強弱相半ば 首鼠両端を持す
考えれば考えるだけ強弱の材料が多い。相場につくべきか、逆らうべきか。
ハムレットの如き心境。
小豆は去年の七月からちょうど約一年ぶりに一万九千円台に乗せた。
一方、手亡も今年の一月から五カ月ぶりで先限が一万六千円をつけた。
小豆、手亡の投機家にとっては期待を裏切らぬ華々しい天候相場の展開である。
勝ち負けは時の運。儲かるにこしたことはないが、たとえ損をしても相場は派手なほど魅力がある。
四月の中旬から二カ月ほどのもちあい相場では手も足も出なかった好き者がこの相場をみて、にわかに色めき、振るいたっているようにみえるので、ここは騎虎の勢い二万円を目指して続伸する可能性が強い。
さて、前々からいつもいわれるところだが、小豆六〇キロ一俵二万円が高いか、安いかということだ。
現在、今年の米価に対して生産者側では、去年より六四・七%アップの一万六千七百円を要求。
これに対し結局三〇%ぐらいのアップを政府は認めるハラというが去年からの物価狂乱のあおりや食糧危機感の浸透などから生産者がこれで納得するかどうか。
どのあたりで落ち着くかは、小豆相場の値ごろを考える上にも大きな影響を与えることになる。
今後の天候回復の推移にもよるが、今年が普通の年であれば当然二万円を突破、四十六年九月の高値二万千八百二十円(大阪・先限)を抜くのは時間の問題かもしれない。だが今年の相場にはいくつかの制約が課せられている。
第一はいうまでもなく物価上昇に対する当局の過敏な反応である。砂糖相場がなぜ停止されたままなのかを考えれば、いかに嗜好品的傾向の強い小豆といえども、その上昇は放置されるはずがない。
第二には、いまのところ現物があり余るほどあること。しかも外貨が発券さえされればかなりの量の小豆がすぐさま輸入できる状態にあることだ。
第三に物価全体の水準がいまだに上昇中で、どのあたりまでゆくか判断できないことだ。
この三つをいままでの相場の経験、常識に付け加えて考えてみなければならないだけに、今年の相場は一層むずかしい。
強気一辺倒でもゆかず、さりとて人気づいた相場に逆らって弱気も危険。「君子豹変」の技術が必要。
●編集部註
ここに来て昭和四九年の小豆相場と平成二八年の金融市場が重なる。
今後十営業日、昭和の小豆相場は乱高下する。
相場心理は昭和も平成も変わらない。温故知新で、平成の乱高下に対峙するヒントが隠れている。
【昭和四九年六月二七日小豆十一月限大阪一万八九〇〇円・二五〇円安/東京一万八九〇〇円・二二〇円安】