二、三日下値抵抗見せて買われるかもしれない。

天気が崩れるとか、なにか気を持たせる材料がそのあたり出現して、下げの反動見せてくれよう―と勢いのある反撃場面なしとしないが、戻して九月上旬せいぜい七百丁程度の力。

これを買うもよしだが、買わぬがよろしい。戻りを一杯引きつけておいて今度の売りは秋底取りの二万七千円台つるべ落とし、ビオロンのためいきだ。

という事は三本限月三万五百円以上の買い玉は辛抱するほど嫌というほど思い知らされるわけだ。

まあ、そんなふうに思うが、見方によっては九月上旬そんなに戻せず、アヤ戻し程度があって、豊作相場に、のめりこんでいくだろうと見る人もいる。

どっちにしろ、七月19日の安値は取りに行く相場である。

輸大のほうは先を買った人は「前とうしろを間違えた」となげく。

確かに九月限は下げ幅の八割近くを戻した。まさにV型反騰七百丁高は大きい。

しかし先限にしてもトレンドは底入れ後の上昇帯に乗っている。

悪材料はすべて織り込み、あとから出てくる好材料待ちなのだ。しんきくさいかもしれぬが待つは仁。

●編集部註
 秋風がチャート上にも吹いている。
 それは小豆相場冬の知らせを告げる風である。
 旧暦では8月後半に七夕が来る。新暦の七夕は雨が降りがちだが、天の川を眺めるなら旧暦の七夕に限ると誰かが言っていたのを思い出す。昭和、平成を問わず、この頃は星空が極めて美しい。
 北海道で地震があった。大停電で、はからずも目の前に現れた美しい星空を、不謹慎と思いつつカメラに収め、ネット上に挙げる人達が多くいる。
 どうせ腐らせるのならと、ホームセンターで炭や七輪などを買い込み、冷蔵庫や冷凍庫の食材で星空の下、ご近所総出で野外ジンギスカンに興じる人達も出て来たという。
 停電も解消されつつある中、36時間後に電気が復旧したスーパーで唯一、井村屋のあずきバーのみが冷凍食品売り場で生き残ったとか。こおいうたくましい話が大好きだ。