昭和の風林史(昭和四九年十月十六日掲載分)

仕掛け難続く これもまた相場

我れ出でて利あらず彼出でて利あらずの小豆相場になっている。手をだしたほうが負け。

「鶏頭のただ一本の焔かな 英一」

砂糖取引所はあきもせずバラ積みの粗糖のS高をやってござる。バラ糖は、上々商品の新しい星と期待されたが動く時は決まってS安かS高で、大衆は近寄り難い。取引員側としてもお客さんが、やってみたいと申しても、危険ですからおやめなさいと言う。

バラ糖取引のどこに欠陥があるのだろう。制限値幅を今の倍ぐらいにするとか、取引所当局者は折角苦労して上場したのだから、百尺竿頭一歩を進めて、市場が機能するよう一層の努力が必要に思う。

この17日に三ツの砂糖の市場の偉い人たちが寄り合うそうだ。東京、大阪、関門の三取引所の協会。三砂連という。一杯やって秋気天に満ちたゴルフ場で腕を競うのだろうが、気楽なものよ役員さんは、商い出来ても出来んでも。きょうもS高、あすもS高。

各地取引所、協会は秋期懇親の慰安一泊ゴルフ大会が盛んである。大阪穀取協会のように九州の果てまでゴルフをしに行く商品業界が今置かれている状況をしばらく忘れて打球に狂(興)じることも悪くないが、いつも忘れてばかりの人のほうが多いから困る。

会社が左前になったり、変なことになると、ゴルフばかりしているからさ―と必ず言われる。筆者などは理解があるから、必ずしもそうは受け取らず会社が左前だから気が持てず、ついゴルフに逃げるのだろうと同情する。

さて相場のほうは、持ちも下げもならない。

「我れ出でて利あらず、彼出でて利あらざるを支という。支形は敵、我れを利するといえども出ずる勿れ。引きてこれを去り、敵をして半ば出でしめてこれを撃たば利あり」と孫子兵法は教えた。

今の小豆相場は、まさしくこれである。

そして、この事を誰も彼もがよく知っているから、なおさら膠着する。

考えてみれば、いま小豆市場に参加している人人は半玄人か玄人ばかりである。素人の金持ちの旦那さんがいない。市場の玄人は、チャリンコのように手が早い。そしてみんな、ポケットの中身が軽いから神経をつかう割りに効果が少ない。ゴルフでもするしか仕様がないのかもしれない。

●編集部註
すべてのジャンルはマニアが潰す―。これは老舗プロレス団体のオーナーになった経営者の至言。

コアユーザーがライトユーザーを拒絶し、閉鎖的になる事で全体が衰退する。彼はマニアに叩かれる事を厭わずライトユーザーの開拓を優先した結果、その団体のみならず、プロレス自体の再ブームに火をつけた。

【昭和四九年十月十五日小豆三月限大阪一万六五五〇円・二五〇円高/東京一万六六八〇円・一七〇円高】