昭和の風林史(昭和五七年二月二十五日掲載分)

先のほうの限月は重たい

自由化問題と次期枠問題。そして輸入成約数量など次元の高い材料が錯綜している。

鈴木総理発言とは裏腹に、農水省は農産物の市場開放に応じる―という流動的な姿勢を示したことから手亡相場は崩れたが、雑豆自由化の場合でも米国に関係ない小豆はIQ制度を残すかもしれずこの辺が、行政ではなく政治の領域だけに目下のところ予測は難かしい。

小豆当限納会は渡し物薄で買い方は楽な幕引きだったが、次期枠通常発券が予想され、しかも二千万㌦ないしそれ以上の金額が計上されるのではないかと予想されだした。

農水省畑振では三千七百五十万㌦の大型枠発券で需給は緩むと予想していたようだが、昨今の需給タイト観→四、五月品枯れ予想→相場四万円説などから実需筋の突き上げもあって、期末在庫25万俵前後を一応の目標にしたヒアリングになりそう。

そのようなことから二千万㌦~それ以上という金額が市場に流れる。

もう一ツは定期の供用格差問題。これは農水省商業課の分野になるが、北海小豆増反推進のためには、どうしても定期供用格差の手直しが必要である。

この場合、早い話、天津の一万円~一万三千円格差という考え方も議論され、二万円時代に決めた現在の供用格差が実情に適しているとはいえず、早急に洗い直さなければならない。

農水省畑振としては、三月末までに北海道生産者は今年度農業計画の八割~九割を決めることから小豆増反のためには早急な施策を示さなければならない。

さて、相場のほうは買う気で買えば先限六千円抜けは一発であるし、売り方、気が持てんという水準は六千三、四百円どころ。

それだけに、千円上の六千七百円なしとしないが、状況が状況だけに、そのような展開になれば反動安は期して待つものがある。

●編集部註
 ジリジリと三角保合いの線形が出来上がりつつある。こうしてファンダメンタルズで積み重ねられたロジックを横目に、罫線を見るというのは非常に面白い。
 後々にこの相場は「三角保合い下放れ」と「小石崩れ」の線形がまとめてやって来るテクニカルのお手本のような線形が出現する。〝二度ある事は三度ある〟〝三度目の正直〟の発想が存外テクニカル分析の要諦かも知れない。
 その真骨頂がサイクル分析だと筆者は思う。
 サイクルは相場だけに限定されるものではない。歴史もまたサイクルだ。紀元前6世紀頃の哲学者が「万物は流転する」と喝破した。その頃から人は何も変わっていない。