昭和の風林史(昭和五七年三月十九日掲載分)

戻してくれたほうがよい

弱気は、戻してくれたほうがよいと思っている。戻せば一層悪くなるからだ。

三月17日瞬間的安値。あれは底打ちですと強気信念組はいう。
底が入ったか入らんかは判らん。しかし一応止まるところだし、戻すところである。
底が入ったと見る側は“出直り”という言葉を使うが、底でないと思う側は“戻り”と表現する。
戻して四千八百円あたり。五千円台に買う力は相場にできていない。
今の段階は五千円台の上の買い玉と、四千円以下の下の売り玉と、この綱引きである。
罫線は三千円を割った二千八百円があってもよい姿。
それと逆ザヤの当限が落ちたあとの展開を考えてみるところ。
次期枠に絡んでの強弱は当然であるが、現物の売れ行き不振。経済環境の低迷など、やはり相場を考えるうえでのファクターだ。
強力買い方が下値を支えるから、四千円以下はないという論法は、相場が若ければ通用しようが、去年の11月底打ちから三カ月上げた相場が一カ月の垂れ込みで済むはずがない。
次期枠の絞り込み。需給面の窮屈。強力買い方。天候不順予想。作付け面積増加せずの予想。
それでは、この三、四月どこまで上げるのか?
七千円という人もあるが、六千円は無理だと強気でも思っている。せいぜい買って五千円乗せ。
という事は、すべての材料織り込み済み。
新鮮さがない。買い方の力を期待しているが、買い方は提灯筋に儲けさせるのが目的でない。
この相場は、戻すと悪くなる。商いも薄い。戻してもたいした事はないが、戻ったほうがよい。

●編集部註
 買い方は、前年の春頃から重要性が高くなっている3万4000円の下値支持線を信じている。
 売り方は、今月が78年1月の安値から50カ月目で、既に買いの日柄が終わったという信念がある。
 どちらも間違っていない。問題は、取引にどれだけの時間をかけるかだ。売り方である風林火山が〝戻した方がよい〟と思うのにはもう一つチャートパターン上の理由がある。
 仮に、上げの日柄が既に満ちているとしよう。その場合、相場は前年8月の高値を超える事はおろか、2月10日につけたこの時の年間高値を超える事は出来ないという事になる。大きく戻しても2月高値に迫る程度、即ちダブルトップになると見ているのだ。
 2月高値超えが出来ず反落した場合、高値切り下がりの線形が出現する。下値支持線は先述の通り3万4000円。つまりこれはディセンディング・トライアングルと呼ばれる弱気のチャートパターンが形成される事になる。