昭和の風林史(昭和四九年四月十七日掲載分)

卒倒場面あり 現物三万円時代

相場は横に這って押し目の役を済ませている。押したら買いたい人ばかりである。

「水影ののぼるが如し水芭蕉 枝幸」

押し目が入るといよいよ判りやすくなる相場だが、結局は上のものという先高の期待が強いため、押しても浅いし、ここのところは買うだけ買い切ってしまうまでは押さない。

15日・月曜は板崎系が10車、深川筋が定期売り見合いで10車ほど手当てしていた。

売り好きの丸五商事の伊藤徳三氏あたりでも、この小豆相場は、うかつに弱気出来ないという。お客さんは総体に安値(八限の五千四、五百円どころ)を売り込んでいるようだが、クロウト筋は阿波座にしろ、売り好きの伊藤氏にしろ、先行きのただならぬ様相を早くも感じている。

農林省調べの北海道小豆の反当たり生産コストは48年で一万九千円。本年は35%アップで二万五千六百円ぐらいにつく模様。

従って、今予想されている収穫予想反収一・六俵で前年並みの手取り純益を計上しようと思えば素俵二万五千円。定期二万七千円の値段が欲しいわけだ。

筆者は、今年の小豆相場は二万五千円ぐらいで上下価格がはめられて、あと現物相場の三万円が不作決定後に実現すると予想する。

それまでには幾多の起伏がある。

仕手も縦横に活躍しよう。

規制に次ぐ規制は、建て玉制限、大幅増証、売り方倉荷証券、買い方丸代金ということにもなろう。

それでも諸物価の高騰(電力、賃金、米価、石油、国鉄、私鉄運賃)に刺激され、食糧不安におびえ、現実の天候異常、低温が続けば、今の相場が二万五千円→(現物三万円)は遠い先のものとは思えない。

金詰まりの時こそ投機人気が集中しやすい。

われわれは、昨年秋のトイレットペーパー、灯油、砂糖などが一夜にして姿を消した現実を見てきている。

ひとたび小豆に、あの熱狂的な神がかりとも思える買い気が集中すれば、市場は割れんばかりの喧噪に取り巻かれ、市場管理委員会は狼狽の極みに達するだろう。

目先、小豆は押してくれたら、どれだけ買いやすいか―。そう思っている人たちばかりだ。

しかし、いざ押してくれば買いきれない。相場は横に這って押し目の役をすませているように思えた。

●編集部注
この時、日足に三月頭に出現したものと同様のマドを空けた陽線が登場。

ここからしばし、売買攻防戦が繰り広げられる。

【昭和四九年四月十六日小豆九月限大阪一万七四七〇円・四〇円安/東京一万七三九〇円・五〇円安】