昭和の風林史 (昭和四九年六月二六日掲載分)

実勢と理想と両面持った相場

冷静に相場を見ている人が多い。人気化して湧いたところを、ゆっくり売り上がるのも方法だ。

「ある日妻ぼとんと沈め水中花 青邨」

大石商事の大石吉六氏の現在の相場に対する見方と考え方は次の通り。

今年は、不作に買いなしという相場になるのではないかと考えている。

安いヒネ小豆が、これだけあっては、大相場に発展するとは思えない。仮りに不作であっても、中国ものが輸入出来るし、百万俵の収穫があれば、繰越在庫が豊富なだけに、馬鹿高値は付くまい。

考えてみると、中国小豆の輸入が止まっているのにこれだけの在庫を数えるという事は、消費が減退している証拠で、私は先行き天候悪で突飛高をしたところは売りでよいと思っている。

昔から豊作に売りなし。不作に買いなしという言葉があるが、今年は不作で人気化したところは売りで勝負してみたい。

桑名筋も、それほど強気になっているわけではない。オッパで買った現物に買い戻しが入るかと思っていたが、買い戻しが入らない。これをどこへ持って行ってさばくかだ。先物を買って陽動しては売り抜けるぐらいだろう。本腰が入っているわけではない―。

在庫の圧迫(実需不振)を、人気(天候不順)で、どこまでカバー出来るかという相場のようだ。

在庫圧迫を判然と示しているのが当限の相場である。大阪六月限は一万四千九百十円から21日六千三百三十円まで千四百二十円幅しか上げていない。

同じ期間中に、人気一本の動きである先限は千九百二十円幅を上げた。

そして当限は半値近くまで、すぐに下げてしまった。現実と先走った人気の違いが当先限月によって判然と表現されているのだ。

これからの相場も恐らく〝現実と理想〟の両面を持った動きをしよう。

考えてみれば、それが先物取引の機能である。

投機家は作柄悪を予測し、思惑する。現物手持ち筋は人気で湧いたところをヘッジする。

巧者筋は新穀と旧穀のサヤは二千円に拡大するだろうと見ている。11月限が生まれた時は千円のサヤであった。

10月限と11月限のサヤが二千円開きになった時点が人気相場の一応の限界と見るわけである。

高値掴みにならぬよう。

●編集部注
 小豆相場には「罫線殺し」という異名があったと、熟練の外務員さんから聞いた事がある。

 東京市場は二一~二五日にかけ、小ぶりの陽線が下り階段。これを小石崩れと判断して売った人はどえらい目にあう。

【昭和四九年六月二五日小豆十一月限大阪一万八六七〇円・二〇円安/東京一万八六三〇円・七〇円安】