昭和の風林史(昭和五八年二月十日掲載分)

大衆の輸大ピン受け作戦

輸大の押しは今週一杯で終わると見る。小豆は強気が更に強気になったから安かろう。

シカゴが五㌦86の抵抗トレンドで止まるかどうか。仮りにこれを割っても基調は変わらず、むしろ反発力が倍加されるはずだ。コントラリー・オピニオン(強気指数)が75を超えていたから応分の押し目が入るところだった。

穀取輸大は輸入商社が満を持してヘッジしていた。これを大衆パワーが押し返す格好。

セントヘレンズ火山の再噴火予想は80年五月を思わせる。その年はヒート・ウェーブでシカゴが暴騰した。ミシシッピー河流域の穀倉地帯におけるダイオキシン汚染にしても将来なんらかの影響が出るだろう。

当限納会で大衆筋が一枚、一枚と受けてみようかという動きがある。百万円あればいいのだろう?と倉荷証券は証拠金として五枚ぐらいの玉は建つ。

倉敷料は二カ月持つとして一枚で三万七千五百円ほどだ。全国的に一般大衆がピン受け人海作戦を展開すれば5枚の人も10枚の人もあるから、その威力は穀取相場を変えてしまうエネルギーにもなろう。

叩き屋ヘッジャーにさんざんやられてきた大衆の気概というものを見せてやりたい。われに“セントへれんちゃん”あり。

ともあれ今週の押しは買い場と見る。先限陽線四本は、これは将来の大爆発を暗示していた。

小豆相場。玄人筋、特に阿波座は強烈な強気に支配され、三万円が絶対あるという空気だ。

それ相応の思惑材料もあるわけだが、肝心かなめの産地相場がぬるい。

今のカンカン強気組の理論は正しい。されど、それが相場になるのは彼岸過ぎか、桜散ってからではなかろうか。
商いの薄さとボリュームの弱さが泣きどころ。大衆介入せぬ相場は小さな盆ゴザのむしりあい。

●編集部註
 耳の痛い話である。
 まさに現在、〝商いの薄さとボリュームの弱さが泣きどころ〟になって、国内の商品先物市場の大半が大衆が介入せずに〝小さな盆ゴザのむしりあい〟になっている。お金を落としてくれる玄人の太客ばかり相手にし、金のない素人さんをゴミくず扱いした報いである。
 手数料商売を錦の御旗に過剰な売買を繰り返すよう指示するぼんくら支店長が昔は大勢いた。電話一本で指示するぼんくら役員が大勢いたからである。才人は離れ、馬鹿ばかりが会社に残る。
 馬鹿ばかりがいる会社が潰れるのは当然だ。
 過度に商いを回転させず、現受けして倉荷証券を充用有価証券として預かって、無理せず商いさせて、素人さんを玄人さんに育成していれば、日本の商品先物業界は変わっていた事だろう。