昭和の風林史(昭和五十年三月八日掲載分)

春日遅々たり 大勢は強気一貫

小豆相場はここが下値の限界ですよと言う地点を何回も何回も見せてくれた。強気一貫。

「さるほどにソラハつきしろ青を踏む 草城」

公定歩合の引き下げは世界の趨勢である。

日銀も、この世界的な流れにいつまでも逆らうことは出来ない。

金融は、日一日と緩和している。国内景気の立ち直りは意外に早いようだ。

小豆相場は強いものを見せた。一月に八百円幅を上げ、二月は八百円ほど下げた。三月は上げる番だ。

二月末の消費地在庫が減少したことと、作付け面積の大幅減反予想が好感された。

本来、それほど下げるべき相場ではない小豆が、手亡の売り叩き、ピービーンズの成約という、お隣さんの事情が影響して、小豆のほうも冴えなかった。

手亡相場が落ち着けば大きな材料を抱いている小豆相場が、本来の歩みに戻るのは当然。

しかし、まだしばらくは一本調子の相場にはならない。春の相場は、のたりのたりだ。春日遅々として進まずという。

高い場面を飛びつかず、押してきた安いところ、嫌な地合いを拾う。

目先的には10日の暖候期予報。今年は太陽の黒点が極小期に当たる。

太陽の黒点は十年周期。

ブリュックナー秋期は三十五年周期。凶作は八十年周期。大干ばつは五百十年の周期。

このような周期が一九七三年以来襲いかかっている地球である。

まして今年は黒点活動の極小期。一九二四年以来の網走、根室の七、八月の気温の変化をグラフにすれば黒点活動の極小期には気温の変化がまったく不安定で、従って冷害になる可能性が高くなっている。

また黒点活動の極小年は台風が日本に来ない。高気圧が南に張り出してしまうため日本に近づかなくなる。そうなると干ばつの可能性が出てくる。

いずれにしろ10日発表される長期予報は北海道の今年の天候は楽観できないことを知らしめるだろう。

次に、叩かれ崩れた手亡の相場だが、一万四千円割れの天災期限月は、売り方も利食いしてきたように、下値の限界に近い地点で、取り組みが、やはり大きいという強味があるだけに買い玉辛抱、新規買い、あるいはナンピン買い場になるのである。

●編集部注
 日銀が公定歩合を切り下げるのは四月十五日。

 この時0・5%引き下げられて8・5%に。つくづく今の我々はゼロ金利に慣れ過ぎている。

【昭和五十年三月七日小豆八月限大阪一万七四七〇円・一六〇円高/東京一万七四五〇円・七〇円高】