昭和の風林史(昭和五七年三月二九日掲載分)

たるみきった大穀刷新を

小豆相場は疲れている。ふらふら戻しても常に暴落を内蔵している。売りのまま。

大穀小豆三月限納会の不祥事件は公正な価格形成とはいえない値段を、まかり通らせた乱暴である。
取引所の使命を取引所が放棄したことは、先物取引業界の重大事だ。
委託者は売り方も買い方も損害である。しかも公正でない価格で決済させられる事は損害賠償問題に発展して当然である。
業界の長老は吐き捨てる如く『平井君はツキのない男だ。彼が来て53年の逆ザヤ防止による六・九パニック。輸大市場の不祥事件。55年の大穀汚職事件。57年の小豆納会事件。要するにインケツ男だ。やめてもらったらどうだろう』と。
取引所は業者に事あるごとに使用者責任を厳しく問う。この際大穀執行部役員は減俸などという責任のがれでなく、きっぱり辞任してもらいたい。使用者責任を自ら果たすべきだ。
取引所が権威と信用を失ったら、大穀市場は輸大のスクイズ市場。小豆の価格操作市場として、委託者は敬遠する。
業界の前記とは別の長老『山砲でも魚型水雷でもなんでも参加させるから、平井か宇賀の首を落とせ』と大変な怒り方だった。
それを聞いた二、三の取引員社長『バズーカ砲でもタンクでも応援するから大穀を徹底的に刷新する運動を展開してほしい』と。
大穀の体質がなぜ改善されないのか。こんなことは一目瞭然である。事務局の専務・常務が取引所の使命を忘れていることと、それと人の心が判らない人物であるからだ。
ツキのない男・平井専務は今回の件でも、一言の詫びる言葉もなかった。弁明のみである。だから農水省の伊藤課長も激怒した。前課長宇賀神氏も、その前の堤課長も在任当時、大穀には大層腹を立てていた。要するに大穀は根本から人事の刷新を必要とするのである。平井専務か宇賀常務は男なら黙って辞任せよという業界の声をお伝えする。

●編集部註
 その昔「ベンチがアホやから野球がでけへん」と発言した後に引退した野球選手がいた。
 この年、その元選手が書いた暴露本がベストセラーになった。それが「プロ野球を10倍楽しく見る方法」である。
 この作品、後に映画化される。ここで登場した日米野球選手の珍プレー・好プレー集がその後の人気コンテンツになる。
 極端な事を言えば、このコンテンツがなければ、みのもんたの人生は現在のそれとは全く違ったものになっていたかもしれないと思っている。