昭和の風林史(昭和五七年二月十六日掲載分)

春の相場の天井打ち現象

強気が多い―という現象は相場はこれから安いことを示すもので春の天井確認である。

小豆は押し目と見ている人が多い。

自由化の問題はさて置くとして、次期枠通常発券なら、相場の方向は下だ。

ヨーロッパ、アメリカだけでなく台湾も日本に対して市場開放を、きつく要求している。これは小豆の自由化に直接響こう。

現物問屋筋や商社小豆担当者は、一種異様な雰囲気の中にあるという。

また、ザラバの売りがふえだしているのも、なにかの兆候をとらえて無気味な現象である。

農水省商業課のとらえかたは、去年の10月の三万円大台割れ寸前の安徽小豆パニック時の、ちょうど逆現象(三万六千円乗せ)と見ているようだ。実需筋からの畑振に対する突き上げがきつい事。大型発券にもかかわらず品物が薄いのは、三晶が定期(大阪、名古屋市場で)買って、外貨を使っていない(輸入に消極的)ためだ―。また仕手筋の買い占め(玉の偏在)が、値を吊り上げている―。

北海小豆は五万五千円もして、生産者にとっては不足のない値を付けた。
次は実需筋に行政の目を向けてくれ―と日毎に圧力がきつくなっている。

上げた分の半値下げ地点が大阪先限で四千四百円。取り組みが減少しているのが買い方の泣きどころ。

市場では今週末の休日に買い方連合がゴルフコンペ。来週からの相場作戦が焦点になろう―と。

罫線筋は納会前後に急反騰して、二番天井を取りにいくという見方もある。

いまは買い方も気迷いである。強引に上げれば自由化騒ぎを大きくするだけ。行政面でも必らず圧力がかかる。いまは上げる段階ではない。これは戦術ではなく戦略である。

テクニカルでは、春特有の二段上げ短命相場と見て戻り売り段階。週間足は天井打ちを示していた。

●編集部註
 ファンダメンタル分析は、ロジックの積み重ねであると筆者は考えている。必ずしも、重ねたロジック通りに相場が進行するとは限らない。当たれば大きいが、外れると総崩れになる。所謂「理路整然と曲がる」とはこの事を指している。
 テクニカル分析は、データしか見ない。ここで指摘されている〝一種異様な雰囲気〟は全てデータの中に織り込まれている。
 実際に相場と対峙して感じるのは、ファンダメンタル分析よりもテクニカル分析の方がノイズが少ないという点である。
 定石を外したり、ありえない選択をする時は、大概ノイズに惑わされていた事が後々に判る。
 相場勝利の最大の鍵はノイズ除去だといえる。