昭和の風林史(昭和五七年七月三一日掲載分)

芯が疲れる場面に入った

叩かれると斬り返す。斬り返したと思うと叩かれる。神経性の芯疲れ場面である。

小豆の取り組み面は漸増傾向。自己玉も買い傾向。

新ポ1月限がどの程度のサヤを買って生まれるかで八月上旬相場が占われる。

場面は一にも二にも産地天候次第というところだ。三、四日遅れの開花が作柄にどう響いてくるか。

強気は三万円大台割れを初割れ買うべしの姿勢。

確かに消費地在庫は増加するが、秋風吹かば現物が動きだす。

需給即ちファンダメンタルズを重視するか、テクニカルズを重んずるかで、自らポジションも今後の相場オペレーションも違ったものになる。

27,28,29,30日の相場波調は、なんというのだろうか。

強気が急にふえたから相場は、だだをこねだしたのか。あるいは、ふるい落としをかけて身軽になろうとしているのか。

そこのところの解釈が難かしい。

相場というもの皮肉なもので、強気がふえると横を向く。

ましてお天気がらみでは思惑錯綜、煎れ投げドテンに難平意地張り、時に七色のパッチ(両建)などと、もつれたら大変。

どうなんだろうね、東京の解け合い値段が取れないのは。

この相場、せいぜい高くて三万一千五百円というのが弱気の一貫した信念。

あと高ければ難平売り上がっていくという。

強気にすれば九千円台は買い一貫。

となると今の相場は玄人中の玄人ばかりが兎の毛で衝いた隙をも見逃さばこそ、情報網を駆使して神経ばかりがとがってくるから、余程均衡破れの材料出現せぬ以上は、押したり突いたり。叩かれたと見れば斬り返し、斬り返したと思えば身を転じ、しばらくは神経性の相場展開である。

●編集部註
 のぼり坂とくだり坂に加えて〝まさか!〟が相場の世界にはあるというのは有名な話。まさかは漢字で魔坂とも書ける。好事魔多し。小豆相場はここより夏バテとなる。 素人は買いを好み、玄人は売りを好む。玄人筋は余程にこの時の溶け合いの恩讐が積もり積もっていたのではないか。そう考えると、ここからの下降局面が何となく理解出来てしまう。
 これはファンダメンタルでもなく、テクニカルでもなく、ごくごく内輪な内部要因である。分析記事には書く事のできない相場心理の問題といえるのではないか。
 外は大雨、小豆相場は夏バテで、この時の買い方は陰隠滅滅としていたのではないか。何となく、今の国内外の金相場に似ている気がする。