昭和の風林史(昭和四九年十月十四日掲載分)

下値深くない 息の長い投機を

しばらく暴騰する気配はないが、下値も深くない小豆だ。当面ビジネス的買いさがりがよい。

「日かげりて重たくなりぬ鯊の竿 垣秋津」

先物小豆の長期投資の方法として三月限の一万六千円割れを投下資金の四分の一で買い、五千五百円があれば同じ枚数を買う。残り資金の半分は追証として準備しておき、五千円を割るような相場なら残り資金の半分で三段目の買い玉を建てる。

このようにして、買い建て平均値を出来るだけ低くし資金にゆとりを持たせて三つき半年先まで思惑の糸をのばす。

小豆の下値限界点は最悪場面があるとしても九月28日の安値一万五千五百円まである。生産コスト、他物価との比較、市場内部要因面から考えてみても、そのあたりまでのもので、この考え方は、相場を弱気している人たちでも〝まずは、そのあたりまでか〟と売り玉の手仕舞いを考える地点である。

商品市場での各社のセールス活動を見ていると大きな資金を引き出してお客さんに乾坤一擲の一発勝負を勧めている。成る程、当たれば大きいし、格好もよいが乾坤一擲の勝負は年に一度あるかないものだ。

玉の回転や手数料収入を考えれば、お客さんに取るか、取られるかのスリルを味わってもらう一発勝負即ち、証拠金筒一杯の仕掛けが取引員としては効率はよいけれど、お客さんの側は、相場のテクニックを楽しんだり苦しんだりする時間的ゆとりがない。

先限に玉を建てられて、半年もじっとされていては玉の回転を目的とするような取引員にとっては、始末が悪いわけだが、いつまでも新規新規の一発主義では市場に参加する投機家は先細りしていくだろう。

商品業界は、もうそろそろ相場を単なる投機としてではなく、投下資本の利回りや、計画的長期投資のテクニックを営業の基本姿勢にしてもよい時分だ。

利の乗った玉は、お客さんのほうから利食いを催促するもので、利食ったあとまるまるこれを全部勝負にぶち込まず、良識によってある程度温存させ、あらためて安全的長期思惑の戦線をのばすようにしたいものだ。

目先、目先、回転、回転、新規、新規の時代は終わっている。アメリカのように相場とじっくり取り組む営業姿勢が望ましい。

●編集部注
相場とは関係ないが、今も昔もこの時期はペナントレースと日本シリーズの端境期である。

平成二八年は、引退する選手が放った「俺のために優勝しろ」という言葉が話題になったが、昭和四九年十月十四日に引退した選手が放った「我が巨人軍は永久に不滅です」という言葉は、今や伝説となっている。

【昭和四九年十月十二日小豆三月限大阪一万六四四〇円・八〇円安/東京一万六六六〇円・一一〇円安】