昭和の風林史(昭和五十年三月十九日掲載分)

小豆虚弱体質 軟弱場面続かん

手亡は大崩していったあと、大量の出来高を見るだろう。その間、小豆は軟弱体質である。

「かへり見る空のひかりは夕雲雀 羽公」

手亡の相場が崩れている時に、小豆だけ騰げていくということはない。

小豆と手亡とは、まったく違う豆であるが、そこには比較観があり、サヤがある。両者は違う豆であるけれど相関関係にある。

現物筋の相場巧者は『小豆と手亡のサヤは五千円~六千円が普通になろう』と将来を予測していた。

また、市場では、手亡が三千円下げたら、小豆は三分の一の千円安という見方もある。

ともかく、癌症状悪化の手亡相場が、健全なる小豆相場に〝精神的影響〟を与えているあいだは、小豆相場にも期待は出来ない。

これから先の事を考えると次のように思う。

①手亡が水準を下げる。

②手亡の玉整理が大安値で行なわれる。

③九月限は逆ザヤ発会。

④大取り組みが減少しだす。商いもいずれ閑になる。

⑤小豆は軟弱体質。

⑥手亡安で市場は荒廃するから商い低調。

⑦結局、手亡八月限(今の先限)は、その時点で一万一千五百円あたりに陥没したままになる。

それまでは小豆の相場はどうか。手亡一万一千五百円の五千円ザヤなら小豆の一万六千五百円だ。

小豆の取り組みが、少しずつでも増えていくかどうか注目される。

小豆の取り組みが十万枚を越えてくれくれば加速度をつけて人気化しだすか、四月になっても、五月が来ても取り組みが太らねば今年の相場は後半にずれ込もう。

小豆暴落の可能性はどうだろう。

現時点からの五、七百円安の値ごろ、即ち六月限一万五千九百円前後。

七月限の一万六千円そこそこから割れへ。

八月限の一万六千二百円。

そういう値段はないといえなくなった。

いまケイ線的に小豆六月限が六千四百六十円、一月六日の発会寄り付き値段を割って引けてしまうとこの相場は、安値低迷いよいよ箸にも棒にもかからない時期を迎えよう。

ものごと、なににつけサイクルがある。相場の人気の波も周波に乗っている。小豆相場は先に行って大きく展開するとしても、今月、来月中旬あたりまで軟弱体質だ。

●編集部註
 相場師の必須条件、ロジカルシンキングのお手本のような文章である。

【昭和五十年三月十八日小豆八月限一万七〇三〇円・三〇円高/東京一万七一一〇円・一〇円安】