昭和の風林史 (昭和四九年六月十四日掲載分)

長続きしない すぐ冷める熱気

買い方が買っているあいだだけ高い相場だから戻り一杯すると再び売り狙われてだらける。

「陶枕の冷えのままにわが昼寝 爽風」

当たっている山大の杉山社長は十月限中心に七千円台を一貫して売り続け、六千円にかけて利食いした。

利食いしたあとはゴルフに行ってしまった。

買い方が買っているあいだは強いかもしれないが、この値を買ってどうだい?先限の八千円抜けがあると思うかね。ちょっと無理だろうね。戻ったところは、また売られるよ。相場が見える時はゴルフだって調子がよいさ―。きっと杉山さんはそういうだろう。

川西地区の〝はえ切れ〟については相場がいわせた材料ということだった。産地筋は、内地で勝手に騒いでいるだけですよ―と。

いまの段階では、発芽がちょっと遅れているだけで13日の晩から雨があがって晴れの日が一日、二日と続けば一斉に発芽する段階だという。11日、12日と畠を調べて、土の中の種を掘り出して見た結果、大丈夫という結論になった。

さて、一見して強力出直りに見える相場であるが、方に力を入れて買う段階でもないようだ。ひとまずは六月十日の安値地点、先限一万七千円は〝いいところ〟という目安はついた。

これ以下を叩き売るとかもっと安い値段を考えることは、今の段階(天候・作柄状況)では行きすぎである。

しかし、上値に対しても一万八千円を吹き抜けて八千五百円を付ける相場でもない。

売り方にすれば、充分に(戻すだけ戻させて)引きつけてから狙い撃ちしようという寸法。

買い方は、じっとしていたらジリ貧になる。気も沈む。一度景気づけをしようという事だろう。

うまくいけば、いささかの踏みも取れようし、大衆兵団が大挙して参加してくれるかもしれない。相場が勢いにさえ乗ればその時、高値の買い玉も逃げられる。

運は天にあり。天候にしてもこの先、どう転ぶか判らないではないか。おなかの中では大相場出現を半ばあきらめかけているというのが実情であるが。

仮りに二万円相場ありとしても、それは本年の場合、だいぶズレ込みそうだ。

当面は七千円と八千円のあいだの相場高下になりそうに思う。

●編集部註
 休むも相場は重要なれど出来る人は存外少ない。先日復帰したジョージ・ソロスなどは稀有な例だ。

 昭和四九年は彼がジム・ロジャースと共同でファンドを立ち上げて五年目。その二四年後、運用資産において当時で世界最大規模にまで大きくなる。

【昭和四九年六月十三日小豆十一月限大阪一万七一七〇円・一四〇円安/東京一万七一六〇円・一五〇円安】