昭和の風林史(昭和五七年二月二日掲載分)

転べばS安含みの急落へ

月初めに天井して、あとはS安含みの下げに入るコースの小豆と見るから売り急所。

資力を出しきると、ここが急所の売り場と判っていても場勘に攻められ、売り玉を踏まされる。戦争でもそうだが守りは(攻めの)三倍の兵力を必要とする。

新ポは呆やり寄り付いたあと煽られた。

買い方は、手を緩めてはいけない要所である。

先限五千二、三百円のあたりまで、下げる時(九月25日)にあけたままの窓を締めにいく。

IQ制度の見直し問題がくすぶっていて、それだけ相場の強弱も真剣勝負になる。

そう簡単に小豆は自由化にならないという楽観論。いや、なにが飛び出してくるか判らんという用心派。

トレンドとしては四千八百円が上弦である。これを抜けると五千四百円まで踏み上げがくる。

そして、その反動はS安含みの嵐だ。

下げ、二千丁、リスクの少ない相場を狙うなら満を持して、五千円乗せのあたりは売り勝負をかけてよいところであろう。

順ザヤの相場だし、日柄十分である。そして煎れが出る。新規買いが入る。

やはりこういう時は、流れの変わる前ぶれである。

春相場には一貫性がない。それは淡雪のようなことが多い。実需からくる上昇でないからだ。
まして、サヤすべりの兆候が出てきた。鬼より怖いサヤすべりである。

買い方が勢いに乗り、この半値戻し地点を煽れば、高値の玉ばかり逆ピラミッドで広がる。ヘッジャーはギンギラ時をさりげなく繋ぎのオペレーションに入る。

相場というものは買い安心、強気急増になってはじめて頭を打つ。

●編集部註
 「IQ制度」とは「輸入割当制度」の事を指す。

 平成の御代には「あんこ辞典」というWEBサイトがある。このサイトには「小豆の輸入」という項目があり、これを読むと現在に至るまで小豆が非自由化品目であるという事がわかる。

 IQ制度で〝農水省、経済産業省がわが国の需給や価格の動向を検討の上、通常年2回に分けて輸入総割当金額を設定し、各輸入商社の輸入実績に基づき割り当てられている〟のだとか(同サイトより)。ただ現在、関税さえ払えば誰でも輸入出来るシステムになっている。

 そのきっかけになったのがGATT(関税と貿易に関する一般協定)であり、1994年に合意となったウルグアイ・ラウンドで、日本政府はこのラウンド対策として事業費6兆100億円、国費2兆6700億円の予算を計上したが、その金額の半分以上がハコモノに消え、結果的に日本の農業強化には至らなかった、という経緯がある。